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ピッチをする前に知っておきたかったこと スタートアップの資金調達

Y Combinator の考え方を中心にした 技術系スタートアップの資金調達 & ピッチ入門のドキュメントです。ネットで検索すると「良いピッチのスライド構成」や「資金調達の仕組みの解説」などは色々出てくるのですが、「起業家側がどういうタイミングで、どうやれば資金調達の交渉がうまく進むのか」みたいな記事はあまりなかったので、まああってもいいのかなと思って書きました。Y Combinator や Paul Graham の考え方が中心です。

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ピッチをする前に知っておきたかったことY Combinator の考え方を中心にした技術系スタートアップの資金調達 & ピッチ入門Takaaki Umada / https://medium.com/@tumada/February 9th, 20151
https://www.theinformation.com/YC-s-Paul-Graham-The-Complete-Interview 2資金調達はスタートアップにおいて2番目に難しい。1番目は人の欲しがるものを作ることであり、多くのスタートアップがそれをしなかったことにより死ぬ。だが、2番目の大きな死の原因は資金調達だろう。資金調達は残酷 (brutal) だ。- Paul GrahamCo-Founder, Y Combinatorhttp://paulgraham.com/fundraising.html
スライドが長いというフィードバックを受けたので、資金調達とピッチのスライドを分けて、それぞれ追加しました。こちらもご参照ください。32/13: ショート (分割) バージョンの追加資金調達入門“以前”スタートアップが資金調達の前に考えること投資家向けピッチ練習は30秒か2分かデモでお願いしますシード期における投資家向けピッチとその構成の方法
ピッチをするというのはどういうことか4
ピッチとは5
6ユーザー獲得 ユーザー 場合によって異なるイベント、展示会場合によって様々様々 30秒や2分 カクテルパーティー、エレベーター、ピッチコンテストVC のパートナー(決済担当)から投資承諾を得るVC 20 ~ 60 分 ミーティングとディスカッション目的 対象 持ち時間スタートアップ業界で “ピッチ” と呼ばれているものは複数の形態が存在する。境目はあいまいだが、ある程度意識しておくと良い。それぞれの概要を次のスライド以降で説明する。“ピッチ”1. ショー(Show)2. ピッチ(Pitch)3. VCミーティングピッチと呼ばれているものにも色々ある場所
ショーではプレゼンを通して自社や製品の情報を、Value Prop を中心にユーザーに発信することが多い。ショーは聞き手の感情を掻き立てるものが良く、写真や SUCCESs の法則などを利用して構築する。またプロダクトのデモに早めに持っていくことも大事。最終的なアクションは商品の購買か興味喚起であるケースが多い。http://nextviewventures.com/blog/free-startup-pitch-decks-template/ 71. ショー (Show) とショーの構成SUCCESs の法則1.Simple (単純明快である)2.Unexpected (意外性がある)3.Concrete (具体的である)4.Credible (信頼性がある)5.Emotional (感情に訴える)6.Story (物語性)“Made to Stick” より
ピッチは数十秒から3分程度の時間を与えられて、聴衆に何らかのアクションを取ってもらうために行われる。基本的には投資家の興味をひき、投資家から 1:1 のミーティングを申し込まれることを目的としている場合が多い。投資家相手の場合、構成内容としては以下のようなフォーマットがある。5分以下の場合はスライドは使わず、口頭を中心にデモができればデモをする。82. ピッチとピッチの構成YC (30 秒)• 自分たちが何をしているか• 数十億ドルのマーケット• どれだけのトラクションを得たかHow to Talk to InvestorsYC (2 分)• 自分たちが何をしているか• 数十億ドルのマーケット• どれだけのトラクションを得たか• ユニークな洞察• ビジネスモデル• チーム• Big AskHow to Talk to Investors500 Startups• マーケット• プロダクト• チーム• カスタマー• RevenueDave McClureKISSmetrics• 課題• ソリューション• トラクション• チーム• 将来
投資家の心をつかむピッチにはいくつかの心得がある。ユーザー向けとは違い、自社のビジネスが何をしているのか、そしてその成長性について語る。9ピッチの心得Paul Graham の心得• 何をしているのか説明する• 素早くデモに持っていく• 曖昧なものよりも絞ったもののほうがいい• コンピュータを使いながら喋るな• 副次的な話はしない• ビジネスモデルに深入りしない• ゆっくりと明快に話す• 話すのは一人• 堂々とする• 自分を実際以上によく見せない• スライドに多すぎる文字を載せない• 具体的な数字が良い• 顧客に関するストーリを語れ• 投資家の頭に残ることを言えHow to Present to InvestorsDave McClure の心得• ソリューションではなく課題について話す• テクノロジでなく顧客について話す• コードではなく UX について話す• PR ではなく Distribution について話す• 収益計画ではなく Acquisition Cost について話す
会社の目的• 会社/ビジネスを一行で定義する課題• 顧客のペイン(もしくは顧客の顧客)を述する• 今日顧客がそのイシューに関してどうやって対応しているか概要を示すソリューション• 顧客の人生をよりよくするための、会社のValue Proposition を示す• 製品が物理的に使われるシーンを見せる• ユースケースを与えるなぜ今なのか• 製品カテゴリの歴史的な進歩を示す• ソリューションが今だからこそ可能になった最近のトレンドを定義するマーケットサイズ• 顧客を特定する/プロファイルを描く• TAM (Total Available Market: トップダウン),SAM (Served Available Market: ボトムアップ),SOM (Share of Market) を計算する競合• 競合リスト• 競合優位性のリストプロダクト• プロダクトラインナップ (フォームファクタ、機能、特徴、アーキテクチャ、知財)• 開発のロードマップビジネスモデル• Revenue model• 価格• 平均的なアカウントのサイズと Life Time Value• セールスとディストリビューションモデル• 顧客とパイプラインリストチーム• 創業者と経営チーム• 取締役、アドバイザー財務状況• P&L• バランスシート• キャッシュフロー• Cap table (資本政策表)• The dealhttp://www.sequoiacap.com/grove/posts/6bzx/writing-a-business-plan 103. VC ミーティング: Sequoia 流のピッチスライド構成VC と起業家が 1 時間の時間を取って、投資判断を受けるためのプレゼンをピッチと呼ぶこともある。下記の内容を15 – 20枚にまとめて持っていき、20分程度で伝わるようにする。Yahoo! や Google、Paypal やInstagram に投資した名門 VC
その他にも様々なスライド構成の案があるので参考にすると良い。あくまでディスカッションの土台で、良いミーティングは会話のようになることを覚えておこう。11VC ミーティング用スライドのそのほかの構成案NextView Ventures• Executive Summary• 顧客の課題• ソリューション• Go-to-Market 戦略• 今までのトラクション• 将来ロードマップ• FAQ• チーム構成• 競合• 投資金の使い方• マーケティング• トラクション• 事例• プロダクトのスクリーンショット• プロダクトのロードマップ• 顧客の検証• 財務状況と予算• 単価• マーケットサイズとトレンド• 関連 Exit の事例• パートナー• マネタイズ方法• チャレンジとリスク• なぜ今なのかテンプレートが DL できますPolaris• ビッグアイデア• チーム• マーケット• 現在の課題• ソリューション• なぜ今なのか• 製品• トラクション• 検証結果• 将来のロードマップ• AskSlideshareMark Suster• チームの Bio• 50k foot view (大きな絵を見せる)• 課題の定義• どうやって課題を解決するか• デモを見せるかビデオを見せる• マーケットサイズ• 競合• 顧客の採用状況とトラクション• チーム• 財務状況• 投資金の使い方• ファンドレイズのプロセスとネクストステップ• バックアップスライドDave McClure• Elevator Pitch• 課題• ソリューション• Market Size• ビジネスモデル• Proprietary Tech• 競合• マーケティングプラン• チーム• 資金とマイルストーンHow to Pitch a VCGuy Kawasaki• Problem• ソリューション• ビジネスモデル• テクノロジー• マーケティングとセールス• 競合• チーム• 計画とマイルストーン• ステータスとタイムライン• サマリーと Call toAction20 min で 30 ポイントで作る (10/20/30)
