

看護政策の動き
日本看護協会は、都道府県看護協会と協働し、個人の力だけでは解決できない看護を取り巻く課題の解決に向け、
国への要望・政策提言など、さまざまな活動を行っています。
その中で、2025年に向けて、看護、そして看護職がどうあるべきかを示す看護の将来ビジョンを公表しました。
その実現に向け、看護政策として優先的に取り組むべき課題を「重点政策」として掲げ、取り組みを進めています。
また、本会ではかねてより、国民のニーズに応える看護の実践と、あるべき将来像の実現のために、
看護政策の実現に向けた戦略を議論・提言・検証することを目的に、隔年で「日本看護サミット」を開催しています。
本会の活動
厚生労働大臣に要望を提出
看護DXを踏まえた外来の機能強化と看護現場の労働環境改善を
武見厚労大臣(右)に
要望書を手渡す高橋会長
2024年5月30日、「令和7年度予算・政策に関する要望書」と題する要望書を厚生労働大臣へ提出しました。
看護職員がより専門性を発揮し、質の高い医療・看護を提供するためには、看護の提供体制の強化や労働環境の改善が必要です。そのため、令和7年度予算案等の編成、政策の策定にあたり、以下3点を要望しました。
- 外来医療・看護の機能強化
ICTを活用した外来医療・看護提供体制のあり方に関して、新たな地域医療構想の中で十分な検討を - 看護DXの推進
看護サービスのさらなる質向上に向けて、デジタル技術の導入による看護業務の効率化・負担軽減を図ることが重要とし、導入推進に対し財源の確保及びそれに係る相談支援体制の強化を - 看護現場の長時間労働是正及び労働者の健康確保
現在2交代制・16時間夜勤の形態を採用する現場が増加しており、長時間労働の是正並びに看護職員の健康確保のための措置を
- 外来医療・看護の機能強化
老健局、医政局、健康・生活衛生局へ要望を提出
人材確保の強化や専門性の高い看護師の活用を
2024年3月19日、厚生労働省の間隆一郎老健局長に「令和7年度 予算・税制等に関する要望書」を、浅沼一成医政局長、大坪寛子健康・生活衛生局長に「令和7年度 予算・政策に関する要望書」を提出しました。
間老健局長(左)に
要望書を手渡す高橋会長
老健局
地域での在宅療養を最期まで支えるためには、訪問看護や看護小規模多機能型居宅介護(看多機)、介護施設などの看護サービスの整備・拡充が必要です。そのため、介護領域で働く看護職員の確保・定着が喫緊の課題であるとし、一層の処遇改善や職場環境整備に向けた財源の確保などを強く求めました。
浅沼医政局長(右)
医政局
看護がより専門性を発揮し、人々の健康と療養を支えていけるよう、看護職員の人材確保や働きやすい環境の整備など、看護提供体制全般に係る計13項目を要望しました。
13項目のうち、特に、1.医療法上の外来の看護職員の「人員配置標準30対1」を一律的な配置基準でなく、外来機能に応じ見直す、2.配置基準が定められていない救急外来についても、実態に即した基準を設ける、5.看護DXの推進に向け、デジタル技術導入にあたってのさらなる財源確保、11.ナースセンターの機能の効果的な提供のほか、公共職業安定所(ハローワーク)との連携強化に向けたICT機器設置への財政支援、の4項目を重点的に要望しました。
大坪健康・生活衛生局長(右)
健康・生活衛生局
地方公共団体の保健師の確保や配置は各自治体の裁量に任されていますが、人材確保については地域による格差が明らかです。都道府県が主体的に保健師の確保・調整について実効性の高い対策を講じられるよう、保健師活動指針などに明確に記載するよう求めました。
重点政策・事業
~現場の課題解決に向けて~
日本看護協会では、国の政策方針や施策の動向を踏まえつつ、看護政策として優先して取組むべきものを毎年掲げて取組んでいます。
また、ある一定のスパン(3年間)をもって事業を実施することで達成すべき目標を明確化し、年次ごとにその進捗状況を評価して進めています。
令和4(2022)年度からは、看護政策において優先して取組むべき課題のなかでも、3か年という一定の実施期間内に具体的な成果が想定でき、
達成すべき目標に向けた取り組みが現実的なものとして事業化できるものを「重点政策」、
専門職として看護の発展を目指す上で極めて重要な政策課題であり尚且つ関係者間の合意を十分に得たうえでの法律改正を要するものを「重点課題」として位置づけ、
いずれも機を逃さず、その着実な実現に向けて取り組みを進めます。
さらには「基盤強化事業」を設け、重要な政策課題はもとより、日本看護協会の様々な事業を着実に実施していくための組織基盤の充実と強化を図ります。
「日本看護協会SDGs宣言」を踏まえ、令和4(2022)年度以降、SDGsの実現目標年である2030年までの間、
