映画『孤狼の血』では暴力犯捜査係の若き刑事、『娼年』では会員制ボーイズクラブの娼夫、『新聞記者』では苦悩する内閣情報調査室の官僚――近年、数々の注目作品に出演し、役柄の幅を広げてきた松坂桃李が、ついにテレビ朝日のゴールデン帯ドラマで初主演を務めます!
この春、日曜プライム枠で放送される『微笑む人』で松坂が演じるのは、妻子を殺害したエリート銀行員・仁藤俊美(にとう・としみ)。一流大学を卒業後、大手都市銀行に就職し、妻子とともに幸せな生活を送っていたはずが、突然妻と娘を溺死させた罪に問われる男性です。
さらに、彼が語った「本の置き場所が欲しかった」という殺害の動機に人々は驚がく。世間が注目する裁判の行方、そして次第に明かされていく仁藤の過去が、視聴者を物語の深みへと誘っていきます。
硬軟あらゆる役を演じ分け、そのたびに新たな魅力を発揮し続ける松坂。ドラマ『微笑む人』では、柔らかな微笑みの裏に思いもよらない顔を秘めた、謎多きエリートサラリーマンを怪演します。
今作で松坂が見せる“微笑み”に、あなたも魅せられること、間違いありません。
今作の原作となっているのは、貫井徳郎氏の同名小説。2010年に『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞、『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞した貫井氏が、2012年に実業之日本社から発表した作品です。
誰もがうらやむエリート銀行員が妻子を殺害する、という世間を騒がせた事件を追ううちに、彼の過去に隠された衝撃の真実が判明――次々と明らかになっていく事実と、ラストに待ち受ける驚がくの展開。貫井氏自身に、「ぼくのミステリーの最高到達点」と言わしめた今作は、「ミステリーの常識を超えた衝撃作!」と大きな話題を呼びました。今回のドラマには小説にはないオリジナルのキャラクターも登場。貫井氏が描いた世界はそのままに、ドラマならではのスリリングな展開も盛り込み、待望の初映像化が実現します!
今作でドラマオリジナルキャラクターとして登場する、週刊誌の女性記者・鴨井晶(かもい・あきら)。『週刊海潮』の契約記者で、夫に家事を任せ、再び第一線の記者として活躍しようと奮闘。ドラマ内で仁藤の事件は、晶の目線で語られていくことになります。
そんな晶を演じるのは、実力派女優として映画・ドラマで活躍する女優・尾野真千子! 松坂とは『この世界の片隅に』(2018年TBS)以来、二度目の共演となり、前作での姉弟役から一転、今回は殺人事件の被告人と彼を追う週刊誌記者という立場で相対することになります。
数々の作品でその存在感を発揮し、誰しもが認める演技の幅広さを誇る尾野。同じく実力派の俳優として名高い松坂とともに、『微笑む人』という極上のミステリーで濃密な芝居合戦を繰り広げてくれることでしょう。
さらに今作には、日本を代表する個性派俳優陣も続々…! 晶の上司であり、彼女に仁藤の周辺取材を命じる『週刊海潮』のデスク・井上肇役には、生瀬勝久。晶とは旧知の仲で仁藤の事件を担当した所轄の刑事・佐藤役には福田転球。拘置所の刑務官・滝沢役を田中要次が演じます。
個性的な俳優陣が集結した同作を、『アンフェア』シリーズの原作者としても知られ、舞台・映画・小説…と幅広いフィールドで活躍する秦建日子の脚本、映画『呪怨』、『パラサイト・イヴ』、そして『世にも奇妙な物語』などを手掛けた落合正幸の演出で映像化。「映像化不可能」と言われた本作『微笑む人』――テレビドラマの“巧者”とも言える秦が、ドラマオリジナルの衝撃的な結末を用意し、落合の作り出す独特の世界観によって視聴者のもとに届けられます。
誰も想像がつかなかった衝撃のラスト――その息を飲むような結末に、あなたは震撼する…!
