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ウクライナ侵略2年半
癒えぬ心 マスクの下に








 ロシアのウクライナ侵略は開始から2年半が過ぎた。露軍による攻撃は絶え間なく続き、小さな子どもにも大きな傷を負わせている。
写真 関口寛人 文 倉茂由美子
(7月22~23日、ドイツ東部のドレスデンで撮影)
 「やった、決まった!」。通院先のドイツ東部ドレスデンの病院の中庭で、ロマン・オレクシフ君(9)が卓球に熱中していた。顔は着圧マスクで覆われ、手足には皮膚移植の痕が残る。リハビリのために始めた卓球は、父ヤロスラフさん(40)と互角の戦いを繰り広げる腕前になった。「命さえ助かる保証はないと言われたのに、奇跡だ」。ヤロスラフさんは目を細めた。
 2022年7月14日の昼。ウクライナ中部ビンニツァの病院に露軍のミサイルが直撃した。診察を待っていた母ハリナさん(当時29歳)は死亡した。ロマン君は救出され一命を取り留めた。
 やけどは体の表面の4割、内部の3割に及び、ドイツに搬送されて約30回の手術を繰り返した。医師に「助かったとしても歩くのは難しい」と言われたが、ロマン君は激しい痛みを伴う手術やリハビリに耐え、回復を見せた。今は昼はドレスデンの学校、夕方はウクライナの学校のオンライン授業を掛け持ちする忙しい日々。得意だったアコーディオン演奏やダンスも再開した。
 それでも、母を失った悲しみは癒えない。いつも思い出すのは、あの日、病院の待合室で笑っていた顔。苦しいリハビリに耐えていた頃はよく夢に出てきたのに、最近は出てきてくれない。「ママに会いたいよ」。時々大声で泣いてしまう。
 まだまだ手術や治療は続く。でも先のことはあまり考えない。「人生いつ何が起きるかわからないでしょ。だから僕が考えるのは、今日何をして遊ぶかだけ」。そう笑い、駆けていった。

ウクライナ侵略2年半
戦禍を生き抜く

 【キーウ=倉茂由美子】ロシアの侵略で捕虜となったウクライナ兵は1月時点で約8000人に上るとされる一方、露軍との捕虜交換で帰還した兵士らは約3400人にとどまる。24日で侵略開始から2年半。捕虜との連絡が長い間途絶えた家族は再会を待ち望み、焦燥感を募らせている。
(写真、関口寛人)
 【キーウ=倉茂由美子】ロシアによるウクライナ侵略で深刻な戦争犯罪の一つとされるのが、ウクライナの子どもをロシアや露占領地に強制的に連れ去る行為だ。ウクライナ政府は被害者数を約2万人と推計している。露軍による連れ去りを経験した子どもと救出に成功した祖母が、24日で開始から2年半を迎える侵略下の体験を本紙に語った。
(写真、関口寛人)
 【キーウ=倉茂由美子】「この子は夫にそっくり」。ロシア軍との戦闘で夫を亡くしたスビトラーナ・トレニュクさん(48)は7月上旬、ウクライナ西部テルノピリで、生後4か月になった双子を幸せそうに抱きかかえた。双子は昨年7月に戦死した夫ボグダンさん(当時37歳)の凍結した精子で妊娠し、今年2月に出産した子だ。
(写真、関口寛人)
 【キーウ=倉茂由美子】24日に2年半を迎えるロシアのウクライナ侵略では、侵略を正当化するためロシアが流布するプロパガンダや偽情報にロシア占領下のウクライナ人が協力を強いられている。露治安当局に拘束され、プロパガンダ動画に出演させられた女性が本紙に実態を証言した。
(写真、関口寛人)
 【キーウ=倉茂由美子】ロシアのウクライナ侵略が始まってから24日で2年半となる。この間、露軍のウクライナ兵捕虜に対する拷問や非人道的な扱いが問題視されてきた。侵略初期から11か月間、激しい拷問に耐えた元兵士が過酷な実態を語った。
(写真、関口寛人)
 【キーウ=倉茂由美子】ロシアによる侵略が長期化し、兵士不足に苦しむウクライナでは新法施行で、5月から受刑者が軍に入隊できるようになった。受刑者たちは、塀の外へ出る自由と引き換えに、死の危険を伴う戦場へ向かう覚悟を決めている。
 【キーウ=倉茂由美子】ロシアによる侵略が長期化し、兵士不足に苦しむウクライナでは新法施行で、5月から受刑者が軍に入隊できるようになった。受刑者たちは、塀の外へ出る自由と引き換えに、死の危険を伴う戦場へ向かう覚悟を決めている。
(写真、関口寛人)
関口寛人撮影
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読売新聞オンライン
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