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VMware問題でIIJやNTTコムなどが大幅値上げ、クラウド料金が2~3倍になる場合も
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米Broadcom(ブロードコム)によるVMware製品ライセンスの変更による影響が、国産クラウドベンダーに波及している。VMware製品を使う国産クラウドベンダーが相次ぎ、値上げを始めたからだ。ユーザーが支払うクラウド利用料金が2~3倍に跳ね上がったケースもあるという。
IIJとNSSOLは値上げ済み、NTTコムは7月から値上げ
日経クロステックの取材によって、既にインターネットイニシアティブ(IIJ)と日鉄ソリューションズ(NSSOL)が値上げを実施済みであり、NTTコミュニケーションズも2024年7月に値上げ予定であることが分かった。
富士通とソフトバンクは、値上げの有無や予定についての回答を拒否した。しかし日経クロステックの取材では、富士通が既に複数の顧客に対して値上げを打診していることが分かっている。
ソフトバンクは2024年6月13日時点で、クラウドサービス「ホワイトクラウド ASPIRE」の値上げをアナウンスしていないもようだ。
各社がクラウドサービスの値上げを始めたのは、ブロードコムがクラウドベンダー向けのパートナー制度やライセンス制度を2024年4月に変更したためだ。変更内容の詳細は後述するが、従来クラウドベンダーは使用するVMware製品のコンポーネントの分だけライセンス費用を支払えばよかった。これに対し4月からは様々なコンポーネントがバンドルされた「VMware Cloud Foundation(VCF)」しか使用できなくなった。それが実質的な値上げにつながった。
ユーザー企業が支払うクラウド利用料金の中には、クラウドベンダーがブロードコムに支払うライセンス費用が含まれている。NTTコミュニケーションズは7月から、ユーザー企業に請求するVMware製品ライセンス費用を1.5倍から10倍程度の範囲で引き上げるとする。
国産クラウドベンダーの話を総合すると、クラウド利用料金に占めるVMware製品ライセンス費用の割合は、これまでは10%程度だったという。その費用が10倍以上に増えるため、クラウド利用料金全体では、従来の2~3倍の値上げになるのだという。
クラウドベンダーがブロードコムに支払うライセンス費用は、2024年4月から値上げ済みだ。もしクラウドベンダーが値上げ分をユーザー企業に価格転嫁できなければ、ベンダー側の損失になる。
ある国産クラウドベンダー幹部はその損失規模について「年間数十億円規模となる」と語る。わずか1社で年間数十億円規模なのだから、国産クラウドベンダー全体で損失額は数百億円規模になる可能性がある。
IIJの業績見通し、VMware製品の値上げによって「変動幅30億円」
実際、IIJは2024年5月10日に開示した2025年3月期の業績見通しにおいて、VMware製品ライセンスの値上げをユーザー企業に転嫁できるかどうかによって、売上高に当たる売上収益と営業利益が最大30億円は変動する可能性があるとした。
IIJは2024年4月からクラウドサービスの利用料金の値上げを実施したが、全てのサービスの値上げが完了したわけではない。ユーザー企業への価格転嫁が遅れるほど、IIJの損失が膨らむ。その損失額が最大30億円になると見込んでいる。
IIJの2025年3月期における営業利益の見通しは300億~330億円である。VMware製品ライセンスの値上げによって、全社営業利益の1割が吹き飛ぶ恐れがあるわけだ。同社が決算の見通しに幅を持たせたのは初めてという。
ブロードコムとの具体的な契約内容やライセンス費用の増額などについて同社に問い合わせたが、「IRで公表している以上のことは話せない」(IIJ広報)とした。
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