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広島市は15日、平和記念公園(広島市中区)にある原爆供養塔に安置されている遺骨について、初めてDNA型鑑定で身元を特定したと発表した。

身元が判明したのは、1945年に13歳で亡くなった梶山初枝さん。親族で広島県府中町の会社員、梶山修治さん(60)は、この日の記者会見で「80年が経過し、身元の特定は厳しいと考えていたのでうれしい。遺骨は家族が眠る墓に入れてあげたい」と語った。
供養塔に安置された原爆死没者約7万人の遺骨のうち、812柱は引き取り手がなく、当時住んでいた場所などを記した名簿を市が公開している。
今年5月、修治さんが名簿に「鍛治山ミチ子」の名前を見つけ、伯母の可能性があるとして市に照会を依頼。初枝さんには妹の美智子さん(91)がおり、初枝さんが美智子さんの名前が入った持ち物を身につけていたことで、「名簿に誤って記されたのではないか」と考えたという。
市は、神奈川歯科大に骨つぼに入っていた遺髪の鑑定を要請。美智子さんの口の中から採取した細胞のDNA情報と照合し、初枝さんとの「血縁関係に矛盾はない」との結論を出した。
引き取り手のない供養塔の遺骨で遺髪が残るのは他に10柱ほどあるとみられる。市は、条件が整えばDNA型鑑定を行う方針で、市原爆被害対策部調査課の上本慎治課長は「遺族が高齢化する中、多くの遺骨を返還できるよう尽力したい」と述べた。