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チームワーク、努力、勝利 / スタートアップのチームワークとコミュニケーション

これからの時代はチームワークがより重要になってくると思っています。これまで様々なチームワークをよくする試みが共有されてきましたが、このスライドでは「チームワークをよくするためにどういうプラクティスが良いか」という情報だけではなく、「どういう考え方でチームワークを捉えたほうが良いのか」、というあたりを中心にまとめようと試みました。特にスタートアップのチームワークに必要な、複雑で創造性を要するタスクを処理するためのチームワークにフォーカスしています。これらの情報がすべてのチームに当てはまるものではないと思いますのでご注意ください。

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チームワーク、努力、勝利スタートアップのチームワークとコミュニケーションTakaaki Umada / https://medium.com/@tumada/September 16th, 20151
Steve  Jobs  Photo  taken  by  Matthew  Yohe 2Thomas Edison Isaac Newton孤高の天才による閃きが世界を変えてきた
Steve  Jobs  Photo  taken  by  Matthew  Yohe 3孤高の天才による閃きが世界を変えてきた……わけではなかった模様
一人で行ってきたと思われる功績も、実は裏に関係者がおり、チームとして成果を出してきたことが知られている。4実は天才たちもチームで成果を出していた「発明王エジソン」はチームだったエジソンは Muckers と呼ばれる 14 人前後の共同研究者と研究し、彼らの成果を Thomas Edison として出していたと言われる。Muckers はエジソンの知名度を活かして研究資金を得ながら、様々な分野の仕事を請け負い、その知識を別の分野に活かしていた。彼らは機械を共同で使いつつ日々アイデアを交換していた。http://www.nps.gov/edis/learn/kidsyouth/edison-and-his-era.htm長年エジソンの秘書を務めた Francis Jehl によれば「実際のところ『エジソン』は集合名詞だった」という。ニュートンのひらめきは対話の中から生まれたNewton のりんごによる万有引力に関する閃きは、実際にはニュートンの頭にリンゴが落ちてきたからではなく、William Stukeley との食後のお茶のときに、リンゴの木から身が落ちたことをきっかけに、二人で引力について議論し始めたところから、万有引力の仮説にたどり着いたと言われている。
5天才と チーム が世界を変えてきた
6多くの研究によれば、複雑で創造性を要する問題には「チーム」でのアプローチが有効
個人の能力による成功だと思われていたことが、実は周りの人やチームによって支えられていることが研究によって明らかになっている。7一人の天才はチームによって支えられていた一人で転職するよりチームで転職すると成功しやすい株式アナリストなどはその専門知識が個人につく上、顧客の基盤も変わらないので、転職しやすい職業である。そこで 1,052 人の株式と債券のアナリストを調査し、80 の部門で上位 3 位にランキングされたスタープレイヤーの転職後の成績を調査したところ、別の会社に移ったあと 5 年間は低い成績になった。ただしチームで移動した場合、スターのパフォーマンスが落ちなかった。単独で移った人は、一位にランキングされる確率が 5% だたのに対し、チームで移動した人はその確率が 10% で、まったく移動していない人と同じになった。またアナリストは有能な同僚とチームを組んで仕事をすると、優れたパフォーマンスを維持しやすくなることも発見した (Groysberg,2012)。最も多く閃きが起こるのは会議中微生物学者の 4 つの研究室の中にカメラを設置し、閃きが起こる瞬間を調べた研究では、閃きは実験中ではなく研究室内の定例会議の中で、他人の研究成果を聞いたときや、実験の失敗談とその克服方法を聞いたときに解決策が閃いていた (Dunbar, 1995)。ただし実験に参加した研究者に「どこで閃きを得たのか」を聞いても、彼らは思い出せなかった上、ストーリーを作話する人もいた。Maier らの単純な閃きを意図的に起こさせる実験でも、多くの人は閃きのきっかけを思い出せなかった。多くの人は一人でアイデアに り着いたと思っているかもしれないが、本当は違うのかもしれない。
The  Increasing  Dominance  of  Teams  in  Production  of  Knowledge  (2007)http://www.sciencemag.org/content/316/5827/1036.abstractN28時代とともに論文や特許でもチーム の成果がより引用されるように(50 年間の 1,990 万本の論文と 210 万の特許を調査)チームの論文がより引用される単独著者の論文がより引用される
さらにチームの成績はメンバーの知能にほとんど依存せず、社会的な感受性や圧倒的な権力者がいないチームが良いチームだった。9チームの成績はメンバーの IQ にほとんど依存しないIQ はチームの成功を約束しないCMU と MIT の調査によれば約700 名の被験者を 2 ‒ 5 人のチームに分けて、高度な認知能力を必要とする問題に対して取り組ませて「グループの知能指数」を測ったところ、以下の項目は影響を及ぼさなかった• グループのなかで最も IQ が高い人の数字• メンバーの IQチームの成績に最も影響する 3 つ代わりに大きな影響があったのは以下の 3 つである。• 社会的感受性(最も重要)• 公平な時間配分(議論を独占する人や傍観する人がいない)• 女性の比率つまり、チームで成果を出すには、個々のメンバーの知能ではなく、個々のメンバーの社会性が重要だという示唆が得られた。助け合いがチームを高めるIDEO をはじめとした高いパフォーマンスの会社は「助け合い」の文化を持とうと努力している。そして調査によると、助け合いが起こるのは専門知識の有無ではなく、「信頼感」と「アクセスしやすさ」がキーであることがわかっている
https://www.youtube.com/watch?v=Ri5noa6Zoxw 10Pixar は一人の天才ではなくチームで映画を作っている(ベイマックスは Writing Credits だけで 7 人、手法として Dailies や Plussing, Brain Trust などを活用)
Pixar では一作品約 200 人が関わりながら、手探りや手戻りの非常に多いプロセスを経て、専門性の異なるチームが協働しながら一つの作品を数年かけて作るという作業をしている。Hill, Linda Collective Genius 11Pixar の専門分野チーム別の連携方法編集作業ストーリー美術モデリングレイアウトシミュレーション特殊効果レンダリング作品アニメーション照明舞台装置シェーディング
12ソフトウェア開発はチームスポーツであるBy Google GWT チームhttp://www.amazon.co.jp/dp/4873116309/
http://www.amazon.co.jp/dp/4274217620/ 13ソフトウェア開発の「勘違い」のなかで、私が最も大きな問題だと思うのは、個人の行動に集中してしまうことだ。本当に重要なのは、個人としてではなく、チームや組織の一員としてどのように振る舞うかである。エクストリームプログラミング第二版 第 4 章「価値」
Y Combinator をはじめとしたアクセラレーターが 2 人以上の共同創業者チームを優先して採択するのを始め、投資家も投資する際に「チームを見る」と発言することが多い。調査などからもスタートアップも共同創業者チームが成功しやすいと言われている。Startup Genome Report v2 14スタートアップでも共同創業者 チーム が成功する創業者が 1 人の場合、2 人に比べてスケールステージへの到達までに 3.6 倍の時間が掛かる
目的を共有し、相互に頼り合い、定期的に振り返りの機会を設けるチームはパフォーマンスが良い。West, Effective Teamwork , West (2002) 15真のチームはパフォーマンスが良いチームワークの基本の質問1. 「あなたのチームは明確な目標を持っていますか?」2. 「その目標を達成するため密な協働をしていますか?」3. 「自分たちのパフォーマンスと、それをどのように向上させるかについて見直す機会を定期的に持っていますか?」を UK の NHS (医療機関) で調査3 つに「はい」1 つ以上に「いいえ」真のチーム (約 50%)仕事中のスタッフのミスや怪我は少ない。また患者の死亡率が低く、あと 5% のスタッフが真のチームで働ければ、患者の死亡率は 3.3% 減少すると言われている。見せかけのチーム (約 40%)見せかけのチームで働くスタッフの割合が増えるほど、仕事中のスタッフの怪我や、患者やスタッフに害をなすようなミス、患者本人やその介護者からの非難、嫌がらせが増加チームでは働いていない (約 10%)対象外チームで働いていない
16チームワークがスタートアップに勝利をもたらす
スタートアップの成功は、個々人の努力とチームワークによって決まる。良いチームを作ることがスタートアップの成功の一歩となる。このスライドでは、チームワークに焦点を当てて、どうすれば良いチームが作れるかについて解説する。タイトルは週刊少年ジャンプの編集方針である「友情、努力、勝利」から。17チームワークと努力がスタートアップに勝利をもたらす努力 勝利友情チームワーク
ただ にあふれる「チームワークをよくする手法」を見境いなく受容していくのは、効果的ではないように思える。プロダクトマネージャーがプロダクトの機能をどんどん付け加えてプロダクトが総花的になり、プロダクトの良さが失われていくような現象がチームにもあてはまりうるのでは。18でもチームワークを強化する活動は多ければ良いのか?オフサイトミーティングマシュマロチャレンジ社内運動会社内ハッカソングループワーク目安箱社内勉強会ランチ会ランチ会パーソナリティチェック飲みニケーションよくあるチームビルディング手法朝礼社員総会
19ではどうすればいいのか?
20チームワークとは「少数の原則を長期にわたって実践することにほかならない」
21自分のチームの方向性を定めて自分のチームの「少数の原則」を選び抜く
22そのためにはチームワークの理論の全体像を理解する必要がある
23そのため、このスライドでは良いチームワークの一般論を解説します
今回のスライドは にあふれる「こうすればチームワークが良くなった具体例、プラクティス」よりも、チームワークの機能や全体像のほうに注力しています。細かいプラクティスについてはネット上での記事などを参考にしていただき、このスライドではどういうプラクティスを採用すべきかを考える際などに役立てばいいのかなと思っています。24※今回のスライドはプラクティスより全体像重視()注
スライドの構成25
26本スライドの構成ここまで(約 20 ページ)
27本スライドの構成ここまで(約 20 ページ)チームワークの重要性の高まり (約5 ページ)なぜスタートアップにチームワークが重要かを知りたい人はここまででOK
28本スライドの構成ここまで(約 20 ページ)チームワークの重要性の高まり (約5 ページ)チームの基礎知識(約 20 ページ)
29本スライドの構成ここまで(約 20 ページ)チームワークの重要性の高まり (約5 ページ)チームの基礎知識(約 20 ページ)良いチームを作るための基礎(約 40 ページ)チームワークの基礎を知りたい人はここまででOK
30本スライドの構成ここまで(約 20 ページ)チームワークの重要性の高まり (約5 ページ)チームの基礎知識(約 20 ページ)良いチームを作るための基礎(約 40 ページ)複雑な課題に取り組む良いチーム(約 80 ページ)チームワークのHow-to を知りたい人はここがメイン。気になるところだけつまみ読みでも OK
31本スライドの構成ここまで(約 20 ページ)チームワークの重要性の高まり (約5 ページ)チームの基礎知識(約 20 ページ)良いチームを作るための基礎(約 40 ページ)複雑な課題に取り組む良いチーム(約 80 ページ)良いスタートアップのチームここまでの内容をスタートアップに適応したときの話
32本スライドの構成ここまで(約 20 ページ)チームワークの重要性の高まり (約5 ページ)チームの基礎知識(約 20 ページ)良いチームを作るための基礎(約 40 ページ)複雑な課題に取り組む良いチーム(約 80 ページ)良いスタートアップのチーム合計約 190 ページかなり長いので注意「あとで読む」「知りたい時に読む」とかにしておくのが無難かと…
チームワークの重要性の高まり33
チームワークは昔から効果を発揮してきたが、今後複雑かつ多様になってくる世界に於いて、その重要性はさらに高まると予測される。34今後ますますチームワークが重要になる理由複雑化 多様化
機械化によるタスクの複雑化や、専門の分化、創造性を求められる仕事の増加などによって、今後人間が行う仕事は複雑化の一途を り、チームとしてお互いが協力する場面が増加すると思われる。転職基準: http://www.slideshare.net/takaumada/startup-career 35人間の仕事は今後より一層複雑化するAI による人間の業務の複雑化AI や機械が発達していくことで、マニュアル業務や様々な認知活動が機械にとって代わられることになり、その結果人間が行うタスクが高度に複雑化する。担当領域の専門化年々分野の専門化が進んでおり、それぞれのタスクの複雑性が高まってきている。チームメンバーの専門分が狭いほど、機能の多様性が問題になりやすく (Bunderson, 2002)、専門性が異なるとコミュニケーションが難しく、チームとして機能しない可能性が高まる。チームとしてうまく機能させていくためには、今まで以上にチームワークに関する理解が必要になる。創造性を求められる仕事の増加McKinsey の調査によれば、1998年から 2005 年までに新しく生まれた雇用のうち、約 70 % が判断と経験を必要とする、明確なマニュアルや定型が存在しないクリエイティブな仕事だった。そうした仕事でのチームワークは難しい。
フリーランスをはじめとした仕事のスタイルの変化や、世界規模のリモートワークの増加、そして学際領域での仕事が増える等、チームを組む人たちの多様性が今後高まることが予測されている。36多様な人たちとの仕事が増える雇用形態の多様化がチームに影響雇用形態がメンバーシップ型からジョブ型に変化することで、日本でも転職がより容易になる。その結果、チームから人の入れ替わりが頻繁に発生し、それをチームとしてカバーすることが重要になるため、組織としての学習を進めていく必要が出てくる。2013 年の調査ではクラウドソーシングなどの発達により、US では2020 年までに労働人口の 40% がフリーランスのスタイルを取ると言われている。日本でもそうした形態の変化が起こり、社外との連携も広がる可能性が高い。リモートワークの増加事業のグローバルへの展開や、優秀な人材を世界中から採用することで、遠隔の相手と働くことが普通になり、リモート環境同士での仕事をすることが多くなる。また国内においても、労働人口の減少と並行して、労働人口を確保するために働き方が多様化し、自宅からのリモートワークや、時短での働き方など、これまでのような一律の働き方をする割合が減ることが予測される。Software is Eating the Worldソフトウェアが様々な業界とコラボレーションすることで、様々な専門性を持つ人たちとチームを組んで仕事を進めていくことが重要になる。特に多様性と、研究チーム内外でどの程度コミュニケーションしているかが、チームのパフォーマンスに強く関係する (Andrew,1979)。
創造的な仕事が増え、多様な人たちと働くことを考えると、これまで以上にチームワークについて理解することが、スタートアップの競争力となりうると思われる。37つまり、チームワークへの理解は今後さらに重要になる複雑化 多様化今後ますますチームワークが重要に
本スライドでは、まずチームに関して概略を説明する。その後、良いチームについて研究や経験からわかっていることを説明する。その後スタートアップにとっての良いチームについての示唆を記す。38スライドの進め方チームとは何か良いチームとは良いスタートアップのチームとは
チームの基礎知識39
形態40