VC や他のミーティングで 60 分の時間をセットされても、開始5分で聞き手の集中力は切れる。だから開始5分以内に、• 何が変わったのか(非連続的な変化やブレークスルー)• 自分たちが何をしているのか(どんな変化を起こすか)• ファクト(キーとなるメトリクス、トラクション)を示すようにしよう。聞き手の興味を引き付けられるhttp://www.sequoiacap.com/grove/posts/bzxr/how-to-present-to-investors 12開始 5 分で集中力は切れる
なぜピッチをするのか13
ピッチは目立つが故に起業家の代名詞のように思える。ただ、ピッチをするよりももっと良い方法がある場合のほうが多い。ピッチをすべきなのはほぼ資金調達のみと言える。14ピッチは資金調達に有効だが、他にはあまり適さないピッチの目的 Target Action Actual Better な案アイデアの検証 VC、ユーザーフィードバックあり、だけど 1:1 のときのみ。1:nの場合はフィードバックをもらいにくいので効率が悪い。ピッチより会話で深いフィードバックをもらう(ただし聞く相手によって求めるべきものは違う。VC ならMBA-like な回答、等)資金調達 VC 次のミーティングの機会あり。特に資金調達の際はピッチや事業計画書がほぼ必須となる特になしPR メディア メディアからの顧客獲得メディアでの露出は基本的にあまり顧客獲得につながらない別の顧客獲得案を実施するか、もっと別の目的でメディアと付き合う採用 メディア、来場者採用応募 不特定多数からの採用は失敗することが多い(特に初期)自分や社員の知り合いから探すユーザー獲得 ユーザー 商品の購買 ユーザーとなる層が来るのであればありユーザーのところに直接行く(深いフィードバックも得られる)パートナー獲得 パートナー パートナー候補からの連絡スタートアップの場合、広くパートナー募集してもあまり響かない人からの紹介や関連展示会などでのアプローチ
スタートアップ支援者が多くなるにつれてピッチコンテストが日本でも多く開かれるようになったが、資金調達を以外でのコンテストの使いどころは見極めること。なおスタートアップ支援者とのお付き合いでの参加は極力避けよう(その時間でコードを書こう)。トラックレコードづくりには有用• 資金調達前など、コンテスト優勝経験は優位に働くことがある• 入賞によるスタートアップ系メディアへの露出からのユーザー獲得の効果はあまり期待しない。逆にユーザーが見ているメディアへの露出はユーザー獲得につながる。起業家同士のネットワークを作る効果もある• 同じステージの起業家が一堂に会する機会は意外とないので、コンテストに出れば起業家同士のネットワークが作れる副次的な効果はあるタイミングはよく見よう• 投資家相手にあまり回数をこなしすぎると「まだ進捗がないのか」と思われる危険性もある。初期に悪質な投資家につかまらないようにするためにも、コンテスト出場のタイミングは考慮したほうがいい15資金調達以外でのピッチコンテストの意義
おおよそピッチが有効であるときは資金調達のときのみである。よって本スライドでは、資金調達という目的に絞り、そのためのピッチを考える(スコープを絞って最適化する)。そのため、一度ピッチの内容を改善する前に、資金調達の全体像を把握することから始める。16「資金調達のためのピッチ」に話を最適化して進める
ピッチを資金調達の視点で見る17
資金調達をせずに起業できる環境が整ってきているが、それでも急成長を目指すスタートアップで資金調達なしでうまくいったケースがほとんどない。もちろん資金調達で間違えればスタートアップは死ぬ。だが、それでも多くのスタートアップが今でも資金調達を行っている理由はいくつかある。急激なスケールには資金が必要• 技術系のスタートアップは時間との戦い。新しい技術が出てくる前に、急激に伸びるためには時間をお金で買う必要が出てくる生き延びるため• プロダクト開発に集中するためには最低限の資金が必要。起業にかかる費用は少なくなったが、生活費が劇的に安くなることは見込めない• 受託で生き残ることもできるが、それは慢性的な苦痛になることが多いメンターを得るため• 初期の段階を支えるエンジェルや VC からのサポートは資金以上にスタートアップの成功のために必要となるケースがある(特に初回の起業)• 調査によれば投資家のハンズオンサポートはオペレーションのパフォーマンスに貢献していないが、良いメンターがいるスタートアップは資金調達のパフォーマンスが高い (Startup Genome Report)18資金調達が必要な理由
資金調達を行う上でピッチは避けて通れない道となる。ピッチすべき回数は実はそれほど多くはないが、巨額の資金を得る場合、説得が必要になってくる場面がある図は Series A の調達ができた企業のピッチ回数の具体例である。http://nextviewventures.com/blog/how-many-vcs-should-you-pitch/ の図を改変 19資金調達にピッチは必須VC への総コンタクト数最初のミーティング数2回目のミーティング数パートナーへのピッチ最終投資数
多くの VC は年間数百件のピッチを見ているが、投資するのはそのうちの数パーセントでしかない。ピッチをしてから実際に投資を受けるにはかなりの狭き門になることを知っておく必要がある。たとえば Fenox には年間 8,000 の投資案件持ち込みがあり、380 社を Due Diligenceし、30社に投資する (スタートアップマニュアルより)。Andreessen Horowitz には年間約 2,000 の持ち込みがある。Sequoia は 6,000 件の持ち込みに対して 20 の投資を行うと言われている。20投資家目線のピッチ:年間数百件見て投資は数十件投資案件持ち込み~ 10,000ピッチ (イベント含む)~ 1,000ミーティング~100投資10投資決定までの流れ
21ピッチの成功=資金調達の成功=スタートアップの成功
22ピッチの成功=資金調達の成功=スタートアップの成功
VC から支援を受けたスタートアップですら75%が失敗するfailure defined as return on investmentWhy Companies Fail--and How Their Founders Can Bounce Back (http://hbswk.hbs.edu/item/6591.html)23
資金調達をすると「VC から信任を得られたビジネス」として成功に一歩近づいたような気がするかもしれないが、実際には資金を調達したスタートアップの 75% が失敗 (ROI ベースでの意味で失敗) すると言われている。資金調達のいくつかの特徴は以下の通り。投資家は基本的に無能だ• 起業家の専門分野ほどの専門知識はほとんど持ち合わせていないし、将来の予測が完璧なわけではない• ただしどの部分が無能で、どの部分が無能でないかを見極めること投資家の数は少ないので、投資家から資金調達することは顧客に製品を売るより難しい• 投資家にはせいぜい会えて十数人で、投資の成否は気まぐれや感情に左右される当然だけれど資金調達の後が大事• 資金を得るのはマイルストーンですらない。その後の顧客獲得やリスクの低減が少しやりやすくなる程度のものでしかない24資金調達は答えの間違っているかもしれない答え合わせ
逆に資金調達の大成功は危険すらあるので注意する必要がある。資金調達は成功を意味しない。一部の創業者は資金集めを自慢するが、気にしないこと• 資金調達の目的の1番目は会社の成功、2番目は良い投資家を得ること、せいぜい3番目が評価額や調達額だが、資金を集められることは、しなければならないことがやりやすくなる程度のことでしかない• それに資金調達が大成功を収めているのを見ると、Paul Graham はその会社が成功する確率を心の中で下げるとすら言っている資金調達がうまい人にありがち ―― 資金調達の華々しさに酔いしれないようにする• 普段の泥臭いユーザー獲得やユーザーの文句に対応する仕事とは違って、優雅なレストランで VC とランチしながら数億円を得る仕事は楽しいことかもしれないが、あなたの本来やるべき仕事はユーザーからバグの文句を聞いて、バグを直すことだ• 資金調達の危険は、あなたが成功していると思い始めてしまうところにあり、真の成功のために必要な、退屈な仕事に対する情熱を失ってしまうところにある(それでも調達が大変なことは間違いない。調達に成功したら自分自身を労おう)http://paulgraham.com/fr.html 25資金調達のマネーゲームに飲み込まれないように
投資家が求めているのは資金調達の専門家ではなく、顧客を満足させることに長けた起業家である。資金調達の詳しい知識は信頼できる別の人に相談するようにしよう。起業家が目指すべきはピッチや資金調達がうまくなることではない• 大きな金額を調達できたとしても、それで顧客を獲得できなければ意味がない資金調達のピッチを良くするベストな方法は、会社を改善することに尽きる• どんなにピッチがうまくできても、会社の成長が乏しければ投資家は投資しない26ピッチや資金調達の専門家よりも、顧客の専門家になる
