アメリカのトランプ大統領は13日、自身のSNSにEU=ヨーロッパ連合から輸入するワインなどのアルコール製品に「200%の関税を課す」と投稿しました。EUが、トランプ政権による鉄鋼製品とアルミニウムへの関税措置に対抗し、アメリカ産のウイスキーに関税を課したことを理由としてあげています。

EUは、トランプ政権が輸入する鉄鋼製品とアルミニウムに25%の関税を課す措置を発動したことに対抗し、来月1日からバーボンウイスキーなどアメリカから輸入する製品に関税を課す措置を講じると明らかにしています。

こうした中、トランプ大統領はSNSに「EUは世界で最も敵対的で関税などを乱用する当局の1つで、ウイスキーにたちの悪い50%の関税を課した。これをただちに撤廃しなければEU加盟国のワインやフランスのシャンパンなどのアルコール製品に200%の関税を課す」と投稿しました。

また、ラトニック商務長官は13日のテレビ出演で「トランプ大統領は『より強く報復するぞ』と言っているのだと思う。EUが措置を取り下げるべきだと気づき、冷静に交渉することを期待する」と述べ、措置の見直しに向けて交渉が必要だという考えを示しました。

関税の応酬になれば貿易摩擦を通じた世界経済への悪影響も懸念され、EUの今後の判断が焦点となります。

フランス貿易担当相「貿易戦争をエスカレートさせている」

フランスのサンマルタン貿易担当相は13日、「トランプ大統領はみずからが引き起こした貿易戦争をエスカレートさせている」とSNSに投稿し、トランプ政権の関税政策を批判しました。

その上で「フランスはEUやパートナーとともに断固として対抗する。脅しには屈せず、われわれの産業を守り抜く」として、妥協しない考えを示しました。

フランスの業界団体によりますとアメリカはフランスにとってワインの最大の輸出先で、輸出額全体のおよそ2割を占めるということです。

EU報道官「アメリカ側と電話会談を調整」

トランプ大統領の投稿をめぐってEUの報道官は「コメントはないが、引き続きアメリカ側と連絡を取って電話会談を調整している」としています。

「トランプ氏の行動 常軌を逸している」57% 世論調査

ロイター通信と調査会社「イプソス」は今月12日までの2日間、アメリカの1422人の成人を対象に世論調査を行いました。

この中で、主要な貿易相手国への関税措置など、「経済を揺さぶるトランプ氏の行動が常軌を逸しているか」尋ねたところ、
▽全体の57%が「そう思う」と回答し、
▽「そう思わない」が32%、
▽「分からない」もしくは無回答が11%でした。

また、
▽回答者の70%が関税の引き上げによって食料品や日用品が値上がりすると予想したほか、
▽61%がトランプ大統領の最優先課題はインフレの抑制であるべきだと答えたということです。

一方、関税の引き上げによって製造業の国内回帰や雇用を守ると主張するトランプ氏の行動は「長期的には報われる」という意見に共和党の支持者の79%が賛成すると回答していて、ロイター通信は政策の本質に賛同する共和党支持者が一定数いることを示唆していると伝えています。