松坂桃李が初めてテレビ朝日のゴールデン帯ドラマで主演を務めるドラマスペシャル『微笑む人』が、いよいよ3月1日(日)夜9時からテレビ朝日系にて放送されます。
今作で松坂が演じるのは、「本の置き場所が欲しかった」という理由だけで妻子を殺害したと供述するエリート銀行員・仁藤俊美(にとう・としみ)。柔らかな微笑みの裏に思いもよらない顔を秘めた、謎多き男性です。一流大学を卒業後、大手都市銀行に就職し、妻子とともに幸せな生活を送っていた仁藤は、誰もが認めるいわゆる“いい人”。作品のタイトル通り、劇中の随所で彼が見せる“微笑み”は多くの視聴者を物語へと引き込んでいきます。
今作でそんな仁藤という人物を怪しく、そして魅力的に演じる松坂。果たして“役者・松坂桃李”とはどんな男なのか――テレビ朝日朝の情報番組『モーニングショー』の辛口コメンテーターとして連日何かと話題の玉川徹が、松坂を直撃! 誰もが覗いてみたかった松坂の本質に迫ります。
さらにその模様は2月28日(金)放送の『モーニングショー』で放送。ここでしか見られない、松坂桃李×玉川徹の貴重な対談にご期待ください。
今作『微笑む人』で演じた仁藤について「“本の置き場所がないから妻子を殺した”という一見信じられないような、サイコパスと思われてしまうような男なんですけど…」と前置きをしつつ、「でも誰もがそうなる可能性を秘めているのかも」と分析した松坂。「すごく面白かったですし、常に画面に緊張感と、この先何が起こるんだろうというハラハラがあって…」と玉川が作品の感想を興奮気味に語ると、うれしそうな微笑みを見せました。
そんな松坂と今回が初対面だった玉川が「『微笑む人』を見てから来たので、“もしかしてああいう人なのかな”と思っていた」と打ち明けると、松坂は爆笑!「二枚目で、いい人で、というイメージだったので、仁藤という役をよく引き受けたな、と思った」という言葉に対し、松坂なりの役柄、そして作品への思いを語りました。
「松坂桃李と言えば“神対応”」――今回の対談を前に、各所に取材して回ったという玉川は、そこで得た“松坂桃李評”を、こう表現します。
「例えば…」と、実際に耳にした具体例を松坂に明かした玉川。果たして「神対応」と言われることについて、松坂はどんな感想を持っているのでしょうか?
さらに玉川は、長きに渡って『モーニングショー』で共演する羽鳥慎一にも言及。「実は彼も神対応。だけど出会ったばかりの頃は本音の部分が見えなくて、“もしかしたら見えないところでは、違う部分もあるのかな”と思っていたこともあった」と、意外な秘話を明かしました。
そんな玉川の話を受けて、松坂が語った本音――いったいどんな心の内が明かされるのか、注目です。
ほかにも、役者・松坂桃李についても玉川が掘り下げます。「役を演じるとき、まったく自分ではない姿を表しているのか、それとも自分の中の一部を増幅させて役に投影しているのか」と問うと、松坂は「それは両方ある」と回答。「共感できる部分はそのまま出すし、共感はできなくともその役の新しい一面を知ることによって感情を引き出すこともある」と、さまざまな役柄に挑んできた松坂ならではの“役への向き合い方”を語りました。
ところが、「憑依型ですか?」との質問には「それは無理!」とキッパリ。「例えばこのドラマだったら、ずーっと殺人鬼で、ずーっと微笑んでる、ってことですよね? 絶対ないわ(笑)」と笑いました。
最後に、今作について「物事を簡単に解釈することはできるけれど、それだけじゃなくて、本質を見抜いたり、メッセージ性を手繰り寄せたりすることも最近は必要になってきているのかも、ということを、見終わったときに感じていただけたら」とアピールした松坂。驚くような結末が待ち受ける『微笑む人』――3月1日(日)には、ぜひその驚きを共有しましょう!
松坂桃李が初めてテレビ朝日のゴールデン帯ドラマで主演を務めるドラマスペシャル『微笑む人』。「本の置き場所が欲しかった」という理由だけで妻子を殺害したと供述するエリート銀行員・仁藤俊美(にとう・としみ)の事件を追ううち、彼の過去に隠された事実が次々と明らかになっていく衝撃のミステリーが3月1日(日)夜9時から日曜プライム枠で放送されます。
今作の原作となっているのは、『後悔と真実の色』で山本周五郎賞、『乱反射』で日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞した作家・貫井徳郎氏の同名小説。貫井氏自身に、「僕のミステリーの最高到達点」と言わしめた『微笑む人』は、累計15万部を突破し、その思いも寄らない展開と結末から「ミステリーの常識を超えた衝撃作!」と大きな話題を呼びました。
今回はそんな衝撃作を初めて映像化。小説にはないオリジナルキャラクター、そして脚本家・秦建日子氏が書き上げた独自の結末を用意し、貫井氏が描き出した世界はそのままに、さらなるスパイスを加えて、ドラマとしてよみがえります!
