とくに駆動方式別にサスペンション形式があるわけではありませんが、なんとなく傾向は決まってきます。ここではちょっとゆるい感じで、その辺を見ていきます。
現在、一番ポピュラーな駆動方式はFFです。これはフロントにエンジンをおいてフロントのタイヤを駆動する形式です。この場合、一部のクルマを除きエンジンが横置きになります。加えてトランスミッションもジアコーサ式なので横に並ぶことになります。搭載する際には幅広になるので、エンジンルームの幅をとってしまいますから、スペース的に厳しいです。
スペースを有効に使えるサスペンション形式の代表がストラット式です。独立式としてもそれなりの高性能を発揮しますから、現在はFF車のフロントサスペンションのほとんどが、この形式となっています。
ダブルウイッシュボーンも使えないことはありませんが、アームの長さが十分に取れないため、いろいろな工夫が必要ですし、本来の良さを発揮するのが難しい面があります。
一方、FF車のリアは、スペースの制約がありませんから、いろいろなサスペンション形式が使えます。とはいっても、リアは駆動しない特性上、あまり凝ったサスペンションは必要ありません。とくに軽量な車種にはトーションビーム式が用いられ、性能も十分なものになります。中上級車種ではストラット式などが用いられることもあります。
FR車の場合は、エンジンが縦置きなのでフロントにある程度自由度が生まれます。スポーツカーなどでは、ダブルウイッシュボーンが好まれますが、コストの面を考えるとストラット式が多いのが現状です。
リアは、駆動力をしっかり路面に伝えなければなりません。かつてはリジッドアクスル式が主流でした。ちなみにAE86レビントレノも4リンク式リジッドで楽しい走りを実現していました。ただ、接地性能や商品価値?を考えるとダブルウイッシュボーン式やマルチリンク式が性能的には好まれます。高性能を売りにしたクルマは、それなりに凝ったサスペンションを採用する傾向です。
ライター、編集者です。主にクルマ系の単行本を執筆しています。主な著書:「モータリゼーションと自動車雑誌の研究(グランプリ出版)」、「スバルサンバー 人々の生活を支え続ける軽自動車の半世紀(三樹書房)」、「きちんと知りたい! 自動車エンジンの基礎知識(日刊工業新聞社)」など多数。
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