多くの場合、これら基本となる組織構造の組み合わせで組織を作る。何を共有し、何を重視して仕事をしていくのかを考えて組織の基本形を決めるのが常である。沼上幹「組織デザイン」 41階層型組織の基本形機能別(職能性)組織まず最初に機能に分かれ、各機能部門がすべての製品を担当する。機能を集約することで得られるコストダウンや機能統合のメリットが重視される場合に採用される。事業部制個々の組織が自律的に存続できるように分割する。市場への柔軟で迅速な適応によって得られる効果が大きければ採用される。マトリクス機能別と事業部制を組み合わせて、市場への適応性と機能のメリットを追求する組織形態。デメリットとして、二人の上司がつくことになり、指揮系統に乱れが出やすい。CEO研究開発部門パソコンAV製品白物家電販売部門パソコンAV製品白物家電生産部門パソコンAV製品白物家電CEOパソコン事業部研究開発生産販売白物家電事業部研究開発生産販売AV 製品事業部研究開発生産販売研究開発部門販売部門生産部門パソコン事業部白物家電事業部AV 製品事業部CEO
一般的に チーム と思われているものについても、複数の分類が可能である。今回はタスクフォースやクルーではない「チーム」を扱う。チームワークの心理学 (p. 16, 17) 42タスクの種類に基づくワークグループの分類タスクフォース目的とするプロジェクトが完了したら解散することが前提となって形成されるワークグループ。プロジェクトの完遂を目指して、メンバーの選抜や役割配分など極めて戦略的にデザインされている。トヨタの BR (Business Reform)はタスクフォースに近い。例)プロジェクトチームチーム長期的に存続しながら、より幅広い多様なプロジェクトに取り組む集団。長期に渡るため、意見の対立や感情のもつれなどの 藤が生じる可能性も高くなる。例)会社の部署やスポーツのチーム、部活動やサークルなどクルー召集されて即座に形成され、短期の任務を完了すると同時に解散される集団。メンバーは互いをよく知っていて、またここにクルーの任務の中で自分が担当する職務についても熟知している。例)手術チーム、飛行機のコックピットクルー、当直のメンバーで即座に形成する消防隊チームチーム(ワークグループ)クルー タスクフォース
ビジネス環境や従業員からの要請で、フラット型、ギルド型、ホラクラシー、など様々な新しい組織の形が出てきている。いずれの形もマネージャーやリーダーの役割を分散化しているのが特徴。http://blog.crisp.se/2012/11/14/henrikkniberg/scaling-agile-at-spotifyhttps://blog.holacracy.org/holacracy-vs-hierarchy-vs-flat-orgs-d1545d5dffa743フラット型組織をはじめとした新しいチームの形フラットマネージャーの span of controlを増やし、階層を減らして情報の伝達を早めることを目的として導入されることが多い。なお、階層化組織もここ数年で全体的にフラットな傾向になりつつある (CEO直下の部下は 20 年で約 2 人増えている)。e.g.)GitHub, Valve, 37Signals などがフラット型の組織を運用している。マトリクスの変型Spotify では開発チームの基本単位は Squads (分隊) で長期的なミッションを持つ。分隊にリーダーはいないがプロダクトオーナーが一人いる。支部は同じスキルを持った人が集まり、支部長が存在する。ギルドは好奇心を持ったコミュニティで、組織横断的に存在する。ホラクラシーやゴアの Latticeマネージャーや肩書きを撤廃し、タスクに対してサークル(チーム)による自律的な運営を行う。e.g.)Medium, Zappos などが採用
フラット型とホラクラシー的な組織は通常混同されがちであるが、フレキシブルな構造を持つという点が大きな違いとして現れることが多い。https://blog.holacracy.org/holacracy-vs-hierarchy-vs-flat-orgs-d1545d5dffa7 44ホラクラシー型組織と単純なフラット型組織の違い人々が考えるホラクラシーの位置付け多くの人たちがフラット型組織とホラクラシーなどの組織形態を混同している。実際のホラクラシーの位置付け実際にはフラット型組織にも階層構造はある。一方ホラクラシー的な組織にはなく、代わりにフォーマルかつフレキシブルな構造になるようにしている。ホラクラシーフラット組織従来の経営組織クリアでフォーマルな構造ルーズでインフォーマルな構造フォーマルな階層なし強い階層構造ホラクラシー典型的なフラット組織従来の経営組織クリアでフォーマルな構造ルーズでインフォーマルな構造フォーマルな階層なし強い階層構造
45ゴアテックスで有名なゴア社では階層構造の代わりに「格子 (lattice)」と呼ばれる構造で全社員同士がつながっており、上司と部下ではなく、お互いが同僚に対して責任を負い、報酬も社員同士で決定する。ゴアの構造単位はプロジェクトごとに集まった社員からなる自己管理型のチームで、新しいアイデアを思いついたら、本人がそのアイデアを発展させて、必要に応じて周りに手助けを求める。多くの人が手伝ってくれればプロジェクトは勢いづくが、そうでない場合は苦戦することになる。社員はお互いに対して責任を負い、報酬も社員同士で決定する。創造的な仕事の垣根はなく、全員が創造的な仕事に関わっている。役職はないが、プロジェクトを開始した人や頻繁にプロジェクトリーダーに推薦される人だけが「リーダー」と名乗れるようになる。ゴアではこの仕組みを 10,000 人以上の規模で実施している。
非階層化組織と階層化組織はいずれも向き不向きがあり、どちらが良いというものではない。人材の状況などを見極めて、使い分けたり組み合わせたりする必要がある。46いずれの組織形態も万能ではない非階層型組織が有効なとき• 創造性が求められる仕事• 環境や要件が変わりやすいとき• メンバーが自律的に動ける素質や起業家精神がある階層化組織が有効なとき• 確実な実行が求められる仕事• マニュアル化や標準化が行われており、定型通りにやれば他チームとの共同の擦り合わせが不要• Command & Control で、上からの命令に従順に動けば成功することがわかっているときに有効非階層型組織が苦手とするもの• 自律的に動くのが苦手な人が定着しにくい• 階層を上がることによる給与上昇や役職付きなどのインセンティブが発生しにくい• ゴールや情報がうまく共有されていないと各々が勝手に動き、結果的に非効率になる可能性もある• 上からの教育があまり行われず、部下が育たないので、最初からスキルのある人を雇う必要がある階層化組織が苦手とするもの• 自律的に動ける人(多くの場合は優秀な人)が定着しにくい• 意思決定に時間がかかり、環境の変化に対応できないときがある
Photo/image credit should read: (cc) Kenneth Yeung -www.snapfoc.ushttps://www.flickr.com/photos/kyeung808/7412662724/47組織デザインで第一に覚えておくべきルールは、すべての組織デザインは悪いということだ。あらゆる組織デザインは、会社のある部分のコミュニケーションを犠牲にすることによって、他部分のコミュニケーションを改善する- Ben HorowitzAndreessen Horowitz“Hard Thing about Hard Things”
組織構造を決めても、その通りに人が動くとは限らない。組織を意図通りに動かすためには、その背景に適切な文化を敷設する必要がある。48また組織構造だけが組織の動きを決めるわけではない文化の違いによる階層型組織の動きの違い米国や中国での階層型組織は上意下達で組織下部が動きやすい。一方日本は階層構造の組織であっても、従来から中間管理職や現場の権力が強く、上層部の意向に反して現場が勝手に動くことも多い。背景として日本では、上司に逆らっても自身の雇用は守られている(解雇規制が厳しい)点や、そうした現場の勝手な動き(闇研究やスカンクワーク、中間管理職の権力)によって成果を出してきたところも多分にある点などが原因として挙げられる。非階層型組織の導入の副次効果フラット化への流れは主に以下のような狙いがある。1. 意思決定プロセスのスピードアップ2. 現場への権限移譲3. ポスト縮小による人件費削減日本の場合、実現したのは 3 のみと言われている。その際、副課長などの「副」が激減したため、取りまとめる人がいなくなり、逆に意思決定が遅くなったという説もある (日本企業の「副」の研究)。またフラット化の悪影響として、span of control の限界を超えたことなどによってチームの能力開発を阻害したという結果もある。フラット型組織を導入したからといって、一概に狙い通りに動くものではないと言える。
49組織は戦略に従う
サイズ50
チームのサイズが大きくなるとコミュニケーションをするパスが増え、情報の同期や会議の設定などにコストがかかる。そのためタスクに合ったチームのサイズの選択をすることが重要である。たとえば以下は 3, 6, 9 人のチームの場合に必要となるコミュニケーションの経路の数である。経路の数は (n * (n ‒ 1)) / 2 で計算でき、チームのメンバーが増えるごとに加速度的に経路の数も増える。51チームのサイズとコミュニケーションコストの増大3 人チームの場合は経路は 3 6 人チームの場合は経路は 15 9 人チームの場合は経路は 36経路数 = (n * (n -1)) / 2
大きなチームを複数の小規模なチームに分割することがある。この場合、各チームにリーダーを立てたりすることが多い。52チームの分割7 人50 人10 人 7 人5 人 5 人例: 50 人のチームを複数の小さなチームに分ける
タスクの種類によって最適なチームのサイズは異なる。チームのサイズが大きすぎるとチーム内の運営が難しくなり、小さすぎてチーム数が多くなるとチーム間での調整が多くなる。53タスクの複雑さや種類に合わせたチームサイズの選択ソフトウェア開発は 8 人未満でLawrence Putnam のソフトウェアチームに関する研究では、20 人以上のメンバーを抱えるプロジェクトは、5 人以下のプロジェクトと比較してより多くの努力を要する。多少増えるというレベルではなく、かなりの差がつく (491 件の調査)。特にチームが 8 人を超えると完成までの時間がなくなり、3- 7 人のチームは 9 -10 人のチームの 25% 程度の力で同じ量の仕事ができてしまうという傾向にあった。(Sutherland, Scrum )複雑なタスクではもっと少なく戦略コンサルティング業界では、通常 3 ‒ 5 人程度でチームを組んで資料作りなどを行うことが多い。また SAS や Delta、Navy SEALsなどは 4 人チームで行動することが多い。こうした、状況が変化しやすく、複雑なタスクに取り組む場合は、能力が高い少数のメンバーで構成したほうが良いと思われる。十分にタスクをこなせるサイズをただし必要以上にチームを細分化しすぎると、タスクへの有効性が減少する可能性があるので、少なければ少ないほど良いというわけではない。またチームを細分化した結果、チームと他チームの間での調整コストが高くなる場合もあるので注意する。
チームの関係性54
ネットワークの凝集性と多様性を比較した場合、凝集性の高いチームは課題に対するパフォーマンスが高く、暗黙知の伝達に有利とされる。サイズが大きいと凝集性を高めることが難しいので注意する。55凝集性の高いチームがタスクをこなすのには効果的凝集性(強い結びつき)メリット• 信頼が生まれ、パフォーマンスが高まりやすい• 互いの行動を変えやすい (Centola, 2010)• 暗黙知の伝達に有利 (Hansen, 1999)デメリット• 新しい情報が入って来にくい• 新陳代謝が起こらない (Christakis)多様性(弱い結びつき)メリット• 新しい情報が入りやすい (Granovetter)• 新しい発想が生まれやすい (Perry-Smith, 2006)• 多様な情報の伝達に有利デメリット• 互助的な関係性を築きにくい (Christakis)
優れたチームはチーム内の多くの人と繋がりがあり、メンバーはインフォーマルな会話を行い、外に情報を取りに行くような特徴がある。https://hbr.org/2012/04/the-new-science-of-building-great-teams 56優れたチームの関係性のパターンコミュニケーションのエネルギーエネルギーはやり取りの回数と性質を元に測定する、このエネルギーが大きいほど良いチームだった。チーム全体へのエンゲージメントチーム全員が均等に熱心なコミュニケーションを展開しているチームは成績が良かった。外界への探索チームメンバー以外とコミュニケーションをする意識が強いチームは、高業績を上げていた。
チームの関係性を考える際に知っておくべき概念として、Transactive Memory と共有メンタルモデルが挙げられる。これらを強化するようにチームの関係性を構築していくべきである。57関係性を作る際に気を配る概念Transactive MemoryTransactive memory とは組織学習の文脈において用いられる概念であり、組織の記憶力を伸ばすためには全ての人が同じ情報を持つのではなく「誰が何を知っているか (who knows what)」を知っておくことが重要であるとする仮説である。Transactive memory system (TMS) の形成は、そのグループに対して膨大な情報への迅速なアクセスを可能にし、情報統合のプロセスを向上させる(Cannon-Bowers, 2001) ほか、意思決定のプロセスを良くする効果 (Stasser, 1995) やチームメイトの効率性に対する知覚や組織に対する満足度が上がるという効果 (Michinov, 2008) が認められている。共有メンタルモデル (Shared Mental Model)チームが取り組む課題の内容や遂行の仕方、チームの特性やメンバーの特性に関する心的表象がメンバー間で共有されていること、と定義される。共有メンタルモデルがあることで、メンバーが何を行い、何を必要とするか予測することができ、チームプロセスを円滑にできるとされている。実際、メンバーがメンタルモデルを共有することは、チームのパフォーマンスを上げるとされている (Dechurch,2010)。チームの目的の理解や、各メンバーにどのような役割が与えられているかを共有することで、共有メンタルモデルが強化されると思われる。
普通のチームの現状58
チーミングへの取り組みが「極めて有効」は 14%、「いくらか有効」が 50.4%、残りの約 35% が有効ではないと感じており、チームを有効にする方策を考える必要がある。59チームの多くは有効ではない極めて有効14.0%いくらか有効50.4%今のチームが有効ではないと思っている人が約 1/3
ギャラップ社の調査によれば、アメリカでは従業員の 50% 以上が仕事にエンゲージしておらず、約20% が意識的にエンゲージしていない。(Pink, Drive )60そもそも良いチームになろうと思っていない50%以上20%が仕事にエンゲージしていない が意識的に仕事にエンゲージしていない
• 誰かの一存や全員一致で物事が進む61他にもこんな症状に要注意• 「どこのチーム?」と聞くと「ネットワークエンジニア」などの専門分野のことを答える• 相談をよく受ける人がいる
• 誰かの一存や全員一致で物事が進む• 議論が起こらないのは熟慮が足りない面だけでなく、お互いの信頼が足りなくて、お互いに責任を取らない状況だからでは? (Lucioni)62こんな症状に要注意• 「どこのチーム?」と聞くと「ネットワークエンジニア」などの専門分野のことを答える• 「⃝⃝ というプロダクトを作ってます」など、チーム全体をアイデンティティとしているべきではないか?(Jeff Sutherand)• 相談をよく受ける人がいる• 特定の人に相談が集中するのは、信頼できる人が少ないという現象なのかもしれない (IDEO の調査結果などから)
良いチームを作るための最初のステップ63
良いチームとは64
良いチームかどうかは「タスクの達成度」と「ウェルビイーング(幸福度)」の 2 軸で示すことができる。West Effective Teamwork などをベースに考案 65良いチームの判断基準: タスクの達成度と Well-beingウェルビーイング (幸福度)チームはタスクをうまく処理するだけではなく、メンバー個々人が幸福である必要がある。これは幸福度がチームの生産性を上げるほか、チームが長期的に存続し継続的に成果を上げるために必要と言える。タスクの達成度チームには基本的に課されたタスクが存在し、それを達成するためにチームが組まれる。そのため、チームのパフォーマンスは関連するタスクの達成度で測られるべきであると言える。ウェルビーイングタスクへの達成度
タスクへの有効性とウェルビーイングの度合いによって、チームの健全性を計ることができる。タスクへの有効性が高く、幸福度が高いチームは成果を出しやすい。West Effective Teamwork を参考に修正 66チームの有効性の 4 分類タイプ A: 弾力的なチーム• タスクの有効性は高い• チームメンバーのウェルビーイング良好• 長期的な存続• イノベーションレベルが高い• チーム内の協働が良好タイプ B: 自己満足のチーム• タスクの有効性は低い• チームメンバーのウェルビーイング平均• 短期的な存続• イノベーションレベルは低い• チーム内のコンフリクトはほどほどタイプ B: 自己満足のチーム• 短期的なタスクの有効性は高い• チームメンバーのウェルビーイングが低い• 短期的な存続• イノベーションレベルはほどほど• チーム内のコンフリクトは高いタイプ C: 自己満足のチーム• タスクの有効性は低い• チームメンバーのウェルビーイングは低い• チームの存続性は極めて低い• イノベーションレベルは低い• チーム内のコンフリクトは高いウェルビーイング 高タスクへの有効性高
