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国内初 最高時速60kmで高速走行中の電気自動車に最大10kWの連続無線給電を実現

-無線給電道路「T-iPower ® Road」により長距離・連続走行が可能に-

2025年7月18日
大成建設株式会社

 大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、高速走行中の電気自動車(以下、EV)に無線給電が可能な次世代道路「T-iPower Road」を、大成建設グループ次世代技術実証センター※1(福島県田村市)の延長20m区間に構築し、最高時速60kmで走行する車両による実証実験において、最大出力10kWの連続無線給電に国内で初めて成功しました。本道路の実現により、EVの長距離・連続走行が可能となり、無線給電道路の実用化と高速道路への本格的な適用に向けた取り組みを加速させることができます。

 国内における年間CO2総排出量の約18%を運輸部門が占め、そのうち約9割が自動車の運行によるものとされています※2。政府は、2025年2月に「道路法等の一部を改正する法律案」を閣議決定していることから※3、今後、安全かつ円滑な道路交通の確保と道路分野の脱炭素化を推進する技術開発や導入設備のインフラ整備などが活発化することが見込まれます。自動車関連の脱炭素化では、走行時にCO2を排出しないEVが注目されていますが、充電インフラや航続距離の制約が普及の障壁となっており、特に中型・商用車のEV化には「走行中給電」という革新的技術の実用化が不可欠で、EVの普及促進に大きく影響します。こうした背景から、高速道路を通行するトラックなどの大型商用車のEV化やCO2排出量削減に向けた様々な取り組みや実証実験などが国内外で進められています。

 このような状況の中、当社は2012年より舗装道路に埋設した送電電極から走行中のEVに無線で供給する「電界結合方式」を採用した道路の開発に着手し※4、2020年には国土交通省の「道路政策の質の向上に資する技術研究開発」(2020~2023年)に採択され、無線給電道路の施工や更新・メンテナンスに在来工法の適用が可能な技術を確立しています※5。(図1参照)EV走行中に道路から無線で給電できるようになれば、EVの長距離・連続走行が実現するだけでなく、搭載するバッテリーの小型・軽量化も可能となります。一方、これまで国内の実証実験におけるEVの走行速度は、最高時速20km程度に留まっており、高速走行時のEVへの無線給電の実現が次なる技術開発課題となっていました。

 そこで当社は、新設した次世代技術実証センターの「舗装のテストトラック」(1周約900m)の直線区間に、電界結合方式による延長20mの無線給電道路を施工し、時速0~60kmで走行するEVに対して、最大出力10kWの連続無線給電を国内で初めて行い、本技術の高速道路への適用可能性を実証しました。

 今回の実証実験の概要および結果は以下のとおりです。

【実証実験概要】(図2、写真1参照)
 直線区間が200m以上ある「舗装のテストトラック」の20m区間分に送電電極※6と送電システムを埋設し、漏えい電磁界の影響を抑制して安全性を保った条件下で、受電電極を搭載したEVトレーラーを一般車両で牽引しながら時速0~60kmで走行させ電力の伝送効率などを計測しました。実証実験では、コスト低減を図る狙いから給電装置の仕様を必要最小限に留め、下記の項目について実証しました。

実証項目:

  1. 1高速走行中のEVへの連続無線給電状況
  2. 2無線給電道路の施工性や維持管理のしやすさ
  3. 3高速道路への適用が可能な舗装構造

【実証実験結果】

  1. 1最高時速60kmで走行する車両に連続無線給電を行った場合の伝送効率は平均66%(最大71%)であり、道路側からの最大10kWの送電出力に対して、EV側で6~7kWの電力を連続受電できることを確認しました。(図3参照)
  2. 2無線給電道路の施工や更新・メンテナンスは、大型施工機械を用いる在来工法とほぼ同じ施工法で対応できるなど、施工性や維持管理面に優れています。
  3. 3電界結合方式による無線給電道路では、故障や破損の可能性が極めて少ない部材で構成された送電電極と送電システムが道路の表層から100mm以上の深さに埋設されていることから、従来の高速道路と同様の交通量で大型車両が走行可能な舗装構造を実現しています。

 今後当社は、中型・商用車両など様々なEVに対応可能な無線給電道路の実用化と高速道路への本格適用に向けた技術開発および実証を進めてまいります。さらに、次世代道路インフラを構築することで「誰もが安全で安心して走れる持続可能な交通環境」を確立し、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。

図1 無線給電道路「T-iPower Road」のイメージ
無線給電道路の施工範囲
図2 T-iPower Roadの試験施工の様子と舗装断面
写真1 走行中無線給電実験の様子 図3 伝送効率測定の結果
  1. ※1

    大成建設グループ次世代技術実証センター/田村:(大成建設・大成ロテックHP参照)
    「舗装のテストトラック」は、1周909mの舗装評価路を5台の自動運転荷重車両を昼夜問わず走行させ、耐久性の評価に要する時間を大幅に短縮可能。また、200m以上の直線区間があり、高速での走行中給電の検証も可能。
    大成建設グループの新たな研究施設を開設
    https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2025/250205_10319.html

  2. ※2

    運輸部門における二酸化炭素排出量:(国土交通省HP参照)
    https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/sosei_environment_tk_000007.html

  3. ※3

    「道路法等の一部を改正する法律案」が閣議決定:(国土交通省HP参照)
    ~安全かつ円滑な道路交通の確保と道路分野の脱炭素化の推進に向けて~https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001860876.pdf

  4. ※4

    電界結合方式:舗装道路内に設置した送電電極に高周波の電気を流すことで、EVに搭載した受電電極にも電気が流れる現象を活用して電気を伝送する方式

  5. ※5

    無線給電道路を開発:(大成建設HP参照)
    高速道路に実装可能な無線給電道路「T-iPower® Road」の実証を開始https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2022/220921_8962.html

  6. ※6

    高周波電源(6.78MHz、10kW出力)は、株式会社ミライズテクノロジーズの試作機を利用


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