スタートアップは新しいプロダクトで急成長を遂げ、これまで世界になかった価値を生み出す企業である。ピッチや資金調達という「気を散らす」ものにあまり深入りせず、やるべきことをやろう。その際にスタートアップの指針となるのは「成長(グロース)」である。グロースをしないことはやらないようにしよう。グロースが見込めるときの策として、ピッチや資金調達を考えるべきである。そして成長を続けており、今後も成長が見込める企業にとって資金調達はとても容易い。定めた目標の成長率を達成できるかどうかだけがスタートアップの指針である。http://paulgraham.com/growth.html 27大きな方向性:Startup = Growth を忘れない
http://www.flickr.com/photos/joi/2757536235/sizes/o/in/photostream/Some rights reserved by Joi (https://www.flickr.com/photos/joi/)28まず誰にも無視できないぐらいの実績を作る。ピッチを良くするよりも、ビジネスをより良くしたほうが確実に役に立つ- Marc AndreessenCo-Founder, AndreessenHorowitzhttp://startupclass.samaltman.com/courses/lec09/
ここまでのまとめ29
これまでのスライドでは、以下のトピックをカバーした。ピッチをきっかけに、その前段階である資金調達まで興味を持ってもらえれば幸いと考える。• ピッチの分類とその構成• ピッチの意義• ピッチと資金調達以降のスライドでは、資金調達という大きな視点から見たピッチの在り方について考えていく。30まとめ:ピッチをするとはどういうことか
このスライドでは、Y Combinator で教えられていることを中心に、初期の資金調達の考え方とピッチについて解説する。特に以下の2点について解説する。• ピッチと調達の両者を包括的に考えることでどういうピッチが良いのかを理解する• 資金調達の考え方について知ることで、他人に相談しやすい知識のベースを作るなお初期の大事なアドバイスとして、以下を挙げておく。• 実際の調達には細かい分からない点が出てくる。信頼できる人に相談しよう。• また調達前に早めに良い弁護士(スタートアップに詳しい弁護士)を見つけるのがいい。シリコンバレーなら Wilson Sonsini などが有名。31このスライドのカバー範囲
このスライドでカバーしない範囲は以下のとおりである。• Debt での調達がいいのか、Equity での調達がいいのか(日本では Debt の利用や自治体の助成金の活用も場合によってはありだと思うのですが、Y Combinator の考え方を中心に解説するので Equity 前提で)• Convertible Notes や優先株など、Equity での資金調達において重要な点• 財務諸表や事業計画書の書き方これらの部分については以下の書籍などを参照すること。32カバーしない範囲起業のファイナンス(増補改訂版)起業のエクイティ・ファイナンス Venture Deals
Make Something People Want人が欲しいと思うものを作れ- Y Combinator33
資金調達の戦略34
“ピッチをしない”ことを目指すのが資金調達戦略の YC の方針です35
資金調達のラウンドには様々な名前がついており、時流によって金額や調達回数が増えることもある。現在の流れを極度に単純化すると以下の通りになる。36資金調達の流れ自己資金AngelCrowdfundingAccelerator /IncubatorMicro-VCVCCVCMicro-VCVCCVCVCCVCInvestmentBankSeedMVP ~ PMF まで100 万円 ~ 数億円Series APMF ~ 最初のスケール数億円 ~ 数十億円Series B 以降拡大に合わせて調達数十億円 ~ 数百億円Bootstrapアイデア ~ MVP まで約半年生き延びれる額
Own work by uploader, derived from Startup_financing_cycle.JPG by Kompere 37ステージと収益のグラフ多くの場合、この初期の支出を支えるためにシードマネーが必要成長の方法がある程度見えてきた段階で Series A を調達して一気に成長させる
プレイヤーによって目的や動きが異なるので、おおよそを把握しておいたほうが良い。38裕福な個人投資家が個人のリスクで投資する。投資判断が早い場合が多い数百万円から数千万円個人の趣味&キャピタルゲインRon Conway, PaulBuchheit初期のスタートアップが育つ仕組みを提供する数百万円 企業を次のフェーズに進ませるY Combinator,TechStars, 500一般的な人から少額の融資を募り、製品を作るための資金を得る1,000円 ~ 数十万円 製品の購入 Kickstarter,Indiegogo複数のエンジェルなどの資金を集めて、代表者が投資する。投資判断が早い。数百万円から数千万円キャピタルゲイン SV Angel, 500Startups, Lerer初期から最後まで投資するところから、投資規模を絞るところまで様々。メイン。数百万円から数億円キャピタルゲイン Sequoia, KPCB, AH純粋なキャピタルゲインを狙う CVC と事業シナジーを狙う CVC に分かれる数千万円から数億円キャピタルゲインor 事業シナジーGoogle Ventures,Microsoft Venturesレイターステージにて大きな規模の金額を調達するときに参加してくる傾向数億円から数十億円キャピタルゲイン Goldman SachsAngelCrowdfundingAccelerator /IncubatorMicro-VC(Super Angel)Venture CapitalCorporate VC(CVC)InvestmentBank投資規模 目的説明 例プレイヤーの違い
このスライドではシードから Series A までの、スタートアップの初期段階における資金調達についてカバーする。39資金調達の流れとスライドのカバー範囲このスライドではこの間をカバーする自己資金AngelCrowdfundingAccelerator /IncubatorMicro-VCVCCVCMicro-VCVCCVCVCCVCInvestmentBankSeedMVP ~ PMF まで100 万円 ~ 数億円Series APMF ~ 最初のスケール数億円 ~ 数十億円Series B 以降拡大に合わせて調達数十億円 ~ 数百億円Bootstrapアイデア ~ MVP まで約半年生き延びれる額
ピッチを極力しない状況を作る40
ピッチをしなくてよい状況、というのは「自分たちの稼ぎで生き残ることができる」(Ramen Profitable な) 状況のこと。この状況を作れば、スケールのために投資を受けるかどうか、という判断をするだけで良くなる。この結果、良い投資の条件を得ることができる• 投資を受けるかどうかを起業家側が判断できるため、主導権を握ることができる• 資金調達のタイミングを自分で選ぶことができる自力で稼いでいる起業家は投資家に好かれる• 稼ぎがあるということは、お金を払う顧客がすでにいるということ• 自分たちの稼ぎで生き残られる=コスト意識があると見做され、遊びではなくビジネスを真剣に考えており、自制的であると思われる• つまりこのまま成長させればいい、と思われる。投資家は投資家が必要でないチームを好む(逆に投資家の支援がないと倒産してしまうようなチームを嫌う)逆に投資がないと生き残れない状況は不利になりがち• 投資家側に良い条件を与えてしまいがち。彼らは弱みに付け込んでくる• 調達に時間がかかることが多くなり、そうなると評判を悪くしてしまう41ピッチをしなくていい状況=Ramen Profitable は強い
Ramen ProfitableAuthor Yumi Kimura from Yokohama, JAPANhttp://commons.wikimedia.org/wiki/File:Cup_Noodles.jpg42
まずは Ramen Profitable (自分たちの生活費をぎりぎり賄える利益を出すこと) を目指そう。最近は(特にソフトウェアの)スタートアップにかかる費用が十数年前の 1% 程度になったため、それが可能だ。Ramen Profitable になれば、投資家相手に優位に立てるほか、様々なメリットがある。士気が上がる• お金を払う顧客が出るようになると、本当に企業になったと感じ始める。その分岐点が生活費が稼げるかどうか。• 生活費が稼げるようになると、倒産ではなく、会社の生存がデフォルトになる。資金調達のために仕事を中断しなくてよくなる• 資金調達は酷いぐらいに集中力を奪う。生産性が 1/3 になれば幸運なほうだ。ただし投資を受けず成功するスタートアップはほとんどいない• Ramen Profitable な状況でも、成長するために資金が必要なら調達したほうがいい• GitHub も最初は一切の調達なしで Ramen Profitable な状況だったが、成長のために途中から VC の出資を(良い条件で良い VC から)受け入れたhttp://paulgraham.com/ramenprofitable.html 43Ramen Profitable: ラーメンを食べられるだけの稼ぎ
