身内が亡くなると、必ずさまざまな手続きを進めなければなりませんが、ほとんどの方にとって人生でそう何度も経験するものではありません。そのため、いざ遺族となったときに「どんな手続きがあるのか全く分からない」と感じる方が多いのが現実です。本記事では、遺族が行う手続きを、時系列に沿って簡潔にまとめています。悲しみの中でも必要な準備や手続きをスムーズに進める参考になれば幸いです。




自宅で危篤または死亡した場合は、かかりつけの医師に来てもらうか、救急車を呼びます。(特に持病がなく突然死、事故などの場合は、すみやかに警察に連絡します。)

身内が突然亡くなった際、何をすれば良いか戸惑う方も多いでしょう。どのような手続きを進めたら良いのか不安になることがあります。死亡診断書の取得から死亡届の提出までの手順をわかりやすく解説します。



死亡診断書は、生命保険の手続きやその他の行政手続きで必要になります。手続きがスムーズに進むように、2〜3部のコピーを用意しておくことをお勧めします。葬儀社に手続きを依頼する場合も、事前にコピーを取っておくと安心です。
出典:群馬県板倉町「死亡届の記入例」死亡診断書・死体検案書の様式は、市区町村役場の窓口で入手できます。死亡届と同じ用紙(A3サイズ)に載っており、左半分が死亡届、右半分が死亡診断書・死亡検案書という体裁となっています。
| 提出先 | 故人の死亡地、本籍地等の市区町村役場窓口 |
|---|---|
| 提出できる人 | 親族、同居者、家主、地主、後見人など |
| 必要なもの | 死亡診断書または死体検案書、印鑑(押印する場合) |
| 手数料 | 手数料はかかりません |
| 留意点 | 火葬許可申請書と同時に提出しましょう。 |
「火葬許可申請書」は、火葬を行うために必要な書類であり、火葬許可証(埋火葬許可証)を発行してもらう際に役所に提出します。通常、「死亡届」と合わせて提出するもので、この申請をしなければ火葬を行うことができません。

法律により、お亡くなりになった後、24時間が経過するまでは火葬を行うことは禁じられています。そのため、火葬の予約を取る際にはこの点に十分に注意が必要です。

| 提出先 | 故人の死亡地、本籍地等の市区町村役場窓口 |
|---|---|
| 提出できる人 | 死亡届を提出する人など |
| 必要なもの | 死亡届、印鑑(押印する場合)、申請書(窓口で入手します) |
| 手数料 | 申請時に所定の火葬料を支払う場合あり |
| 留意点 | 死亡届と同時に提出しましょう。 |
出典:いちばんやさしい終活ガイド「火葬許可申請書の書き方」様々な事情から多少前後する事がありますが、通夜は一般的に亡くなった日の翌日に、葬儀・告別式は通夜の翌日(通夜の翌日が友引の場合はその翌日)に行う事が多いです。





出典:くらしの友








葬儀費用は、葬儀社や葬儀の規模などによって金額が大きく変わってきます。あらかじめ資料や見積書を気になる葬儀社から取り寄せ、比較するのが望ましいです。葬儀費用をどのように準備するかということは、なるべく具体的に考えておくとよいでしょう。
| 基本料金※ | 67.8万円 |
|---|---|
| 飲食費 | 20.1万円 |
| 返礼品 | 22.8万円 |
| お布施 | 22.4万円 |
| 総額 | 110.7万円 |
出典:株式会社鎌倉新書「第5回 お葬式に関する全国調査2022年」
| 家族葬 | 親族や親しい友人などのみで行う葬儀。 |
|---|---|
| 1日葬 | 通夜を行わず告別式と火葬のみを行う。 |
| 直葬 | 火葬のみを行う。 |
※出典:株式会社鎌倉新書「葬儀の種類別割合」葬儀後は、気持ちが落ち着かない中で、役所へ提出する世帯主変更届など、早々に準備しなければならいことがいくつかあります。ご家族の今後の生活に直結する大事な手続きですので、速やかに対応するよう心がけましょう。
世帯主が亡くなり、残っている世帯員が2人以上いる場合(たとえば、配偶者以外の人が新しい世帯主になる場合など)、住んでいた市区町村の役場に行き、運転免許証などの本人確認書類を持って、世帯主変更届(住民異動届)を提出し、住民票の世帯主を変更する必要があります。
一方、残る世帯員が1名の場合や、新しい世帯主が明らかである(たとえば、妻と幼い子供の場合)場合、または亡くなった方がそもそも世帯主でなかった場合は、特に届出の必要はありません。なお、亡くなった方は死亡届の提出により戸籍に「死亡」と記載され、住民票からも削除されます。



| 提出先 | 故人が住んでいた市区町村役場の窓口 |
|---|---|
| 届出人 | 新世帯主または同一世帯の方もしくは代理人 |
| 必要な物 | ・届出書(窓口で入手します) |
| 留意点 | 完了後、住民票の写しを取得し、内容を確認しましょう。 |

