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大谷翔平の打撃、進化のカギは「お尻」…内角低めの長打率が驚異の「1・25」に

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佐藤雄一
大谷のゾーン別本塁打数と長打率
大谷のゾーン別本塁打数と長打率

 ドジャースの大谷が今季、本塁打を量産した要因は何か。レギュラーシーズンでは自己最多の55本をマークし、ワールドシリーズを含むポストシーズンでは計17試合で8発を放っている。専門家の分析や大リーグ公式サイトのデータを調べると、内角低めを巧みに仕留める進化した姿が浮かび上がった。(編集委員 小金沢智、佐藤雄一)

引きつけ中堅左

 動作解析に詳しい筑波大体育系の川村卓教授(硬式野球部監督)が舌を巻いた1本がある。リーグ優勝決定シリーズでブルワーズに4連勝を決めた10月17日、大谷は3本塁打を放った。その3本目だ。内寄りのやや低めに来た速球を右翼へ引っ張るのではなく、バックスクリーン左へ放り込んだからだ。

10月17日のブルワーズ戦、3本目の本塁打を放つ大谷=飯島啓太撮影
10月17日のブルワーズ戦、3本目の本塁打を放つ大谷=飯島啓太撮影

 大谷のフォーム分析を続けている川村教授は「左打者なら普通は右翼へ飛ぶ内角低めを、今季の大谷君はバットを内側から出し、引きつけて捉え、右中間から中堅へ本塁打にしていた。あの3本目は中堅やや左。普通の人はちょっとできない」と感嘆。この1本にも、今季の進化が表れている。

よりシンプルな打ち方に

 川村教授の分析によると、大谷の打撃フォームは昨季から変わった。元々右足のかかとを上げるだけでステップをしないノーステップ打法。そんなシンプルなフォームの中でも昨季は、スイングする際のお尻の動きが大きかったという。今季はお尻の動きを極力抑え、「体の回転だけで打つような、よりシンプルな打ち方になった」という。

 打ちにいく際、お尻が前方に動くと自分から球に近づいていく格好となり、特に内角は窮屈になりやすい。この動きが抑制されたことで「少し余裕を持って内角を待って振れるようになった」と分析。低めの球は振り下ろしたバットが上昇していく過程で、うまくヘッドに乗せて飛ばす。さらに、バットが内側から出ることによって、ヘッドの返りが早くて打球が右翼線から切れていくようなファウルが出にくくなったとみている。

大谷の進化を表す二つの指標
大谷の進化を表す二つの指標

対策上回る

 データにも表れている。55本塁打のうち、内角低めのストライクを仕留めたのは8本と昨季の3本から急増。長打率も1・25と倍近くに伸びた。真ん中の甘い球を精度良く捉えていた昨季に比べ、内角低めが格段に強くなっている。振り返れば日本人選手で初めて本塁打王になった2023年は、前年まで苦手としていた外角高めを克服した。1球ごとにデータが計測されて攻略法が練られる時代に、相手の「大谷封じ策」を上回っていく姿がうかがえる。今季は95マイル(約153キロ)を超える速球への対応力も上がった。

バットに「仕事」

 川村教授は「大谷君は今季、バットを(約1・3センチ)長く、(約14グラム)重くしたという。自分の力でめいっぱい振らなくても、バットが仕事をしてくれるシンプルな打ち方にしたかったのでは」と推察。その上で、さらなる量産の鍵は、多少詰まっても本塁打になる打球を増やすことだと指摘する。真芯で捉えても、強く引っ張るあまりファウルになっては意味がないからだ。「今の大谷君なら球の内側をたたいて少し詰まらせる感じでも十分、本塁打になる」。技術とパワーを両立させた今季の打法は、来季の60本を期待させる。

ジャッジ甘い球逃さず シュワーバー高め得意

 ライバルたちの打撃傾向もデータからうかがえる。今季のゾーン別本塁打数と長打率では、大谷を1本差で上回ってナ・リーグ本塁打王となったフィリーズの大砲シュワーバーは高めが得意。一方、今季のア・リーグ最優秀選手に輝いたヤンキースのジャッジは甘いコースを逃さず、低めも苦にしないようだ。

2025年大リーグの長打率5傑
2025年大リーグの長打率5傑

 川村教授のデータ分析によると、シュワーバーが打つポイントを前に置いて飛ばすのに対し、ジャッジは球を引きつけるタイプだ。「前で捉えようとするシュワーバー選手は、落ちるボールでも空振り覚悟で全部打ちにいくようなところもある。やはり高めや真ん中を捉えた数字が多い」という。前で打つ分、低めへ落とされるとバットが止まらない傾向もあり、打率は2割4分どまりだった。

 一方、球を引きつけた上で飛ばす技術もあるジャッジは見極めが利き、低めもうまく対応している様子。打率も3割3分1厘と両リーグトップの安定感を見せた。

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73430070大リーグ2025/11/18 05:00:002025/11/23 15:55:372025/11/23 15:55:37/media/2025/11/20251118-OYT1I50243-T.jpg?type=thumbnail

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