
2025.2.14
誰一人、金融犯罪に苦しむことのない日常を。他銀行や警察と連携してセキュリティ強化に挑む理由
皆さん、こんにちは!セブン銀行 STORY of PURPOSE編集部です。
皆さんは「金融犯罪」と聞くとどんなことを思い浮かべますか?もしかすると、自分には関係のない話だと考えている人も多いかもしれません。しかし、金融犯罪は身近なところで日常的に起きているものなのです。
今回は、セブン銀行が取り組んでいるセキュリティ強化について、金融犯罪対策部の八木橋と相沢に話を聞きました。
目次
金融犯罪被害の拡大を抑えるためにセキュリティを強化
―「金融犯罪」と聞いてもあまりピンと来ない方が多いと思いますが、具体的にどのようなものを指すのでしょうか?
八木橋:オレオレ詐欺をはじめとした特殊詐欺や、副業詐欺(※1)、フィッシングからの不正送金被害など、多岐にわたります。最近特に増加しているのは、SNSを使用した投資詐欺(※2)やロマンス詐欺(※3)です。

金融犯罪対策部 グループ長 八木橋 陽一
―さまざまな金融犯罪を防ぐために、セブン銀行では金融犯罪対策部を設置していると聞きました。
相沢:はい。基本的に金融犯罪対策に関する部署はどの銀行にも設置されているものですが、セブン銀行では世の中の変化に合わせてチーム編成を変えているのが特徴です。時代に適した体制を取るようにしており、2024年10月からはさらに対策を強化することになりました。

金融犯罪対策部 調査役 相沢 義人
―強化するようになった理由は金融犯罪が増えたからでしょうか。
八木橋:はい。国としても対策を強化する段階に入ったというのが大きな背景の一つです。詐欺の被害総額は年々増えており、2023年度は合計約1,630億円に上りました。これは過去に類を見ない金額です。



出典:犯罪対策閣僚会議「国民を詐欺から守るための総合対策」
中には被害に遭っても申し出ない方もいるため、実際はさらに大きな金額でしょう。金融犯罪はSNSやAIの進歩とともに手口が巧妙になっているので、今後さらに被害が拡大すると考えられます。
こういった状況から、より一層セキュリティを強化する必要があると判断しました。
- ※1副業詐欺
指定されたSNSアカウントの投稿に「いいね!」をするだけで報酬がもらえるなどの副業に勧誘し、手数料やミスを理由にした違約金を求めて金銭をだまし取る詐欺。 - ※2SNS型投資詐欺
SNSでコンタクトを取り、投資すれば利益が得られると誤信させて、投資金や利益の出金手数料などという名目で金銭をだまし取る詐欺。 - ※3ロマンス詐欺
SNSなどを通じて相手に恋愛感情を抱かせ、緊急の医療費やビジネスの失敗などを理由に金銭をだまし取る詐欺。
安心安全な社会づくりに貢献するためのさまざまな取り組み
―セキュリティを強化していくために、セブン銀行ではどのような取り組みを行っているのでしょうか?
八木橋:申込内容の検証によって疑わしい口座をあぶり出すフィルタリングや、取引内容およびアクセス情報のモニタリングに力を入れています。

セブン銀行では24時間365日の監視体制を整えている
相沢:さらに、自社内での取り組みだけでなく、他銀行や警察とも積極的に連携するようにしていますね。
例えば、ネット銀行を中心に構成された『金融犯罪対策検討会』を定期的に開催しています。この会では当社が幹事を担い、不正事案や金融犯罪対策の情報共有を活発に行っています。
その他にも、複数の銀行で協力して金融犯罪対策のための実証実験を行うなど、他銀行とは普段から密に交流するようにしているんですよ。

―銀行同士で協力しあっているというのは意外でした!では、警察と連携した取り組みにはどのようなものがあるのでしょうか?
八木橋:現職警察官に3カ月~1年ほど研修生として出向してもらい、日々の業務を一緒にこなしています。さまざまな捜査に携わってきた警察ならではの視点から助言を得ることができるので、非常に勉強になりますね。
また、警察と連携しながら学生向けの金融授業も開催し、金融犯罪の啓発の他に、貯蓄や投資の話などにも触れながら、お金の重要性について説明しています。

