棋譜利用「営業利益を侵害」、将棋動画配信者が逆転敗訴
将棋のタイトル戦の棋譜を盤面図に再現した動画配信が削除されたのは不当だとして、男性ユーチューバーが棋戦を中継する事業者「囲碁・将棋チャンネル」に損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が30日、大阪高裁であった。
森崎英二裁判長は請求の一部を認めた一審判決を取り消した。
判決理由で、森崎裁判長は、動画配信について「リアルタイムでの棋譜の利用を視聴者にアピールし、収益を上げた」と指摘。その上で「自由競争の範囲を逸脱し、(チャンネル側の)営業上の利益を侵害している」と結論づけた。
同チャンネル側は「判決内容を把握しておらず、現時点ではコメントを差し控えたい」とした。
2024年1月の一審・大阪地裁判決は、棋譜は公表された客観的な事実で「自由に利用できる情報だ」と指摘し、チャンネル側に約120万円の支払いを命じていた。
判決などによると、男性は20〜23年、棋譜を使った動画を無料配信。チャンネル側は著作権を侵害されたとして配信元に削除を申請し、動画は一時削除された。
同チャンネルは、日本将棋連盟などの出資を受け、棋士の対局の様子などを有料で放送している。