パナソニックG、休眠特許でスタートアップに「投資」 1500万米ドルの価値に
- 日経クロステック
電機
5 min read
有料会員限定記事
パナソニックグループが自社で使っていない特許(休眠特許)の活用で成果を上げている。休眠特許をスタートアップに譲渡し、対価として株式を受け取る取り組みを展開する。2017年に開始し8年間で約50社に特許を提供しており、対価として受け取った株式の価値はスタートアップの自己評価額ベースで現在1500万米ドル(約21億円)に達した。最近は他の企業や大学も休眠特許活用の取り組みに加わり、2025年4月には東北大学が特許をスタートアップに譲渡したと発表した。
大手の電機メーカーや通信機器メーカーは、研究開発に多くの資金や人員を投じている。そうした研究開発の成果の1つが特許だ。しかし取得した特許の中には、結局使われない休眠特許が少なくない。特に10年先、20年先を見越す研究開発部門が取得する特許は休眠特許になってしまうものが多い。事業化する前に、事業環境や社内事情が大きく変化してしまうからだ。
休眠特許を維持するにもコストがかかる。例えば、特許の維持に必要な金額は、取得して3年くらいまでは1年当たりせいぜい1万円程度(正確には4300円+請求項の数×300円)だが、10年以降になると1年当たり約10万円(正確には5万9400円+請求項の数×4600円)に跳ね上がる。海外でも特許を取得している場合、国ごとに維持費を払う。例えば米国では11.5年目に7700米ドル(約110万円)を支払う必要がある。
このため毎年多くの特許を取得する企業にとって、休眠特許の維持は大きな負担となる。例えばパナソニックグループは、2024年に日本で2500件以上、米国では900件以上の特許を取得している。特許数が多くなればそれだけ維持にかかる費用が増えていく。そのせいか一般に日本の特許は10年で50%、15年後には90%が放棄されるという。さらに「自社で実施せず、他社も実施していない『死蔵特許』は、休眠特許の中でも埋もれた状態にあるものが多い」とパナソニックIPマネジメント共通基盤知財部活用戦略2課エキスパートの中川佳則氏は言う。
次のページ
死蔵特許をスタートアップに託すこの記事は有料会員限定です
今日の必読
Today's Picks
3 min read

2 min read

3 min read
6 min read
5 min read
7 min read
今後の注目特集
Coming Soon
あなたにおすすめ
Picks for You
日経クロステック Special
PR
お知らせ
ポッドキャスト
Podcasts
ピックアップ
PR
Featured Picks
分野別ランキング
Rankings by Sector
パスキーの使い方、秘密鍵をどの端末に保存するかがポイント
パスワードは必ず漏れる

楽天で生損保一体型基幹システム頓挫、滋賀銀行は開発中止しベンダー変更
決算調査で判明、大規模システム開発の崖

AI中心にフルスタックで攻めるNTTデータG、本気の連携なくして勝利なし
さらば電信電話、新生NTTの逆襲

13.3型モバイルノート「dynabook G8」、新色の800グラム台で拡張性高い
戸田覚のIT辛口研究所

アスクルへのランサム攻撃、報告書が明らかにした3つのポイント
ニュース解説

NTTが民営化40年で大勝負、データGの再合流で目指すは「世界」
さらば電信電話、新生NTTの逆襲

2位は「NTTデータは40万円支援 、社内コミュニティーは意外と効果が大きいらしい」30代の注目トップ10
日経クロステック ランキング

アスクルのサイバー攻撃詳細 委託先アカウントで侵入、クラウドも被害
ニュース解説

Windowsの隠し設定「究極のパフォーマンス」、省電力制御が最小限に
Windows 11の真実と大嘘

アスクルへのランサム攻撃、報告書が明らかにした3つのポイント
ニュース解説

楽天で生損保一体型基幹システム頓挫、滋賀銀行は開発中止しベンダー変更
決算調査で判明、大規模システム開発の崖

アスクルのサイバー攻撃詳細 委託先アカウントで侵入、クラウドも被害
ニュース解説

iPadOS 26のUIが大きく変更、サブマシンとして活用しやすく
iPadを最高のサブマシンにする!

