サステナビリティ 日経グループは「考え、伝える。より自由で豊かな世界のために。」をグループのパーパス(存在意義)としています。「より自由で豊かな世界」を実現するには、環境や社会とのバランスが保たれたサステナブルな経済成長が欠かせず、国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の理念とも一体であると考えています。報道や事業を通じて社会課題の解決に努め、SDGs達成に貢献していきます。
日経は国連が世界の報道機関などに呼びかけている「SDGメディア・コンパクト」に2019年に署名しました。2023年に策定した「2030年グループ長期経営計画」では、持続可能な社会の実現とグループの成長を両立させるため、サステナビリティに関する4つの重要課題(マテリアリティ)を定めました。この重要課題に基づく取り組みを通じ、経済と社会の持続的な成長の実現を目指して参ります。

日経が2019年に署名した「SDGメディア・コンパクト」には、SDGs関連の報道を充実させ、その目標や目標達成に向けた行動を促進するため、世界の報道機関とエンターテインメント企業が参画しています。国連によると参加企業数は世界で100社以上に達し、160カ国、20億人以上にSDGsにかかわるコンテンツを届けています。
人権は「自由」なくして成立しません。一人ひとりが自由に物事を考え、自分の生き方を決められない社会では、幸福な生活を送ることはできないからです。人権の確立をめぐる歴史は、自由の獲得をめぐる歴史でもありました。日経は人権尊重を自らの行動基準の真ん中に位置付けることはもちろん、国内外で人権を脅かす行為を見つければ、厳しく追及し警鐘を鳴らします。
このような考えのもと、日経グループの事業活動から影響を受けるすべての人々の人権を尊重することをより明確にするため、私たちは「日経グループ人権方針」をここに定めます。本方針にのっとり、私たちのパーパス(存在意義)である「考え、伝える。より自由で豊かな世界のために。」を実行に移すことを通して、真に人権尊重が根差した社会の発展に貢献していきます。
日経グループは「考え、伝える。より自由で豊かな世界のために。」をグループのパーパス(存在意義)として掲げ、すべての事業の指針にしています。誰もが自由にアイデアや意見を表明でき、多様性を認め、他者を尊重する社会づくりに貢献し、その発展を支えることが私たちの使命です。
社会や環境を巡る問題への対応が重要課題になるなか、持続可能で豊かな社会を実現するためには、日経グループとサプライヤーの皆様が協力して取り組みを進めることが不可欠です。「日経グループ サプライヤー行動規範」はサステナブル経営の実現に向けた私たちの考え方や、日経グループとともにサプライヤーの皆様に取り組んでいただきたい事項をまとめたものです。取引先の皆様にはご理解・ご協力をいただけますようお願い申し上げます。
日本経済新聞社は、障がい者の活躍推進に取り組む国際組織「Valuable 500」の趣旨に賛同し、加盟しました。「Valuable 500」は2019年の世界経済フォーラム年次総会で発足し、障がい者がビジネスの分野で潜在的な価値を発揮できる社会を目指し、ビジネスリーダーが改革を起こすことを目的とした取り組みです。

日本経済新聞社は「考え、伝える。より自由で豊かな世界のために。」をグループのパーパス(存在意義)としています。「より自由で豊かな世界」の実現には、一人ひとりが自分の個性を大切にすることはもちろん、それぞれの個性をお互いに認め合う寛容さも欠かせません。障がいの有無も含めた個々人の違いが例外なく尊重され、多様性から豊かさが引き出される社会の実現をめざします。
持続可能な社会の実現に向けた日経グループの取り組みを推進するため、2022年9月に代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を発足しました。気候変動問題や人権尊重、ジェンダー平等などサステナビリティに関する日経および日経グループの取り組みについて原則年2回審議し、取締役会やグループ経営会議に報告しています。社内各部門や各グループ会社にはサステナビリティ担当者を配置し、グループ全体でサステナビリティ経営を推進していきます。

日経は行動規範に則り、ダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みを進めています。
日経の新卒採用に占める女性の割合は2023年に5割を超えています。

日経グループは2013年に女性活躍を支援して経済活性化につなげる「日経ウーマノミクス・プロジェクト」を立ち上げ、20年にはジェンダー平等・多様性を経営視点で考え、各企業や組織、日本経済の発展につなげるための「日経ウーマンエンパワーメントプロジェクト」を創設しました。年間を通じて大型イベントやコンソーシアムを企画し、情報を発信しています。
日経グループは2018年7月に「日経SDGsフォーラム」を発足させました。日本経済新聞や日経グループの各種メディアとともに、パートナー企業・政府・地方公共団体・教育研究機関・民間団体とのネットワークづくりを促進し、日本のSDGsの推進エンジンとしての役割を果たします。日本経済新聞社が日経BP、英フィナンシャル・タイムズと連携して開催する日本最大級のSDGsイベント「日経SDGsフェス」を年4回開催。日経SDGsフォーラムシンポジウムはそのメインイベントとなっています。
(注)日経グループは日経と連結対象会社で、スコープ1・2は自社の燃料燃焼やエネルギー消費などに伴う排出分
日経グループは企業の社会的責任としてすべての事業活動で環境負荷の低減をはかっています。温室効果ガス(GHG)排出を実質ゼロにする「カーボンゼロ」の目標を2022年12月に設定し、グループをあげて取り組みをさらに推進しています。2030年までにスコープ1・2(19年は約4.5万トン)の実質ゼロを実現し、さらに50年までにはバリューチェーンの排出(スコープ3)を含めた実質ゼロをめざします。
目標を着実に達成するために、2025年にスコープ1・2をグループで2万トン、日経本社単体で1,200トンとする中間目標も2023年7月に設定しました。グループのスコープ1・2排出量は2023年に2万トンとなり中間目標を前倒しで達成したため、24年7月に25年中間目標を1.5万トンと新たに設定しました。今後も、排出量の算定を精緻化していくとともに、引き続き報道機関として社会全体の脱炭素化を推進する責務を果たしていきます。
<GHG排出削減のイメージ>
※GHGプロトコルや環境省のガイドラインにのっとって算定した。CO2以外は5%未満のため省略。

