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[政治の現場]維新研究<2>連立 スピード決断…「橋下氏後継」力の源泉

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 新しい連立の枠組みが決まるのに要した期間は、異例の短さだった。

 10月17日午後10時過ぎ、東京・赤坂の衆院議員宿舎の地下駐車場に白色の高級ミニバンが入った。乗っていたのは、日本維新の会代表(大阪府知事)の吉村洋文(50)だ。自民党総裁の高市早苗(64)との秘密裏の連立協議が目的だった。

 吉村は会議室に向かい、連立政権合意書の原案を手にする高市から笑顔で迎えられた。部屋では、官房長官に就く木原稔(56)、維新共同代表の藤田文武(44)らが原案の調整をしていた。

■「ルビコン川渡る」 

 衆院議員定数の削減、副首都構想、社会保障改革――。吉村は、維新が重視する政策の実現を確約するよう念押しした。了承を得た吉村は「やりましょう。政権を支えます」と高揚した様子を見せ、高市は「ここから大変や」と口にした。

 吉村は別室で藤田から合意の詳細な説明を受け、宿舎を出ると18日未明になっていた。翌日夕、吉村と藤田は大阪市での常任役員会で交渉一任を取りつけた。

 「維新が溶けてなくなるかもしれない」。一抹の不安も抱えつつ、吉村は20日朝、高市に電話で連立入りする決意を伝えた。周囲には「ルビコン川を渡る瞬間だった」と吐露した。

 互いの携帯電話番号も知らなかった2人が初めて電話で意見交換したのは13日だ。そこから、わずか1週間で連立合意に至った。政策実現の好機と見た吉村と、公明党の連立離脱で窮地にあった高市の利害の一致が生んだ急接近だった。

■「4代市長会」

 吉村が高市との連立協議を想定もしていなかった10月2日。自民党総裁選の地方演説会が開催された大阪市内では、別の政治会合が和食店で開かれていた。参加者の一人、吉村にとっては少々身構える夜だった。

 「お前、こんなん考え足りてないんちゃうか」

 案の定、吉村が、自民との連立への考え方などを説明すると、維新創設者の橋下徹(56)と松井一郎(61)から厳しい言葉が飛んだ。この頃、吉村ら執行部は、小泉進次郎(44)(現・防衛相)の勝利を見込み、連立を視野に協議を進めていた。会合で主に発言するのは橋下と松井で、同席していた維新副代表で大阪市長の横山英幸(44)はお酌役に徹した。

 維新で大阪市長を経験した面々による「4代市長会」と称される会合だ。年2回ほど開き、民間に転じた橋下と松井が「維新イズム」の継承を確認する場といえる。市長の座は2011年以降、橋下から吉村、松井、横山と続き、約14年間、維新が占有する。

 吉村は、橋下と同じ弁護士出身だ。橋下が地域政党・大阪維新の会代表だった11年の大阪市議選で初当選し、4年後に橋下の後継として40歳で大阪市長に就いた。それから10年で与党党首まで駆け上がった。求心力の源泉が橋下による「後継指名」にあることを自覚する。

 吉村が主導した連立入りでも、橋下の援護射撃が背中を押した。橋下は7月の参院選後、「連立入りした上で副首都構想を実現して」と公言していた。

 橋下は12月10日配信のユーチューブ番組に吉村と共に出演し、こう激励した。「知事が首相と電話して政治を動かしていく。俺が知事の時には夢物語だった。思う存分暴れてほしい」

 影響力が増した今も、吉村は連日、大阪府庁で記者団の取材に応じ、国政案件を含めて遠慮なく持論を唱える。世論の支持を得て政治を動かす橋下流の継承だ。

■問われる統治手法 

 もっとも、吉村は国政経験が衆院議員としての10か月だけで国会運営に精通しているとは言い難い。今月15日には、衆院議員定数削減法案が審議入りしない国会情勢を巡り「そんな国会まっぴらごめんだ。(議員の)身分に関することでは結論を出さない」と切り捨て、落としどころを探る与党議員らを白けさせた。

 自民からは「維新国会議員団と調整しても、大阪から違う発信がある」との苦言も漏れる。吉村がどのような統治手法を選んでいくのか。その方向性は、連立のあり方を左右する。(敬称略)

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