14日をすぎても届け出は可能ですが、遅延理由を記載した「提出期間経過通知書」の提出が求められる場合がございます。遅延理由によっては過料が科されることもありますので、期限以内に届け出を行いましょう。

資格喪失に関する手続きは、基本的に勤務先の担当者が行います。勤務先は、亡くなった日から5日以内に健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届を提出する必要があります。すぐに勤務先に連絡をしましょう。 また、亡くなった翌日から保険証は使用できなくなります。亡くなった人の扶養家族は、会社員である別の家族の扶養に入らない場合には、国民健康保険への切り替え手続きを行う必要があります。その手続きは、死亡した日から14日以内に、市区町村役場で行います。

死亡届の提出により国民健康保険の資格は喪失となるため手続きは不要です。ただし、世帯主が亡くなったときには家族の国民健康保険証の書き替え手続きが必要になるため、死亡日から14日以内に居住地の市区町村役場で手続きを行います。

亡くなった加入者本人の保険証を市区町村役場に返却する必要がありますが、返却は葬祭費の申請をする時に行います。
高額療養費制度とは、1カ月の医療費が一定の限度額を超えた場合、超えた分を後から払い戻してもらえる制度です。これは、日本の公的医療保険制度の一環であり、医療費が高額になった場合でも、被保険者が負担する金額を抑えることができます。また、被保険者本人が亡くなった場合でも、未払いの高額療養費があれば相続人が請求することが可能です。
出典:厚生労働省
高額医療制度により払い戻しの対象となるのは、健康保険が適用される医療費のみです。病院や介護療養型医療施設に入院・入居中にかかる食費や住居費、患者の希望による差額ベット代などは支払いの対象となりません。
出典:全国健康保険協会
出典:全国健康保険協会
一般的に医療費を払ってから2~4カ月後に自治体や健康保険組合などから申請書が届きます。
死亡した人が加入していた健康保険によって、受け取れる給付金が異なります。故人が国民健康保険に加入していた場合は「葬祭費」が、市区町村で申請でき、支給額は3万〜7万円が一般的です。一方、健康保険(会社員など)の加入者であった場合は「埋葬料」または「埋葬費」が支給され、支給額は5万円が上限です。申請には、故人の健康保険証、葬儀費用の領収書、振込先口座情報などが必要です。申請期限は葬儀の翌日から2年以内ですが、早めに手続きを行うことが推奨されます。
出典:全国健康保険協会
出典:全国健康保険協会介護保険の被保険者が亡くなった際には、遺族が市区町村役場で資格喪失の手続きを行い、被保険者証を返却します。この手続きが必要になるのは、故人が65歳以上の第1号被保険者であった場合、または40歳以上65歳未満の第2号被保険者であり、医療保険に加入し、要介護または要支援認定を受けていた場合です。
出典:幸手市
出典:幸手市1カ月の介護サービス自己負担額が一定額を超えた場合、超過額が支給される「高額介護サービス費」という制度があります。故人が高額介護サービス費を受け取れないままに死亡した場合、相続人の代表者が受け取ることができます。

死後に支給される高額介護サービス費は、相続税の対象となりますので、相続税のかかる人の場合には注意が必要です。
大切な家族を失い、死後2週間が経過すると、次に相続に関する手続きを進めていく必要があります。相続人の確定や遺産の調査、遺言書の確認など、さまざまな対応が求められます。ここでは、遺産相続や相続税について整理しました。








相続税を申告する際には、税務署、国税局のWEBサイト「相続税の申告書等の様式一覧」から手に入れることができます。第1表~第15表なり、必要なものを選んで指示通り埋めていきます。ここでは第1表と第11表の書き方をご紹介致します。
出典:国税庁(相続税申告書の記載例)相続を遺産しても多額の相続税を納付しなければならないケースも少なくありません。その後生活が不安・・・そんな人には是非活用してほしいのが相続税を軽減する事ができる特例制度です。その中でもきっと多くの方が利用されていると思われる「配偶者の税額軽減の特例」「小規模宅地の特例」を紹介致します。

