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伊勢市は15日から、同市の近鉄五十鈴川駅と伊勢神宮内宮を結ぶ自動運転バスの実証実験を始める。必要に応じて運転手がハンドルやブレーキなどの操作を行う「レベル2」による運行。公共交通の人手不足が課題となる中、2033年の神宮式年遷宮までに、特定条件下で無人運転を行う「レベル4」による大型バスの有償運行を目指す。

運行区間は、近鉄五十鈴川駅前から県道と国道23号を通って内宮宇治橋前に至る約2・5キロ。車両はレベル4の自動運転に対応できるティアフォー(東京)の電気バス「Minibus」(客席15席)を採用した。18台のカメラと14台のセンサーで周囲360度を立体的に把握し、信号の認識や物体の検知などを行う。
26日までの11日間(21日は運休)、1日あたり12便を運行し、車いすによる試乗も含め、交通量の多い内宮周辺で安全に走行ができるかを検証する。実証実験期間中の最高速度は時速35キロで、乗車時間は約10分。運行事業者の三重交通が津市の本社で走行状況の遠隔監視を行い、運用面の課題を抽出する。
13日に内宮宇治橋前で行われた出発式で、三重交通の田端英明社長は「運転手が不足する中、自動運転バスは公共交通を確保するために必要な手段だ」と強調。伊勢商工会議所の浜田典保会頭は「8年後の式年遷宮に向け、地元経済界としても路線バスに自動運転が組み込まれることを期待している」と述べた。
バスに試乗した鈴木健一市長は「前方の車の動きをとらえ、安全を第一にしながらスムーズに運行していた。人手不足が課題となる中、自動運転が路線バスに組み入れられれば、住民や観光客の利便性が高まる」と期待を示した。
実証期間中の運行時間は午前9時55分~午後4時15分。一般客の試乗は無料だが、事前予約が必要。問い合わせは市交通政策課(0596・21・5593)。
市は昨冬も内宮周辺で自動運転バスの実証実験を実施。来年は、伊勢市駅―内宮間で引き続きレベル2による実証を行い、27年には近鉄五十鈴川駅―内宮間でレベル4の実証実験を開始する予定という。