Movatterモバイル変換


[0]ホーム

URL:


Search
Logo
トップ国内防衛台湾有事は日本有事と認識する高市首相は正しい

台湾有事は日本有事と認識する高市首相は正しい

戦争学研究家 上岡龍次

衆院予算委員会で、答弁する高市早苗首相=10日午後、国会内
衆院予算委員会で、答弁する高市早苗首相=10日午後、国会内

台湾有事と集団的自衛権

 日本政府の歴代首相は台湾有事で存立危機事態にあたる集団的自衛権の行使が可能になるかは言及していない。だが11月7日の衆院予算委員会で高市早苗首相は、台湾有事が集団的自衛権の行使が可能となる可能性があるとの認識を明言した。

 高市首相の集団的自衛権の発言から、立憲民主党の野田佳彦代表は危険性を感じたと記者団に発言した。同時に国内では高市首相の発言が日本の国防であり国民の生命を守る認識だと歓迎する声も出ている。

集団的自衛権とは何か?

 日本国内では第二次世界大戦の敗戦から戦争を病気と認識し反戦病が蔓延している。このため戦争に至った流れを見ない傾向がある。戦争に至った原因は当時の政治家と外務省が国際社会のマナーを知らなかったからで、これが白人世界を怒らせた。これで白人世界は日本から戦争を始めるように仕向け、ハル・ノートで怒った日本から開戦した。

 簡単に言えば国際社会は集団的自衛権が基本でありマナー。このマナーを無視して白人世界を怒らせた例の一つが第一次世界大戦。当時の日本は第一次世界大戦で連合国側に参加した。これは事実なのだが日本政府は“国益にならない”との理由から連合国側に参加したが軍隊を派遣しなかった。

 これは白人世界から見ると集団的自衛権を無視した火事場泥棒の行為だと認識された。当時のイギリス・フランスから何度も日本政府に軍隊を派遣するように要請があったが日本政府は軍隊派遣を拒否。

 それでも何度もイギリス・フランスが日本政府に軍隊派遣を要請すると、日本政府は太平洋に存在するドイツの植民地パラオへの攻撃を実行した。日本政府から見れば、“ヨーロッパは遠いが太平洋に存在するドイツの植民地は近い”との理由でパラオを占領した。日本政府から見れば軍隊派遣の既成事実を作ったと考えた。だが、これは白人世界を怒らせた。白人世界から見れば戦争を悪用して“火事場泥棒をする日本”と見なされ怒らせた。

 白人世界のヨーロッパで戦争が発生すると第三国が火事場泥棒を行った。A国とB国が戦争をすると、第三国のC国は戦争を悪用し利益を得た。すると戦後になるとA国とB国がC国に報復した。この報復に怒ったC国がA国とB国に報復する連鎖が続きヨーロッパは疲弊した。白人世界も馬鹿ではなく、戦争の経験から可能な限り戦争回避と戦争の規模を縮小する経験則を見つけた。

 白人世界は理想と現実のバランスから、現実の世界は強国と弱国に区分される。強国が現状維持派として今の平和を求めている。同時に今の平和を否定する弱国はルールの変更を求めて現状維持派としての強国に挑む。そんな時に強国は地域紛争が発生すると平和を乱す行為だと見なす。強国は平和維持のために軍隊派遣を要請する。軍隊派遣を要請された国は軍隊を派遣して“自国は火事場泥棒ではない”ことを示す外交の場になった。これが集団的自衛権のルーツ。

集団的自衛権を否定する者は戦前の過ちを繰り返す

 高市首相が台湾有事は集団的自衛権の行使の可能性があると明言したら反対する声が出る。同時に、集団的自衛権を否定する者は戦前の過ちを繰り返す者だと世界に宣伝したことを知らない。

■高市首相の台湾有事「存立危機事態」発言、立民野田代表「一人だけで走っていく危険性」
https://www.sankei.com/article/20251108-SAQFDHXKCJN2HPYV2WC3ZPDL3Q/