本会の重点政策をSDGsの3つの目標
(3.すべての人に健康と福祉を/5.ジェンダー平等を実現しよう/8.働きがいも経済成長も)
と関連づけて捉え、本会事業のより一層の推進に尽力します。
重点政策1.全世代の健康を支える看護機能の強化
1-1.看護提供体制の構築
【実施計画】
1.看護提供体制のあり方の検討
2.訪問看護・看多機の提供体制強化に向けた取組み
1-2.地域における健康・療養支援体制の強化に向けた取組み
【実施計画】
- 1.地域における重症化予防に資する看護活動の強化
- 2.働き盛り世代の健康を支える地域・職域連携の強化戦略の検討
1-3.地域における看護職の確保と活躍推進
【実施計画】
1.保健師の確保・活躍推進
2.助産師の確保・活躍推進
3.訪問看護師の確保・活躍推進
重点政策2.専門職としてのキャリア継続の支援
2-1.看護職の働き方改革の推進
【実施計画】
- 1.看護職員の処遇改善の推進
- 2.夜勤・交代制勤務のあり方の検討
- 3.看護業務効率化の推進
- 4.多様で柔軟な働き方の提案
2-2.看護職のキャリア構築支援
【実施計画】
- 1.看護職キャリア情報の活用推進
- 2.看護資格の活用基盤強化
- 3.都道府県ナースセンターの強化策の検討
2-3.看護職の生涯学習支援体制の構築
【実施計画】
- 1.県協会との協働による生涯学習支援の推進
- 2.看護職の生涯学習ガイドラインの普及
重点政策3.地域における健康と療養を支える看護職の裁量発揮
3-1.看護の専門性の発揮に資するタスク・シフト/シェアの推進
【実施計画】
- 1.現行制度における看護の専門性の発揮に向けた取組み
- 2.看護補助者の確保・定着の推進
3-2.特定行為に係る看護師の研修制度の活用推進
【実施内容】
- 1.特定行為研修の質の担保に向けた本会戦略の明確化
- 2.特定行為研修のさらなる受講促進と修了者の活動推進
3-3.資格認定者の養成戦略の検討
【実施計画】
- 1.認定看護管理者の養成推進および認定者数の増加・維持に向けた検討
- 2.認定看護師及び専門看護師のあり方と方針の明確化
重点政策4.地域の健康危機管理体制の構築
4-1.感染症拡大及び災害発生時における看護提供体制の整備
【実施計画】
1.災害等発生時における看護支援活動の体制整備及び本会と都道府県看護協会の連携強化
2.クリティカルケア認定看護師の養成支援
4-2.本会のBCP(事業継続計画)の策定
【実施計画】
- 1.本会BCPの策定
- 2.有事におけるデータ管理・運用体制の構築と運用、検討
重点課題
准看護師養成の停止
看護師基礎教育の4年制化
日本版ナース・プラクティショナー(仮称)制度構築
基盤強化事業
看護政策推進のためのエビデンスの集積・活用体制の構築
政策推進力の強化
日本看護協会における教育研修体制の強化
日本看護サミット
医療・介護の提供体制が大きな変革を遂げる中、現場の課題を解決するために看護の知らを結集し、政策実現に取り組む重要性がますます増加しています。そこで、看護の政策実現に取り組むための舞台として、2015年から新たに「日本看護サミット」を日本看護協会が主催することとなりました。
日本看護サミット2023
テーマ
地域社会を支える看護職への生涯学習支援「日本看護サミット2023」サミット宣言
これまでの日本看護サミット
日本看護サミット2021
■テーマ
看護職の就業継続が可能な働き方で、看護の未来を拓く
■開催日
2022年2月4日(金曜日)
■会場
パシフィコ横浜
■開催形式
会場参集+オンライン視聴
■サミット宣言
2040年に向けて変わりゆく地域の医療ニーズに応え、新たな看護ケアサービスを創造できるよう、働き方を抜本的に見直し、多様な働き方を実現するとともに、あらゆる職場において、就業継続が可能な看護職の働き方を推進していくことを宣言します。
■実施内容

日本看護サミット2019
■テーマ
看護が創造る地域の未来つなげよう! 166万人の看護の力~
■開催日
2019年12月6日(金曜日)
■会場
パシフィコ横浜
■開催形式
会場参集+オンライン視聴
■サミット宣言
あらゆる領域で働く看護職は、自身の役割や専門性を活かして地域包括ケアシステムの発展に貢献します。そのために、すべての看護職が連携強化を図るとともに、看護の質の向上に向けた教育の充実と、訪問看護に携わる人材の育成・確保に取り組みます。これらをもって、健康な社会・地域をつくり、住民の安心・安全な生活に寄与することを宣言します。
■実施内容


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