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Vol.37 独創的な自作曲、ピアノで緩急自在に…新世紀の旗手・上原ひろみの飛躍<下>

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編集委員 西田浩

 米国・バークリー音楽大学を経て、名門レコード会社・テラークと契約し、世界進出を果たした上原ひろみ。高度な技術を駆使したスリリングな演奏は世界中で支持されるようになった。リーダー作を重ねる一方、チック・コリア(ピアノ)とのデュオ作を出したり、スタンリー・クラーク(ベース)のバンドに加わったりと、大物と共演してきた。

2011年にグラミー賞…「それを目標にしたことはない」

 そんな彼女にさらなる飛躍の時がきた。2011年、クラークとのアルバム「スタンリー・クラーク・バンド・フィーチャリング 上原ひろみ」でグラミー賞に輝いたのだ。

 「賞はいただければありがたいけれど、それを目標にしたことはありません。世界の実力者から一緒にやってみたいと思ってもらうことが、私にとって大切で、そのためにはいい作品を生み、ライブでいい演奏をするしかありません。賞はその助けにはなってくれませんよね」

メンバー固定、ライブ重ね進化…成果をアルバムに

グラミー賞に輝いたアルバム「スタンリー・クラーク・バンド・フィーチャリング 上原ひろみ」
グラミー賞に輝いたアルバム「スタンリー・クラーク・バンド・フィーチャリング 上原ひろみ」

 ジャズの世界では、アルバムごとに、あるいはアルバムとツアーでがらっと共演者が変わることが珍しくない。そんな中、上原ひろみはレギュラー・バンド志向が強い。メンバーを固定し、アルバム制作とツアーを重ねる。2004年のアルバム「ブレイン」に参加したベーシスト、ドラマーは、08年の「ビヨンド・スタンダード」まで固定され、ツアーも同行した。

 「アルバムで録音した曲が、同じメンバーでライブを続けるうちに進化していく。その成果を次のアルバムに注ぎ込む。そのサイクルが好き。さしずめ植木に水や肥料をやって育てていく感覚かな」

 その後、最強バンドの編成に乗り出す。「自分がほしい音を出してくれ、作曲家として見たい世界を実現できる奏者を探した結果」と、アンソニー・ジャクソン(ベース)とサイモン・フィリップス(ドラムス)に白羽の矢を立てた。出せる金額は限られていた上、年間100公演以上に及ぶツアーなど拘束期間は長いのだが、快諾してくれた。

 11年、この布陣での初アルバム「ヴォイス」を出し、以来、現在まで4枚のアルバムを重ねている。16年の「スパーク」は全米ジャズ総合チャートで1位に輝くなど、盤石の活動母体を得て、着実に前進していった。

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