生成AIが変えるソフトウエア開発とプログラマーの未来
- 国立情報学研究所
IT
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生成AIは強力な技術であり、本来は単なる業務の効率化にとどまらず、業務そのものを変える手段とすべきものです。導入によって作業を速めるだけでなく、生成AIを前提とした業務の進め方へと再設計しなければ、AIの力と既存の業務との間に不整合が生まれ、逆に生産性の低下を招くことがあります。生成AIの活用とは、単に使うことではなく、業務のあり方そのものを見直すことにほかなりません。
本特集では、書籍『2030 次世代AI 日本の勝ち筋』(日経BP)から抜粋し、生成AIの利用事例と課題、生成AIを前提とした将来の業務のあり方について考えていきます。
さて、筆者は国の研究所に所属する研究職ですが、その職務内容はソフトウエア開発、特にプログラミングを行うことであり、最も身近な生成AIの利用はソフトウエア開発支援です。例えば、ソフトウエア開発用ツールから生成AIを呼び出し、自然言語で指示すればプログラムを作成してくれます。
生成AIが作成するプログラムについては、当初、2023年の頃は間違いや機能漏れが多く、AIはプログラムの下書き作成にとどめて、人間が修正・加筆を行うことが多かったといえます。2024年後半になると、小規模なプログラムであれば生成AIが作るプログラムの品質は向上しており、現在ではメインの処理は人間がプログラムを書き、例外処理などの補完的な処理は生成AIの支援を受けるといった活用が一般的になっています。このほか、ソフトウエア開発ではプログラム作成以外にも、テストケースの作成、コードドキュメントの生成、セキュリティー脆弱性検出を含むレビュー、ログ解析など、多様な工程で生成AIが利用されています。ソフトウエア開発は、生成AIが最も普及している分野といってよいでしょう。
プログラム作成の精度が急速に高まった理由はいくつかありますが、そのひとつは、学習モデルと生成処理の両面で改善があったことです。まず学習モデルに関しては、プログラム生成に最適化したモデルが登場したことに加え、学習用データとなるプログラムの選別も進みました。従来はGitHubなどのオープンソースソフトウエアのレポジトリ上にあるソースコードを無差別に学習データとして用いていましたが、現在は高品質なコードに限定して学習させています。
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一方、生成処理における工夫としてこの記事は有料会員限定です
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