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[竹森俊平の世界潮流]米AI投資 暴走のリスク…「驚異的楽観主義」市場にまん延

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 米国発のAI(人工知能)投資ブームが世界的な株高の原動力となっている。市場を覆う「驚異的楽観主義」は2000年頃のITバブル当時の熱狂と重なる。バブルのリスクはないのか。国際経済学者の竹森俊平氏が解説する。

恐怖指数

 ここ数年、日米の株価の連動が見られるが、米国ではIT、とくにAI関連分野で劇的な変化が起こり、その勢いが日本に波及している。

 10年前の2015年第4四半期のエヌビディアの時価総額は160億ドル(約2兆円)。それが現在5兆ドル(約770兆円)で、1億2000万人の日本人の総所得620兆円では全株式は到底買えない。アップルとマイクロソフトの時価総額も4兆ドル規模だ。

 米国の株価指数はAI関連の巨大企業、マグニフィセント・セブン(M7)が牽引けんいんする。テクノロジー系企業の「収益に対する株価の倍率」はITバブル全盛期(00年)の30倍に近づき、収益との隔絶が広がる。

 だが現況は、10月中旬に国際通貨基金(IMF)のゲオルギエバ専務理事が、「AI投資ブームは米国に集中した驚異的楽観主義を生んでいる」と評価した通りだ。

 米国投資家の心理を表す恐怖指数(VIX)がこの評価を裏付ける。

 ある株の時価が100の時、90でこの株を売る権利(プットオプション)を所有すれば、株価が将来90以下に下がった場合、権利を行使して90で売れるので、株安の損失を1割以内にとどめられる。つまりプットオプションは保険になる。株価が下がる危険が高いほど、保険の有用性が高まり、「保険料」は上がる。この関係を基に、実際の「保険料」(オプション価格)から投資家の想定する「危険」を逆算した結果が、この指数だ。値が低いほど投資家は楽観的で、株価下落を恐れない。

 図を見ると、この指数はトランプ政権が高関税策を発表した4月に急上昇したが、第3四半期に急落した。その理由は、〈1〉米政権が関税引き上げを一時停止し、その後の通商交渉で引き上げを緩和した〈2〉米国の政策金利が9月に0・25%引き下げられた〈3〉米国株価の動向を決定するM7の株価は、現在は7社バラバラに動いているので、組み合わせて持てば危険が分散される、などがある。

 ただし、〈3〉については、もしM7の株価が全部同じ動き(とくに下落)になれば、金融と経済に巨大衝撃を生む。IMFはそれを起こす要因として、高株価を裏付けできる企業収益拡大が実現せず、投資家のバブルへの心配が強まる展開を挙げる。

実体経済左右

 「AI投資の生む驚異的楽観主義」は金融市場だけではなく、実体経済をも左右している。

 ハーバード大学のファーマン教授は、米国の経済成長のAI投資依存を明示する事実をX(旧ツイッター)で伝えた。「情報処理機器およびソフトウェア」への投資額は国内総生産(GDP)の4%でしかないが、25年1~6月のGDP成長要因(前年同期比)の92%を占める。この投資の効果を除外すれば、GDP成長率はわずか0・1%にすぎない。

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