JR東海は6日、東海道新幹線で指定席料金にプラス1200円で利用できるビジネスシート「S WorkPシート」を報道陣に公開した。従来のサービスを改良し、3人掛けの座席中央に仕切りを設け、座席で通話やウェブ会議ができる。周囲の視線を気にせず仕事に集中できるようにしたというビジネスマン向けのサービス。今月20日から導入される。最高時速285キロの「走るオフィス」を一足早く体験した。
テーブルは入力しやすいよう傾斜
東海道新幹線の最新型車両「N700S」。指定席の7号車に乗り込むと、3人掛けの座席に半透明の仕切りが設置されていた。こうすることで3人掛けの座席を2人で使用し、1・5人分のスペースを確保した。
「パソコンで仕事をしながら新幹線を利用する人は多い。快適なビジネス環境のために何が必要か。そう考えた結果、座席の間隔を広めにした」。JR東海の横山晃治車両課長が説明する。
座席背面のテーブルは手前に引くと傾斜するように改良。ノートパソコンのキーボード入力がしやすいように工夫したという。実際にパソコンを開いて使ってみると、キーボードの操作が楽にできた。隣の乗客の目を気にする必要もなく実際のオフィスに近い印象だ。
このサービスを利用するにはインターネットでの予約が必要だが、来春をめどに駅窓口での販売も予定されている。
戻らないビジネス需要を掘り起こし
JR東海によると、新型コロナウイルス禍でオンライン会議などの普及が進み、出張などに伴うビジネス需要が大幅に減少。休日の利用客は旺盛な観光需要に支えられ、堅調に推移しているが、ビジネス客が中心の平日はコロナ前の9割にとどまっている。
プラス1200円で1・5人分の座席を使用できる「走るオフィス」。座席を減らしてまでビジネス環境の充実を図る背景には、コロナ禍で落ち込んだビジネス需要が完全に戻りきっていない現状への懸念がある。コロナ禍で定着した「場所を選ばない働き方」に対応した新サービスでどこまで需要を掘り起こせるか注目される。(川島優治)





