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それにしてもこの映画タイトルはよくつけたものだと思う。言われてみると、本当にピッタリである。
『風立ちぬ』並びに『かぐや姫の物語』製作時のスタジオジブリを舞台とするドキュメンタリー映画である。ただし、高畑勲はラストにしか登場せず、カメラは主に宮崎駿(と鈴木敏夫)を追っている。
宮崎駿は割と淡々としており、穏やかに映画は進むが、『かぐや姫の物語』の製作の話になると途端に空気が不穏になり、関係者の表情が歪むのが失礼ながら受けた。あと宮崎吾朗も、この映画に不穏さをもたらしているが、そうした存在がアクセントになっている。
そして何より『風立ちぬ』の主人公堀越二郎の声優を考えた挙句庵野秀明を思い立ち、他のスタッフが皆「……」と言葉を継げない中で、宮崎と鈴木の2人がキャッキャ盛り上がる場面は、やはり笑ってしまう。
宮崎駿は悟ったような口ぶりだが、その言葉と現実の微妙なズレに目がいったり、また伏線というほどではないが、宮崎駿や鈴木敏夫が何気なく口にした言葉を後になって思い出したり、合点がいったりするところがある映画である。
ドキュメンタリー映画は狙って良い画が撮れるものではないが、狙わないことには良い画はやはり撮れないもので、そうした意味でラストで屋上に揃う3人の画は気持ちが良いものがあった。
id:yomoyomoはてなブログPro雑文書き、翻訳者。1973年生まれ。著書に『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』、『情報共有の未来』、訳書に『デジタル音楽の行方』、『Wiki Way』、『ウェブログ・ハンドブック』がある。

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