一般的に言い換えると以下のようになる。West Effective Teamwork を参考に修正 67チームの有効性を一般的に言い換えるタイプ A: 弾力的なチーム• タスクの有効性は高い• チームメンバーのウェルビーイング良好• 長期的な存続• イノベーションレベルが高い• チーム内の協働が良好タイプ B: 自己満足のチーム• タスクの有効性は低い• チームメンバーのウェルビーイング平均• 短期的な存続• イノベーションレベルは低い• チーム内のコンフリクトはほどほどタイプ B: 自己満足のチーム• 短期的なタスクの有効性は高い• チームメンバーのウェルビーイングが低い• 短期的な存続• イノベーションレベルはほどほど• チーム内のコンフリクトは高いタイプ C: 自己満足のチーム• タスクの有効性は低い• チームメンバーのウェルビーイングは低い• チームの存続性は極めて低い• イノベーションレベルは低い• チーム内のコンフリクトは高い成果の出てるブラック企業近い将来に潰れるブラック企業働きやすいけれど近い将来に潰れる企業(ぬるま湯の企業)成果が出ており働きがいのある企業ウェルビーイング 高タスクへの有効性高
「働きがいのある会社」ランキングに掲載されている会社は、そうでない会社に比べて約 2 倍の株式市場のリターン率を誇っている。Source: 2015 Great Place to Work Institute68働きやすい会社は 2 倍近いパフォーマンスを上げている11.07%6.76% 6.48%0.00%2.00%4.00%6.00%8.00%10.00%12.00%Fortune 100 BestCompanies to Work ForRussell 3000 S&P 500年率換算の株式市場のリターン比較 (1997 - 2014)
チームのパフォーマンスは「チームが本来持っている生産性 + プロセスゲイン + プロセスロス」で表せる (Robbins, 2001)。良い文化を作り良いチームを作れば、良いパフォーマンスが得られる。69良いチームを作れればパフォーマンスが高くなるプロセスロス人数が増えるにつれて、パフォーマンスが上がるはずだが、多くの場合は social loafing や group think などの影響でロスが起こるのが普通である。プロセスゲインいわゆる 1 + 1 = 2 以上になる例。良い文化やアイデンティティを持っているチームは日常的にプロセスゲインを得ているという研究結果がある。チームの人数 チームの人数パフォーマンスパフォーマンスポテンシャル実際 ポテンシャル実際
プロセスロスは、人間がチームを作った瞬間に自然と起きてしまうものである。このプロセスロスの発生原因を把握して対策をすることが、ロスを減らすのに効果的である。70プロセスロスの原因: チームワークが必然的にはらむ悪社会的手抜き (Loafing) が起こる人は個人で行う場合よりも一所懸命働かない場合がある、という特徴を持っている。たとえば認知的な問題に対して、チームは個人よりも正しい解法を見つけやすいが、時間の使い方は、4 人チームが 12分、2 人チームは 7 分、個人は 5分と、効率的でなかった実験などがある (Shaw, 1932)。またフリーライダーの問題もある。意思決定がまずくなるMaier ら (1962) はグループに数学の問題を出し、そのグループの中に意図的に回答の出し方を知っている人を入れた。しかし多くのグループが正答を出せなかった。これは集団には社会的プロセスが存在し、たとえばリーダーの意見が(正しいかどうかに関わらず)多くの影響を持つなどの傾向があるため (Zaccaro, 2009)。また不死身幻想、ミッション幻想、満場一致幻想などがある。創造性が低くなるブレインストーミングの実験では(Diehl, 1987)、5 人の個々人が別室で考えた場合は平均 68 個、グループとして考えた場合は平均 37個のアイデアが出た。さらに別の実験でアイデアの品質を個人とグループとで比較したところ、個人で単独で生み出したアイデアのほうが品質が高かった (Paulus,2006)。これも社会的プロセスによるもので、たとえば最初に提示されたアイデアが平凡であれば、そちらに偏ってしまうなどの理由があると推測されている。
個人と集団のパフォーマンスを比較した 78 の研究を分析した結果、80% に社会的手抜きが見つかったが、一部チームはプロセスゲインを得ていた (Karau, 1993)。そのための手法の例を挙げる。71プロセスゲイン: 個々人の能力の足し算以上になるとき創造性が高くなるグループブレインストーミングの場合、適切なルール下で行われたら生産性が最大 79% 上がった (Paulus,2006)。こうしたコミットメントを獲得するには、影響を受ける人たち全員を変化のプロセスに全員を巻き込むことが重要。学びが早くなるグループの一員として学ぶとよりよく学習できることが知られている (Schultze, 2012)。
チームのパフォーマンスは以下によって表せる。以下のスライドでは、プロセスゲインを増やし、プロセスロスを減らすための幾つかのヒントとなる情報を提供する。Robbins, 2001 72良いチーム: いかにプロセスゲインを発生させるかチームのパフォーマンスチームが本来持っている生産性プロセスゲインプロセスロス+ -=個々人の生産性を上げる(スライドの対象外)プロセスゲインを増やす方法を知るプロセスゲロスを減らす方法を知る
悪いチームから良いチームになる73
多くのチームは有効ではない、という前述の結果を踏まえて、良いチームを目指す前にまず機能するチームを目指す。本項では、まず現状が悪いチーム(プロセスロスが多いチーム)であるという前提から出発する。74悪いチームから良いチームになるためにチームの有効性の測定機能していないチームからの脱却良いチームを作る方策を練る
良いチームを考えるためには、まずは現状を知る必要がある。この項目では、現在のチームの有効性を図るための指標を提供する。751. チームの有効性の測定チームの有効性の測定機能していないチームからの脱却良いチームを作る方策を練る
「明確な目標」「密な協働」「見直す機会」があるかどうか、という冒頭で挙げた 3 つの質問によって、大まかなチームの有効性を図ることができる。76簡易版: 3 つの質問チームワークの基本の質問1. 「あなたのチームは明確な目標を持っていますか?」2. 「その目標を達成するため密な協働をしていますか?」3. 「自分たちのパフォーマンスと、それをどのように向上させるかについて見直す機会を定期的に持っていますか?」を UK の NHS (医療機関) で調査3 つに「はい」1 つ以上に「いいえ」真のチーム (約 50%)仕事中のスタッフのミスや怪我は少ない。また患者の死亡率が低く、あと 5% のスタッフが真のチームで働ければ、患者の死亡率は 3.3% 減少すると言われている。見せかけのチーム (約 40%)見せかけのチームで働くスタッフの割合が増えるほど、仕事中のスタッフの怪我や、患者やスタッフに害をなすようなミス、患者本人やその介護者からの非難、嫌がらせが増加チームでは働いていない (約 10%)対象外チームで働いていない
1. 仕事の上で自分が何をすべきか、要求されていることがわかっているか2. 自分の仕事を適切に遂行するために必要な材料や道具類が っているか3. 毎日最高の仕事ができるような機会に恵まれているか4. 最近一週間で、仕事の成果を認められたり、褒められたりしたことがあるか5. 上司や仕事仲間は、自分を一人の人間として認めて接してくれているか6. 仕事上で自分の成長を後押ししてくれている人がだれかいるか7. 仕事上で自分の意見が尊重されているか8. 会社のミッション/目的を前にして自分自身の仕事が重要だと感じられるか9. 仕事仲間は責任を持って精一杯クオリティーの高い仕事をしているか10.仕事仲間にだれか最高の友達がいるか11.最近半年間で、自分の進歩に関してだれかと話し合ったことがあるか12.仕事の上で学習し、自分を成長させる機会を与えられたことがあるかFirst, Break All the Rules 77今現状が良いチームかどうか: 職場の強さ測定の質問またギャロップグループが行った調査では以下の 12 項目でおおよその職場の強さが判明すると言われている。
1. ゴールの明確さ 69 412. リソースの十分さ 45 113. 毎日の最高の仕事の機会 55 194. 仕事への評価 42 205. 一人の人間 51 176. 成長の後押し 50 187. 自分の意見の尊重 36 98. ミッションと仕事との関連 40 169. 仲間の仕事の品質 34 2010.最高の友達 33 1011.自分の進歩の議論 48 2212.学習の機会 44 24 78ギャラップ社の調査による例前述の 12 の質問項目を二つの店舗に対して実施したところ、パフォーマンスの良い店舗に属するチームの方が質問項目に対するスコアも高かった。店舗 A 店舗 B12 の質問項目に対してスコアの良かった店舗 A のほうが実際のパフォーマンスも高かった
79職場の強さを測るための質問「何が手に入るのか」手元に何があって何をすべきか「自分はどんな貢献をしているか」うまく仕事をしていて、周りから評価されているか「自分はここの人間か」周りと自分の方向性があっているか「全員が成長するにはどうすれば」業績に最も影響のあった質問1. ゴールの明確さ2. リソースの十分さ3. 毎日の最高の仕事の機会4. 仕事への評価5. 一人の人間6. 成長の後押し7. 自分の意見の尊重8. ミッションと仕事との関連9. 仲間の仕事の品質10.最高の友達11.自分の進歩の議論12.学習の機会業績に特に影響があった 6 つの質問項目は最初に挙げられている 6 つであり、まずはここから調査を行うことをお勧めする。
チームワークに関して、個々人が持つべき Knowledge, Skill, Attitude (KSA) を Stevens らがまとめたものが以下の質問票であり、高得点のメンバーが多いチームはパフォーマンスが良かった。Stevens and Campion (1999) 80チームワークの KSA (知識、スキル、態度) の評価法対人関係のチームメンバーKSA矛盾の解決1. 有益なディベートを促進して、機能不全の矛盾を除くこと2. 矛盾の原因や性質に合った矛盾の管理方略を用いること3. 分配の方略 (win-lose) よりも統合の方略 (win-win) を使うこと協働の問題解決1. 与えられたどんな問題に対しても適度に参加すること2. チームメンバーの相互交流のしかたを構造化することによって、チームの問題解決にとっての障害(たとえば、何人かのチームメンバーによる支配)を避けることコミュニケーション1. できるだけ開かれたコミュニケーションにすること2. 開かれた、サポーティブなコミュニケーションスタイルを使うこと3. 積極的傾聴のスキルを使うこと4. 非言語的なメッセージに注意を払うこと5. 他のチームメンバーに暖かい挨拶をして、ちょっとした世間話をすることなど自己管理チームのKSA目標の設定とパフォーマンス1. 明確でやりがいのあり、チームに受け入れられる目標を設定すること2. パフォーマンスをモニタリングし、評価し、フィードバックを与えること計画とタスクの調整1. タスク、活動、情報を調整して一致させること2. チームメンバーの間で公平でバランスのとれた役割や仕事量を設定すること
今現状のチームの有効性を知るために、上述の 3 つの質問リストを活用すると良い。下記に再掲する。81現状を把握するための 3 種類の質問リスト3 つの質問1. 「あなたのチームは明確な目標を持っていますか?」2. 「その目標を達成するため密な協働をしていますか?」3. 「自分たちのパフォーマンスと、それをどのように向上させるかについて見直す機会を定期的に持っていますか?」12 の質問1. 仕事の上で自分が何をすべきか、要求されていることがわかっているか2. 自分の仕事を適切に遂行するために必要な材料や道具類がっているか3. 毎日最高の仕事ができるような機会に恵まれているか4. 最近一週間で、仕事の成果を認められたり、褒められたりしたことがあるか5. 上司や仕事仲間は、自分を一人の人間として認めて接してくれているか6. 仕事上で自分の成長を後押ししてくれている人がだれかいるか7. 仕事上で自分の意見が尊重されているか8. 会社のミッション/目的を前にして自分自身の仕事が重要だと感じられるか9. 仕事仲間は責任を持って精一杯クオリティーの高い仕事をしているか10. 仕事仲間にだれか最高の友達がいるか11. 最近半年間で、自分の進歩に関してだれかと話し合ったことがあるか12. 仕事の上で学習し、自分を成長させる機会を与えられたことがあるか14 の質問1. 有益なディベートを促進して、機能不全の矛盾を除くこと2. 矛盾の原因や性質に合った矛盾の管理方略を用いること3. 分配の方略 (win-lose)よりも統合の方略(win-win) を使うこと4. 与えられたどんな問題に対しても適度に参加すること5. チームメンバーの相互交流のしかたを構造化することによって、チームの問題解決にとっての障害(たとえば、何人かのチームメンバーによる支配)を避けること6. できるだけ開かれたコミュニケーションにすること7. 開かれた、サポーティブなコミュニケーションスタイルを使うこと8. 積極的傾聴のスキルを使うこと9. 非言語的なメッセージに注意を払うこと10. 他のチームメンバーに暖かい挨拶をして、ちょっとした世間話をすることなど11. 明確でやりがいのあり、チームに受け入れられる目標を設定すること12. パフォーマンスをモニタリングし、評価し、フィードバックを与えること13. タスク、活動、情報を調整して一致させること14. チームメンバーの間で公平でバランスのとれた役割や仕事量を設定すること
多くのチームが「悪い」チームである。良いチームを目指すには、なぜ悪いチームになってしまっているかの原因を把握し、それに対して対策を打つ必要がある。822. 機能していないチームからの脱却チームの有効性の測定機能していないチームからの脱却良いチームを作る方策を練る
Hill, Being the Boss 83「チームの成果」に個人が責任を負うことの難しさ全員がチームの成果に責任を負っているチームが良いチームとしたとき、チームメンバーは相矛盾する中で成果を出していく必要があり、そのバランス感覚が難しい。通常チームはそのバランスが取れなくなり、悪いチームへと陥りがちである。チームワークやリーダーの逆説• (他人のことは制御できないにもかかわらず)他人の行いに責任を持つ• 各人に目を配りながら、結束の強いチームをきずかなくてはならない• チームを采配するには、幅広い環境をマネジメントしなくてはならない• 現在と将来の両方に焦点を合わせなくてはならない• 業務遂行とイノベーション、両方を担わなくてはならない• 大きな目的のためには犠牲を強いなくてはならない場合もある
機能していないチームは通常、以下のような 5 つの段階を経ることで結果が出せなくなっている。Patrick Lencioni, The Five Dysfunctions of a Team: A Leadership Fable 84機能していないチームの特徴1. 信頼の欠如2. 衝突への恐怖3. 責任感の不足4. 説明責任の回避5. 結果への無関心1. 「完全無欠」でありたい、弱みを見せたくないという気持ちが強いと、お互いを信頼できない5. 互いの成果の基準の低さや説明責任を追求しないと、個人の自尊心や地位をチーム全体の自尊心や地位をより優先してしまい、チーム全体の結果への無関心が起こる2. 信頼がないと、問題についての議論や正直な意見の発露を忌避してしまい、「表面的な調和」が起こる3. 健全な衝突がないと、決定したことを支持できず「あいまいな態度」になり、責任感が不足する4. 責任感が不足すると、チームの仲間による不利益な行動を咎められず、「基準の低さ」につながる