今回、初のドラマ化にあたり原作者の貫井氏にインタビューを敢行。『微笑む人』という作品、そして主人公・仁藤を演じた松坂の印象などについて語ってくれました。
原作者・貫井氏をもってして「映像化は不可能ではないか」と考えられていた『微笑む人』。今回のドラマ化の話が来たときは「映像畑の方々は映像化しやすい作品よりも、しにくい作品をあえて選んでやるんだな」と感じたと言います。
「なぜ映像化しにくいのか」――それは“テーマの難しさゆえ”と話す貫井氏。
大手銀行に勤めるエリートで常に微笑みをたたえた、誰が見ても“いい人”である仁藤が、信じられないような理由で妻子を殺した、というところから始まる今作。貫井氏はこの作品のテーマを『世間の人たちは、自分がわかる範囲だけで“わかった気”になっている』ということだと定義します。
「でもそんなことって、『言われたくない』『目をつぶっていたい』って思っている方々が大半だと思うんです。そんな大半の人たちが受け付けられないと思っているようなテーマでも、テレビで放送したら多くの人の目に触れてしまうでしょうから、映像化はちょっと難しいかなって思っていたんですよ」と、『微笑む人』のドラマ化決定の意外性を明かしてくれました。
「原作そのままよりはアレンジしたほうが面白い作品になるのでは、と思っていたので、脚本を秦建日子さんが担当してくださると聞いたときは、『それならば僕が思いつかなかったようなアイデアを足して映像化していただけるのでは!』と楽しみになりました」と貫井氏。秦氏が用意した驚がくのラストを読み「なるほど!とびっくりしましたよ。テレビの前で気軽に視聴し始めた方々も、引き込まれるような展開で、満足感を得られるようなラストになっているのではないでしょうか!」と、太鼓判を押しました。
そして貫井は、今作で主人公・仁藤を演じた松坂も大絶賛!「仁藤役に松坂桃李さんをキャスティングしたというだけで、もうこの作品は成功じゃないですか!?と思うくらい、ぴったりだと思いました」と手放しで称賛しました。
貫井は松坂の印象を「見るからにいい人。爽やかですし、裏に隠していることなどもなさそう」と分析。「でも、そういう人が“本の置き場所が欲しかったから”というわけのわからない理由で妻子を殺す――そのギャップの大きさが、逆に怖さになると感じました」と話しつつ、「松坂さんがこんな役をやってくださるとは!」と、驚きも明かしました。
「どんなフィクションでも度を越していると見たくはない。この作品が果たして度を越すのか越さないのか…」と映像化に期待を寄せる貫井氏。3月1日にはぜひ、『怖いもの見たさ』の感情も手伝わせながら、貫井氏が描きあげた『微笑む人』の世界を覗き見てみませんか?
ここ最近、作品を映像化していただく機会が多いのですが、そこで思ったのは「映像畑の方々は、映像化しやすい作品よりも、しにくい作品をあえて選んでやるんだな」ということなんです(笑)。『微笑む人』は、どちらかといえば映像化しにくい作品だと思っていたので、お話をいただいたときは「あ、そうきたか」と思いましたね。
ただやはり、原作そのままよりは、アレンジしたほうが面白い作品になるのではないかと思っていたら、脚本を秦建日子さんが担当してくださると聞き、それならば僕が思いつかなかったようなアイデアを足して映像化していただけるだろうな、と楽しみにしております。
なるほど!とびっくりしました。テレビの前で気軽に視聴し始めた方々も、引き込まれるような展開で、満足感を得られるようなラストになっているのではないでしょうか!
