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冬恒例の「那須おろし」の冷たい強風が吹き荒れる中、衆院選栃木3区は、2024年前回選と同様の保守分裂構造に、立憲民主党と公明党による新党「中道改革連合」の誕生という要素が加わった。無所属新人・渡辺真太朗(33)、自民党前議員・簗和生(46)、中道新人・伊賀央(61)の3者による混戦模様となっている。(敬称略、石塚格、近藤龍)

県内でも3区はひときわ保守地盤の土地柄だとされる。178票差で簗が渡辺を抑える激戦となった前回衆院選の余波は色濃い。解散風が吹く前から選挙区内には渡辺や簗のポスターが至る所に掲示されていた。25年10月の那須烏山市長選や那珂川町長選では、渡辺と簗がそれぞれ別の候補者を支援し、「代理戦争」の様相を呈した。
1月27日の公示日。渡辺の出陣式には大田原市長の相馬憲一と那珂川町長の益子純恵が参加。那須烏山市長の川俣純子も公然と支援する。簗の出陣式には那須塩原市長の渡辺美知太郎、矢板市長の森島武芳、那須町長の平山幸宏が出席した。3区内6市町の首長は簗側が3人、渡辺側が3人と真っ二つだ。
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「前回は自民に逆風、私に追い風だった。今回は高市人気に、中道もできて票が読めない。無所属の私は小選挙区で勝たなければいけない」
渡辺は公示後初の週末となった31日朝、氷点下の中で那須塩原市内での街頭演説で危機感を示した。
渡辺は前回、接戦に持ち込みながら無所属のため比例復活できなかった。選挙後も精力的に支持拡大に努め、後援会は3市1町に設立。建設業者の中にも渡辺支援の動きが広がった。
SNSでの発信に力を入れ、若年層などの開拓に躍起だ。
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31日、息が白くなるほどの厳しい冷え込みの中、那須町内でマイクを握った簗は「大変心配なこの選挙、必ず死守して皆さんのご恩に報いなければならない」と訴えた。
渡辺との保守票の奪い合いが激しさを増す中、簗陣営は「首相との近さ」、「衆院議員5期の実績」の二つを訴えの柱に置く。選挙事務所にも首相が写ったポスターが所狭しと貼られる。同日の訴えの中で簗は「高市首相から『やなちゃん』と呼ばれていて、非常に近い関係だ」とPRした。街頭演説でも関係性に触れる場面が多い。
各業界内で対応が分かれる中、県北各JA幹部が簗の集会に顔をそろえ、結束を示した。陣営幹部は「特に若い農家さんの反応が良い」という。
動画発信にも注力し、無党派層などへのさらなる浸透を図りたい考えだ。
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伊賀は31日、地元の大田原市で「生活者ファーストの政治を作りたい」と声を張り上げた。前回選と違うのは公明市議が応援に立ったこと。
27日の公示日の出陣式には、3区内に影響力を持つ公明県議の山口恒夫らがかけつけ、「公明党議員団は国政の壇上に押し上げるべく全力で支援していく」と訴えた。伊賀の街頭演説には各地域の市町議が応援に立つ。関係者は「投票日までに伊賀候補の浸透を図る」と必死だ。
伊賀はこれまで2度苦杯をなめた。公明票という「援軍」を得た今回選に懸ける思いは強い。だが、選挙区を回った選対幹部の感触は「(公明関係者の)反応はまだら模様」。急な解散の影響で、連合栃木関係者の動きの鈍さを懸念する向きもある。どう支持拡大を図っていくのか。地力が問われている。