機能していないチームは、以下の段階を経て機能するチームへと変わることができる。Patrick Lencioni, The Five Dysfunctions of a Team: A Leadership Fable 85チームを機能 (work) させるために段階 状態 到達方法(例)1. 互いを信頼 (trust) する 信頼とは、メンバー同士が相手に悪意がないことを信じ、グループ内で互いに慎重になったりしない1. 個人の歴史に関して話す2. チームメイトの最もチームに貢献している点と、改善点をあげる3. 性格や行動性向のプロファイル共有2. アイデアをめぐって遠慮なく衝突 (conflict) する生産的な意見の衝突を行う。意見の衝突はアイデアのみを対象とし、個人攻撃は避ける。激しくても良い。1. 衝突を避ける傾向を認める2. 問題や衝突をあえて掘り起こす3. 健全な議論から逃げないように誘導3. 決定や行動計画に責任感(commitment) を持って取り組む全員一致や確実性を求めず、全員の意見を考慮した結果の最終決定に従い、取り組む1. 関係者に何を伝えるべきかを決める(すると意見の不一致に気づく)2. 決定の実行の期限を明確にする4. 計画を守らなかった場合、互いの責任 (accountability)を追求する対人関係を悪くするような難しい会話を避けようとせず、他人との危険領域に踏み込んで、相手の仕事ぶりに高い期待を寄せる1. 目標と基準を公表し、行動を明確に2. 簡単な定期進 レビューを行う3. チーム報酬を設定する5. チーム全体の結果(result) を達成することを重視するメンバーがグループ全体の目標だけに集中し、地位などの余計なことに気を取られない1. 具体的な結果を宣言する2. 結果に基づく報酬を出す
Lencioni が指摘する通り、チームワークとは「少数の原則を長期にわたって実践することにほかならない」。そして「機能するチームのメンバーは、人間が不完全であると認めることによって」結果を出す。Patrick Lencioni, The Five Dysfunctions of a Team: A Leadership Fable 86機能しているチーム1. 信頼2. 衝突3. コミットメント4. 説明責任5. 結果1. 互いに悪意がないことを信じ、グループ内で身を守ったり慎重になったりする必要がない5. チーム全体が結果を出す2. アイデアを巡って衝突しあい、より良いアイデアに到達する3. 全員が主張、衝突し、それぞれの意見をフェアに考慮することで全員の合意がなくとも決定する。4. 決まったことや決められた責任に対して説明責任を追及する
信頼は個人史を語ったり、性格を把握する方法以外にも以下のような方法がある。https://hbr.org/2011/05/the-power-of-small-wins/ar/1 871. 信頼の作り方Small Win を繰り返す進 のあった日や他人のサポートをした日、激励の言葉や尊敬を受けた日の個人のムードは良くなり、モチベーションが上がる。細かい進 でも良いので、日々進んでいることを確認することがお互いの感情に影響し、信頼を生む。課題や競合を意識した信頼課題に関係のないトレーニング(チームビルディング)を実施した場合、集団としてのアイデンティティは上がるものの、生産性は上がらない(Moreland, 2000)。また集団間競争がない状態で集団としてのアイデンティティを高めた場合、モラルの低下が起こり生産性が低くなる (Worchel ‒ 佐藤2004 からの孫引き)。よって課題に関係した集団トレーニングや、競合を意識しながら信頼を作っていくと良い。ユーモアを忘れないHampes らの研究 (1999) によれば、ユーモアには信頼関係や親密さを生み出す効果がある。そのほか、ユーモアは意思疎通や共通目標の形成、全体の生産性向上に役立つと言われている(Romero, 2010)。
信頼できると、他者への協力性が高まるほか、自己主張をしやすい環境が作られる。その結果、良い衝突が生まれる。Obuchi & Takahashi (1994) Cultural Styles of Conflict Management in Japanese and Americans:Passivity, Covertness, and Effectiveness of Strategies88信頼すれば自分の意見を主張できる妥協(compromise)回避(avoidance)競合(competition)譲歩(accommodation)協働(collaboration)(他者利益への関心) 協力性高協力性低(自己利益への関心)自己主張高自己主張低
「率直であれ」と言っても行動するのは難しく、また努力を要する。お互いに信頼できること、率直さや正直さが生まれやすくなる。892. 率直に主張すると (良い) コンフリクトが生まれる良いコンフリクト良いコンフリクトは率直さから生まれる。お互いを信頼し、率直になることで良いコンフリクトが生まれる。実際、率直さのスコアを大手銀行6 行のチームで測ったところ、率直さが最も低かったチームは最低の業績で、率直さが高いチームの業績は高かった (Ferazzi, 2013)。悪いコンフリクト悪いコンフリクトは批判や見下しから生まれる。夫婦について研究している JohnGottman によれば (1999)、離婚が予測される最もネガティブな 4つの行動は、批判、軽 、自己防衛、無視の 4 つとしている。チームでもこれらが元になるコンフリクトは悪いコンフリクトと言える。コンフリクトがないコンフリクトがない職場は、チームの表面上の和を重んじて、意見の対立を避けて思慮深い討論をしていないか、もしくはお互いの不信による無視がはびこっている職場であると言える。再び夫婦の例で言えば、衝突がない夫婦はどちらかが我慢していることが多く、突然我慢の限界を超えて離婚に至るケースも多々あるとのことである。
「何についての」コンフリクトかで分けると、以下のような 3 種類のコンフリクトに分けられる。West, Effective Teamwork 902. コンフリクト(衝突)の対象による分類タスクに関するコンフリクト「我々はどの新商品を打ち出すべきか」など。タスク上おコンフリクトは、優れた意思決定と財務業績につながることがわかっており、またタスク遂行のより優れた方法を知ることで活力を得る。タスクが複雑な場合は、こうしたコンフリクトは創造性の となる(ただし多すぎると不愉快になる可能性もある)。プロセスに関するコンフリクト「それはあなたの仕事であって私の仕事ではない」など。解決策としては、たとえば Fisherらによると (1999)、問題を分かち合い、立場ではなくニーズに焦点を当て、双方に利益のある選択肢を新たに考え、話し合いが公平な結論に至るように客観的な基準を主張する、といった手法がある。対人関係のコンフリクト「あなたは失礼でイライラさせる人だね」など。多くの場合、仕事上の役割や組織的な要因で起こる。たとえば:• 役割が明確ではなく、役割に関するお互いの理解不足• ビジョンや明確なゴールがない• リソースやその分配が不適切• 立場の矛盾や矛盾する評価軸• タスクの相互依存• アサインメントのミス
中でも特に難しいのが対人関係のコンフリクトに対する処理である。その対処法の代表例を以下に示す。West, Effective Teamwork 912. 対人関係のコンフリクトの対処根本的な帰属の誤りを意識する個人の行動を説明するにあたって、気質や個性などの面を重視しすぎて、状況の面を軽視する人間の傾向のこと。他人に対しては人間の社会や状況を軽視してしまうこのバイアスが発生するが、自分に対しては発生しにくい。たとえば他人の遅刻の原因はその人の性格に原因を求めるが、自分が遅刻した場合は状況が悪かったと思う傾向にある。アサーティブに提言する攻撃的な言い方ではなく、アサーティブな言い方で指摘する。攻撃的:「あなたが無能だから、私の仕事が無駄になった」アサーティブ:「私は戸惑っています。あなたに任せたのにできておらず、私の仕事が無駄になったことに憤りを感じています」アサーティブな言い方では「あなた」よりも「私は」を多く使う。チームでオープンに話し合うチームに大きな影響を与える段階になってしまっていたら、他のチームメンバーとの間で明らかにして、話し合いの場を持つ。基本的には以下の 4 つの段階を踏んで調停を行うと良い。1. 両者の感情を把握する2. チームメンバーが認識している事実を把握する3. コンフリクトの再発を防ぐという目標に同意する4. 行動プランに同意する
各メンバーからコミットメントを得るには、手続き的な公正さが必要であり、そのためには必要になるのが前段の衝突である。衝突が足りない場合は、衝突のフェーズに戻った方が良い。Patrick Lencioni, The Five Dysfunctions of a Team: A Leadership Fable 923. コミットするために「すべきでない」こと全員一致を求めない全員一致を求めるのは危険。完全な合意に達しなくても指示が得られる方法を探る必要がある。人は自分の意見が通ることではなく、自分の意見が真剣に考慮されたことを重要視している。そしてそれがグループによる最終決定を支持しようという意思につながる。どうしても決まらなければ、リーダが決定を下すこともある。確実性を求めない確実性を求めすぎて、確信が持てるまでや十分なデータが集まるまで決定を先延ばしにしたりしない。決定が正しいかどうかの確証がなくても、責任をもって明確な行動案に従う。何も決定しないよりは、何かを決定して実行し、そこから学ぶことを重要視する。そのためにも、全員がコンフリクトの中で必要な情報を腹を割った議論で引き出す必要がある。試しに、低リスクの状況で、こうしたプロセスや決断をしてみると効果的。不信を組織に行き渡らせない何よりもまずいのは、マネージャーレベルでのコミットができず、それが組織の下部まで浸透すると、異なる組織同士で命令がかみ合わないことで不協和音を立てるようになる。
相手の責任を追及することは非常に難しいことの一つである。ただしチームである以上は、責任を追及し、達成できなかった時はお互いにサポートをすること。Patrick Lencioni, The Five Dysfunctions of a Team: A Leadership Fable 934. 説明責任を追求する「なあなあ」で終わらせない難しい会話を避けようとして、妥協して安易にすませることを避ける。チームの人間関係は大事だが、チームのタスクへの有効性も大事であることを認識する。信頼できていれば説明責任を追求しても人間関係は壊れないし、互いに尊敬できていれば、チームメイトの期待を裏切ることに恐怖をするはず。またチーム内で責任を追求することで、上層部からの業績管理や改善措置などの過剰な管理を避けられるメリットもある。目標と基準を振り返る互いに責任を追求しやすくなる方法の一つは、チームが何を達成すべきで、誰が何を実行するのかを明確にすることである。曖昧であればあるほど、追求は行いにくい。また並の仕事の基準で満足しないように、お互いに高い水準を維持するようにする。定期的に進 をレビューする進 をレビューする。特にプロジェクトの場合は進 率 (%) ではなく、「あと何日で終わるか」などの日数換算のほうが良い場合も多い。また進 次第では他メンバーのサポートを得られるようにしたり、やり方への疑問を投げかけてもらったり、潜在的な問題を早く見つけることができる。
さらに高い結果を出すために、幾つかの方略を使うと良い。最善のチームとは、常に最善を求めて変わり続けるチームである。http://www.dhbr.net/articles/-/3439945. 結果を出すピアコーチングマネージャーやリーダーとではなく、同僚とお互いにコーチングをする。2 人でやるのではなく、3人以上で、できれば。あらかじめ期待や関心を明らかにしておくと良い。そうすることで、チームメンバー個々人がより高い結果を出せるようになる。優秀なチームが優秀な人を呼ぶ優秀な人は優秀なチームで働きたがる。優秀な結果を出していれば、次第に優秀な人が自動的に集まってきて、さらに結果が出せるチームになる。自分達の成果をきちんと外に通達すると良い。チームはダイナミックに変わるチームは実行と学習を繰り返しながら、ダイナミックに変わっていく (Edmondson, 2012)。そのため完璧なチームワークは存在せず、常に改善を行っていく必要がある。常に進歩し続けるチームが最適なチームである。
95チームをワーク (機能) させるのは大変
96チームをワーク (機能) させるのは大変だからこそ良いチームワークを持つチームには大きなアドバンテージがある
機能していないチームを脱却して初めて、より良いチーム作りができる環境になる。この項では良いチームを作る方法の概略に関して話す。973. 良いチームを作る方策を練るチームの有効性の測定機能していないチームからの脱却良いチームを作る方策を練る
全てにおいて良いチームというものが存在するわけではなく、タスクやプロジェクトの種類によって、良いチームの形態は変わってくることが多い。98良いチーム はタスクの種類で異なるタスクのサイズや期間大:数年かかるプロジェクト橋の建設など (ただし 1 年以上になると失敗率が上がるので注意)中:数ヶ月かかるプロジェクトソフトウェア開発やイベント、戦略資料小:数日小さな機能の実装や小さな資料作り極小:数時間から数分メールの返信(ほぼ個人でできるもの)タスクに必要な創造性と確実性確実性確実かつ迅速なオペレーションが求められる。要件が変わることはほとんどない。Checklist などを活用した、間違いのない実行が求められる。この場合、金銭的報酬が効果的になる (Ariely, 2008)。創造性答えの見つかっていない問題や、問題自体がわかっていない状況に対してアプローチする場合。途中での変更可能性も高い。この場合は金銭的報酬はむしろ逆効果で、内発的動機が求められる (同上)。目的今すぐの利益(成功率:高)すでに仕組みがほとんど出来上がっているビジネスモデルに対して、早い段階で利益を最大化するような目的で組まれるチーム。将来の利益(成功率:低)まだビジネスモデルが出来上がっておらず、様々な模索を繰り返しながら、将来的な利益を作る目的で組まれるチーム。
今回は「複雑で創造性を要する課題の解決」にタスクを絞って、良いチームの作り方について解説する。99今回のスライドではタスクの種類を限定する創造性と学習確実性と実行変更可能性 - 高変更可能性 - 低サイズ大サイズ小将来の利益今すぐの利益成功の可能性 ‒ 高成功の可能性 ‒ 低
「複雑で創造性を要する課題」に取り組むための良いチームa.k.a. ぼくのかんがえたさいきょうのチーム100
今回の課題に良いチームの特徴101
102自律 多様 学習「自立的」で「多様」で「学習」する組織であれば複雑で創造性を要するタスクを解決できる
103自律 多様 学習ただし自律、多様、学習する組織を実現するには様々な仕組みを連動させることが必要(逆に言えば、一つの仕掛けだけで組織を変えるのは難しい)「自立的」で「多様」で「学習」する組織であれば複雑で創造性を要するタスクを解決できる
状況の変化に迅速に対応する自律的な組織を作るためには、以下のような要件を満たす必要がある。なお、自律と独立は異なるし、小さいチームであるというだけで自律的にはならないので注意する。104自律的に動けるチーム意味のある共有された明確な目的チームには明確な目的があり、それに応じてそれぞれのチームメンバーが自分で判断して協働しながら課題を解決する。また自分で目的を設定することもある。目的の明確な仕事があれば、高いモチベーションを維持することができる。透明性が高く、助け合う意思決定に必要な情報をチームメンバー全員が持っており、かつ、その情報がアップデートされる。また各メンバーの状況がわかることで、お互いの協働や相互サポートが行われる。意思決定やプロセス多くの情報をもとに、効率的に目的を達成するための判断を各メンバーが行う。合議制でも上申のうえでの決定でもないので迅速に変化に対応できる。自律的な組織は生産性と労働の質にプラスの効果をもたらし、粘り強さが高まりバーンアウトが少なくなる(Macy, 1993; Cotton, 1993; Mathieu, 2006; Pink, 2009)
自律的に動いてもらうためには、様々な物事を自分でコントロールできると感じてもらうことが重要であり、「権限の委譲」という上から目線ではない、個々人が自発的に権限を主張する意識が必要。105Practice: 自律的に動ける環境を作る意味のある共有された明確な目的• 何度もコミュニケーションする• お互いが何をしているのか、何をしてほしいのか、などの共有メンタルモデルを作る• 自発的なサポートやチームへの貢献や• OKR などによる自分での目的の設定や• ギルド、もしくはホラクラシーなどによる自主的なチーミング• タスクの意味を語る• 必要な資源の分配透明性• 情報の積極的な共有を行えるツールの導入• メンバーシップが明確である• コミュニケーション方法をお互いに最適化していく• チームにあったコミュニケーション頻度で行う• 360度フィードバックによる他者評価• 従業員同士によるボーナスの支給• 階層を意識させる肩書きの撤廃• 時間を自由に使うための非同期コミュニケーションの増加• 手続き的公正を確保する• OKR の全社公開 (Google)意思決定やプロセス• 担当と責任の明確化• 最終決定権者が不要になる、話し合いでの決定プロセスの構築• プロセスのフェアネスの確保• 承認フローではない、個々人での意思決定のプロセスの合意• 4T (Task, Time, Technique,Team) に関しての自律性を提供する• いつでも新しいチームに異動することができる(プロジェクトの重要度によって給与が変わることもある, 一時の Google)• 休みの自由化 (Netflix 等)
