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日本の平和外交は変質するのか…途上国の軍を支援するOSAの展望と課題

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編集委員 伊藤俊行

 IPEFやらTPPやらFOIP(※)やら、外交、通商、安全保障の枠組みで氾濫気味のアルファベットの略語に、鳴り物入りで新たな仲間が加わった。2022年末に改定された「国家安全保障戦略」の中で既にアイデアが示されていた、途上国の軍とかかわる事業に、日本政府の予算を使って、無償の支援を行う対外援助の枠組みだ。23年度予算の中で具体化されるにあたり、OSA(Official Security Assistance)の名前が与えられた。

 政府が示した日本語表記は「政府安全保障能力強化支援」。軍事にかかわる案件には使えなかったODA(Official Development Assistance=政府開発援助)と「パラレル」(外務省幹部)と位置づけられた。政府・与党が「日本の対外援助がより柔軟に行える」と期待する一方、ODA事業に携わってきた民間企業からは、「OSAにはODA事業と通じる部分も多いはずで、民間企業のノウハウを利用した方がいい。OSAの発表までの間に、そうした取り組みがあったようには見えなかった」と不満も漏れる。日本の「平和外交」「非軍事の対外支援」の伝統を根底から変えると警戒する声もある。多くの課題を抱えながら、岸田文雄政権が得意とする「とりあえずやってみる」方式には、準備不足の懸念もある中、新たな枠組みが動き始めた。

「何も知らなかった」ゼネコン幹部のぼやき

 政府は2023年4月5日にOSAの創設を正式決定し、第1弾の対象国としてフィリピン、マレーシア、バングラデシュ、フィジーの4か国を選定したと発表した。

 このニュースを目にした大手総合建設会社(ゼネコン)幹部は、「発表の直前、マリコン(港湾施設の建設などに携わる海洋関係の業者)から『4か国が選定された話を知っているか』と連絡をもらうまで、業界はほとんど何も知らなかった」と驚きの表情を見せた。

 4か国が支援を要望しているとされる内容は、全て海洋に関係するもので、まだ何をどのように支援するのかについては、漠然とした部分が多い。

 フィリピンは「海洋状況把握強化のための装備調達」。

 マレーシアは「広大な海域をカバーするための情報収集・警戒監視・偵察能力強化に資する機材などの支援」。

 バングラデシュは「東南アジアとインド大陸を結ぶ要衝で、自由で安全なシーレーン(通商や軍事面で重要な海峡、沿岸航路などの海上交通路)を確保するための海洋安全保障能力の向上に資する機材などの支援」。

 そして300を超える島で構成され、「広大な排他的経済水域(EEZ)を有する地域の安全保障にとって重要な存在」のフィジーも、「海洋安全保障能力向上に資する機材などの支援」。

 武器自体ではなく、軍が使う飛行場の滑走路、港湾施設の建設、宿舎の造営などにOSAを使う場合は、ODA同様、民間企業の出番となる。

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