テーマが難しいのではないかと思ったんです。この本のテーマって「世間の人たちは、自分がわかる範囲だけで“わかった気になっている”」っていうことなのですが、そんなことって、「言われたくない」「目をつぶっていたい」って思っている方々が大半だと思うんですよ。
大半の人たちが「受け付けられない」と思っているようなテーマでも、テレビで放送したら多くの方の目に触れてしまうので、ちょっと映像化は難しいのではないかな、と感じていました。
仁藤役に松坂桃李さんをキャスティングしたというだけで、もうこの作品は成功じゃないですか!?と思うくらい、ぴったりだと思いました。松坂さんって見るからにいい人。爽やかですし、裏に隠していることなどもなさそう…。でも、そういう人が「本の置き場所が欲しかったから」というわけのわからない理由で妻子を殺す――そのギャップの大きさが、逆に怖さになると感じました。
そして、松坂さんがこんな役をやってくださることにも少なからず驚きはありましたね。
映像と小説の違いの間には補助線を引いたほうがわかりやすくなる、ということがあります。今回はその役を尾野真千子さん演じる晶がやってくださっていると思います。尾野さんの存在で、このストーリーが視聴者の方々にわかりやすく伝わるといいな、と思っております。
物語を楽しむにあたっては、「怖いもの見たさ」という感情って必ずあると思うんです。でも、それが度を越していると、いくらフィクションでも見たくない。このドラマが、果たして度を越すのか越さないのか――僕はそこが非常に興味のあるところです。僕は小説だと、意外と気にせずに度を越したものを書くほうなので(笑)。どんな風に受け取られるのか、楽しみです。
安住川で妻子を溺死させた罪に問われ公判中の被告人。
日本最難関の大学を卒業し、大手都市銀行に就職。支店勤務時代に知り合った抄子と職場結婚をし、一年後に娘を授かる。世田谷の高級マンションに居を構え、誰もがうらやむ幸せを絵に描いたような暮らしを送っていたが、「本の置き場所が欲しかった」という理由だけで妻子を殺害した。
当初は“事故の通報者=遺族”であったが、当日現場付近にいたという目撃者が現れ、状況は一変。連日、任意で警察の聴取を受けるうち、犯行を自供する。
常に柔らかな微笑みをたたえ、妻子を大切にしている、誰もが認める“いい人”だったが、その顔の裏には、思いもよらぬ過去が隠されていた。
週刊誌『週刊海潮』の契約記者。夫である拓郎に家事を任せ、もう一度記者として第一線で活躍するべく、仕事に励んでいる。仁藤とは、娘同士が同じ幼稚園に通っていたため、以前から面識があった。法廷で仁藤が語った「本の置き場所が欲しかった」という動機に納得がいかず、事件の真相を究明しようと動き始める。
デスクの井上に直談判したのち、巻頭特集を約束されると、仁藤を知る人物や捜査関係者に取材を開始。しかし次第に自分が知っていた仁藤と、関係者から聞く仁藤の人物像に乖離が生まれ始め、複雑な感情を抱くようになる。
週刊誌『週刊海潮』のデスク。晶とは昔からの上司と部下の関係で、何かと晶を記者として便利使いしている。晶が仁藤と個人的な知り合いだと知り、巻頭特集を約束して取材を任せる。
少々、チャラいところがあるキャラクターだが意外な人脈を持っており、事件につながる証言を得ることも。
神奈川県警津田原警察署・刑事。仁藤俊美の取り調べを担当した。晶とは過去に面識がある。
神奈川県横浜拘置所・刑務官。収監されている仁藤を何かと気に掛ける。
慶和銀行に勤めていた仁藤俊美の先輩。周囲の評判が悪かった。
慶和銀行に勤める仁藤俊美の後輩。仁藤の人柄を尊敬していた。
キャバクラ勤務の女性。仁藤の小学生時代の同級生。
晶の夫。働く妻に代わって家事や育児もこなす。
「本の置き場所が欲しかったからです」
妻子を殺害した罪で起訴された仁藤俊美(松坂桃李)は、公判で衝撃の動機を明かす。
1年半前、神奈川県相模原市の西北部を流れる安住川で、仁藤が妻の抄子(かんこ)と娘の亜美菜(池谷美音)を溺死させたとされる『安住川事件』――被告人の仁藤は、日本最難関の大学に現役合格し、大手都市銀行に就職。抄子と結婚後は都心の一等地にある高級マンションに住み、娘を授かるなど、エリートサラリーマンとして誰もがうらやむような人生を送っていた。
そんな順風満帆な生活を送っていた仁藤が、なぜ妻子を殺害するという凶行に至ったのか…。事件前から仁藤とは面識があった週刊海潮の記者・鴨井晶(尾野真千子)は「事件の真相を暴きたい」とデスクの井上肇(生瀬勝久)に直談判! 見事、巻頭特集を約束された晶は、仁藤の関係者に取材を続け、彼の人物像を掘り下げていく。
救急隊員が現場に駆けつけたときの状況、搬送先の病院での様子を知れば知るほど、仁藤への疑念を深めていく晶。自分が以前から知っていた仁藤と、捜査関係者から聞く仁藤、いったいどちらの姿が本当の彼なのか…。
複雑な感情の波に飲まれそうになる晶だったが、やがて仁藤にまつわる衝撃の過去が明らかになり、これまでに彼に関わる何人もの人間が不審な死を遂げていたことを知る!
