令和元年の火災で焼失し、復元が進む首里城(那覇市)の正殿(せいでん)で15日、「南之廊下」の復元工事の様子が報道公開された。正殿を風雨から守っていた覆いが外され、南国の青い空の下、あでやかなが姿を現した。
内閣府沖縄総合事務局などによると、琉球王国の歴史をつなぐ正殿の復元工事は令和4年11月に着工。正殿外観の工事は完了し、今年10月末には「素屋根」と呼ばれる覆いも撤去された。今月から正殿につながる2本の廊下を復元する工事が始まっている。
正殿外観の塗装には「弁柄(べんがら)」と呼ばれる赤褐色の天然顔料が用いられ、鮮やかな朱色に塗られた正殿正面の「向拝」がより際立って見えるようになったという。向拝には極彩色の装飾も施されている。
復元工事は清水建設と地元・国場組、大米建設の共同企業体(JV)が担当。現在は正殿以外の復元作業が進む。清水建設の奥村耕治工事長は「なんとか来年秋の完成を目指し、進めている」と話した。
首里城正殿は戦前、国宝に指定されていたが、先の大戦末期に始まった沖縄戦で破壊された。昭和47年の沖縄の本土復帰後、国と県が復元整備事業に着手。復帰から20年の平成4年に完成したが、令和元年10月に全焼していた。(大竹直樹)





