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自然破壊や景観悪化を招くとして、大規模太陽光発電施設「メガソーラー」を規制する議論が活発化している。衆院選では、各党が公約に再生可能エネルギーへの姿勢を盛り込んだ。県内にはどの程度設置され、問題は起きているのだろうか。現状を検証した。

「メガソーラー推進反対です!」
衆院選富山選挙区で立候補しているある候補は、公示2週間ほど前にユーチューブに投稿した動画で訴えていた。「山や丘の木を切り崩し、景観が大きく損なわれる。山を見たら黒光りでまぶしいほど。こんなのは本当に規制しなければ」
メガソーラーは国が2012年に始めた再生可能エネルギーの「固定価格買い取り制度(FIT)」を機に建設ラッシュが始まった。買い取り費用の一部は「再エネ賦課金」として、消費者が負担している。
山を切り開き、時に数万枚のパネルを設置することもあり、生態系破壊や森林伐採に伴う災害の危険性も指摘されている。北海道の釧路湿原国立公園周辺や千葉県鴨川市では住民と事業者のトラブルも起きた。
こうした問題を受け、政府は昨年末、監視体制の強化などの対策をまとめた。衆院選では、自民党は厳格な対応などを掲げ、参政党も規制強化に積極的だ。

資源エネルギー庁によると、FIT制度などを利用し稼働するメガソーラーは、全国に8995か所ある(24年度末)。16年度末の5238か所から、約1・72倍に増えた。
一方、県内では59か所(24年度末)が稼働。16年度末の43か所から1・37倍と全国ほど増えていない。47都道府県平均でみると、24年度末で1都道府県あたり191か所になる。富山に近い面積の山梨県は富山の1・27倍の75か所ある。富山は全国的にみても多くはなく、増え方も緩やかだ。
なぜ富山は少ないのか。富山国際大の上坂博亨教授(地域エネルギー学)は「日照時間が短く、業者の食指が動かないのでは」と指摘する。総務省の統計によると、23年度の富山の年間日照時間は1979・1時間で全国36番目。日照時間1位の埼玉県(2545・5時間)は富山より狭いが197か所(24年度末)ある。
全国小水力利用推進協議会代表理事も務める上坂教授は「同じ再エネなら、富山は水力が盛んで、可能性もある」と話す。

同庁が公表する県内事業者一覧によると、メガソーラーを手がけるのは、のべ60社。発電設備の所在地を「グーグルマップ」で一つずつ確認すると、臨海の工業用地や田畑が広がる平野部が多い。山を大規模に切り開いて斜面に大量に設置したような状況は確認できなかった。
転用が難しい遊休地を活用しているケースもある。県企業局が運営する富山新港太陽光発電所(射水市)は、火力発電で発生する灰を埋め立てた県有地を活用。神通川浄水場太陽光発電所(富山市)は、休止中の浄水場の土地を使った。
富山大の神山智美教授(環境行政法)は、日照時間の短さから投機的な資本が入らなかったことに加え、県や自治体が、適地に誘導してきたと指摘する。
県は再エネを促進する区域の基準を設定しており、富山、小矢部、氷見市も促進区域を指定。全国的にも先進的な取り組みだという。
山奥に少ない一方で、平野の住宅地近くでは、住民とのトラブルもあった。
南砺市では昨年8月、太陽光発電所の建設を規制する条例が施行された。24年9月に、県外事業者が設置した太陽光パネルを支える鉄柱が倒れるトラブルが発生。住民から「パネルが飛んでこないか不安だ」と相談があったことがきっかけだった。条例では今後建設する業者に住民説明会を開くことを求めている。
別の問題もある。太陽光パネルの耐用年数は20~30年で、2030年代後半には大量廃棄が予想される。
環境省と経済産業省は先月23日、パネルのリサイクルの新制度案を発表。事業者にリサイクル計画の事前提出を義務付ける。政府は衆院選後の国会に法案の提出を目指す。
ただ、47都道府県のうち富山を含む8府県にはパネルのリサイクル施設はない。施設を持つ近隣自治体に運搬するにしても、集積場所は必要だ。神山教授は「パネルを取り外し、運搬する人手も必要になる」と指摘し「太陽光発電への支援のあり方を問い直す時期にきている」と話している。
自民
・再エネの主力電源化を徹底し、地域共生と国民負担の抑制を図りながら導入を推進
・地域との共生が図られない不適切な太陽光発電事業について、法的規制を強化
中道改革連合
・再エネの導入を最大限加速。持続可能な社会を次世代に引き継ぐ
国民民主
・再エネなど他国依存度が低い電源の活用
・再エネ賦課金制度のあり方を検証し、必要な見直しをする
参政
・メガソーラーや風力発電など、環境負荷の高い再生可能エネルギー推進策の見直し
・再エネ賦課金の廃止
共産
・大胆な再エネ導入で、2035年度の電力比率を8割とし、40年度までに100%を目指す
・再エネの豊富な地域に送電網を整備