仁藤という男がやってきた行為は、もちろん許されるものではないのですが、台本を読んだ最初の印象では、なぜか嫌な感じがしなかったんです。彼の振る舞いや言動は、ある種の正論を言っている部分もあるので、不思議な感覚でした。
そんな人物なので、僕自身も演じるにあたって「仁藤はこんな男だ」という風に思いすぎないほうがいいのかなと考えました。僕のものさしが挟まってしまうことによって彼の捉え方が変わってしまう気がしたんです。仁藤はどの局面、どんな場面においてもフラット。だからあまり「こうだ」と決めつけることなく、そのフラットであるという部分だけを心に留めていました。作品の全編を通して感情の揺れ動きやテンションが一定、という今回のような役柄は初めてだったかもしれません。
尾野真千子さんとの共演は『この世界の片隅に』(2018年TBS)以来。前回は姉弟役という関係性だったので、今回はまったく違う立ち位置です。罪を犯した人間と、それを調べるマスコミ側の人間――接見室で向き合うシーンも多かったので、以前とはまったく違う感覚でご一緒しました。共演シーンはそこまで多いわけではないのですが、ワンシーンワンシーンがとても濃いものだったので、お芝居をしていてとても楽しかったです。合間には以前と変わらず他愛もない話ばかりしていたのですけどね(笑)。
この作品に出てくる言葉には、心に刺さるものがすごく多い。「自分だったらどうするだろう」ということを考える時間ができるような作品なのではないかと思っています。現場でもとても熱量を感じた落合正幸監督がどんな風に料理して完成させてくれるのか、ぜひ楽しみにしていただけたらうれしいです。
この作品を読んで、まず湧き上がったのは「異様だな」という感情でした。
完全に理解できるわけではないのだけれど、「あぁ結局人間っていうのはこういうものなのかな」と思わせるような、とてもリアルな人間の感情が描かれている気がしました。その異様さをどのように演じられるだろうかと考えることがとても面白く、さらにそれをどのくらい“普通”に演じることができるかを心がけていました。私が演じる鴨井晶という女性は、いわゆる“ジャーナリスト”なのですが、ごく普通の主婦だった女性が、家事を夫に任せ、外に働きに出ている――特別なことは何もない女性でいたいと考えて現場に入りました。
この作品で仁藤が語る「殺害の動機」って、一見しただけだと「え、それってどうなの」というものだけれど、実は誰しもが心の中に持ち得る感情なのかもしれないと思うんです。感覚というものは、人それぞれである、という面白さと、現実世界においても理由付けが難しい事柄が起きている怖さを、お見せできたらなと思いました。
松坂桃李さんとはこのたび二度目の共演となりました。前回は“弟”だったのですが、今回は“取材対象である殺人者”です。…何でしょうかね、彼の見せる「微笑み」。これまでに私が見てきた「本当にいい人だな」という微笑みから一転して、今回は「ぞっとするような微笑み」を見せられました。松坂桃李の中にあるまた新たな表情を垣間見た気がして、これからもさらに違う桃李くんが見たいな、と思わせてくれる作品になりました。
貫井徳郎『微笑む人』(実業之日本社文庫)
秦建日子
横地郁英(テレビ朝日)
飯田サヤカ(テレビ朝日)
菊池誠(アズバーズ)
木川康利(アズバーズ)
落合正幸
テレビ朝日
アズバーズ