ただし Ramen Profitable を目指すために受託を始めるのは危険だ。プロダクト開発をしつつ、日銭を稼ぐためにコンサルや受託を受けはじめると、以下のようなデメリットがある。プロダクト開発の生産性が劇的に下がる• プロダクト開発にはまとまった時間が必要。受託先の電話や会議、価格交渉などをしているとプロダクト開発に手がつかなくなってしまう。• 受託に手を出したスタートアップは(余程の自制心がない限り)ゾンビ化する。失敗の理由ができてしまう• これが一番危険。「受託で本気を出せなかったから失敗した」という自分への言い訳ができてしまう。• ラーメン代を稼ぐことが最終のゴールではない。途中で倒産しないためのコツだ。受託からスケールさせる計画や、業界知識を身に着けるためであればアリ• 成果物のライセンスを自分たちで持つなど、受託からスケールさせる計画を持つ(Google は最初 Yahoo! にエンジンを提供して稼ぎ、その後広告で急成長した)• 業界内知識を溜めて、徐々に業界内にスケールできるプロダクトを作る(ただしその場合は時間との勝負になりがちなので、受託で生き延びる月数を決めておく)http://paulgraham.com/fundraising.html 44コンサルや受託で生き延びるのは気を付けること
日々のコスト (Burn Rate) を下げることが Ramen Profitable の第一歩。YC では極力コストを下げることが勧められている。なお現在 SV では $17,000 / employee / month ぐらいが良いのではないかと言われている (Marc)。日本ではもう少し安くなるはずである。多くの場合、一番気を払うべきは人件費• 最低限の人で臨もう。多くの失敗するスタートアップは、そうでないスタートアップに比べてチームの人数が多い。また初期の人材は会社の文化を決めるので注意。• 間違った人を採用した場合、早目に辞めてもらうことも重要。「全員の給与を下げる」などはピンチの場合は うまく機能しない。オフィスや設備• 大き目の設備は購入するのではなく、どこかから借りるかサービスを使うようにしよう。YC では Transcriptic (バイオラボ) や Bolt (ハードウェア支援) と提携している。• ただし YC では投資家のいるコワーキングスペースは勧めない。監督されている気分になるし、スタートアップは早い段階から自分たちの文化を育てるべきだと考えているから、自宅や狭いオフィスで好き勝手に話せる環境をお勧めする。http://paulgraham.com/startupmistakes.html 45Burn Rate を下げる:コスト意識を持つ
最初から大きなトラクションを得ていれば勝手に支援者が集まってくるが、そうでない場合はエンジェルや Incubator/Accelerator に支援してもらったほうが良い。彼らは投資が失敗することを十分に知っている。また以下のようなメリットもある。スタートアップに関する知識が得られる• 初めてスタートアップするときは分からないことだらけ。業界の慣例を知っておかないと、のちに大きな影響が出るときがある(特に資本政策や会社設立)• また法務や会計など専門ではない一部を任せることができる場合もある。プロダクト開発と顧客と話すこと以外の業務は極力しないようにしよう人脈と信頼が得られる• 次の資金調達や業界内で必要になる人脈を(ある程度)得ることができる• 「スタートアップの同期や先輩」と仲良くなれるのは精神衛生上大きな支えとなるただし信用や安心をしすぎず、「成長の踏み台にする」つもりで• 彼らが手とり足とり何でもしてくれるわけではない。自分たちで「何を得てやろうか」と強かかつ明確にしておかないと無駄になることもなる。• 契約上、ピボットなどをしにくくなる場合がある点も注意しておく。46初回起業は Angel や Incubator/Accelerator を検討
Bootstrap as long as you canできるだけ自己資金だけで続けること- Ron Conway47
資金調達するかしないか。それが問題だ。To Fundraise or not to fundraise.That is the question.48
資金調達は酷く集中力を乱すため生産性が1/3になればいいほうであるそしてそれが何か月も続く- Paul Graham画像は http://en.wikipedia.org/wiki/Paul_Graham_(computer_programmer)http://paulgraham.com/ramenprofitable.html49
資金調達モードに入れば生産性が極端に落ちる。起業家の予想以上に集中力が削がれ、他のすべての仕事が進まなくなるだろう。「(今ここから)資金調達するかしないか」は会社を左右する大きな問題となる。つまり、「ピッチするかしないか」も大きな問題であると言える。生産性が 1/3 になる• 日々の思考が資金調達になってしまう• 時間が会議で分断され、生産ができなくなるスタートアップは常に最も緊急な 1 つの問題が資金調達になってしまう• 朝シャワーに浴びるときに考えることがプロダクトではなく資金調達になる• プロダクトに意識が向いていないとスタートアップは死ぬ資金調達は過酷だ• 断られ続けてあなたのやる気を削いでしまうかもしれない50資金調達モードに入るかどうかで生産性が決まる
当時から注目されていた KAIZEN Platform の須藤さんですら資金調達にはかなりの時間を取られていた。http://sudoken.hatenablog.com/entry/2013/11/17/011827 52例) KAIZEN Platform 須藤さんの場合
よって資金調達をするかしないかは会社の大きな分岐点になる。一般的には「起業家が資金を求めており、資金も起業家を求めているとき」こそが資金調達の最適時と言える。資金調達モードに入るタイミングには 2 種類ある• 次の急成長を目指すとき• 資金が底をついたとき(6 か月前から動き出すべきだが、Fatal Pinch )投資家の第一印象が大事なのでタイミングも大事にする• VC のネットワークは狭い。悪い評判はすぐに回る。US で利益を上げているのはせいぜい Top 50 の VC だが、そこに属するのは数百人程度。日本に至っては関係者がもっと少ないので評判が出回るのは早い。• Overstate しない。騙したらすぐに広まる。資金調達を避けたほうが良い場合もある• 投資家を納得させる能力や実績がなければ、資金調達は時間の無駄になるだけでなく評判も落とすことになる言うまでもないが、重要なのは資金を使って次に何をしたいか次第http://paulgraham.com/fr.html 53資金調達モードに入るタイミング
株を使った資金調達を行うと、場合によっては事業に対してデメリットが出てくる可能性がある。本当にあなたの事業で外部からの資金調達が必要かどうか考えてから決めよう。資金調達をして以降は、方向性の転換が難しくなり、短期での Exit が前提となる• エンジェルや VC が事業のアイデアに対して投資をしているという認識の場合、事業のピボットがしにくくなるケースがある(初期投資にはあまりないが確認しよう)• また投資家がリターンを得るため(彼らはお金を与えるボランティアではなく、リターンを求める金融事業をしている)短期間での Exit を目指す必要が出てくる資金をうまく運用しなければいけなくなる• お金を漬けておくことを投資家は臨んでいないので約束の通り使う。たとえば SeedMoney を使って期限までに製品を作る、Series A でどの程度の組織にする、等• 資金が多くある状況は必ずしもいい状況とは言えない。たとえば人を採用すると創業者マインドを思っていない従業員が大半になり、会社の雰囲気も変わっていく。CEO の仕事の内容が変わる• Seed は問題ないが、Series A を調達した時点で、CEO の仕事は「プロダクトを作る」ことから「会社を作る」ことに変わる(もちろん経営スタイルによる)54資金調達が本当に必要かどうか: デメリットも踏まえて
資金調達をすると決めたら早く動くこと。2 週間から 1 か月で終わらせるのがシリコンバレー的には望ましい(日本だともう少し長くなるかもしれない)。資金調達中も自分の会社を必ず最優先にする(ほとんどの場合できなくなるが)• 資金調達が始まるとプロダクトに集中はできなくなる。資金調達に関する1回の会議があるだけで、その日の集中力は散漫になる。• プロダクト開発を中心にして、その合間に資金調達をする。会議との合間に開発を進めることはできない。ダメなら調達の専任を設けよう (多くの場合は CEO)。そして資金調達だけに集中する。• 集中して早く終わらせることで、日常の業務に戻ることができる。あまり期待するな• 資金調達の説得は大体断られるし、多くの場合苦痛が待っている。断られても個人的なものとして受け止めないが大事• 断られたら「投資家はバカ」だとだけ思わずに、どの点がバカなのかを正確に見極めること。説得のために必要な事実の補強などを順次行って学習していく。http://paulgraham.com/fr.html 55資金調達すると決めたら短い期間で一気に終わらせる