 「自衛権とは生存権であり国家の独立(自由)を目的とした自衛権を発動する。自衛権は国民の自然権(生存)を総和とし国家の主権を守る国家の自然権。」

・集団的自衛権:複数の国が協力して生存権を護る。
・個別的自衛権:自国の生存権を単独で護る。

 国際政治は集団的自衛権が基本だから、否定するだけで国際社会のマナーを知らないことになり、戦前の過ちを繰り返すことになる。台湾有事は日本有事でありアメリカの有事でもある。なぜならバシー海峡は海上交通路であり貿易の生命線。さらに中国が海上交通路を遮断したら多くの国が国益を守るために参戦する。

 マラッカ海峡は太平洋とインド洋を結び、バシー海峡は南シナ海と太平洋を結ぶ。これらの海峡はアメリカからシナ大陸市場に接近する南廻りの戦略経路だ。この戦略経路である海峡を防衛する場所が台湾にされている。このためアメリカから見ると台湾有事は朝鮮半島の北朝鮮よりも優先する課題である。私は仮に中国が台湾を武力統一しようとすればアメリカは軍事介入すると断言する。何故なら台湾はバシー海峡の制海権確保のために必要だから。

 中国は日本に照準を合わせた中距離核弾道ミサイルが、遼東半島に11基地、鴨緑江北側の通化周辺に30基地在るとされる。中国は中距離弾道ミサイルと人民解放軍の軍事的圧力を台湾と日本に被せて牽制している。そして中国は台湾と日本の連携を遮断する戦略態勢の確立と台湾を包囲して侵攻する態勢を進めている。

 中国はアメリカの平和が気に入らない。だから中国は現状打破派として現状維持派のアメリカに挑戦している。同時にアメリカのシナ大陸市場に接近する南廻りの戦略経路を破壊する行為。だからアメリカは常に中国を警戒しアメリカ海軍艦艇を用いて航行の自由で返礼している。

 このため台湾有事はアメリカの有事であり日本の有事になる。それだけではない。中国が海上交通路を遮断すると国益を損ねる国々が軍隊を派遣して中国に挑むことになる。台湾有事になればアメリカが主導して各国に軍隊派遣を要請するのは明らか。それなのに高市首相の台湾有事は集団的自衛権を行使する可能性で反発する者は、アメリカから敵と見なされリストに名前が記載される。

 さらに言えば、日本が台湾有事で自衛隊を派遣しない場合は、日本は戦前の過ちを繰り返し敵と見なされ日本全土をアメリカに完全占領されることは間違いない。こうなると自衛隊も消え去り永遠に占領され続ける。何故なら日本は海洋国家アメリカから見れば地政学・戦略で重要な緊要地形に位置する。だから日本人が二度と日本を再建できないまで完全占領する。

日本の対策

 これが明らかなのに集団的自衛権を拒むのは、国際社会のマナーを理解できないか中国のスパイの二者択一。日本人には中国の地形区分と政治権力を混同して認識する者がいる。これは誤りだ。日清戦争が終わると清王朝は日本に対して台湾を“華外の地”として譲渡した。

 日本は第二次世界大戦で敗北すると台湾をサンフランシスコ講和条約で放棄した。しかし帰属先が未定のまま台湾の帰属先は宙に浮いた。そんな時に中国大陸で中国共産党と蒋介石率いる国民党が内戦するが国民党は敗北し約60万人が台湾に逃げ込んだ。この時に中国共産党が北京において中華人民共和国の建国を宣言し、台湾を占領した国民党とは別の国家だと見るのが妥当。

 台湾はサンフランシスコ講和条約で放棄したが帰属先は未定のまま。だから台湾は今も日本の領土でもあり元日本人だった台湾人の国。さらに台湾を不法占拠する国民党の国とも言える。

(この記事はオンライン版の寄稿であり、必ずしも本紙の論調と同じとは限りません)

spot_img

©2025 The Sekai Nippo. All rights reserved.

Google Translate »

[8]ページ先頭

©2009-2025 Movatter.jp