平均残業が月10時間未満はSCSK・NEC・日立・富士通、有給取得率80%超は5社
情報・通信企業15社、業績・給与ランキング2025

サムスン電子が「3つ折り」を発表、折り畳みスマホは日本で盛り上がるのか
日本的スマホ論

ダイヤモンド半導体の実用近づく、佐賀大が最大120GHz動作 「世界最高レベル」
ニュース解説

パナソニックコネクトCTO「遅すぎる開発」にメス、改革4年テーマ6割減
技術トップに聞く

ディスコ、大型半導体パッケージ向けダイシングソー 400mm角対応
セミコンジャパン2025レポート

米最大の集光型太陽熱発電、太陽電池に勝てず終了へ
トレンド解説 from メガソーラービジネス

半導体レジストの新星「MOR」、ADEKAが材料 東エレクに米社挑む
ニュース解説

ダイヤモンド半導体の実用近づく、佐賀大が最大120GHz動作 「世界最高レベル」
ニュース解説

米最大の集光型太陽熱発電、太陽電池に勝てず終了へ
トレンド解説 from メガソーラービジネス

核融合、小さな太陽を造る壮大な実験
テクノロジー・スポットライト

半導体レジストの新星「MOR」、ADEKAが材料 東エレクに米社挑む
ニュース解説

中国が「脱NVIDIA」、AI半導体の微細化で独自路線 日本は装置に商機
2026年、世界を変えるテクノロジー5選

トヨタ初の総アルミ車体骨格、砂型で中空実現 GR GTを27年発売
自動車ボディー最前線

大画面に限界、HMI新潮流 中国車は既に1割が「人間中心」
記者の眼

日産ルークスと三菱自デリカミニ、軽スーパーハイトワゴン3強に挑む
ニュース解説

接着剤で留める手法が裏目に
Disassembly Report

トヨタがV8エンジン新開発、27年GR GT量産 排ガス規制「最後まで戦う」
ニュース解説

接着剤で留める手法が裏目に
Disassembly Report

BYD、ホンダ流PHEVを日本発売 エンジン圧縮比15.5の世界最高水準
ニュース解説

トヨタ初の総アルミ車体骨格、砂型で中空実現 GR GTを27年発売
自動車ボディー最前線

トヨタがV8エンジン新開発、27年GR GT量産 排ガス規制「最後まで戦う」
ニュース解説

無人運転、AI主体で縦横無尽 完成車メーカー支配の業界構造が揺らぐ
2026年、世界を変えるテクノロジー5選

名古屋駅構内の天井パネル落下事故、原因は改修工事 固定状況の確認怠る
ニュース解説:建築・住宅

1級建築士「学科試験」のデジタル化試行、2010人対象に26年3月実施
ニュース解説:建築・住宅

建築家・隈研吾氏が感じた変化、「スポーツ施設」のタイポロジーは消失する
熱狂生むアリーナ最前線

赤サビに守られたヘビ
建築巡礼

Q.霞ケ浦湖畔の「水の科学館」 改修して施設変更、何に生まれ変わった?
ケンチクイズ

1級建築士「学科試験」のデジタル化試行、2010人対象に26年3月実施
ニュース解説:建築・住宅

カヌーを介した友好を艇庫の姿に投影する、島根県美郷町にたたずむ大屋根
美しい屋根2025

赤サビに守られたヘビ
建築巡礼

270日以上回復していない建物も、能登半島地震の設備被害調査で明らかに
ニュース解説:建築・住宅

1万人収容の多目的アリーナを臨港の街づくりの核に
世界水準の次世代アリーナ

Q.霞ケ浦湖畔の「水の科学館」 改修して施設変更、何に生まれ変わった?
ケンチクイズ

赤サビに守られたヘビ
建築巡礼

1級建築士「学科試験」のデジタル化試行、2010人対象に26年3月実施
ニュース解説:建築・住宅

床下断熱材は半数が落下 7割欠落の箇所も、固定不良や戻し忘れに要注意
ココが欠陥!住宅検査簿

鹿島と大成建設は営業最高益
ニュース 時事

1位は「中央道更新工事でトレーラーが床版破壊」
土木のあの日

地下インフラに救世主 光ファイバーや人工衛星で異常検知、巨大市場の産声
2026年、世界を変えるテクノロジー5選

福岡の道路陥没、雨水管工事の施工不良が原因 削孔した既設管に土砂流入
ニュース解説:土木

橋の内部劣化を中性子で可視化 理研と東京科学大、車両搭載の小型システム
ニュース解説:土木

豊洲・晴海の歩行者専用橋 築70年の鉄道遺構を転用、レールや枕木残す
土木のチカラ 詳細版

福岡の道路陥没、雨水管工事の施工不良が原因 削孔した既設管に土砂流入
ニュース解説:土木

1位は「中央道更新工事でトレーラーが床版破壊」
土木のあの日

豊洲・晴海の歩行者専用橋 築70年の鉄道遺構を転用、レールや枕木残す
土木のチカラ 詳細版

清水建設、夜間工事LED灯の昆虫への影響評価 色温度ごとに費用対効果算出
ニュース解説:土木
撤去中の道路橋が40mにわたり崩落、和歌山の築111年・元鉄道橋
ニュース解説:土木