資金調達モードでないなら、投資家とのかかわりは持たないほうがいい。時間が無駄になるだけではなく、集中力を乱すことになる。投資家とのミーティングはお断りしよう• 彼らの積極性は「投資したがっている」からではなく、投資案件の選択肢を多く持ちたいからであり、積極的だからと言ってすぐに投資に結び付くわけではない• 資金調達モードにしようと誘ってくるのは、投資案件を他より先に見つけることができれば彼らの得になるからである(投資家側にとって良い条件で投資できる)同様に Corp Dev (買収担当部門) とのミーティングもお断りしよう• M&A の話は資金調達以上に心を乱すのでやめたほうがいい (Don’t Talk to Corp Dev)ただし断るときは丁重に• いつどこで手助けが必要になるか分からないので、失礼に扱うのはやめること• 「当面はプロダクトに集中しているので」と言えば(良い VC は)分かってくれるhttp://paulgraham.com/corpdev.html 56資金調達モードでないなら会議はお断りしよう
投資家は結婚相手のように選ぶ57
お金はコモディティで誰からもらっても同じものだからこそ、スタートアップには資金を誰から調達するかが大事。選ぶべき投資家は、初期メンバーと同等に慎重に選ぶこと。金額ではなく、投資家によるバリューアップをメインに考えて選択する• 人脈、業界知識、リクルーティング支援、戦略立案への協力など、投資後の支援内容を確認すること。またハンズオンなのかハンズオフなのかで相性も出てくる追加投資と Exit の方向性• 追加投資の可能性や Exit の方向性についても同意できるか確認しておく。• ファンドのサイズやファンドのライフサイクル(満期日)もできればチェックしよう。ファンドの満期に伴い、望まない IPO の強制などが発生するかもしれない。個人的な相性や信用できるかどうかも重要• 個人的な相性、思考スタイル、ビジョンへの共感も重要。あなたのスタートアップのために「一肌脱ぐ」ような人でないとふさわしくない。• 投資機関ではなく、投資家個々人との相性を見ること。人によって大きく違う。How To Choose The Right VC Partner For Youhttp://blog.eladgil.com/2012/11/how-to-choose-right-vc-partner-for-you.html58投資家は結婚するつもりで選ぶ
一度得た株を投資家は手放す義務はないため、方向性が違ったときの「離婚」が非常に難しい。選ぶときは慎重にしよう。エンジェル投資などを受けているときには、どの投資家から資金調達するか必ず相談したほうがいい。株の買戻し作業は困難で面倒• バリュエーションが上がった後に株を買い戻すのは難しい• 株の買戻しができたとしても、時間のロスが発生する。これも大きく集中力を乱す恐ろしいのは役立たずの投資家からの融資• 役立たずの投資家は価値がないばかりか、決断の足を引っ張るケースがある• 投資家の選択を失敗すると、投資家の管理には今後大変な労力を要することになる• 生き残らせるために、投資家が受託を強要するケースもあるそうならないために必ず事前に評判を聞くこと• 必ず周りに投資家の評判を聞こう。まともな VC なら起業家が事前に投資家のことを調べるのを止めないどころか、調査する起業家を高く評価する (Fred Wilson など)• 闇雲に、誰に彼にも資金調達用のピッチして投資家を得てしまうリスクはこの点にある。変な投資家からの誘いが来てしまわないように気を付けようMastering the VC Gamehttp://www.amazon.com/dp/1591844444/ 59投資家との離婚は難しい
60何をするかよりも誰とするかビジョナリーカンパニー2http://www.amazon.co.jp/dp/4822242633/
投資家と交渉するときには、「期待値」の高い投資家を重視しながら、できるだけ多くの投資家と交渉する。期待値の計算は期待値 = 投資家が Yes という可能性 × Yes といった場合の金額である。多額で著名な投資家から融資を取り付けるのが困難な場合、期待値は下がる。期待値に基づいた交渉は、期待値の評価に厳格でありつづけられれば、以下の点で有用。• 複数と交渉することにより、より良い投資条件を引き出すことができる• 並行して行うことで時間の節約になる。一人と交渉してダメなら次の一人…とはしないこと。資金調達はマラソンではなくスプリントである• メールの返事が遅い投資家やミーティングを要求する投資家に時間を割かなくなり、無駄な関わり合いを持つ可能性を最小限にしてくれるhttp://paulgraham.com/fr.html 61期待値を計算して、並行して複数の投資家と交渉する
避けたほうが良い性質を持つ投資家も存在する。以下に例を挙げる。時限爆弾(今日中に決めないとダメ、など)オファーを用意する投資家• Paul Graham 曰く三流以下の VC なので付き合わないようにすること。起業家が多数の選択肢を持ったときに、選ばれないオファーだということを投資家自身が知っているから時限爆弾をセットするわけで、あまり良い選択とは言えない• 3営業日の期限なら許容される範囲。有名だけど働かない投資家(特にエンジェル)• 著名なエンジェルから投資を受けることになったら嬉しいかもしれないが、スタートアップに貢献してくれないなら頼りすぎないこと• 、次の投資家や人材の紹介などをしてくれる、前のめりなエンジェルを選ぼうエンジェル投資の後に大きなエクイティを要求する投資家兼アドバイザー• 投資した後にアドバイスなどで追加フィーを取ろうとする投資家は危険• アドバイザーは時には必要だが 0.1 – 0.2% が相場で、エンジェル投資家は投資した時点ですでに同じ船に乗っているのだから追加のエクイティは不要企業価値の値引きを要求する投資家• 予定金額の調達が難しくなってきたときのみ会うべき。それ以外は時間を浪費する。How to select your angel investorshttp://cdixon.org/2009/11/03/how-to-select-your-angel-investors/62避けたほうがいい投資家の見分け方
取引63
資金調達は調達額が多ければ多いほど良いというものではない。ちょうど良い調達額が最も良い。以降のスライドではその「ちょうど良さ」について解説する。良い調達はちょうど良い調達である• 最も悪いのは「足りなかった」• 次に悪いのは「多すぎた(希薄化しすぎた)」64取引における金額と株式の譲渡
おおよその相場を知っておけば、どの程度の調達が最適なのかの目安になる。特に金額の割に株を取られすぎて、経営の自主性や創業者たちのやる気を失わない程度に抑えておくのが大事。代表的なアーリーステージまでの金額と株の表である。(近年 Seed Round は Post-Seed Round と呼ばれる roundも出てきて金額の振れ幅が大きい)細かい注意事項は必ず専門家やエンジェルに相談すること。たとえば、日本の会社法の場合は、売却の際などに2/3 以上の議決権が必要なので、1/3 以上を特定一社に渡すと経営に支障がでるケースがある。65おおよその金額と対価の相場を知っておこうhttp://fundersandfounders.com/how-funding-works-splitting-equity/金額 株(譲渡)Bootstrap 0 0Seed 数百万円 – 数億円 5 – 15 %Series A 数億円 – 数十億円 20 – 40%
キャッシュによってリスクを一枚一枚剥がしていくように考える。投資家には、これまでどのようなリスクを除いてきたのか、そして次のお金でどのリスクを排除したいのか、そしてその次のラウンドでどこを目指すのかを伝えると良い。以下のリスク一覧は Marc Andreessen の言葉を筆者が配置したもの(例)。http://startupclass.samaltman.com/courses/lec09/ 66リスクのタマネギ理論:資金でどのリスクを検証するか66• プロトタイプのリスク • 創業者チームのリスク• 技術的なリスク• ローンチできるかのリスク• プロダクトのリスク• 人を採用するリスク• 市場に受け入れられるかのリスク• (企業向け)営業のコスト以上のセールスができるかのリスク• (消費者向け)バイラルでグロースできるかのリスクBootstrap Seed Series A Series B -
ラウンドによって株をどれだけ渡すかはおおよそ決まっているが、Equity Equation を使うとより分かりやすくなる。この方程式は従業員にどのぐらいの株式を渡すか、というときにも使える。この方程式はつまり、分け与えたものによって、以前より豊かになっているかどうかで判断すればいい。http://paulgraham.com/equity.html 67Equity Equation:取引すべきかどうかの判断11 - nn: 企業が手放したものの割合 (equity など)例)Y combinatory が 6% の株で資金提供すると国は、n = 0.06 となり、1/(1-n) は 1.064 になる。なので、資金によって 6.4% 以上平均的な利益が向上するなら取引すべき。たとえば利益が 10% 上昇するなら成功だと言える。なぜなら残りの 0.94 が 0.94 * 1.1 = 1.034 となり、設けたことになるから。例 2)Sequoia が 30% の株の代わりに投資するとき、1/0.7 = 1.43 だから、43% 以上の利益を上昇させれば取引の価値がある。通常、Sequoia から資金を得たと言えば平均的なベンチャーの収益は 43% 以上改善するので、お買い得だと言える。