Photo  by  ChadPerez49 106急成長している Whole FoodsMarket では、店舗内のチームに大きな自治権をもたせ、権限移譲を行っている。これは結果に最も影響を受ける人が意思決定をすべき、という原則に従っている。
107トヨタのカイゼン活動の始祖とも呼ばれる大野耐一が作っていたものも、自律的な組織の一つであったと言える●企業体に自律神経を企業全体は、しばしば人間のからだと比較して論じられる。……私はトヨタ自工の場、「ジャスト・イン・タイム」の思想を生産現場に深く広く浸透させることと、「かんばん」の使い方のルールを徹底させることで自律神経が ってきたと考える。
チームの創造性を高めるためにも多様性は必要となる。ただし、多様だからこそ起こりがちな問題への対処も必要である。108多様なメンバーとの協働認知的な多様性に富むチーム構成社内外を含んで多様な人たちとつながり、情報を得ながらタスクをこなすことで、創造的な仕事ができる。特に相補性のあるスキル人同士が集まることも重要。ただしその分調整が発生する。なお同質なチームは自分たちの判断について自信が強かったが、成績が良かったのは多様なチームだった (2009)。コンフリクトの促進と管理、解消メンバーの創造性を引き出すには良いコンフリクトを起こすことが必須である。多様性が高いとコンフリクトが起きやすいが、そのコンフリクトは良いものか悪いものかを見極め、もし悪いコンフリクトが発生した場合はコンフリクトの解消のプロセスを全員が知っている必要がある。価値とルールの共有多様な人々は反発することが多い。その反発の中で、どうやって悪い衝突を起こさせず、チーム全体の生産性を上げていくかを、チームメンバー全員が知っている必要がある。
多様性を高めつつ、問題が起こらないようにするための手法として、以下のようなものがある。109Practice: 多様なメンバーとの協働認知的な多様性に富むチーム構成• マネージャーではなく、チームメンバーによる採用を行い、チームメンバー全員が採用に責任を持つ• 多様性のバイアスに気をつける(バイアスがあるとパフォーマンスが落ちる)• 認知は多様でも、ビジョンは同一の人を雇う• 多様であっても 1-Man-Startup を実践できる人を雇うコンフリクトの促進と管理、解消• 率直さと誠実さを促す価値観の称揚• お互いの役割を理解• お互いの責任の追及価値とルールの共有• 感謝の念を示す (Grant)• 多様な働き方を可能にするインフラや仕組みづくり• 適切にお互いをサポートする
http://slackhq.com/post/128721741660/inclusion-­‐and-­‐diversity-­‐at-­‐slack 110Slack では自社の多様性レポートを発表し、今後の進め方を記載している。1. Examining all decisions regarding hiring/recruiting, promotion, compensation, employee recognition andmanagement structure to ensure that we are not inadvertently advantaging one group over another.2. Working with expert advisors and employees to build fair and inclusive processes for employee retention,such as effective management education, company-wide unconscious bias training, ally skills coaching, andcompensation review.3. Helping to address the pipeline issue with financial contributions to organizations whose mission is to educateand equip underrepresented groups with relevant technical skills (like Hack the Hood and Grace Hopper), aswell as supporting a variety of internship programs to broaden access to opportunity (like CODE2040).4. Attempting to be conscious and deliberate in our decision-making and the principles and values by which weoperate. Changing our industry starts by building a workplace that is welcoming to all so that a generation ofrole models, examples and mentors is created.人種 女性の比率
学習には個人の学習と組織としての学習の二つのレイヤーがある。創造性を必要とする課題を解決するには、模索しながら学び続けなければならない。111組織と個人が学習しつづける挑戦する: 失敗の容認と学習の促進全く新しいことに挑戦すると、多くの場合は失敗する。しかし失敗することが忌避されると、誰も挑戦しなくなる。そのため、創造性を必要とするチームには、心理的安全性と信頼性を確保することが重要。そうすることで、個人が起業家的精神を持てる。また試行錯誤と成果のバランスを取る。失敗し続けて成果が出ないのでは意味がない。個々人の熟達を図る個人のモチベーションにとって、熟達は重要である。事実、人間が最高のパフォーマンスを発揮するのは、自分の能力に自信を持ち、自由裁量があり、他者とつながりを感じている時である (Article)。そしてとある調査では、仕事で一番のフラストレーションを感じることは「成長の機会の欠如」(55%が回答) であった。組織の学習を支援する組織として学習を進める。たとえば、毎日 0.5% でもチームの生産性が良くなれば、200 日後には約2.7 倍の生産性になっている。そして上司や上位者だけではなく、同僚からの支援を受けることのできる組織はパフォーマンスが高い(中原「職場学習論」等)。
学習を行うプラクティスとして、以下のようなものがある。112Practice: 組織と個人が学習しつづける挑戦による失敗の容認と学習• 失敗しても良いという安心を持つ風土を生む• ピアレビューの文化• 空いた時間で小さな試作品作る(Pixar の短編が有名)• Adobe の Kickbox• 失敗が多いチームの方がパフォーマンスが高かった(チームを信頼しているため、失敗を報告して学習しやすい)個々人の熟達を図る• 20% ルールなどを用いた個々人の学習の支援• サイドプロジェクトやハッカソンなどの取り組みの許可• 強みを生かすアサインメントを行い、自己有能感を得る• 新たな成長や挑戦の機会を提供する• メンバ同士によるメンタリング組織の学習を支援する• 知識を独占せずノウハウを積極的に共有する• Transactive Memory (WhoKnows What) の強化を行う• 入社時のトレーニングを整備• 頻繁なフィードバックを行う• バディ制度の導入 (GitHub)• 人が集まりやすい場所の設置(GitHub, Pixar)• 同僚同士が教えあう (Google のG2G)
113大学病院の看護チームのパフォーマンスを調べたところ、管理職と部下の関係が良好な看護チームのほうが、投薬ミスの報告件数が有意に多かった。これは関係が良好なほうが、ミスをしたときにその事実を認め、受け入れられやすいという理由による。そしてミスが起こったことを共有すれば、そのミスへの対策が行えるほか、チームメンバー全員が学びを得られるので、結果的にチームのパフォーマンスが高まるものだと思われる。マネージャー上司と部下の関係が良好なほうがミスを報告しやすくチームのパフォーマンスが高まる
114こうしたチームのチームワークに責任を持つべきなのは?
115チーム全員
116みんなで会社(スタートアップ)を作っていく
以下のページでは、良いチームを作るためにチームメンバー全員が責任を持つべき 5 つの要素を挙げ、その内容を概観する。117チームメンバーが責任を持つべき 5 つの要素チーム構成リーダーシッププロセスチームプレイチーム外との協働
こうした組織を作ることで、次世代の個人のモチベーションと言われている「自律」「熟達」「目的」の要素を満たした組織も作ることができる (Daniel Pink, Drive )。118モチベーション 3.0: 個人の動機付けにも寄与する組織チーム構成リーダーシッププロセスチームプレイチーム外との協働自律熟達目的モチベーション 3.0の構成要素
チーム構成119チーム構成リーダーシッププロセスチームプレイチーム外との協働
良いチームを作るときに意識すべき、ゴール、サイズと組織形態、アサインについて解説する。120良いチームの構成方法ゴール(目的)サイズと組織形態アサインと入れ替え
チームには組成された目的があり、それが明確で、かつ達成可能なスキルを持つメンバーで構成されているほど良いチームであると言える。121チームの目的に合わせたチーム構成明確な目的があるチームが達成すべき目的があり、それが明確でかつメンバーに共有されていること。そしてメンバーが目的の達成にコミットしていること。もちろん成果物やその完成系は作る途中で変わってくることもありうるけれど、根本的なビジョンや目的というものはほとんどぶれないものがあると望ましい。目的達成に必要なスキルがあるタスクの遂行や問題解決に適するスキルがチーム全体として備わっていること。一人の方が早いのならチームを結成する必要もない。個々人の目的との合致大きな方向性として、チームメンバーの目的とチームの目的が合致していることが望ましい。とはいえ営利目的の企業なので、短期的な目標を達成することも重要。うまくバランスをとること。
明確な目標や目的を設定するのは難しい。そのための考え方のフレームワークとして以下のようなものがある。122明確な目的を設定するためのツールOKRObjectives個人や組織が達成したい、通常主観的かつ定性的な高い目標。多くても 5 つ程度。Key Results定量的に測定できる指標。1 つの Objective に対して最大 4 つ程度。 SMART などを参考に設定する。SMARTSpecific5W (What, Why, Who, Where, Which) に答えられるような、具体的で明確な目標。Measurableゴールは測定可能なものでなければならない。Achievable現実的で達成可能なもの。どうやって (how) 達成できるかに答えられるようなものでなければならない。Relevantチームや組織のゴールに関連しているものTime-bound期限を定めるMission& VisionObjectiveObjectiveObjectiveObjectiveKey ResultKey ResultKey ResultTo DoTo DoTo DoTo Dowhere how
複雑な課題に取り組む場合、一チームあたりのサイズは小さい方がよく、また組織形態も新しい組織形態の導入にも比較的適している。123チームのサイズと組織形態サイズは小さく複雑かつ創造性を求められるチームのサイズは、コミュニケーションコストを落とすためにも小さい方が良い。目安は 8 名以下で、できればもう少し小さい方が良い。ただしチームとして完結して動けるように、機能を損なわない程度の小ささにすること。なお、Drucker による目安としては、マネージャーの時間が 1 割以上人間関係の問題に取られていたら、人員が多すぎる。自律性を高める組織形態を複雑かつ創造性を求められるチームの形式は、極力階層的ではない組織構造が効果的だと思われる。また急激に変わる環境ではフラットなチームのほうが効果的という研究結果もある。たとえばホラクラシーのモデルの検討をしてみても良いかもしれない。ただし非階層的な組織を有効に機能させるためには、様々な仕組みを組み合わせることが必要であり、また自律的な働き方に適した人材を確保する必要がある。
多くのチームメンバーはタスクがアサインされるだけだが、一部のメンバにマネージャーという特殊な職務を与えられる場合がある。そしてマネージャーはチームのパフォーマンスに大きく影響する。124マネージャーという役割のアサインメントが起こる場合マネージャーが業績を左右Google のマネージャーに関する調査によれば、最高のマネージャーを要するチームは業績が良く、離職率も低かった。そしてマネージャーの質は、社員が辞めるか残るかを予測する唯一かつ最高の指標ということがわかった。さらに、良いマネージャーの下から悪いマネージャーに移った人は、従業員満足度調査で全 42 項目のうち 34 項目で極めてスコアが低くなり、逆の場合は高くなった。(Work Rules!)マネージャーが離職理由米国海軍の退職者に理由を聞いたところ、以下の順序で退職理由が多かった。1.上司から大切に扱ってもらえない2.積極的な行動を押さえ込まれる3.意見に耳を貸してもらえない4.責任範囲を拡大してもらえない5.給料への不満マネージャーによって退職するかどうかが決まるほか、Korn Ferryの調査では 19% の社員はマネージャーとの関係が一番フラストレーションになっていると答えている。マネージャーの役割の分散化新しい組織形態では、マネージャーの従来の役割(採用や進管理、成長の機会の提供や情報のハブとしての役目)がチームメンバーに分散化される傾向にある。ただし Google もマネージャー制を一度やめて戻したように、マネージャーはいずれにせよ必要と思われる。
Google の調査をベースに、良いマネージャーの基本性質を知り、それを常にフィードバックするようなシステムを作れば、マネージャーの質も上がるように思われる。125良いマネージャーであるために良いマネージャーであることの 8 つの属性Google のマネージャーに関する調査 (ProjectOxygen) によれば、以下の 8 つの属性を持つマネジャーが良いマネージャーである。1. 良いコーチであること2. チームに権限を委譲し、マイクロマネジメントをしないこと3. チームのメンバーの成功や満足度に関心や気遣いを示すこと4. 生産性/成果志向であること5. コミュニケーションは円滑に。話を聞き、情報は共有すること6. チームのメンバーのキャリア開発を支援すること7. チームに対して明確な構想/戦略を持つこと8. チームに助言できるだけの重要な技術スキルを持っていることマネージャーへのフィードバック以下の項目についてのフィードバックを部下から得るなどすれば良い。1. 上司は、私が成績を上げるための実行可能なフィードバックをくれる2. 上司は、「マイクロマネジメント」をしない3. 上司は、私をひとりの人間としてみて、思いやりをもって接してくれる4. 上司は、優先事項である結果/成果物にチームを集中させる5. 上司は、自分の上司や上層部から得た関連情報を定期的に知らせてくれる6. 上司は、ここ半年のうちに私のキャリアにかかわる有意義な話し合いをしてくれた7. 上司はチームの目標を明確に伝えてくれる8. 上司は私を効率よく監督できるだけの専門知識を持っている
タスクをメンバーにアサインする場合は、基本的に以下のステップを意識しながらアサインすると良い。特に完了状態を明確にしておくと後で統合するときに楽になる。126個々人へのタスクのアサインメント1. タスクを分けて一覧にタスクは明快であることが望まれる。スクラムでのユーザーストーリーでは INVEST基準が推奨されている。INVEST は以下の頭文字である。• Independent• Negotiable• Valuable• Estimable• Sized Right• Testable2. 優先順位を決めるチームのタスクプロジェクト上のクリティカルな部分や重要な項目を中心に優先度を上げていく。3. 完了状態を決めるタスクの完了状態を決めること。例えば動いている状態でなければ完了と言えない、など、明確な達成状態を定義しておくことで、余計なレビューなどが発生する。進 状態の透明性を確保する上でも完了状態を決めて、チーム全体で共有しておくと良い。4. アサインする個々人のスキルやモチベーションに合わせてタスクを割り振る。できれば個々人が自主的にタスクを取っていく形が望ましい。
