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リサイタルを開くソプラノの中村恵理…オペラ「トスカ」のアリアに「空気や匂いを感じて」

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「最近は教えることも多く、基本に立ち返ることの大切さを痛感します」と語る
「最近は教えることも多く、基本に立ち返ることの大切さを痛感します」と語る

 日本を代表するソプラノとして国際的に活躍する中村恵理が12月3日、東京・築地の浜離宮朝日ホールでリサイタルを開く。17世紀の歌曲からプッチーニのオペラ・アリアまで多彩な選曲の理由や、近年の活動について聞いた。(松本良一)

 華やかなオペラの舞台を仕事場としてきたからか、「リサイタルはやや苦手」と打ち明ける。「オペラは主役を歌う時も共同作業ですが、リサイタルは一人舞台。責任の重さが違う」

 それを乗り越え、満を持して近年の勉強の成果を披露するのは、前半がスカルラッティからレスピーギに至るイタリア歌曲の系譜をたどる旅で、後半はプッチーニのオペラからの抜粋だ。

 コロナ禍で公演がなくなり、時間の余裕ができた時にイタリア語の歌を基本から学び直し、「古典から近代までオペラとは違う魅力を再発見した」と話す。「決して力強くはない自分の声が、よく通り、心地よく聴き手に届くタイミングを探っていく。リサイタルは自身をより深く知ることに通じます」

 今回は力強い助っ人として気鋭のテノール、工藤和真をゲストに迎える。「工藤さんはおおらかで、それが歌にも出ている。楽しみです」。後半のオペラ「トスカ」の二重唱と有名なアリア「歌に生き、愛に生き」を歌うため、舞台となったローマを訪ねたという。「『トスカ』をまだ歌ったことはありませんが、いつか歌いたいと強く思うようになりました」

 観客に感じてほしいのは「音楽の場面から立ちのぼる空気や匂い」という。最後の「蝶々ちょうちょう夫人」の二重唱「夕暮れは迫り」では、蝶々さんと、工藤が歌う米軍人ピンカートンのロマンチックなひとときを聴かせる。

 欧米の名門歌劇場で20年近く歌い、「魔笛」「ホフマン物語」「愛の妙薬」など多くの当たり役を持つ。「若い頃より声の音域は低くなり、音量もピークを過ぎましたが、まだまだレパートリーを広げられる。こんなふうに年齢を重ねられたのは奇跡的」と振り返る。

 新たに挑戦したい作品として「椿姫」や「イル・トロバトーレ」などを挙げた。

 ピアノは木下志寿子。20年来の親交があり、全幅の信頼を寄せる。ベテランの域にさしかかった歌手の「いま」を聴かせるのにベストの布陣だろう。

 午後7時開演。(電)03・3267・9990。

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