遺された配偶者の生活をまもるための制度で、1億6000万円、もしくは配偶者の法定相続分相当額のどちらか多い金額まで相続税が課税されない。

配偶者と子供とで相続した場合、子供は課税される
※基礎控除額以下の場合は課税されません
被相続人が住んでいたり、事業を行っていた土地については、相続人が特定の条件を満たす場合、評価額が50%または80%まで減額されます。

| 対象となる人 | 要件 |
|---|---|
| 被相続人の配偶者 | なし |
| 被相続人と同居していた親族 |
|
| 持ち家のない親族 |
|
相続税の申告と納付は、被相続人が亡くなった翌日から10カ月以内に行う必要があります。遺産分割が確定していない場合でも、法定相続分に基づいて相続税を計算し、申告を行わなければなりません。申告期限が延長されることはなく、期限内に申告しないと相続税の軽減特例が適用されなくなるだけでなく、延滞税や無申告加算税といったペナルティが発生するため、必ず期限内に申告を行いましょう。
| 加算税の種類 | ペナルティー |
|---|---|
| 延滞税 | 納期限の翌日から2か月以内は年2.4%。納期限の翌日から2か月超は年8.7%が加算される |
| 過少申告加算税 | 税務署から指摘された場合は追加納付分の10%が加算、さらに追加納付する額が当初の納税額が50万円を超えていれば、超えている金額の15%が加算される |
| 無申告加算税 | 自主的に申告した場合は5%が加算となり、税務調査を受けてから申告した場合は15%が加算される |
| 重加算税 | 「財産や事実を意図的に仮装・隠蔽した」など、悪質と認められる場合、無申告の場合は40%、過少申告の場合は35%が加算される |
国民年金や厚生年金に加入していた方が亡くなった場合に、残されたご家族が生活を支えるために受け取ることができる年金制度が遺族年金です。この遺族年金を受け取るには申請が必要です。遺族年金は、自動的に支給されるわけではないため、遺族が自ら申請の手続きを行う必要があります。申請手続きを行わないと、たとえ受給資格があっても年金を受け取ることができません。
遺族年金には、「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」があり、亡くなった方の年金の加入状況などによって、いずれかまたは両方の年金が支給されます。亡くなった方の年金の納付状況・遺族年金を受け取る方の年齢・優先順位などの条件をすべて満たしている場合、遺族年金を受け取ることができます。


「年金請求書」は、年金事務所、年金相談センターで手に入ります。提出できるのは、給付の対象となる磯久、提出先は、街角の年金相談センター、もしくは最寄りの年金事務所です。
出典:日本年金機構

手続きには故人と請求者の年金手帳(証書)、死亡診断書のコピー、戸籍謄本、世帯全員の住民票、故人の住民票の除票、請求者の所得証明書、振込確認ができる預金通帳などが必要です。
同一事由により寡婦年金と死亡一時金を受けることができるときは、その者の選択により、どちらか一方のみが支給されます。

寡婦年金は、第1号被保険者の独自の給付制度です。第1号被保険者としての保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせて10年以上ある夫が死亡したときに、夫によって生計を維持し、かつ、夫との婚姻関係が10年以上維持していている妻に対して60歳から65歳までの間、支給されます。なお、第1号被保険者には、任意加入被保険者を含み、婚姻関係には事実婚を含みます。
以下のすべてを満たす妻には、寡婦年金が支給されます。
死亡一時金は、第1号被保険者としての保険料納付済期間が3年以上ある者が死亡した場合に遺族に支給されます。第1号被保険者には、任意加入被保険者を含みます。
| 死亡一時金 要件1.の期間 | 支給金額 |
|---|---|
| 36カ月以上 180カ月未満 | 120,000円 |
| 180カ月以上 240カ月未満 | 145,000円 |
| 240カ月以上 300カ月未満 | 170,000円 |
| 300カ月以上 360カ月未満 | 220,000円 |
| 360カ月以上 420カ月未満 | 270,000円 |
| 420カ月以上 | 320,000円 |
以下の要件を満たす場合に、死亡一時金が支給されます。
出典:フォーサイト
出典:日本年金機構出典:日本年金機構
生活のインフラともいえるクレジットカード、インターネット、サブスク・・・などこれらの処理をしなくては無駄なお金を支払ってしまう事になります。手続きを忘れないようにしましょう。








身内が亡くなった後の遺産や相続に関する手続きは、時には個人で対応するのが難しい場合もあります。そうした状況で頼りになるのが専門家です。相談に特化した専門家に依頼すれば、必要に応じて他の専門家とも連携し、適切なサポートを提供してくれるでしょう。




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