資金調達の最適化は困難だ• 起業家は資金調達の専門家ではないし、そうなるべきではない(その時間があればプロダクトを作るか顧客の声を聞こう)大きな VC ほど大きな額を運用して大きなリターンを求めるので大きく投資しがち。名声があっても、金額が合わなければお断りしよう• 小さい額でよければ VC より Angel やアクセラレーターのほうが最適な場合がある。適切なサイズの投資家を選ぶこと• 特に大きな VC が Seed funding をしたときには支援する仕組みがないときがあるスタートアップはオールオアナッシングだ• スタートアップの調達が少しうまくいったからと言って、スタートアップはそもそも大成功するか失敗するかのどちらかなので、30% いい契約が取れたからと言って誰も気にしない。それより早く仕事に戻って成功のために進んだほうが良い。68押さえておくべき事項
Y Combinator の現在の President である Sam Altman は、スタートアップの equity が従業員に十分に報いられていない点について警鐘を鳴らしている。より多くのストックを従業員に与えよう• 企業の価値を高めてくれるのは、投資家ではなく初期の従業員である場合が多い。• 特に最初期の 5 人にはとても大きなプレミアムを支払うべき。標準的なオプションプールでは足りない。• おおよそ最初の 10 人には少なくとも 10%、5% を次の 20 人、5% を次の 50 人に支払うと良いhttp://blog.samaltman.com/employee-equity 69投資家よりも従業員を大事に
Exit を考える70
VC や Angel はボランティアではなく、彼らは投資先のスタートアップを Exit させることでキャピタルゲインを得て、VC は LP にお金を利子つきで返し、Angel は自分の資産を増やそうとしている。彼らからお金を受け取った以上、基本的には Exit を考える必要がある。Exit には大きく 2 つの方法がある。M&Aを考えるのも良いが、基本的には「企業の長期的な成功」を考えて IPO を目指したほうが良いし、それがアドバンテージになる。71Exit の方針を立てる株式を株式市場に公開し売買可能にすること。東証やマザーズなどの証券取引所に上場する。2014年実績で日本だと IPO は年間77件 (うちマザーズが 44 社)。VC の資金が入ったスタートアップでは創業後5年程度、社員数100人弱、時価総額数百億円($300M - $500M) といった小口での IPO が多い。一方 US では大きい IPO があり、その資金により創業者だけでなく従業員にもいきわたり、スタートアップのエコシステムが回るようになっている (たとえばGoogle は 2 兆円、Facebook は 9 兆円で IPO。株を0.01% しか持っていなくても FB 社員は 9 億円を取得)企業の合併や買収の総称。US だとスタートアップの Exit の主流はこちらである。500 億円以上の M&A も年間 40 件以上ある。しかしその大規模買収のほとんどが Google や Facebook などの特定数社によって行われている。また US の M&A も約半数は $50M 以下となっている。IPO (Initial Public Offering) M&A (Mergers and Acquisitions )
平成 25 年の総務省のデータに基づく。件数の違いのほか、IPO と M&A の比率がそれぞれ異なっているのが分かる。(出典)総務省「ICT産業のグローバル戦略等に関する調査研究」(平成25年) ベンチャーキャピタル投資等動向調査、トムソンロイター資料にて作成http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h25/html/nc112140.html72(国内外)近年の IPO と M&A の件数の比較
https://www.cbinsights.com/blog/tech-acquirers-private-companies/ の画像を切り抜き 73(海外)US で M&A が盛んな企業様々な企業がスタートアップを買収している。とはいえ多くても1社あたり年間 15 社程度の買収である。また買収の意図もそれぞれの企業で異なるため、
以上、資金調達の大きな概要を示した。まとめると以下のとおりである。• 資金調達は生産性を著しく落とす。資金調達を始めるまでは、投資家と会うのを避ける• 資金調達を始めたら、素早く終わらせる。そのために複数の投資家との交渉を、期待値を考えながら並行して進める• 投資家は結婚相手のように重要なので、信用できる相手に話を持ち掛けるようにする• 資金調達を行うということは Exit を見据えるということである以後は資金調達の戦術として、どうやったら素早く資金調達を終えられるかの方法を述べる。74まとめ:資金調達の戦略
あなたのピッチをより良くするベストな方法はあなたの会社をより良くすることだ75the best wayyou can make your pitch betteristo improve your companyHow to Start a Startup (CS183B), Lec. 19Y Combinator
資金調達の戦術76
ピッチの前に勝負はほとんどついている77
資金調達の最適化は難しすぎる。だから極力シンプルに保つこと。その原則を守ったうえで、以下のようなことを意識すれば、資金調達は比較的早く終わらせることができる。• 一人目を口説け• 紹介してもらおう• 調達目標額を下げよう• 投資家の仕組みを知ろう以下で詳説していく。78まず何よりもシンプルであること
一人目を口説け79
複数社から資金調達を考えている場合、熱心な投資家から先に口説こう。これには「やりやすい」という理由のほかにいくつかの理由がある。投資家は臆病なので、一人から実質的オファーをもらえればあとから押し寄せてくる• 投資家は基本的に待ちたがる。そして投資家は他の投資家の判断に最も左右される• 熱心な投資家を先に一人口説くことが、乗り気でない投資家を説得する最高の方法だから最初に誰を落とすかをまず考える• エンジェルや投資家を紹介してもらうときも、専門分野が合致して熱心な人を先に紹介してもらうようにする• また「あの人が投資しているなら私も投資する」と言われるような人を先に口説くと後々やりやすくなる一人目の実質的オファーをもらえば、資金調達の難しさの半分はクリアできるhttp://paulgraham.com/fr.html 80熱心な投資家を先に口説く
紹介してもらおう81
どの VC やエンジェルのコメントを見ても、結果的に投資案件のほとんどは既存の人脈(他VCや起業家)からの紹介や、アクセラレーター (Y Combinator 等) で見つけたものがほとんどである。だから誰かから投資家を紹介してもらうことをまず考えよう。紹介さえしてもらえないのなら起業家として見直す点があるということ• メールでの問い合わせ窓口突撃は負け戦(可能性がゼロよりはましだが)• 人脈がない程度に本気ではない、ということになるし、投資に見合う大きなトラクションを得られていないということになる自分たちのスタートアップに会っている人を紹介してもらう• むやみに紹介してもらうのではなく、自分たちにあった人を紹介してもらう。VC なら VC という組織の紹介ではなく、VC の中のパートナーなど人単位のほうがいい(興味関心分野が違うし、人脈も異なる)• 特に投資権限を持つパートナーを紹介してもらうただし紹介してもらったからと言って成功するわけではない• たとえば Paul Graham は Airbnb を Fred Wilson にメールで紹介して失敗している82ほとんどの投資案件は知人から紹介された案件
投資家への人脈がない場合、周りを見渡して可能な手法を使う。なければ何かしらの手段であなたのプロダクトを目立たせれば、向こうから話に来るだろう。83投資家への人脈を持っている人を探す• エンジェル投資家• 起業家の先輩• 大学教授 (Google のケース)• 既存の取引先• 一人目として投資することの決まった投資家(※投資家を紹介することに乗り気でない投資家に無理にお願いしないように。悪い評判が広まる)• アクセラレーターに入ってから紹介してもらう(Demo Day などに出る)• イベントに参加して入賞する(イベント付帯のハッカソンなど: TechCrunch やLAUNCH などで実施している)• クローズドで回ってくるイベントに参加する(YC は MIT や Harvard でリクルーティング活動をしている)伝手から探す プログラムを活用する
