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産経新聞:産経ニュース

       国のエネルギー政策の根幹に関わる問題であるにもかかわらず、あまりにも軽率で無責任な発言にすぎないか。

       小泉純一郎元首相が行った記者会見での主張である。国内の原発について「すぐゼロにした方がよい」と述べた。

       論拠は、原子力発電で生じる高レベル放射性廃棄物を地中深く埋める最終処分場が決まっていないことにあるようだ。「10年以上かけて1つも見つけられない」と批判した。

       この問題を小泉氏が考えることになった契機は今夏、フィンランドの最終処分場を見学したことにあるという。岩盤を深度400メートルまで掘った地下施設だ。日本も同様の地層処分を計画しているが、火山や地震が多い日本列島での実現性に疑問を持ったらしい。

       国内での最終処分は、法律に基づいて平成12年に設立された原子力発電環境整備機構(NUMO)が担当している。第1次小泉内閣発足とほぼ横並びの誕生だ。

       今になって最終処分場の立地難を、その小泉氏が問題提起をするのは不可思議でならない。

       最終処分場の候補地選びは反対運動もあって遅れ気味だ。以前に内閣府が行った世論調査では、回答者の8割が処分地決定の必要性を認めたが、自分の市町村や近隣への設置となると同じく8割が反対した。それほど機微な要素がある。安易な批判は遅滞を招く。

       会見では核燃料サイクルの中止も提案したが、これもまずい。非核保有国の中で再処理を認められているのは、日本だけであるという事実を忘れてはなるまい。原子力を他のエネルギーと同列に扱うことは、日米関係や国際情勢とも齟齬(そご)を来す。

       小泉氏の言説に従って原発即時ゼロの道を歩めば一挙に廃炉のコストが膨らみ、再生可能エネルギー開発に回す余力も消える。その奇抜な提案は「ハーメルンの笛吹き男」に通じる危うさがある。

       氏は科学的知見に基づいて物を言っているのか。

       エネルギー資源の最貧国に等しい日本が台頭するアジアに伍(ご)して経済発展を続けるには、安定供給を可能にする原子力の利用が不可欠であることは自明だろう。

       ただし、安倍晋三政権も原発を含めた日本のエネルギー比率をまだ定めていない。小泉発言に惑わされることなく、全原発の早期再稼働を即決してもらいたい。

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