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ウィキペディアと AI の関係については、これまでもブログで取り上げてきたし(例1、例2)、「生成AI時代におけるWikipediaの価値」というウィキメディア財団の人の文章を訳したりもした。
が、ウィキペディアにおける AI 生成記事の急増が看過できない状況になってきたようで、AI 生成の低品質コンテンツによるウィキペディアの「メタクソ化」を防ぐためにも、通常の一週間の議論期間を経た記事削除ではなく、ゴミ記事の迅速な削除を採用する方針をとることを決めたとな。
AI 生成記事をどう見分けるか、何をもってゴミ記事と判定するかの問題があることはウィキペディアの編集者たちも当然承知しているが、そのあたりが明白なものは(例:プロンプトに応じて作成されたと思しき文言が記事に含まれる)迅速な削除もやむを得ないんじゃないですかね。
この問題に取り組んできたWikiProject AI Cleanup プロジェクトを立ち上げた Ilyas Lebleu の以下の発言は妥当だろう。
「(迅速な削除自体以上に)良いニュースは、我々が正式に LLM 生成記事に関する声明を出したことです。これは以前から、コミュニティ内で議論の的になっていた点で、我々の大多数が AI コンテンツに反対なのにかかわらず、具体的にどう対処するかについては意見が分かれており、影響範囲の大きいポリシーを策定する初期の試みは失敗していました。ここでは、AI 画像、下書き、議論コメントに関する過去の段階的な成果を基盤に、より具体的な基準をワークショップで策定しました。それは、レビューを経ていない LLM コンテンツはウィキペディアの精神と相容れないことを明確に示しています」
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id:yomoyomoはてなブログPro雑文書き、翻訳者。1973年生まれ。著書に『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』、『情報共有の未来』、訳書に『デジタル音楽の行方』、『Wiki Way』、『ウェブログ・ハンドブック』がある。

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