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株式会社西武ライオンズ

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お知らせ

本記事はAdverTimes.にて連載したコラム「西武ライオンズ広報変革記~やる獅かない2024~」の転載です。


こんにちは。西武ライオンズ広報部長の赤坂修平です。

オールスターを挟み本日から後半戦。前半戦は結果が伴わない試合が続き、ファンの皆さまには大変申し訳なく思っております。

またオールスターでは公式SNSでファンの方への配慮を欠いた投稿をしてしまい、ご気分を害された方も多くいらっしゃると思います。この場をお借りしてお詫びいたします。本日から改めて気を引き締め直し、広報部一同しっかりやってまいります。

さて、今回のテーマは前回に続き、「選手ブランディングはこんなに面白い!」です。前編では「ミスターライオンズ」の栗山巧選手らを例に、広報部としてセルフブランディングの重要性をプレゼンしたというエピソードと、「構想力」の重要性についてお話ししました。

後編ではライオンズの選手の「ロン毛」にまつわる出来事とともに、「構想力+社内交渉力+社外発信力=広報力」というポイントについてお伝えしていこうと思います。



広報部員に「ロン毛に関する商品を作りたい」と相談が



2023年2月、春季キャンプが始まり、選手たちからは「セルフブランディングの人」とイジられましたが、異質な人材を受け入れてくれたという裏付けだと理解しました。

そんな時、エースの高橋光成投手と会話をする機会がありました。背も高いし、体も大きい。野球選手というより、プロレスラーのような巨体です。


「ロン毛」でおなじみ、高橋光成投手。

その高橋投手に、なぜ髪の毛を伸ばしているのかを聞くと「ソーなんですよ。強くて、カッコよくないですか?」と返事が返ってきました。

自分の頭には「???」が浮かびましたが、よくよく話を聞くと、最初はゲン担ぎでしたが、アメリカのマーベル映画『マイティー・ソー』の主人公「ソー」に憧れて伸ばし始めたのだと言います。

さらに「ヒーローで、かつタフな存在ですごく好きなんですよ。自分もソーのように強くて、ゲームを支配できるピッチャーになりたいと思ってます」と話していました。洋服が好きでファッションにも気を使っており、獅子のたてがみのようなロン毛も非常にインパクトがありました。

「チームロン毛」部員募集中の動画も公開。動画はこちら

少し時は過ぎ2023年6月、世の中は株主総会のピーク。親会社の西武ホールディングスも同様で、当時ライオンズは山川穂高選手の事案で世間を大変お騒がせしてしまっていたこともあり、ライオンズについてだけでも想定問答はかなりの量になっていました。

緊張感漂う株主総会の中、ライオンズに対する言及がありました。裏で控えていた私は「きた!」と耳を澄ませていましたが、質問の中身は、両エース(高橋投手、今井達也投手)のロン毛に対する苦言でした。

また、山川選手についても、不祥事のみならず「金色の太いネックレスをジャラジャラさせて、ダブダブのユニホームを着て、ライオンズのクリーンなイメージがダメージを受けている」という内容でした。

想定にはなかった質問でしたが、ライオンズの奥村剛社長は「貴重なご意見として、選手たちと意見を交換し、球団として適切な対応を建設的にやって参りたい」と回答しました。

株主様のご意見はごもっともです。多くの世代から支持を得て、古くから日本のスポーツ界をけん引しているプロ野球界において、ファンの方から眉をひそめられる行為についての指摘です。

そんな中、実は裏で、あるプロジェクトが進行していました。開幕したばかりの頃、高橋投手から広報部員に「ロン毛に関する商品を作りたい」と相談があり「ロン毛グッズプロジェクト」が進んでいたのです。


「高橋光成投手は髪を伸ばした今井達也投手とチームロン毛を結成!そんなチームロン毛に加入できる!?なりきりヘアーキャップです。いつでもどこでも誰でも、高橋投手や、今井投手のようになれる夢のようなアイテム。このキャップを被った今までと違った雰囲気のあなたに、周囲は驚くこと間違いなし!」

こんな謳い文句のキャップでした。



野球部の「丸刈り文化」問題に一石を投じるPRに



株主様のご意見もあり社内でもこのプロジェクトを中断しようかという議論もありました。

しかし、もう一つの目線もありました。それは何より、選手たちが楽しそうにグッズ制作に携わり、厳しいトレーニングや試合の合間に、リフレッシュできる非常にいい機会になっていました。


完成した「ロン毛キャップ」。誰でもロン毛になれる。

試作が出来上がると、投手陣はみんなで仲良くキャップを被り、感想を言い合うような姿も見られました。また、選手たちがグッズ製作に携わり、ビジネス感覚を持つことは、セカンドキャリアを考えても大事だと思い、発売に向け社内で交渉していきました。冒頭で掲げた2つめのキーワード、「社内交渉力」です。

そして何より、私はこの観点で社会に問題定義をしたいという考えもありました。当時中学生だった私の息子が、野球部で同調圧力により丸刈りを強要されている中、それに屈せず、スポーツ刈りを貫いていました。

高校は自らに選択肢がありますが、中学は私立に行かなければ、学区内の指定された公立中学校に通います。この多様化の時代、どうして野球部だけは丸刈りを強要するのでしょうか。

息子たちと小学生のころ野球をやっていた同級生は「丸刈りにするのが嫌だから野球部には入らない」と、野球を辞めてしまう子がいるという話も聞いていました。

現在、野球人口は全日本野球協会の調査によると、2010年に161万人いたのに対し、2022年には101万人と、13年間でなんと60万人減少しています。

日本において野球は、長い歴史と伝統のあるスポーツですが、今の時代は他のスポーツも含め、多様な選択肢が広がっています。野球ビジネスのみならず、野球界のこれからのことを考えると、中学野球での丸刈り文化は改めなくてはならないと考えました。

この年、夏の甲子園では自らで考え行動する慶應義塾高校が全国制覇を成し遂げ、球児たちの髪型が話題になりました。高橋投手にも丸刈りが嫌で野球をやめてしまう子供たちが実は非常に多いことを話して、様々な機会でメディアを通じて発信してもらい、このタイミングで「ロン毛グッズ」を発売しました。


「チームロン毛」によるロン毛グッズの紹介にも熱が入る。

YouTubeの動画はこちら

リスクがあると思考を停止し、企画を辞めてしまうことは簡単です。またリスクのないものには、当然見返りもありません。ノーリスク・ノーリターンの原則です。

しかし、リスクを知り、極小化したうえでリスクをとる。大きな社会問題や野球離れの問題を提起し、世の中で話題にしてもらい、あるべき姿へ導くことは広報の醍醐味だと思います。

自分たちの商品が完成したからといって「パッ」と出すプロダクトアウトの思考ではなく、広報流のマーケットインの思考は、消費者のトレンドを創り出し、機運が高まったところで商品を世の中に送り出しというものです

これがキーワード3の社外発信力であり、前述の1(構想力)+2(社内交渉力)+3(社外発信力)=広報力となります。

ちなみにロン毛についてはその後も話題になり、今年ドラフト6位で入団した丸刈り頭の村田怜音選手は、入寮初日にメディアに対し「有名になれたら丸刈り部を考えたい」とロン毛部に対して将来的な“対抗”の意思を示し、笑いを誘ったことも。

高橋投手もロン毛メンテナンスの様子をInstagramでアップし、サラサラヘアーに注目を集めることもありました。


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