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コリィ・ドクトロウのブログ(ニュースレター)Pluralistic のDigital manorialism vs neofeudalism で宣伝されているローカス・マガジンの連載記事Neofeudalism and the Digital Manor(日本語訳)経由で知ったブログ記事である。
恥ずかしい話だが、ワタシはこの記事で書かれている最近のバージョンのmacOS のおそるべきユーザ支配について、これが書かれた昨年11月に話題になっていたことを知らなかった。
しかし、このエントリのはてなブックマークを見ても、その内容を考えると数が控えめで、もしかするとワタシのように知らない人も多いのかもと思ったので、ここで紹介しておいたほうがよいと思った次第である。
最近のバージョンのmacOS では、君はコンピューターの利用ログを記録されていて、ログデータを送信されることなしには、電源を入れてコンピューターを使うことも、テキストエディターや電子書籍リーダーを起動して書いたり読んだりすることもできない。
Jeffrey Paul: Your Computer Isn't Yours (ja)
Apple SiliconMac は利用するに際して排他的な選択を迫られる最初のコンピューターだ。すなわち、速くて効率的なマシンを選ぶか、プライバシーを尊重するマシンを選ぶかを決めなければならないのだ(Apple のモバイルデバイスではずっとこの選択を強いられてきた)。
Jeffrey Paul: Your Computer Isn't Yours (ja)
これを読んで、「だから何?」と危機感を持たない人にこそ読んでほしい。誰だよ、Apple はユーザのプライバシーを重視するなんて言ったのは?
他にもApple が密かに iMessage のエンド・ツー・エンドの暗号化にバックドアを仕込んだ話など読みどころは多いし、ここでの議論がApple を一部動かしているので、追記部分にも注意が必要だ。
コリィ・ドクトロウは、この記事並びに、ブルース・シュナイアーの「封建的セキュリティ(Feudal Security)」という言葉を援用しながら、プラットフォーマー(和製英語)が支配するデジタル時代の封建制と「荘園」について書いているが、これについてはSlashdot のストーリーも参考まで。
[追記]:本件について「周回遅れ」「反論はとっくに出ている」みたいなコメントをいただいたが、元々は昨年11月の話題なのだからそれは当たり前の話である。問題はジェフリー・ポールは寄せられた批判にほぼすべて反論していることで、ワタシが知りたいのはその追記部分の妥当性の評価になる。そうした意味で有益なコメントをくれたのはid:muchonov さんだけだった。
あの反論の中には、やや無理筋な強弁も含まれていると思います。jacopoが指摘するように、送信されているのは個別アプリの識別子ではなく開発者識別子であること、起動ごとに送信されているわけではないことを踏まえてJeffrey Paulの冒頭批判を読み返すと、だいぶ印象が変わります。
— muchonov (@muchonov)January 15, 2021
iMessageの件も、「エンド・ツー・エンドの暗号化にバックドアを仕込んだ」という表現は適切ではなく、オプショナルなiCloudバックアップ機能をオンにするとAppleのサーバ内にそのデータが保持される(クラウドストレージなので当然ですが)、と解釈するのが正しいように思いました。
— muchonov (@muchonov)January 15, 2021
このコメントとジェフリー・ポールの追記部分を見比べた上で評価いただきたい。
id:yomoyomoはてなブログPro雑文書き、翻訳者。1973年生まれ。著書に『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』、『情報共有の未来』、訳書に『デジタル音楽の行方』、『Wiki Way』、『ウェブログ・ハンドブック』がある。

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