「A子で〜す」と自己紹介してきた女性への調査開始。20代半ばの都内に勤務するOLで、この1年半ほど週末は店に来ているという。他愛もない話が尽きると、間もなく「外に出ない? お小遣いは『5』で」と向こうから誘ってきた。連れ出し料が5000円ということらしい。
店を出ると「ここにしない?」と提案され居酒屋チェーンに入った。ビールとレモンハイで乾杯した後、前川氏の話題になると、A子さんは「あー、あのオジサン、超常連だったよー」と言い、続けた。
「半年前ごろまでは毎週末のようにみかけたね。いつも1人で来てたかな。手当たり次第にアタックするっていうより、じっくり品定めしてから女のコに声をかけていた感じ。私? んー、呼ばれたことあったかもしれないけど、覚えてないなー」
調査時間は30分弱。記者から小遣い以上の金額を得られないと判断したのか、A子さんは「もういいかな?」といって席を立ち、再び出会い系バーへと消えていった。
短時間で貧困問題の実態を解明するのは難しい。調査の最後、前川氏が貧困女性の調査目的だったと説明していることをA子さんに告げると、初耳だったのか、こう返された。
「アハハッ! ぜってー、そんなわけないって。(女性と)ホテル行ってるよ!」
意外な言葉だった。調査だと悟られないように巧みに普通のオジサンを装っていたのか。ホテル代がない貧困女性に夜を明かす場所を提供していたとの解釈も可能だ。前川氏に調査の成果についてあらためて聞いてみたいところだ。