紹介してもらう投資家にも気を付けよう。新米投資家は避ける• 新米の投資家は投資にかなり敏感で、特に投資量に比例して神経質になる。• 新米の投資家から資金を得るときは、書類作りを含めて主導権をこちらで握るか、他の投資家が主導権を握っている大きなラウンドの一部を補充するためだけに使おう。Web を見れば新米かどうかは分かる(電話してくるのはたいていジュニアだ)。三流投資家は避ける• 三流の投資家は評判が下がることを厭わないので、短い時限爆弾や低い金額での投資などの酷い提案をしてくる• 三流かどうかは、「過去に提示した10枚のタームシートのうち、実際に取引成立に至ったのは何枚か」と問えばいいラウンドのリードを取らない投資家を避ける• ラウンドのリードを取らない、というのは、他の投資家からお金を得られるまで投資を行わない、ということである• あなたが資金調達を初めて行うとき、リードではない投資家から資金を得る可能性はゼロであるhttp://paulgraham.com/fundraising.html 84新米投資家や三流投資家には注意
複数のプランを持つ85
投資家の多くは資金調達の目標額を聞いてくる。そのときには「調達できる資金によって複数のプランがあります」と答えると良い。一定の目標額を設定するのではなく、複数のプランを持っているほうが、そうしたときに対応できるのでお勧めである。相手によって異なるプランを使える• エンジェル投資家には一番低額のプラン、VC には高額なプランを話すなどができる資金調達を何度かしてくれば「Series A で 700 万ドルの予定で、条件はこちら、来週の火曜日から受け付けて、その翌週の金曜日で締め切る予定です」といった条件を出すことも可能だが、初回にはあまりお勧めしない86複数の調達金額の目標値を持つこと
調達目標額を下げる87
資金調達の目標額を低く見積もるよう心掛ける。たとえば 50 万ドル集めたいときには、最初の目標を 25 万ドルに設定したほうが良い。そうすれば、15万ドル調達した時点で、目標の半分以上を達成していることになる。この状態が作れれば以下のメリットがある。• あなたが資金調達をうまく行っている• 資金の受け入れスペースが少なくなっているので、投資家は早急に決断する必要がある実際には 25 万ドル以上を受け入れても良い。実際、一度達成するとさらに資金が集まってくる可能性が高い。オファーがあれば、その時点で受け入れるかどうかを決めればいい(あなたには複数のプランがあるはずだ)。低い目標額から始めるデメリットはほとんどないと言っていい。逆に高く見積もってしまうと、少し時間がかかっただけで資金調達が失敗していると思われ、さらに達成しないと「傷物」と見做される傾向にある。http://paulgraham.com/fundraising.html 88調達額を低く見積もるメリット
資金の貰いすぎは多くの場合良くない方向に働く。もし幸運にも資金が潤沢に調達できる時は、最適な金額(もらうべき最大の金額)を決める必要がある。Paul Graham は、2013 年では目安は大まかに、(雇いたい人数)× 15,000 ドル × 18 か月であると言っている。たとえば 20 人なら 540 万ドル (約 5.4 億円) が最適となる。ここに製造コストなどを加えた金額が最大金額となる。※日本人向けに補足すると、15,000ドルはシリコンバレーにおけるエンジニアの人件費の高騰を考えた数字であり、手当やオフィススペースなどの総費用の相場である。18か月なのは大体次の調達まで18か月が平均だからである。近年調達のスピードは速まっているほか、生活費が高騰しているのでもう少し変わるかもしれない。なお 2014 年の Series A 調達段階での社員数は 10 – 15 人のところが SV では多い。http://paulgraham.com/fundraising.html 89最大金額を決める
投資家の仕組みを知る90
投資家について知っておくことで、投資家の動きやそのおぞましさ (VC Suckage – by PaulGraham) を理解できることがある。詳しく知る必要はないが、ある程度知っておくと便利である。投資家の利益のほとんどは成功する一握りの起業から生まれている• 当たれば数百倍のリターンすら出るのがスタートアップへの投資である。1つのスタートアップの利益でファンド全体の利益を出すことすらある。だからこそ成功するか失敗するか分からないスタートアップに投資家は多く投資している。• ただし本当に成功するのは 1% 以下であると投資家自身も認識している。投資家が取締役会に入ることもあるが、10社が限界(通常8社以下に抑える)• そのため、取締役会に入ってほしい投資家が入ってくれないケースもあるファンドには 8 – 10 年の満了期限があり、そのタイミングでファンドの全額を返金する必要がある• そのため時期によってはスタートアップの望まない IPO や M&A を促してくることもある。そのリスクを踏まえて調達することhttp://www.paulgraham.com/venturecapital.html 91投資家の仕組みを知る
資金調達には様々なジャーゴンが出てくる。分からない言葉があれば必ず調べるか相談するようにしよう。資金調達の交渉ごとは投資家のほうが上手だ、という前提で臨もう• 資金調達のプロセスは起業家にとっては初めてでも、投資家にとってはすでに数十回、数百回とこなしているプロセスである。彼らに勝とうとは思わないこと。• ただし投資家から「○○するのが当然だから」(e.g. 取締役会に入る)と言われても鵜呑みにしないように。信用できる人に相談しよう標準に沿ってスピードを大切に• 資金調達のミスは後で取り戻すのが難しい。標準があるならそれに沿う。• 資金調達はスピードが重要だ。評判のいい VC からまともな条件でまともな金額がもらえるのなら、その場で決めるべきである優先株や普通株などの仕組みは難しい• 難しいものは難しいので頑張って理解するしかない。日本語では増島先生の「Startup Innovators」などを読むと良い92ジャーゴンに惑わされるな
細かいところだが、資金調達を行う上で知っておいたほうが良い Tips を以下に挙げる。NDA を強く求めない• 相手を信頼していない、と言っているのと同じことなので、「NDA がないと喋れない」とは言わないこと(そもそも信頼できない人に話は持っていかないように)• 日本においては NDA を結んでもいい、というところもあるようなので、その時には起業家側を守るため結んでもよいミーティングは朝にしてもらおう• VC は1日中ピッチを聞いているケースすらある。夕方には疲れ果てているので、正常な判断ができないかもしれない。調整できるならミーティングは朝のほうが良い。93Tips
戦術のまとめ94
以上では資金調達を早く終わらせるための戦術を解説した。基本的にはいかにスピードを持って調達を終わらせるかが本業のために重要であり、そのためにシンプルな調達を心掛けると良い。• 一人目を口説け• 紹介してもらおう• 調達目標額を下げよう• 投資家の仕組みを知ろうこれらを踏まえたうえで、資金調達の際に必要となるピッチの内容について解説する。95資金調達の戦術のまとめ
96Y Combinator では資金調達をする創業者に対して、これが最後の資金調達かのように振る舞えと伝えているY Combinator tells founderswho raise moneyto act as ifit's the last they'll ever getThe Fatal PinchPaul Graham
ピッチの技術97
本章ではピッチの技術として以下に分けて解説する。• 準備• 本番• その後98ピッチの技術
準備99
以下のスライドでは 30 秒と 2 分のピッチの構成について話す。ピッチは 30 秒と 2 分だけでいい• 10分や30分や1時間のピッチを準備するのは時間の無駄• デモから見せるべき人もいる (Paul Graham はデモを見せろとまず言うタイプ)語れば語るほど相手が嫌がる可能性が高まる• シンプルに、明快に、かつ語りを少なくするほうが成功するシード段階ではチームに投資することが多いが、製品を通してチームを見ている• 初期段階の投資ではチームが大事だからといって製品をないがしろにはしていない。投資家は製品を作れるチームかどうかという点も見ている。100心構え
30 秒ピッチは 3 文で終わる。1.あなたの会社が何をしているのか2.マーケットのサイズ3.これまでのトラクション以上である。それぞれを下記に解説する。10130 秒ピッチ
「あなたの会社が何をしているのか」を明確に言えない起業家は驚くほど多い。可能な限り早く、一文で簡潔に伝えること。例外として話しても良いのは、あなたが解決しようとしている問題と、その問題の重要性だけだ。相手が一切何も知らない前提で話す事前に「ママテスト」をする• 母親でも分かる言葉で、超がつくほどシンプルに話す• Airbnb の場合は「家の中のあまった部屋を他人に貸すことができる」と言うべきで「空間のマーケットプレイス」などとは決して言わないようにRon Conway のところに話を持ってくる 25% がそれすらできていないhttp://paulgraham.com/investors.html 1021. 何をしているのか
数十億ドルになるようなマーケットに関して語る。Airbnb ならホテルのマーケとサイズや、休暇のレンタルマーケットのサイズについて語ればいい。数字は Google で検索すれば出てくる。投資家に「このスタートアップが成長した時には数十億ドルの価値がある!」と思わせること。シード段階のピッチで、かつ未知のマーケットである場合は、Narrative に喋ること。普通の VC ならある程度の業界規模ぐらいは知っている(し、おおよそ数字に強い投資家が多いので、数字の話になると起業家は負けるだろう)。そのとき VC に伝えるべきは実際の顧客の声と、業界の成長速度である。http://cdixon.org/2010/04/03/size-markets-using-narratives-not-numbers/ 1032. マーケットサイズ
