イスラエル軍は18日、ガザ地区で大規模な空爆を行い、地元の保健当局はこれまでに404人が死亡したと発表しました。イスラエル側がイスラム組織ハマスに対し、新たに軍事的な圧力をかけて人質の解放を迫る一方、ハマスは「停戦合意を破るものだ」と強く反発していて、ガザ地区の停戦は崩壊しかねない事態となっています。

ことし1月から停戦が続くパレスチナのガザ地区で、イスラエル軍は18日未明、ハマスの拠点に大規模な空爆を行っていると発表し、ネタニヤフ首相は声明で「より強い軍事力でハマスに対して行動する」と強調しました。

この空爆で、ガザ地区の保健当局によりますとこれまでに404人が死亡したほか、多くの人ががれきの下に取り残されていると発表しました。

地元の当局は、犠牲者の多くは女性や子どもなどだとしています。中東のメディアはハマス幹部の話として、空爆で人質1人が死亡したと伝えています。

停戦の継続をめぐる協議が難航する中、イスラエル軍はこれまでも無人機などによる散発的な攻撃を行い、死傷者が出ていましたが、今回の空爆は1月に停戦が発効したあと最大規模です。

イスラエル側はこれまでハマスに対し停戦を一定期間延長し、人質の解放を進めるというアメリカの提案を受け入れるよう要求し、今月2日からはガザ地区への人道支援物資の搬入停止を続けてきましたが、新たに軍事的な圧力をかけてハマスに譲歩を迫る構えです。

さらに、イスラエル軍はガザ地区の住民に向けて広い範囲が戦闘地域になっているとして退避するよう通告していて、攻撃をさらに拡大する姿勢も示しています。

ハマスは声明で「ネタニヤフ首相は停戦合意を破棄することを決定し、人質を危険にさらしている」などと強く反発しました。そのうえで「ハマスは最後の瞬間まで合意を守り維持することに努めてきたが、ネタニヤフ首相は戦闘を再燃させることを選んだ」とし、1月から続いてきたガザ地区の停戦は、崩壊しかねない事態となっています。

イスラエル軍は大規模な空爆で、ガザ地区各地のイスラム組織ハマスの拠点を標的にしたとしています。

NHKガザ事務所のサラーム・アブタホンカメラマンが現地時間の18日午前2時半ごろ、南部ハンユニスのナセル病院で撮影した映像では、子どもを含む負傷者が次々と搬送されています。

イスラエル国連大使「敵に慈悲をかけない」

イスラエルのダノン国連大使は17日、ビデオ声明を発表し「イスラエル空軍はガザ地区でハマスへの攻撃を開始した。われわれは敵に慈悲をかけない。イスラエルは人質を全員取り戻すまで攻撃をやめない」と述べました。

米報道官「イスラエルから相談受けていた」

アメリカ・ホワイトハウスのレビット報道官は17日、FOXニュースの番組に出演し、イスラエル軍によるガザ地区のイスラム組織ハマスの拠点への空爆について「トランプ政権とホワイトハウスは、ガザ地区での攻撃についてイスラエルから相談を受けていた」と明らかにしました。

国連事務総長「停戦順守など強く求める」

イスラエル軍による空爆について、国連のグテーレス事務総長は18日、報道官を通じてコメントを出し「多くの民間人が殺害されたことに衝撃を受けている。停戦を順守すること、人道支援を妨害せずに再開すること、そして残る人質を無条件で解放することを強く求める」としました。