一部のメンバーのパフォーマンスが著しく悪い場合、そのメンバーにチームから抜けてもらう必要が出てくる。127メンバーの入れ替えの検討凝集性が高すぎると創造性ダウン1945 ‒ 1989 年のミュージカルを分析した研究では、一般的に製作者たちの凝集性が高ければ高いほどある程度までは成功率も高まるが、最も成功するのはうまく新規と古参が混ざっている時だった(Uzzi, 2005)。これはアーティストたちが親しく、経歴も似ている場合、新しいアイデアが生まれにくいということであり、創造性を保つためにはメンバーをうまく入れ替えていく必要がある。パフォーマンスが良くない場合メンバーのパフォーマンスが良くない場合は環境が悪かったり、マネージャーとの相性の悪さ、タスクのアサインのミスが原因で、メンバー自身の能力の問題ではないこともある (根本的な帰属の誤り)。ただしどうしようもない場合は、チームから辞めてもらう必要がある。なぜなら、優秀な人は優秀な人と働きたいので、優秀な人は優秀ではない人がいるチームからすぐに抜けて行ってしまい、結果的にチームに残る人がパフォーマンスの低い「どこにも行けない」人ばかりになってしまう(TeamGeek)。解雇正直に話すこと。また解雇はその人自身の責任ではなく、チームを構成した自分自身の責任であると認める必要がある。Ben Horowitzによる、解雇の際のコミュニケーションポイントは以下の通り。• 言葉を選ぶ• 現実を受け止める• 貢献を認める(Hard Things)
チームを構成する上で考えるべきいくつかの Tips を紹介する。128チーム構成に関する幾つかの Tipsチームワーク発揮まで時間が必要チームワークが発揮されるようになるまではしばらく時間が掛かる。たとえばマイアミヒートのドリームチームも、お互いのやり方が分かり、成果を出せるまで半年かかった (Waber, 2013)。また新規メンバーを受容する仕組みがないと新規メンバーの立ち上がりが遅く、全体のパフォーマンスが悪くなる可能性がある(Facebook も初期に失敗した)。チームはダイナミックに変わるチームの状態はダイナミックに変わっていく。そのため常に最高のチームワークを実現するためには、常にチームワークのあり方を変えていく必要がある。またチームに合わない人が少数いるだけで優秀な人が抜けていくことがありうるし、その逆もありうる。そうした部分に気を使いながら、チームの変化をチーム全員で乗り越えていく。チームメンバーに責任を持つチームメンバーの採用にはマネージャーではなく、チームメンバー自身も責任を持つほうが良い。自分たちに足りないスキルや、カルチャーに合う人かどうかなどを見定めながら、自分たち自身でチームを作っているという気持ちになれるような採用制度を敷いたほうがよい。
リーダーシップ129チーム構成リーダーシッププロセスチームプレイチーム外との協働
リーダーと呼ばれる人は、以下の 3 つのすべての機能を兼ねる場合もあるし、一部の仕事のみの場合もある。複雑なタスクに取り組む組織では全員がこれらの機能を分散して持つ必要が出てくる。130リーダーシップの 3 つの機能リーディング• チームを引っ張る、あるいはサーバントのようにチームに貢献する• チームメンバーの見本となる• 方向性を示す• チームを代表する成果を出すマネージング• チームの管理や指揮• タスク遂行のための十分な資源(人、もの、金)の確保• チーム内外の情報の統合と分配• 予算の作成• 部下の評価• 人間関係の調整• チームの代表としてのチーム外との折衝や調整• リスクを冒しても大丈夫にするコーチング• 自己発見を促し、相手の中から解決方法を引き出す手伝い• 目標への道筋をつけ、一緒に探求する• リフレーミングを促す• 傾聴や質問を行う• GROW モデルなどを使ったアプローチの実施自律的な組織ではチームメンバー全員に必要自律的な組織ではマネージャーが持っていた機能の多くが細分化されて個々のメンバーに委ねられる自律的な組織ではチーム全員がお互いにコーチングしていく必要
複雑なタスクに挑む自律的なチームを構成しようとすると、これまでの様々なリーダーシップの機能を全員がそれぞれ分担して持つ必要が出てくる。131複雑なタスクに挑むチームのリーダーシップ複雑で創造的なチームに必要なリーダーシップマネージングやリーディング、コーチングといった機能をすべての人が持つようになり、特に自律的に動くためにリーダーシップは全員が持つべきになる。これまでのリーダーシップマネージャーやリーダーという役職や機能を持つ人がいて、コーチングなどを行っていた。マネージャーリーダー フォロワー命令&管理とコーチングマネジメント機能を多めに持つ人は健在互いのコーチング全員がリーダーシップを持ちながら全員が自分自身を自律的に管理する
複雑かつ創造的なタスクに取り組むチームでは、メンバー全員がリーダーシップを持たなくてはならない。132全員がリーダーのように行動する時代にマネジメントなしのリーダーシップ実際に Node.js の中心メンバーがいる Joyent では、マネジメントのないリーダーシップを実践している。自律的でフラットな組織では全員がリーダーフラットな組織では Commands & Control が効きづらくなり、意思決定者がボトルネックになりがちなため権限移譲を行って、全員がリーダーの役目の一部を負うことになる。ここでのリーダーは「自分の主張を押し通そう」とする人ではなく、「チームの使命を達成するために必要なことをやる人」(伊賀, 採用基準 )である。全員がリーダーだと混乱が起こる危険性もあるかもしれないが、全員がリーダーだと思ってる組織の方が自律的に動けて複雑なタスクをこなすのには有利である。
リーダーシップを発揮するために気をつけておくべき 3 つの要素は、チームの方向性を合わせること、チームの全体最適化、そして育成の 3 つである。133リーダーシップを発揮するために方向性全体最適化育成主にリーディングに対応 主にマネジメントに対応 主にコーチングに対応
リーダーはチームメンバーのベクトルを合わせて、チームメンバーの力を最大限引き出す必要がある。134良いリーダーはチームのベクトルをうまく合わせるウェルビーイング ウェルビーイングタスクへの有効性タスクへの有効性能力は超あるけれどチームのやる気を削ぐチームの雰囲気を良くするが、足を引っ張るチーム全体のパフォーマンスと幸福度良いチームそれぞれがほぼ同じ方向を向いて、チームの有効性に対して貢献している。悪いチーム方向性が合致していないので、結果的にチームとしての力が出ていない。
ベクトルを合わせるには、何よりチームのゴールを個々人のゴールとして認識してもらうことが大事。135リーダーは方向性の指示とゴールの共有が何より大事ゴールがチームで共有ができていないと部分最適化に陥りがち(パーキンソンの法則)個人の作業が予定より早く終わったりして余りの時間ができたときに、自分の作業の品質を上げるために締め切りギリギリまで作業をしてしまったり、サボったりして、チーム全体のゴールに対して貢献度の低い仕事に時間を使ってしまう。自律的に動けても協働できないゴールが合わないまま好き勝手動かれると、結果的に協働が難しくなる。実質的には依存関係のあるタスクに手戻りが多くなったりする。ゴールがチームで共有できていると全体最適化が行えるチームのゴールが自分のゴールだとわかっていれば、個人の仕事が早く終わったとき、自発的に別の人の仕事を手伝い、チームのゴール達成により貢献できるように動く。自律的に動きつつ協働できる最終的なゴールが一致しているため、個々人の判断で動いても結果的に協働することになる。
リーダーはチームの方向性を合わせるために、繰り返しゴールやその意味をチームメンバーと共有する必要がある。The significance of task significance: Job performance effects, relational mechanisms, and boundaryconditions136リーダーはチームのゴールを行き渡らせるチームのゴールの明確化と共有日々の仕事や雑務をしていると、誰もがつい大きなゴールや目的を忘れがちになってしまう。リーダーは大きなゴールを何度も繰り返し、リマインドする必要がある。また明確な完了状態の共有が必要になる。例えばスクラムでは「実際にユーザーが使える状態」を完了とする。意味やストーリーを持たせる個々人に割り当てられる、細分化されたタスクはつい意味を見失いがちになる。リーダーは大きな方向性を見せつつ、そのタスクに対して意味を見出せるように説き続ける必要がある。事実、タスクに対する意味を把握している場合、その人のパフォーマンスは高くなるという研究結果が出ている (Grant, 2012)。意味を持たせる上で、ストーリーを語ることは人間の理解を促進する良い手段である。達成のための補助ゴールを言うだけではメンバーは納得できない。リーダーはメンバーに対して奉仕するように、• 実行に必要な資源の確保と提供• 行動の手本となる• 意思決定をする
http://sss.ph9.jp/characters/ 137「我々の間には、チームプレーなどという都合のよい言い訳は存在せん。あるとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけだ」ができるのも、タスクのゴールが明確で共有されてるから。公安9課課長 荒巻大輔攻殻機動隊 S.A.C. 第5話
チームメンバー個々人がチームのゴールを個人のゴールとして見做した後は、チームメンバー全員がリーダーとして全体最適化を意識して動く必要がある。138リーダーによる全体最適化の手法優先順位全体最適化は優先順位の決定から始まる。優先順位はチームで合意することが重要となる。ユーザーストーリーマップや、重要性-不確実性の軸、重要度-緊急度の軸、プロジェクト憲章などのツールを使いながら、チームでの優先順位を定めると良い。フローの管理と最適化仕事の全体の効率化を行うのも全体最適化の一種である。その際には個々人の一つ一つの仕事の質を見ていくのではなく、チームの仕事をシステムと見立てて、タスクの流れを全体で最適化するという視点で全体最適化を考えるとわかりやすくなることが多い。難しい問題へ率先して取り組む優秀ではない人がひとりいるだけでチームの生産性やモチベーションが下がる、といったような、たった一つの問題が多大な影響を及ぼす、というケースがある。しかしそうした問題を簡単に解決することは難しく、避けて通りがちになる。リーダーはこうした問題に率先して取り組む必要がある。特に以下のような問題に顕著。• 人や組織の問題• プロセスの問題以降のページで解説 以降のページで解説意思決定のスライド参照
タスクのフローの全体最適化を行うには、以下の 3 つのポイントに気を払うと良い。139フローと全体最適化の管理制約への対応タスクの処理をシステムとみなし、マップ化してみたとき、システムには通常、システム全体の動きを規定する制約がある。その制約に対応する必要がある。フローの流れを早くする小バッチ化や自動化などをすることで、タスクのフローの流れを早くする。フローを乱す例外への対応フローは割り込みや例外に大きく影響を受ける場合がある。チーム外からの予定外のタスクの発生や、ミスによる手戻りを避けるために、フローを乱すもにに対しての予防や対策をしておくと全体がより効率かされる。たとえば:• 割り込みや例外の原因を見つけて対処する• 割り込みや例外に強いシステムを作る
システムのボトルネックとなっている部分を見つけて、それを活用したり、能力を高めると全体のアウトプットが良くなる。制約は悪ではなく制約によりコントロールが行えることに目をつけると良い。140制約条件の理論を意識した全体最適化1. システムの制約条件を見つける組織のゴールを確認し、システム全体のパフォーマンスに影響を及ぼすものを見つける。多くの場合は、そのプロセスのい前にあるタスクの在庫で発見される。2. 制約条件を徹底活用 (exploit) する制約とみなされたプロセスの有用性と効率性を増やす。3. 制約条件以外を制約条件に従属ほかのプロセスはボトルネックに奉仕する。4. 制約条件の能力を高めるボトルネックの許容量を上げる。5. 制約条件が解消されたら 1 に戻るボトルネックは移動するものなので、ひとつ解決すれば次のボトルネックの処理に移る。今回はここに着目
チームのアウトプットの全体最適化を行う上で、よくボトルネックとなるのは、人とシステムの場合が多い。141制約条件の理論から見たときの全体最適化人 システム
人がボトルネックになっているケースは以下の 3 つの場合が多い。またこれらとは別に、タスクの受け渡しに要する時間の短縮もチェックすること。Project Phenoix など 142TOC: 人が制約条件となっているケース優秀な人仕事は知識の多い人や優秀な人には仕事が集まりがちで、かつ緊急のタスクの割り込みが頻繁に入るため、重要なタスクができない。また休んだりすると全体のパフォーマンスが落ちる。解決策• 全体のフローで今現在ボトルネックになっている仕事以外をさせないアンチパターン• 同じ役割の人を「増やす」のはあまり効果がない (人月の神話)生産性 (スキル) の低い人その人に仕事が渡った瞬間にタスクが止まってしまうのでボトルネックが分かりやすい。解決策• アサインメントを変える• トレーニングをする(ただし多くの場合あまり効果はない)意思決定者意思決定に時間がかかるほか、レビューが最も手戻りを発生させる。スタートアップにおいては CEO がボトルネックになりやすい。解決策• 意思決定も含めて仕事を任せる(作業だけではなく丸ごと任せる)• 意思決定のプロセスを定める
システムが制約条件となっているケース。カンバンなどを使うとどこがボトルネックになっているのかがわかりやすい。143TOC: システムが制約条件となっているケース老朽化したプロセスやポリシー申請や承認プロセスをはじめとした、本来仕事を早く確実に進めるためのプロセスが老朽化して、現在のビジネス環境に合致していないケースがある。老朽化は時間の経過の如何にかかわらず発生しうる。解決策• プロセスの定期的な見直しゆとりのなさ一部のシステムは例外に弱いことがあり、例外が発生した途端にボトルネックになることがある。例えば常に手術室がフル回転だったセントジョンズ病院では、あえて常に手術室を一つ使わずに開けておくことで、手術件数は 7 ∼ 11%増加した (Crute, 2005)。解決策• 小さなバッチに対応できるようにする• あえて 100% の稼働にはせず、90% で運用して例外発生時用のゆとりをもたせておく手作業によるばらつき一部、人の手作業が入る部分はアウトプットにばらつきが出やすい。システムの一部にばらつきが出ると後工程へ影響し、手戻りが発生したり、システム全体のアウトプットが落ちることがある。例えばデプロイ作業などは自動化した方が良いが、その作業がどの程度繰り返されるかにもよる。解決策• 手作業の自動化• ツールの導入
フローの流れを最適なものにしていくためには、小バッチ化を検討してみると良い。144フローの流れを早くする: 小バッチ化大きなバッチ大きな仕事を小さな仕事の粒にして流していく
バッチサイズを大きくして大量生産を行えば一見効率が良いように見える。145一見バッチサイズが大きいと効率的に見えるセットアップタイムプロセスタイムキュータイムウェイトタイムセットアップタイムは変わらないので、バッチの回数分時間が長くなっている在庫の流れ一気に流した方がプロセス間の輸送の回数が少なく早い。時間の流れ個人レベルで考えるならバッチサイズは大きい方が作業に集中できるし、直感的に考えても一気にやったほうが早い。プロセス A プロセス B プロセス Cバッチサイズ大バッチサイズ小
逆にバッチサイズが小さいメリットは、マーケットのニーズに合わせて供給の変動を行いやすいという点(プルでの生産)。また一部の業務では、理論的にはバッチサイズが大きいほうが早く思えるものの、実際にはバッチサイズが小さいほうが早いケースもある。146実際にはバッチサイズが小さい方が早いこともある例)One Piece Flow Simulation封筒を作るのに、手紙を 10 枚折って、10 個入れて、とやるより、一つずつ封筒を作った方が早い。これは、大量生産モデルには、ひと束の在庫の移動の時間や、失敗時の一括修正のコスト、待ち時間など、「隠れたコスト」が含まれているから。また作業を分けると作業の目的や意味も見えにくくなる。https://www.youtube.com/watch?v=Bi9R1Hqr8d
さらに何か問題が起こった時、一個流しであれば作業がムダになる可能性が低い。これは特に不確実な状況下では大きなメリットになる。147例) 小バッチだとミス発見時のムダの発生が少ないムダ大きなムダが発生する在庫的デメリット前工程の作業者に大きな割り込みが入る(例えば資料を全ページ作成後にレビューを出して、根本からやり直しになる等)大きなムダが発生する時間的デメリットやり直しのタイミングが遅くなり、効率が悪い(ソフトウェア開発におけるバグの修正速度は、開発直後と数週間後では数十倍違うと言われている)
すべての場合におおいて小バッチ化が有効というわけではないが、様々な場面で小バッチ化は活用されている。リーダーはこうした手法の採用を検討しながら、全体最適化を目指す必要がある。148小バッチ化の例ハードウェアセル生産方式が有名。小ロット多品種生産に向いており、またフレキシブルなため、マーケットの需要の変動に対応しやすく、在庫の圧縮を行いやすい。ただし一人当たりの作業範囲が広くなり、多能工となる必要が出てくるため、作業員に高いレベルのスキルが必要となる。また作業員のスキルに量や質が依存するほか、教育に時間がかかるため、頻繁に人員が変わるような職場には向いていない。場合によっては点検装置を多数確保して質の担保を行う。ソフトウェアAmazon では 1 時間に 1000 回デプロイしていると言われているほか、Cookpad では 1 日に 10 回のデプロイが実施されている。またチームも細かい機能別にチームに分けて、それぞれにプロダクトオーナーをつけて実装しているところもある。こうした小バッチ化を実現するために、様々な自動化が行われている。「継続的デリバリー」などを参照。