これは以下のような形がいい。「我々は1月にプロダクトをローンチし、月々 30% の成長を遂げています。売り上げはこれ、利益はこれ、ユーザー数はこれです」以上で終わる。まだローンチしておらずトラクションについて語れないのなら、「ものすごく速く動いている」ことなどを伝えて説得しよう。たとえば、「1月にチームが動き出し、3月にベータ版をローンチします。そして3月までに製品版をローンチする予定です」などである。以上の3点を喋って 30 秒は終わる。これだけでいい。興味が出てくればもっと聞いてくれるはず。1043. これまでのトラクション
2 分間のピッチは 30 秒のピッチに以下のものを付け加えたものである。http://startupclass.samaltman.com/courses/lec19/ 1052 分ピッチ構成4. ユニークな洞察投資家に “AHA” を与えること。これは競合優位性やシークレットソースとも同義である。業界のビッグプレイヤーが知らない何かであったり、上手くできていない何かについて話すことで、投資家に “AHA moment”を与えよう5. ビジネスモデルどうやってお金を稼ぐかを伝える。広告なら「広告」とはっきり言う。「広告をして、グッズを売る…ことを試してますし、あれもいけるかも…」とは言わない。それは何も言っていないのと同義。投資家も数年後にマネタイズの方法が変わるかもしれないことなど分かっているのではっきりと伝えよう。それにあなたはビジネスモデルの専門家ではないのだから。6. チームチームメンバーが何か特別に印象的なことをしているならそれを言おう。「Ph.Dを持っています」などは省いていい。加えて、創業メンバーの数を伝えること。2, 3 人がベスト。そのときエンジニアの比率を伝えよう。比率が半分以上ならなお良い。またお互い付き合っている年月が半年以上であること。そして全員がフルタイムでコミットしていることだ。7. Big Ask何をしてほしいのかを伝えよう。資金調達なら資金がどの程度欲しいかを伝える。人材獲得なら来てほしいと伝える。資金調達の場合は、SAFE や ConvertibleNote などで調達していることを伝えよう。ここだけはジャーゴンを使ってもいい。逆に使わなければ投資家から「調達に本気ではないな」と思われるケースがある。
デモを用意しておいたほうが良い。デモでは以下の点を気を付けること。あなたが取り組んでいる問題と、その問題をプロダクトがどうやって解決するかを示せ• スクリーンに表れる順番ではなく、目的ベースで動かして機能を示そうオフラインでも動かせるようにしておく• ネットワークが切れても動かせるように• ビデオがあればなお良い。Web にも使える。操作と説明を同時にはしない• 誰かが操作している間に、もう一人が説明をすること。どちらも一人でやると、画面に向かってもごもごと言うことになる106デモ
Q&A 対策として以下のような応募書類や面接の質問を使うと良い。また重要な数字については必ず答えられるようにしておくこと。ユーザー数や売り上げが答えられないようでは投資家からの評価が下がる。107QA対策• 今、何に取り組んでいる?• 今までに資金調達をしたことがある?• 新しいユーザーがこのプロダクトを使ってみようと思う理由は?• いちばん怖いと思うライバルは?• 今までで最悪の体験は?• 会社をアメリカで作るつもりはあるか?• これまででいちばん自慢になるきみの業績は?• ロケット科学〔容易に真似ができない高度な技術〕はどこに使われている?その他は TechCrunch のサイトでY Combinator の面接で聞かれる質問• 授業や仕事以外で、複数人での面白いプロジェクトをやったことがあるか? あるなら URL つきで答えてほしい• 創業者同士はどれぐらい長い付き合いか?• このアイデアに何行のコードを書いた?• いつプロトタイプやベータ版を作った?• どれだけのユーザーがいる?• なぜこのアイデアを選んだのか? ドメインエキスパートだからか?• このアイデアの何が新しいのか?その他は Y Combinator のサイトでY Combinator の応募フォーム (Seed 向け)
プレゼンは練習によって磨かれる。とにかく練習すること。特にピッチコンテストの前の1週間などは練習を重ねる。せっかくの用プロダクトを悪く見せないように。必ず一度は通しで喋ってみる• 頭の中で考えたスライドの流れが、喋ってみるととても違和感があることが多い。必ず本番の前には通しで、口に出して喋ってみること。• 小声で喋っても意味がないので、大きな声が出せるところで練習することビデオに撮る• 恥ずかしいけど効果的。特に自分の口癖や淀む部分が多い• ビデオに撮ってみるとおおよそ早口なことに気づくので、ゆっくり喋るようにする他人の技を盗む• Jobs のようになりたいなら Jobs のビデオを何度も見て自分のスタイルに組み込む• 反面教師も勉強になる。他の人のピッチを見て「あの部分がダメだな」と思ったらメモしておくこと108とにかく練習
資金調達のときに使われたスライドが公開されているサイトがあるので、そちらを参照すると良い。109他のピッチスライドを見てみても良いBest Pitch Decks Linkedin (Series B)その他• Airbnb• Dwolla• Forsquare• Mattermark (Series A)日本• nanapi (事業計画書)• schoo (事業計画書)
本番110
本番でやるべきことは、練習の通りやるだけ。小さなコツはいくらでもあるが、練習していればおおよその問題はほとんど解決できているはずである。堂々と喋る• 練習してれば大丈夫ゆっくりと喋る(1分間400文字ぐらいを目安)• 練習してれば大丈夫相手の目を見て喋る• リアクションが大きい人に視線を向かわせるといい111本番
終わった後に112
投資家との関係を維持するのも重要な仕事である。苛立たせるよりも無視するほうがましだが、良好な関係を築くことでお互いにメリットがある。(Series A の場合) Board メンバーに入れよう。会社の成長を助けてくれる• 5 人の Board なら 2 人を創業者、2人を投資家、1人を社外、4人の Board なら 2 人を創業者、1 人を投資家、1 人社外の割合がお勧め (Sam Altman)• ただし変な人が入ると最悪な事態になるので、リファレンスチェックは行うこと月次で投資家に進捗を報告する• 定期的なアップデートによってタイミングよく助けてもらえるかもしれない• ある程度のフォーマットがあるので、それを利用すればコストが最低限で済む良いスタートアップがいたら共有する• VC に紹介するだけで、VC 側からも新しいスタートアップからも感謝されるhttp://blog.samaltman.com/board-members 113投資家との関係を維持する(投資家を管理する)
NextView Ventures による「やるべきことリスト」を参考にしながら、すぐに次の行動に移ること。• Recognition• Logistics• Funding Announcement• Board & Investor Communications• Hiring Planshttp://nextviewventures.com/blog/checklist-entrepreneurs-critical-tasks-after-seed-fundraise/ 114調達確定後にやるべきことリスト
ピッチの技術まとめ115
ピッチをする前に、資金調達ができるかどうかの勝負はついているが、それでも良いプロダクトを悪く見せないためにも、ピッチには準備が必要である。特に構成について時間をかけること。投資家が知りたいと思っていることをきちんと伝えることで、資金調達が一歩近づく。そして彼らが知りたいと思っていることは、あなたが成長するマーケットで急速に成長しているかどうかという点に尽きる。116まとめ:ピッチの技術
ピッチをする前に知っておきたかったこと117
本スライドではピッチをはじめとした資金調達の大まかな戦略を解説した。マーケットの状態や経済環境が変わるにつれて、金額や調達方法など、戦術や技術にあたる部分は変わってくると思われるが、しかし基本となる戦略はそう変わらないはずである。• まずは人の欲しがるものを作ろう。誰にも無視できない成果があれば、資金調達は簡単になり、ピッチをすることすら不要になる。• 資金調達はマイルストーンですらない。さっさと終わらせてコードを書くか顧客の声を聴くために時間を使う。スタートアップにとっては時間が最も貴重な資源である。• ピッチでは投資家の知りたいと思っていることを言おう。特に自分たちが哉ていることを、簡潔に言えるようにしておくこと。それがあればいつどこで有名人と会ってもすぐにピッチできる。最後に改めて:資金調達の詳しいことは信頼できる人に相談しよう。118ピッチをしない状態を目指すことが最高の状態
Make Something People Want人が欲しいと思うものを作れ119

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