警察と連携しながら出張授業を行う取り組みを2023 年 11月より開始
―若い頃からお金に関する危機管理能力を身に付けてもらうためでしょうか?
相沢:はい。当社の調査によると、20〜30代の利用者の口座が犯罪に使用されやすい傾向にあることが分かっています。
昨今はSNSの普及により、口座売買を目的とした投稿を簡単に見つけることができてしまいます。正しい知識がないと、口座は買うのも売るのも犯罪となることを知らず、お小遣い稼ぎくらいの感覚で自分の口座を売ってしまうということもあるでしょう。
こういった背景から、特に若い世代にこそ金融犯罪について知ってもらうべきだと考え、学生向けに金融授業を行うことを決めました。
八木橋:実施後のアンケートでは「口座を売ったら、その後の人生に大きな影響が出てしまうことが知れてよかった」といった反応をいただくことができ、非常に有意義な取り組みだと思っています。
今後は首都圏を中心とした開催範囲の拡大や、動画への展開も検討しているところです。
相沢:他にも、日本サイバー犯罪対策センターが開催する『フィッシングサイト撲滅チャレンジカップ』に企業として初めて参加するなど、さまざまな活動を行っています。
業界の垣根を超え、一致団結して金融犯罪を未然に防ぐ
―金融犯罪対策に取り組むにあたって、自社だけでなく、他銀行や警察と連携しているのが印象的でした。
相沢:犯罪者は常に最新のツールを駆使してきます。それに対抗するには、スピード感を持ってあらゆる情報や知識をインプットしながら、対策を講じていかなければなりません。
目まぐるしく変わっていく状況に限られたリソースで対処していくには、当社だけでなく、業界の垣根を超えた対応が必要不可欠なのです。
八木橋:特に警察と連携することは、私たちの取り組みについて警察側の理解を得ることにもつながっています。
加えて、銀行業界内だけでは補いきれない情報の入手や、彼らの捜査経験から得た知見を金融犯罪対策に生かすことにも役立っており、メリットが多いのです。
実際に他銀行や警察との密な情報交換によって、事前に金融犯罪の新しい手口を把握でき、被害を最小限に抑えられた事案もあるんですよ。

―銀行業界だけでなく、日本全体で一致団結しているというのはとても心強いです!
相沢:ただ、そこまでしても残念ながら金融犯罪の被害者はゼロになっていません。実際に被害に遭われた方と話す機会もありますが、犯人を信じ込んでいることも多く、私たち銀行側の話をなかなか聞いてくれないという状況もあるんです。
そんな方たちを目の当たりにすると、犯人に対して強い憤りを覚え、金融犯罪に苦しむ人を一人でも減らすために、今後もあらゆる対策を講じる必要があると感じますね。
金融犯罪は許さない!悪者の根絶を目指し、断固たる姿勢で闘う
―そもそも金融犯罪に巻き込まれないために、私たちにできることはあるのでしょうか?
相沢:上手い話には、必ず裏があると思ってください。犯罪者はあの手この手を使って我々をだまそうとします。特に、「自分は大丈夫」と思っている人こそ危ないです。

八木橋:具体的な注意点の例を挙げると、「警察から連絡が来てLINEなどのSNSに誘導される」「SNSで逮捕状が送られてくるとともに、口座振り込みを指示される」といったことはあり得ませんので絶対に信じないでください。

相沢:甘い言葉で誘われて、数万円の利益のために自分の口座を売ってしまうケースも多いです。
しかし、一度金融犯罪に加担すると、人生が台無しになってしまいます。新しい口座開設が困難になり、就職した際に給料口座が作れない、ということもあり得ますし、ローンも組めません。
得る利益よりも損失の方が大きいことを知り、絶対に金融犯罪に巻き込まれないようにしてほしいです。
八木橋:もし、万が一「金融犯罪に巻き込まれたかもしれない・詐欺なのかもしれない」と思うことがあったら、一人で悩まずに銀行や警察に連絡をしてください。私たち銀行はお客さまをサポートする味方です。遠慮せず頼ってもらえればと思います。

―最後に、お二人が考える理想の未来について教えてください。
相沢:「悪者を根絶し、金融犯罪のない未来」を理想としています。そのためにまずは、セブン銀行の口座やATMを犯罪者から敬遠されるものにしたいですね。
私たちは被害者を一人でも減らし、お客さまの大切な資産を守るために、これからも断固たる姿勢で金融犯罪対策に取り組んでいきます。
八木橋:金融犯罪対策部には部のパーパス(存在意義)があります。『誰一人、金融犯罪で苦しむことがない日常の未来を生みだし続ける』というものです。これを実現するべく、今後も強い意思を持って金融犯罪と闘っていきます。

金融犯罪に関するお問合せ先はこちら
※記事内容は公開時点での情報となります。サービス等の最新情報はセブン銀行ホームページにてご確認ください。


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