予測可能性、頻度、影響度などを軸にして、優先順位をつけて対応していくことでフローの乱れを制御できる。149フローを乱す例外への対応予測可能性が高く頻度も高い例外起こることがある程度わかっているものに対しては、原因を見定めて事前に策を講じておく。例えば以下のようなものがある。レビュー権限移譲が不十分の可能性があるので、レビューそのものをなくせないか検討する予測可能性が低く頻度が高い例外いつ起こるかは分からないが、よく起こることに対しての対処も必要である。例えば以下のようなものがある。顧客対応顧客対応専用の時間の確保などで解決できる可能性がある。また問い合わせが多い場合などは Q&Aを拡充するなどで対応できる。上司の思いつき事前の優先順位の合意や期待値調整で回避できる可能性がある影響度が大きい例外頻度はそこまでないが、影響度が大きいものはリスクマネジメントをしておく。ここではその手法については触れない。例えば以下のようなものがある。• クリティカルな人員の長期病欠• 障害対応やセキュリティ対応
好感度とリーダーを混同せず、難しい問題に対処すること。Udemy の調査では 75% のメンバーがリーダーに好感を持ちながら、優れたリーダーだと見なしているのは 28% しかいなかった。150全体最適化のための「難しい問題」への対応例外的な意思決定への対応リーダーは、規則を守るべきか破るべきかの難しい判断を求められることが多く、その例外を適切に処理するのが仕事であると言える。また確実な情報のない中で、責任を持って判断を行うことも仕事の一種である。人間関係の問題への対応パフォーマンスが悪いメンバーや、問題を起こすメンバーと率先して話し合う。皆が正しいと思っているけれど口に出さないことや、気付いていないことを勇気を出して行ってみる。遅らせるとチームへの悪影響が大きい。問題を提言して、ことを荒立てたり、自分の好感度を下げたりするときもあるかもしれないが、チームをよくするためには妥協しないという姿勢が必要になる。フィードバックチームや人へのフィードバックはつい後回しになってしまいがちだが、リーダーが率先して行う。
優れたリーダーはチームメンバーの育成にも責任を持つ。チームが長期的に効果を上げていく上で、常に向上し続けることが重要で、その牽引役となるのがリーダーである。151育成後進の育成優れたリーダーは後進を育て、自分がいなくなった後でもうまくチームが回るような状態を作る。(優れたリーダーはすぐに昇進するので特に必要)一部のリーダーは、リーダーというポジションを自分が目立つために利用するが、リーダー。後継者がさらに後継者を育てるような仕組みが作られれば完璧となる。タスク上のコーチングの実施自分の実力より少し上のタスクに自ら挑戦してみたり、あるいは権限移譲を行って他の人にやってみてもらったりする。他の人ができるようになることで、自分自身がボトルネックになるのを避けることもできる。また自律的な組織では、ピアレビューなどを通して通常の業務の中でお互いにコーチングしていくことが重要。キャリア開発の支援社外での登壇機会を与えたり、社内で互いに教えあったりすることで、キャリアの開発を支援する。人材が外部に流出するリスクもあるが、個人の成長を促すことは長期的に見てプラスである。
最後にリーダーのパターンとアンチパターンについて示す。Team Geek 152リーダーのパターンとアンチパターン (Team Geek)アンチパターン• 自分の言いなりになる人を採用する• パフォーマンスの低い人を無視する• 人間の問題を無視する• みんなの友達になる• 採用を妥協する• チームを子どもとして扱うパターン• エゴをなくす• 禅マスターになる• 触媒になる• 先生やメンターになる• 目標を明確にする• 正直になる• 幸せを追い求めるその他の Tips• 移譲せよ。ただし手は汚せ。• 自分自身を置き換えようとする。• 事を荒立てるときを知る。• カオスからチームを守る。• チームを空中援護する。• チームのいいところをフィードバックする。
チームプレイ153チーム構成リーダーシッププロセスチームプレイチーム外との協働
チームメンバー全員は、チームの文化、コミュニケーション、規則に責任を持たなくてはならない。154効果的なチームプレイを実現するために文化 規則コミュニケーション
155エンジニアは、チームリーダーがチームの文化を作ると勘違いしている。これは真実とはほど遠い。創業者やリーダーも「文化が健全かどうか」に気を配っているが、チームの文化の定義・維持・防御に責任を持つのはチームメンバーだ。誰かが新しくチームに参加したときは、チームリーダーから文化を教えてもらうのではなく、チームメンバーから学ぶのであるBy Google GWT チーム
チームにもミッションやバリューといった、ハイレベルでの同期が必要である。そしてその文化の伝達は、リーダーやマネージャーが行うものではなく、チームメンバーによって行われる。Team Geek 156文化: チームのミッション、バリュー、プラクティスミッションチームにもミッションが必要で、するべきこととやらないことを決める。Google GWT チームのミッションステートメントは「GTW のミッションは、開発者が既存のJavaツールを使ってAJAXを構築できるようにすることで、ユーザーのウェブ体験を劇的に改善することである」。これは Google 全体ではなく、GWT チームだけのミッションである。バリューGoogle GWT チームでは HRT が採用されている。• Humility (謙虚)• Respect (尊敬)• Truest (信頼)このバリューを内面化し、日々のやりとりで実施することが重要とされている。(知っていることと行動できることは違うので注意)プラクティスミッションやバリューを、行動できる形で落とし込んだものがプラクティスである。各社の様々なプラクティスについては、以下のスライドを参照。
また創造性が必要となるチームでは特に以下の文化の醸成を行うよう意識すると良い。157創造的なチームに必要な文化全員が助け合う特定の人に頼ったり、特定の人が助けるのではなく、チーム全員がチーム全員と助け合う文化を作ること。心理的安全心理的安全の確保が挑戦や失敗への学びを促進してくれる。たとえば創造的なアイデアが好きだという人も、ほんの少し不確実な状況に置かれただけで創造性から実用性に傾く (Mueller, 2010)。また心理的安全があれば、失敗を報告しやすく、チーム全体が学びを共有しやすい (Edmondson,1996)。小さな改善を繰り返す創造的なチームは「何をするにも必ずもっと良い方法があると考える」。そうした改善に挑戦できる文化を作る。
チームの有効性は「タスクへの有効性」と「ウェルビイーング」の 2 軸で測られるとしたとき、コミュニケーションはその両方に大きな影響を与えるため、コミュニケーションは重要な要素となる。Social Time Crucial to Daily Emotional Wellbeing in U.S. 158チームがコミュニケーションに責任を持つべき理由生産性への影響コミュニケーションはチームの生産性に大きく影響する。タスクの状況の透明化や手戻りの削減などができるだけではなく、メンバー間のやり取りが増加するだけでも、チーム全体の効率が 35% 上昇する(Pentalnd, 2012)。またお互いの学習を促進する上でもコミュニケーションは重要な要素となる。ウェルビーイングの確保人が生き生きとした一日を過ごすためには、誰かと一緒に過ごす時間が 6 時間必要であり、仕事で疲弊しないためにもチームが必要となる(実際フリーランスは精神的な辛さや孤独さを抱えがち)
チームの有効性を高めるためには、フォーマルとインフォーマルなコミュニケーションの両方をうまく組み合わせる必要がある。159フォーマルとインフォーマルなコミュニケーションフォーマル会議や報告書のほか、相談などがフォーマルなコミュニケーションと言える。制度の中にフォーマルなコミュニケーションを効果的に入れ込むことで、チームの生産性は良くなる。今回はこちらのフォーマルなコミュニケーションを中心に解説する。インフォーマルインフォーマルな会話が多いほどチームの生産性も良くなる (Weber, 2013)。これはインフォーマルな会話の中で人の情報や仕事の情報、ノウハウなどを共有しているからだと考えられる。インフォーマルなコミュニケーションを促進するためには、様々な方策が取られている。• 休憩時間を同時に取る• 人の集まる場所を設計する• オフサイトミーティングを行う
何をコミュニケーションするか、どうやってコミュニケーションするか、いつコミュニケーションするかなどを考えながら、最適なコミュニケーション方法をチーム内で調整していく。160コミュニケーションの内容、ツール、リズム内容どういう内容をコミュニケーションすべきかはチームによって異なる。タスクの有効性を考える上では、振り返りはやったほうがよい。• フィードバックや振り返り• プランニング• 進 の同期• お互いの助け合い• 手戻りの削減• フィードバック方法論やツールコミュニケーションの内容はその方法やツールによって制約されたり、大きく変化したりする。そのため適切なツールを選択することが重要になる。• brainstorming• ピアレビュー• ピアメンター&ピアコーチング• 事前検死• プランニングポーカー• 雑• KPT• やっていないことは何か?リズムとタイミング「スクラムの真髄は周期性」といった言葉 ( Scrum ) や、フィードバックは直後が良いという研究結果などが示すように、コミュニケーションはそのタイミングやリズムが重要である。• 都度• 毎日• 週次• プロジェクトごと• 四半期や一年に一度
チームの生産性を向上する上で重視してほしいコミュニケーションは振り返りである。そして振り返りをした後は必ず次に何をすべきかを決定すること。161行うべきフィードバックや振り返りタスクへのフィードバック複雑なタスクの場合、30% ルールで頻度を高めにレビューやフィードバックするのが効果的。プロセスへのフィードバック成果物や一定期間のデータなどを見ながら問題を発見し、プロセスの改善を行う。例えば以下のような振り返りの仕方がある (Scrum)• 「プロジェクトの進み方で変えられるところはないか」• 「仕事を進める上でどこが一番の難関だろう」ウェルビーイングを意識した場合は以下のようになる (Scrum)。1. チームでの自分の役割について、1 ‒ 5 で表すとどう感じてるか2. 同じく 1 - 5 で表すと、チーム全体についてどう感じているか3. なぜそう感じるのか4. 何をひとつ変えればもっと幸せだと感じられるかパフォーマンス フィードバックパフォーマンスフィードバックは多すぎても少なすぎても良くない。適切な回数行うこと。また上から下へのフィードバックだけでなく、下から上へのフィードバックや、同僚同士のフィードバックを組み合わせる必要がある。
コミュニケーションの内容はその方法によって制約されたり、内容が大きく変化する。そのため、効果的なツールを知っておくことが重要と言える。以下では便利なものを紹介する。Game Storming など 162コミュニケーションを規定するツールや方法論を知る事前検屍チーム内からネガティブな意見を集める時に有効。これから始まるプロジェクトが大失敗に終わった場合の原因を全員で考え、その原因に対する対策をあらかじめ講じておく。ポストアップとあるトピックについてディスカッションする時、誰かが話しすぎないようにするために、各自でブレインストーミングしてから張り出す手法。事前に意見を書いてもらい持ち寄ってもらう形でも可。マップ化User Story Mapping やCustomer Journey Map、Experience Map、損得マップなど、マップ化することによってチームの共通認識を得て、優先順位をつけたり、議論の踏み台にする。ドット投票や 100 ドルテスト民主主義的にスピーディーに優先順位をつける手法。100 ドルテストも有効。ただし民主主義的な投票が常に良い結果を出すわけではないので注意。エレベーターピッチや PR 法プレスリリースの文面を考えたり、短時間でアイデアを話すようにすることで、アイデアの重要なポイントの取捨選択をすることができる。円グラフアジェンダ会議の時間の使い方を円グラフで描いて可視化する。優先度の高い順に時間を割り当てながら、議題に抜け漏れがないようにする。
フォーマルなコミュニケーションのリズムは、要件や状況の変更がどれだけ変わりやすいかで調整すると良い。163コミュニケーションのリズム: 変更可能性次第で調整高要件や状況の変更可能性高ミーティングの頻度デイリースタンドアップミーティングや Dailies毎週のチームミーティングプロジェクト振り返りミーティング状況の変更の可能性次第で適切な頻度を決める都度報告
コミュニケーションに周期性を持たせることで、より効率的にコミュニケーションが進む。164コミュニケーションのリズムと周期性デイリーのコミュニケーション要件や環境の変化が激しい場合は、毎日の進 チェックをしたほうが良い。スクラムのデイリーミーティングは全員参加の上以下の質問で現状を確認して、互いに助け合える点を探し、今日の最重要事項を互いにわかっている状態にする。1. チームがスプリントを終了するために、昨日何をしたか2. チームがスプリントを終了するために、今日何をするか3. チームの妨げになっていることは何かこれはボーランドでの生産性の高いチームのプラクティスを応用している。Pixar でも Dailies というプラクティスで成果を毎日互いに見せ合っている。ただし進 確認だけにならないように注意すること。週次もしくは隔週、プロジェクトの切れ目会議を全くやらないチームよりも、どんなに非効率でも週次で会議をしているチームの方がパフォーマンスは高いので、必ず定期的に持つべき。スクラムのスプリントレトロスペクティブや、Pixarの手法、KPT (Keep, Problem, Try) などをうまく組み合わせて、効率の良い質問と報告、議論を行うと良い。またプロジェクトごとにまたやりたいことを 5 つ、もうやりたくないことを 5 つ挙げてもらう方法などもある (Pixar)。ポジティブなこととネガティブなことのバランスをとること。
そのほか、コミュニケーションをする上での Tips を挙げる。165コミュニケーションの Tipsインフォーマルなやりとりパフォーマンスの良いチームはインフォーマルなやりとりが多かった。またアイデアや情報を得るためにチーム外とのつながりも多い傾向にあった。(Pentland, 2012)イーブンな量を話す良いチームのチームメンバーは同程度に話したり聞いたりしていた(誰かがずっと喋るなどはない)(Pentland, 2012)議論を必須に推論の課題に対して、チームでの議論が必要条件に入るとその成績が向上した (Schultz, 2006)。朝に会話する朝に一度でもコミュニケーションすることで、その日1日のコミュニケーション量が増えるので(Waber, 2013)、朝に行うのをお勧めする。感謝を伝える感謝の気持ちを表すことはチームメンバーの親密さを増す (Algoe,2008)。またマネージャーが感謝を示すことで、従業員の社会的価値の感じ方が増す (Grant, 2010)。コミュニケーションを学ぶ良いチームはコミュニケーションのパターンを柔軟に変化させて、コミュニケーションの方法を学んでいた (Pentland, 2012)。
チーム個々人の生産性を最大限にするために、チーム内で規則を設けることもときには必要となる。166規則チームの生産性やモラルを高める規則を設けることでチーム全体の生産性を高めることに寄与する場合もある。たとえば以下のようなものがある。• 日報などのコミュニケーションの規則• 出社時間帯やコアタイムを合わせることで、コミュニケーションを行えるようにする規則• オフィスで寝ない、片付けをするなど、モラルを低下させることをさせない規則規則は極力少なくただし規則を作れば作るほど自由度が落ちてくる傾向にあるので注意すること。規則は少なければ少ないほど良い。もともと規則が必要となる状況は、採用や文化がうまくいっていないことが原因となっている場合もある。できるだけ規則を作らずに対応できるような状況を作ることがまず望ましい。
プロセス167チーム構成リーダーシッププロセスチームプレイチーム外との協働
チームの有効性に関係する二つのプロセスについて以下では解説する。168チームに関するプロセスの 2 種類タスクの達成度を高めるプロセスウェルビーイングを高めるプロセス• プロジェクトマネジメント• 意思決定プロセス• 評価プロセス• 意思決定プロセス
