備蓄米売り渡し価格47%安く、契約の詳細公表 店頭2000円水準

農林水産省は26日、政府備蓄米を売り渡す随意契約の詳細を公表した。対象は大手小売業者に限定し、売り渡し価格は玄米60キログラムあたり1万700円(税抜き)とする。入札方式だった前回より47%安くなる。6月上旬にも店頭価格5キロ2000円程度で備蓄米を買える状況をめざす。

石破茂首相は26日、2000円目標について「実現する可能性は極めて高いと思っている」と述べた。首相官邸で記者団に語った。
小泉進次郎農相は同日、農水省の「米対策集中対応チーム」の発足式で「コメの価格についての国民の不安を払拭する。これ以上のコメ離れを防げるように取り組む」と話した。希望する事業者から申請の受け付けを近く始める。買い戻しの条件は付けず輸送費は国が負担する。
放出量は30万トンで、2022年産米が20万トン(60キロあたり税抜き1万1010円)、21年産が10万トン(同1万80円)の加重平均が1万700円になる。前回の第3回入札の平均落札価格は同2万302円で、ほぼ半分の水準になる。
倉庫から買い手の小売業者が希望する場所まで国が届ける。精米する場合の費用は小売業者が負担する。単純計算で5キロあたり900円弱の原価に精米や店頭への輸送といった費用を乗せて販売する。
農水省は24年同時期の一般的なマージン(利幅)を前提に「小売価格が5キログラム2000円程度(税込み2160円程度)となる水準」と見る。独占禁止法上の問題があるため、特定の小売価格の要請はしない。
備蓄米以外も含めたコメ全体の取扱量が年間1万トン以上の大手小売業者に限定し、ネット通販事業者も含む。POS(販売時点情報管理)データの情報提供も求める。契約後に社名を公表する。

これまではJAグループなど大手集荷業者が対象で、卸売業者、小売業者と流通するのに時間がかかっていた。小売業者に直接提供し早期に店頭に並べる。
国が売り渡した備蓄米と同量を5年以内に買い戻す条件は削除した。大量の玄米を調達することは小売業者の負担になり、参加の障害になると判断した。
25年産のコメが出回る前の8月までに消費者に提供する数量を申し込んでもらう。毎日先着順で受け付けて契約を結ぶ。申し込みが30万トンを上回れば、放出量を上積みする方針だ。
小泉氏は備蓄米の在庫がなくなる懸念について「備蓄米はいざというときのためにある。今こそいざというときだ」と主張した。農水省内で記者団に語った。
農水省は3月から備蓄米の放出を始めたものの、コメ価格の高騰に歯止めがかからない状況だ。備蓄米を早く、安く店頭に届けることでコメ価格全体の抑制をめざす。
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2024年に表面化したコメ価格の高騰を受け、農林水産省は備蓄米放出などの対策に乗り出しました。その過程で、政府の農業政策や流通経路における目詰まりなど、コメの生産・流通を巡る課題が顕在化しています。最新ニュースや解説記事をまとめています。
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