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自動車ライター飯嶋洋治のブログ

編集者、ライターです。

代表的な4WDの仕組み(前編)・自動車の基礎知識(49)

現代では、4WD(4輪駆動、AWDとも)がいわゆるジープタイプのクルマだけでなく、乗用車やスポーツカーにまで採用されるようになっています。文字通り4輪の駆動力を無駄なく路面に伝えることにより、特に悪路や滑りやすい路面では大きな力を発揮します。

出典:自動車サスペンションの基礎知識(日刊工業新聞

4WDのシステムを大きく分類すると、パートタイム式とフルタイム式に分けられます。パートタイム式は通常2WD(主にFF)で走行し、滑りやすい路面のときだけトランスファーによって4WDに切り替えるシステムを持っています。

なぜこのようなことをするかというと、パートタイムの場合にはセンターデフがないために、常に4WDにしておくと前輪と後輪に回転差が生まれたときに、その回転差を吸収できないので、アンダーステアが発生したり、ブレーキがかかったようになったり(タイトコーナーブレーキング現象)します。このようなことを防ぐために、通常は2WDで走行するわけです。

フルタイム式の場合にはタイトコーナーブレーキング現象を解消するためにセンターデフが装着されます。この装置があれば、前後輪の軌跡の違いから生じる回転差を吸収できるためにスムーズに走ることができます。

ただし、フルタイム式の場合はデフの特性から、そのままだと1輪でもスリップすると他の3輪に駆動力が伝わらなくなってしまいます。ちなみにパートタイム式の場合は、デフは前後だけですので、1輪がスリップした場合にはその反対側のタイヤに駆動力が伝わらなくなりますが、前後どちらかでも両輪がスリップしなければ駆動力は2WD分だけは伝わります。

フルタイム式の話に戻りますが、そのために滑りやすい路面などではセンターデフを差動させなくするデフロックの機構が設けられました。ただ、これではいちいち切り替えをするという点でパートタイム式と大差なくなってしまいます。そこで活用されたのがLSDで、センターデフとして主にビスカス式を用いるようになりました。

yoiijima.hatenablog.com

1987年、日産ブルーバードに搭載された4WDシステム「ATTESA」はセンターデフとリアデフにビスカスLSDが装着された。

そうすると、前後のタイヤに回転差が生じたときにLSDが差動制限をするので、スリップしやすい路面でも駆動力は伝わりますし、舗装路でも抵抗はあるものの、コーナリング自体はスムーズになります。さらに、後輪にもLSDを入れれば、より駆動力が高まり走破性が上がることになります。

 

 

 

 

 

プロフィール
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ライター、編集者です。主にクルマ系の単行本を執筆しています。主な著書:「モータリゼーションと自動車雑誌の研究(グランプリ出版)」、「スバルサンバー 人々の生活を支え続ける軽自動車の半世紀(三樹書房)」、「きちんと知りたい! 自動車エンジンの基礎知識(日刊工業新聞社)」など多数。

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