既存のチーム用プロセスや方法論はその背後に思想があり、スコープがあり、実践がある。169良いチームプロセスはタスクや視点によって異なる誰から見た方法論かたとえば以下のように、見ている視点によって刺さる方法論が異なったりする。タスクと相性の良い方法論かタスクの種類によって、方法論は使い分けた方が効率が良い視点 見ているスコープ 刺さりやすい方法論経営者 会社全体の最適化や利益、予測可能性ウォーターフォールやリーン開発プロジェクトマネージャーチームの最適化やチームのコミュニケーションの問題Agile (Scrum) やPM 方法論開発者個人 個人の生産性 XP やデザイン思考タスクの種類 刺さりやすい方法論計画重視 ウォーターフォールや CCPM適応型タスクの変更可能性高Agile (Scrum) やリーン開発探索型適切なタスク自体不明リーンスタートアップやデザイン思考
良いプロセスは過去の知見や経験から、フレームワークや方法論の形でまとめられている。下記の図は粗めにまとめたものである。170巨人の肩に乗る: プロジェクトマネジメント方法を活用探索タスクが分からない適応タスクが変わりやすい計画/実行重視タスクがあまり変わらない不確実性高担当者のスコープ経営陣プロジェクトマネージャー開発者個人 XPリーン開発スクラムリーンスタートアップデザイン思考CCPM(TOC)ウォーターフォール反復型開発各種業界のベストプラクティス
常に同一のやり方がすべてのタスクに当てはまるわけではない。タスクの種類や置かれた状況によって使い分ける方が良い。また自分たちのチームに171タスクの種類によって適切な方法論は異なる探索タスクが分からない適応タスクが変わりやすい計画/実行重視タスクがあまり変わらない不確実性高担当者のスコープ経営陣プロジェクトマネージャー開発者個人 XPリーン開発スクラムリーンスタートアップデザイン思考CCPM(TOC)ウォーターフォール反復型開発今回のタスクに最適ななのはこれ開発チームはずっとこれ前回のタスクに最適だったのはこれ各種業界のベストプラクティス
各方法論は Iron Triangle の可変の部分を変えているものだと考えると理解しやすい。それぞれ何かを諦めて(制限をつけて)、その中で最適化している。172PM 方法論によって可変の部分が異なる(Variable)TimeScope Resource(Variable)ScopeTime ResourceCCPM Agileバッファマネジメントが重要になるスコープの変更(バックログの管理)が重要になるWaterfall(Variable)Time(Variable)ResourceScope
方法論はあくまで一般的なやり方をまとめただけなので、それにずっと従う必要はない。自分の今のチームにあったものを採用すること。173ただし方法論の奴隷にならないこと方法論の奴隷にならない方法論を形通りにやってみるのも型を学ぶ上で重要だが、方法論を当てはめることだけに注力しない。すべてのチームに方法論がそのまま当てはまるわけではないので、自分たちてカスタマイズしたり、一部を取り入れるところから始めると良い。形骸化したアジャイルへのカウンターとしての GROWS メソッドの議論なども参照。方法論の思想や考え方を理解方法論には背景に必ずコンテキストや思想があるので、その思想を学ぶこと。とはいえ、実践しているうちに学べるものも多い。常に自分で考え改善すること完璧な方法論はないので、自分たちで模索すること。プラクティスを組み合わせたり、時には外部に知識を出してみて、フィードバックを受けるのも効果的。またチーム自体がダイナミックに変わっていくものなので、方法論自体もその時々のチームに合わせて変えていくことを検討しても良いと思われる。
人が不審を抱くのは、結果の公平な配分ではなく、プロセスにおける透明性であることが多い。そのため、意思決定や評価のプロセスを効果的に開示しておくと良い。174ウェルビーイング確保のためのプロセス手続き的公正手続き的公正(procedural justice)、つまり結果が出るまでにフェアなプロセスを ったかどうかは、人間のモチベーションに大きな影響を与える。実際、プロセスが公正であると納得している人は、信頼とコミットメントが高く、積極的な協力を行う (Kim,2003)。また職務満足、マネージャーの評価、コンフリクトあるいは調和、経営への信頼に対して強い影響があるとされる (Alexander, 1987)。フェアなプロセスを確保するためには、エンゲージメント、説明、期待の透明性が必要(Kim, 2003)。意思決定のプロセスプロセスを策定しておくと、幾つかのメリットがある。• 既定の意思決定のプロセスがあれば個々人で意思決定を下すことができる• プロセスがあれば常に一定以上の成果を出すことができる• 逆にプロセスが不透明だと不信感が生まれるPixar の原則の一つに「プロセスを信じよ (Trust theProcess)」というものがある。これは、クリエイティブな作業には必ず困難や失敗がついてくるが、プロセスに従って進めば切り抜けられる、と信じるに足るプロセスと人が Pixar 社内にあるから。
チーム外との協働175チーム構成リーダーシッププロセスチームプレイチーム外との協働
チームの行動はチーム外によって大きく左右される。そのため、チーム内のことばかりに目を向けていても破綻することが多い。チームメンバーはチーム外とうまく働く術を身に付ける必要もある。176チーム外に目を向ける理由チームはチーム外のためにある多くの場合、チームが存在するのはチーム外の顧客や社内に対して価値を提供するためであり、チーム外とのつながりがないチームは存在しない。またチームのタスクや目的はチーム外の動きに大きく左右されることが多いため、チーム外に常に気を配らなければならない。(たとえば突然チームの目的外のタスクが降ってくることがままある)チーム外のリソースを上手に使わなければ回らない社内の別部門や社外のリソースをうまく使うことで、チームの有効性が高まる場合がある。また逆に、チーム外のリソースをうまく使わなければ仕事が進まないことも多い(たとえば何かを購入するにしても、調達部門との調整が必要な場合がある)。そのため、チーム外との良い関係性を結んでおくことはチームの有効性を高める上でも重要であると言える。
チーム外とのコネクションは情報収集の面で役に立つほか、チーム外にチームの有効性を伝えることで社内や外部から優秀な人がチームに参加してくれる。177情報収集や採用のためにもチーム外との協働が重要チーム外とのつながりは効果的チーム外とつながりが多いチームほど、パフォーマンスが良いという研究結果がある。また情報収集においても、弱い紐帯を数多く持っているほうが様々な情報を入手しやすい。そのほか、エンジニアにとってはコミュニティとのつながりはキャリア形成にとっても重要である。採用のためにもチーム外と関わる良い人材を採用し、チーム内に新陳代謝を起こすためにもチーム外との協働が重要。特に自律的なチームであり、大きな目標があって、学習できるチームであれば参加したいという人も現れてくれる。また複数のコミットメントの形態を用意しておくことで、様々な関わり方ができるようにしておくと良い。Reid Hoffman TheAlliance などを参照。
(番外編)特殊なチーム178
才能のある人材を捕まえるためにもリモートワークの導入を検討しているところも多い。ただしリモートチームには特有の注意すべき点がある。179リモートチームの場合複雑なタスクは苦手全般的にリモートチームは複雑なタスクが多く、メンバーが多く、またパートタイムが多い状況は苦手であると言われている (West, 2012)。また同じ場所で働くチームはバーチャルチームよりも 2 倍の仕事をしたという研究もある (Olson, 2000)。感情面では、認知的信頼は比較的早く起こるが、情緒的信頼は起こりにくい (Rocco, 2000)。約束が破られた時などは、遠方にいればいるほど否定的な感情になりやすい (Cramton, 2002)。処方薬はあるリモートワークをする場合、様々な手法を駆使してリモートワークのデメリットを回避するべき。• 最初は必ず Face to Face でコミュニケーションして信頼を作る• 定期的に直接会う機会を設ける• タスクを明確にして自立する• 役割意識を持つ• ツールを使った非同期的なコミュニケーションを中心として活発な情報交換を行う• 感情の手がかりを共有し、難しい問題が起こる前に対処する具体例としては、 Remote , などが参考になる。
CEO 単独よりもトップマネジメントチームのほうが組織の成功により影響することがわかっている(Finkelsteiin, 1996; Hambrick, 1994)。このためトップのチームへの理解が大事である。180トップマネジメントチームの場合タスクよりも人間関係トップマネジメントチームは、特定のタスクに関わるというよりも他者と共同して組織の問題を解決するスキルが必要である。また、トップマネジメントチームの信頼、対立、協力のレベルは組織全体に広く影響されることがわかっている (Farrell, 2004)。トップチームのメンバーの信頼感が高いほど、従業員はイノベーションを起こしやすく感じている(Albercht, 2003)。トップが気をつけるべきこと• 振り返りの時間を確実に入れる(多くの場合ほかの作業を優先して、先延ばしにされがち)。振り返りは生産性の向上に大きく寄与する (West, 1996)。• 多くの場合、戦略は言葉で走っていても、共通の理解をしていない (Wageman, 2008)。必ず実践的な意味の共有を行う。• 意見や判断の違いについて、それを乗り越える勇気を持つことが目的達成に重要 (Wageman,2008)。何よりも規範になるトップマネジメントチームは会社の規範となる。特に以下の項目について強いスキルが必要となる。• 情報共有• 目標設定• フィードバック• 対立のマネジメント• タスクの分担と連携• 協働的な問題解決特にトップまで上り詰める人は自我が強い傾向にあるので注意する。
まとめ181
182チームワークは難しい
183チームワークは難しいだからこそ、良いチームワークを持つチームは大きなアドバンテージを得る (再掲)
良いスタートアップのチーム184
良いスタートアップのチームは良いチームの部分集合である。これまでの良いチームの条件を満たした上で、スタートアップ特有の状況を考えながらスタートアップの良いチームについて考察する。185良いチームと良いスタートアップのチーム良いチーム良いスターアップのチーム
186Photo by Dave Thomas,released under the Attribution Creative Commons license,from http://www.paulgraham.com/bio.htmlStartup=Growthhttp://www.paulgraham.com/growth.html
スタートアップのチームの有効性は事業の成長によって測られる。またタスクとしては仮説検証が多く発生する。187スタートアップのタスク=急激な成長のための仮説検証目的:急激な成長スタートアップは急激に成長するようデザインされた組織であり、成長の達成が目的である。急成長を実現するためには、多くの顧客が求める価値(多くはまだ見つかっていないもの)を提供する必要がある。急激に成長する過程で、頻繁に状況や目的が変わる。タスク:仮説検証スタートアップの主なタスクは「急激な成長が可能な仮説」を検証することになる。リソースが限られているため、極度にフォーカスして物事を進めていく必要が有る。ウェルビーイング: 仕事による回復創業者がバーンアウトするときがある。そのときは休暇をとったりするのではなく、少しでも仕事を進めることがバーンアウトへの最大の対策となる (Sam Altman)。小さな成功でも良いので積み重ねることが重要。
良いスタートアップのチーム188
上述した 5 つのポイントに関して、それぞれの内容をスタートアップに当てはめながら解説する。189スタートアップの良いチームを実現するために1. チーム構成2. リーダーシップ4. プロセス3. チームプレイ5. チーム外との協働
スタートアップはチームの構成に関して自由度を持つが、少人数のときはひとりひとりの影響度が大きいので、採用は慎重に行ったほうが良い。1901. チーム構成目的(ミッション)ビジョンに共感する人材を中心に集める。そうすることで意識合わせが楽になる。人材採用には十分に時間をかけたほうが良い。特にスタートアップ初期はプロダクトピボットが行われやすく、プロダクトレベルでの目的合せよりも、ビジョンレベルでチームと個人の目的が一致していることが望ましい。サイズと形式サービスに適した、将来的な組織構造を初期から意識しておく。ソフトウェアエンジニアリングが中心の場合は、ホラクラシーなどの自律的な組織の検討もすると良い。ただしその際も自社のプロダクトや組織にあった人材を採用すること。アサインと役割短所のなさより長所に目を向けてアサインすること。自分がやったことのない職務であれば、一度自分がやってみて、どういう人であれば適切に職務をこなせるかを考えてみてもいい。なお最良の採用戦略は、採用をしないことである (Sam Altman)。
スタートアップのメンバーは全員がリーダーシップを持ち、チーム全体のために奉仕する意識で働くことをお勧めする。そのためにも方向性やビジョンはチーム全員が納得するものが望ましい。1912. リーダーシップ方向性スタートアップは極度に方向性が変わりやすい。方向性が変わった時は必ずその度に意識合わせを行うこと。従業員が辞めるのは、方向性が変わったタイミングのことが多く、一人抜けると次々に抜けていく危険性がある。全体最適化スタートアップには例外の仕事が多く、さらに 1 日に 8 ‒ 10 のプロジェクトを処理しなければ会社が止まってしまう。そうした状況下で優先順位をつけてフォーカスすることが重要になる。受け身の仕事ばかりにならないこと。自動化できるところは自動化する。ただし早すぎる最適化には注意する。育成極力人を採用しない。人を採用したら仕事を任せる。特に目的や価値のある仕事を任せること。さらにお互いを育てる仕組みを導入する。社内勉強会やピアコーチングなどは企業文化に合うなら導入する。
少人数のスタートアップの生産性は基本的に最大であるべきである。生産性が最大でないのなら、何かが間違っている証拠なので振り返りなどを行うこと。1923. チームプレイ文化スケールしたときにどういう企業になっていたいかを考えながら、チームの文化、ひいては企業の文化を育てていく。特に初期の企業文化は採用にも影響するので、後々の企業文化を規定する大きな要因になる。コミュニケーション特に初期は方向性が変わりやすいので、頻繁にコミュニケーションする。また振り返りを忘れない。スタートアップは振り返りやフィードバックをつい後回しにしがちである。規則必要以上の規則を作らない。ただし全体の生産性を上げる規則を作ったり、モラルを一定以上低下させない規則は導入すべき(例えば職場で寝ない等)。あとはどういう文化を育てたいか次第で規則を調整していく。また創造的になるための規則であれば積極的に導入していくこと(それは時には、顧客の電話を取る、というエンジニアにとっては嫌な規則であっても)。
スタートアップでは自然とプロセスが樹立されていくケースが多い。ただし非効率なプロセスが勝手に立ってしまうケースもあるので、定期的に見直す。1934. プロセスプロジェクトマネジメントリーンスタートアップを中心に、その場その場で効率的な手法を選ぶこと。スタートアップの状況は変わりやすいので、変化に強い方法論を中心に選択すると良い。ウェルビーイング特にスタートアップの初期は方向性が変わりやすいので、頻繁にコミュニケーションする。そうしないと不満が残るケースが多い。またできるだけプロセスに全社員を巻き込もうとすること。ハックするやり方は必ず改善すること。スタートアップは普通のことをやっていてはほかの企業に勝てない。誰もが思いつかなかった、良いプロセスを導入すること。速度学習 集中
スタートアップのリソースは極端に少ない。うまく外部と連携して、外部の良いリソースは活用すること。1945. チーム外とのコラボレーション顧客インタビュー、セールス、サポートなどを通して、とにかく顧客と直接会う時間を作る。スタートアップの最も大きな失敗は、顧客の欲しいものを作れなかったことだけである。社内社内の調整などを最小限にする組織と制度を導入する。また極力社外のサービスやプロダクトを使って効率化すること。パートナー&コミュニティ資源が極度に足りない状況では、外部のリソースをうまく使うこと。大企業はあてにならないことが多いが、使えそうなら使う。そのほか、投資家や支援者などをうまく作って、協力してもらうこと。
最後に195
本スライドではチームワークに関する概念を見てきました。内容は「チームワークをどのように見たら便利か」という一般論や理論のまとめでしかありません。具体例についてはこのスライドで挙げた観点から、様々な Web 上の記事を検索いただければと思います。そして一般的な理論と様々な具体例を組み合わせ、そこから自分自身のチームワーキングの理論を打ち立てれば、再現可能な良いチームを作れるようになるのではないでしょうか。みなさんのスタートアップのチームが、目的を達成できる、幸せなチームであることを願います。196自分自身のチームワークを作り上げる
チームワーク、努力、勝利スタートアップのチームワーク197

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