霞ケ浦にウナギを再び 地元NPO「水門開閉を」
かつて全国有数の漁獲量を誇った茨城県・霞ケ浦のウナギ漁を再生しようと、地元NPO法人が生息環境改善に向けた取り組みを進めている。稚魚の遡上を妨げる水門を開くよう国や地元自治体に訴えており、利根川水系の他県の自治体にも協力を呼び掛ける考えだ。
国内のウナギ漁獲量は1960年代、年間3千トン前後に上り、その2~3割は霞ケ浦を中心に利根川水系で取れた。茨城大客員研究員の二平章さん(65)によると、稚魚のシラスウナギが上げ潮に乗り利根川、常陸利根川を遡上、霞ケ浦に生息していた。二平さんは「泥とアシの岸辺がすみかに適していた」と話す。
しかし、海水による塩害防止のため国が常陸利根川に水門を建設、75年に海側からの流れが閉ざされた。護岸工事で自然の岸辺もほぼ壊滅。70年代以降、利根川水系の漁獲量は減り続け、近年はピーク時の1割以下だ。
霞ケ浦の自然保護を訴えるNPO法人「アサザ基金」(同県牛久市)の代表理事、飯島博さん(58)は昨年9月、政府の国家戦略特区としてウナギ生息地の霞ケ浦を再生する計画を提出した。「水門を開閉し生息環境を整える」との構想だ。
また、県内の自治体の議会に水門の柔軟運用を求める意見書を政府や県に出すよう請願し、4議会で採択された。今後、群馬や千葉の利根川流域の自治体にも同様に請願する予定という。
飯島さんは「霞ケ浦のウナギ漁再興は利根川水系全体の『ウナギ復活』のシンボルにもなる」と意気込んでいる。〔共同〕
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