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月経障害など、女性に特有の健康問題を職場の課題として取り組む動きが進む。国は管理職の女性比率向上を掲げるが、働き盛りの年代での体調不良がキャリア形成の意欲に悪影響を与えることも。女性が働く環境を整えることで、キャリアアップの後押しを目指す。

冷凍食品大手「ニチレイ」の30代後半の女性社員は、1年前から経血量の多さに悩まされてきた。1時間でナプキンに収まらないほどの出血があり、トイレに行くために頻繁に業務を中断しなければならない。「集中できないし、周囲にどう思われているか不安だった」と振り返る。
ニチレイは「2030年度までに女性管理職比率30%」の目標を掲げる。実現に向けて必要な施策を検討するアンケートを行ったところ、女性の7割が「(月経が)仕事のパフォーマンスに影響がある」と回答。そこで20~30代の女性従業員を対象に23年度から、婦人科のオンライン診療を受けたり、産婦人科医の講演を聞いたりできる「月経プログラム」を開始した。
30代後半の女性社員もオンライン診療を受け、低用量ピルを服用するようになってからは経血量も減り、精神的な負担も減った。「いつもベストな状態で業務ができている実感があり、自信をもって自己評価できるようになった」と話す。同社「ウェルビーイング経営推進室」室長の酒井麻路さんは「月経の話はタブー視され、我慢してしまう女性が多い。体調に左右されずに経験を積み、管理職へ育ってほしい」と意義を語る。

国の男女共同参画白書(24年版)によると、前立腺肥大など男性特有の病気は50代以降で増えるが、子宮内膜症など女性特有の病気は20~40代で増加。がんの
管理職候補として育成される年代での体調不良は、キャリアアップの意欲にも悪影響を及ぼす。内閣府の23年度の調査で、片頭痛など気になる症状がある20~40代の働く女性のうち、症状に「十分に対処できている」という人では43%が昇進を希望したが、「十分に対処できていない」人では17%だけ。国は企業などに対し、働く女性の健康に配慮するよう促している。
職場における女性特有の健康問題は、女性だけの問題にとどまらない。男性職員の理解を深めようと、千葉市消防局は今年1月、生理用品の輸入販売会社から講師を招き、約140人が月経について学ぶ研修を初めて開いた。「何時間も鎮圧できない現場では、経血が漏れていないか不安」といった女性隊員の声を紹介し、職場でどういった対応ができるかを話し合った。
同市消防局で事務職を除く女性職員の割合は約5%。救急の対応時など女性隊員が求められる場面は多く、管理職を含めた女性職員の増加を目標に掲げているが、研修を受講した消防司令の矢内良直さん(48)は「女性隊員がこんな課題を抱えていたと初めて把握した」と驚く。企画した女性活躍推進検討委員長の上田有里さんは「男女を問わず、職員の体調不良には組織として対応しなければならない。理解を深め、働きやすい職場になれば」と話す。
第一生命経済研究所の副主任研究員、福沢涼子さんは「従来の職場の健康施策は禁煙対策など、比較的年配の男性に寄っていた。長く働く女性が増える中で、女性向けの施策はどこの職場でも必要となる」と指摘。費用対効果が見えにくい施策でもあり、「健康経営を進める企業への助成を手厚くするなど、国の後押しが重要だ」と話している。
(読売新聞生活部 野口季瑛)
3月8日は国連が定めた「国際女性デー」です。女性やダイバーシティー(多様性)に関する記事を随時掲載していきます。
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