【球界ここだけの話(3993)】来春の選抜大会に向けた21世紀枠候補校が発表 埼玉公立の雄・上尾高校は悲願の聖地へ

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21世紀枠候補校に選出された上尾・高野和樹監督

日本高野連は12日、第98回選抜高校野球大会(来年3月19日から13日間・甲子園)の21世紀枠候補9校を発表し、関東・東京地区では秋季埼玉大会4強の上尾が選出された。

上尾高は全日制の普通科・商業科、定時制普通科からなる県立校。校訓の「文武不岐」のもと、勉学と部活動を両立し、国公立大や難関私大の合格や高度な資格取得など文武両道を体現する。

1958年に創部された野球部は春夏通じて7度の甲子園出場があり、1975年夏の甲子園準々決勝では原辰徳(元巨人監督)を擁する東海大相模に5-4で勝利。「上尾旋風」を巻き起こして4強入りしたが、84年夏を最後に甲子園からは遠ざかっている。だが私立校が強さを見せる近年でも、県大会では上位に進出し続けるなど公立校の星として埼玉県の高校野球界で存在感を示している。

チームを率いるのは同校が最後に甲子園に出場した1984年夏に、控え捕手として甲子園の土を踏んだ高野和樹監督(58)だ。現役時代、聖地を経験した指揮官がこだわるのは「一球に対しての思いだ」だという。

浦和学院や花咲徳栄など超強豪校から勝利を挙げるためには、一丸となった戦いが必要不可欠。プレーに関係する選手だけではなく、グラウンドに立つすべての選手が魂を込める。それはベンチを外れた選手に対しても例外ではない。「全員が本気で勝ちにいくところを大切に、重きを置いてやっている学校」と監督。球場の雰囲気を飲み込むような一体感を目指し、指導と続けてきた。

今秋の県大会では準決勝で浦和学院に3-4と惜敗したが、公立校では唯一の4強入り。「上に行けば行くほど熱というか、人がたくさん来てくれる。熱い思いはわかる」と高野監督。地元のファンからの声援も力に変え、肉薄した戦いを見せた。

21世紀枠は甲子園出場機会を広げるため、2011年の第73回大会から導入。練習環境のハンデや地域貢献など野球の実力以外の部分も加味され、出場校が決まる。これまで同枠での選出がないのは埼玉を含め11府県。上尾高は15年にも候補に選ばれたが落選した。

「身の引き締まる思い。より一層、野球と向き合っていかなければいけない」。選抜出場が決まれば、実に42年ぶりに甲子園の土を踏む。上尾高の歴史に新たな1ページを刻むべく、来年1月30日に行われる選考委員会での吉報を待つのみだ。(児嶋基)

記者:児嶋基

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大谷翔平

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