東京ディズニーがクルーズ船事業 3300億円投じ28年度

東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランド(OLC)は9日、クルーズ事業に参入すると発表した。事業費は約3300億円で、2028年度に就航する。首都圏の港を発着する2〜4泊の短期周遊クルーズを中心に運航する。世界的に需要の拡大するクルーズ船をテーマパークに続く柱の事業に育てる。
テーマパークは国内外で新規開業や拡張が相次ぎ競争が厳しい。クルーズ船は客層が従来の高齢者から家族客や若者にも広がっている。クルーズライン国際協会(CLIA)によると、世界のクルーズ人口は23年に新型コロナウイルス禍前の19年を上回る3170万人に達し、27年には3970万人になる見込みだ。
OLCはテーマパークの顧客基盤を生かせるとみてクルーズ船事業への参入を決めた。首都圏発着のほか、国内外の港を巡る航路も検討する。日本船籍では最大級となる総トン数が約14万トンのクルーズ船を25年度から建造する。乗客定員は4000人。
複数のランクの客室を用意し、標準的な価格帯は2〜4泊で10万〜30万円を想定する。港に寄港する一般的なクルーズ船とは異なり、船内での滞在が中心となる。
船内でのコンテンツは計画中だ。米ウォルト・ディズニーの手掛けるディズニークルーズでは、テーマパークの要素を取り入れたウォータースライダー、本格的なミュージカルを楽しめる劇場、ショーを楽しみながら利用できるレストランなどがある。
訪日客などの需要も見込み、数年後には年間で乗客約40万人、売上高約1000億円を目指す。営業利益率はテーマパーク事業と同じ20%程度を確保できる見込みだ。
吉田謙次社長兼最高執行責任者(COO)は同日の記者会見で「さらなる成長のために(TDRのある)舞浜地区以外での事業を検討してきた。テーマパークとは違う非日常体験ができる」と説明した。
TDRは23年10月のチケット値上げ後も来園客数が伸びている。円安の効果もあり訪日客も増えている。23年度の入園者数は前年度比2割増の2751万人だった。24年6月には東京ディズニーシーに映画「アナと雪の女王」などをテーマにした新エリアを開業した。ただ今後は大幅な拡張余地は限られるうえ、舞浜地区への依存度も高く、新規事業の育成が課題だった。
米ディズニーと日本を拠点とするクルーズ事業に関するライセンス契約を締結した。米国では1998年に就航以降、現在5隻が運行しており、さらに3隻の就航が予定されている。
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