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来月日本公演のブライアン・アダムス、新アルバムで反戦や相互理解語りかけ…「今目の前にある真実を映し出している」

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 カナダのシンガー・ソングライター、ブライアン・アダムスが新作「ロール・ウィズ・ザ・パンチズ」(ソニー)を出した。来年1月には日本公演も開かれる。来日を前に新作やこれまでの足跡について聞いた。(編集委員 西田浩)

「身の回りや社会で起こることに正面から向き合い、曲の形で訴えていくのが僕の流儀」と語る
「身の回りや社会で起こることに正面から向き合い、曲の形で訴えていくのが僕の流儀」と語る

 「僕は日常的に曲作りを続けている。その中で『これはアルバムに発展させられる』と確信できる楽曲が出来た時に、アルバム制作に着手するんだ」

 今回の場合、表題曲がそれに当たる。「しなやかに生きていこう」という決意を力感あふれるギターロックに乗せた。

 「大手レコード会社を離れ、これからは自分のレコード会社を拠点に活動していこうと決めた時期に出来た曲だが、新たな一歩を踏み出す門出を飾るのにふさわしいと思えたんだ」

 そこから新アルバムのための曲作りを加速させた。華やかな80年代ポップロック風あり、包容力に富むバラードあり、疾走するロックンロールありと、多彩な曲調が並ぶ。友人、家族、愛する人に語りかけるような歌詞は、「今、目の前にある真実を映し出している。あくまでも前向きな価値観を忘れないことを大切にした上でね」という姿勢で書いているという。

 「愛は憎しみより強い」と訴える反戦歌「ラヴ・イズ・ストロンガー・ザン・ヘイト」は、出征した兵士の心情が描かれる、映画を見ているような歌詞が印象的だ。

 「実は最近、イラクやアフガニスタンに従軍した兵士たちを撮影した写真集を出したのだが、その際に彼らに聞いた体験談を織り込んだんだ。ロシアのウクライナ侵略やイスラエルのガザ地区侵攻など戦乱が絶えず、むしろ悪化している今、出すべき曲だと思った」

 理解と歩み寄ることの尊さを説く「ア・リトル・モア・アンダスタンディング」はラブソングの体裁を採りつつ、分断が広がる現代社会へのメッセージでもある。こういった曲が生まれる背景には、外交官の父を持ち、少年時代にイスラエルやポルトガルなど海外で暮らした経験がある。

 「世界には母国のカナダとは違う様々な文化、宗教、価値観があることを知り、その多様性こそが人類社会のすばらしさだと考えるようになった」

 1980年にデビュー。全米1位に輝いた「ヘヴン」などを収録した4作目のアルバム「レックレス」(84年)の巨大ヒットで世界的なスターの座をつかんだ。

 「小さなライブハウスを回るところから始め、死にものぐるいで努力した。そんな僕にファンやスタッフもついてきてくれた。ヒットの兆しが見えた時、レコード会社はものすごい熱量で支援してくれたからね。その積み重ねで成功できたと思う」

 東京公演は1月26、27日に日本武道館で開かれる。「2023年のコンサートとはまったく別物になる。今なお僕が前進していることを実証するつもりだ」と意気込んでいる。

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