▼電源構成や人口の変化
国際エネルギー機関(IEA)のシナリオや政府による見通しに基づく電源構成や、日本の将来推計人口。
▼各業界による削減目標の達成
製紙業界が2050年までに生産活動で排出するCO2を実質ゼロとする長期ビジョン。航空業界による50年のカーボンニュートラル(CN)
▼トラック・バイクの販売規制
40年までに新車は電気自動車(EV)か燃料電池自動車(FCV)にしなければならないトラック販売規制や、35年までにバイクのガソリン車の新車販売をゼロにする東京都の規制
▼自社グループの再生エネ由来の電力への転換
22年に19年の電力使用量の4割を再生エネ由来に切り替え
▼再生エネで稼動するデータセンターなどの利用
| 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
|---|---|---|---|---|
| 80.6万トン | 72.7万トン | 60.4万トン | 55.8万トン | 54.1万トン |
※2021年は算定をより精緻にしたことによる減少も含みます。 2024年7月には、新聞用紙購入に伴う排出量(スコープ3に該当)について
「購入金額」ベースから「購入物量」ベースに、過去の排出量を含めて算定し直しました。

気候変動が企業の事業環境や経営に与える影響は大きくなるばかりです。日本経済新聞社は企業に対して影響の分析と開示を求めるTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同することを表明しました。
TCFDは主要国の金融当局などで構成する金融安定理事会(FSB)が2015年に設立した組織です。17年に公表した提言は、気候変動で企業が財務諸表に現れないリスクを抱え、金融システムの安定を損なう要因になりかねないという危機感がきっかけでした。
提言は開示を推奨する4項目を示しています。気候変動に対応する社内体制を明らかにする「ガバナンス」、財務への影響のシナリオ分析などを示す「戦略」、リスクの識別・評価方法がわかる「リスク管理」、そしてリスクの管理・評価に用いる「指標と目標」です。提言に沿った情報開示に取り組んでいきます。
2021年4月より、気候変動対応やグリーントランスフォーメーションに積極的に取り組む企業と有識者(NIKKEI GX会議アドバイザリーボード 座長:高村ゆかり東京大学未来ビジョン研究センター教授)とで、脱炭素社会の実現に向けた活動を続けています。各分野の専門家を迎えての勉強会、セミナー、シンポジウムを開催しています。
日本経済新聞社は環境問題に対する取り組みを深めるため、2007年11月に「環境基本理念」及び温室効果ガス削減の数値目標を盛り込んだ「環境基本指針」を定め、環境配慮への先進企業となると宣言しました。2017年9月には「環境基本指針」を改定し、継続的に取り組んでいます。
◇環境宣言の基本理念と基本指針
〔基本理念〕
地球環境の保全は人類社会の持続的発展に欠かすことのできない最重要課題です。日本経済新聞社は企業の社会的責任として、事業活動のすべてにわたり環境負荷の低減をはかります。またメディアの特長を活かした環境情報の提供に努め、経済発展と地球環境の調和がとれる世界の実現に、全社をあげて行動します。
〔基本指針〕
(1)事業活動が環境に及ぼす影響をできるだけ軽減するため、適切な保全策の実施と効果の評価を定期的に行い、環境マネージメントシステムの継続的な改善を実行します。
(2)省資源、省エネルギー、リサイクルや廃棄物の削減など環境問題への持続的な取り組みを通して、循環型社会の実現に努力します。
(3)事業活動に関わる環境関連法令及び当社が同意するその他の要求事項を順守します。
(4)紙面やネット、各種イベントを通して、環境保全の重要性を世界に向けて発信します。
(5)社員一人ひとりが環境問題に対する自覚を深め、意欲と責任を持って行動できる環境型人材の育成をはかります。
(6)温室効果ガスの排出源となるエネルギー消費を年平均1%削減することを目指します。また、パリ協定などの国際的な枠組みを尊重し、長期目標として取り組みます。
日本経済新聞社のエネルギー消費は、目標としている年平均マイナス1%を維持しています。引き続きエネルギー消費量の削減に努めます。
2024年度の省エネ法の届出データは前年度比でマイナス2.6%を達成しました。5年度間の平均は年マイナス3.6%で、中長期的には順調にエネルギー消費量を削減しています。

※1: 省エネ法では日本経済新聞社の全てのビル、事務所、工場等のエネルギー消費量を集計しています。
※2: エネルギー使用に係る原単位は、電気、ガス、灯油などのエネルギー消費量を原油換算(kℓ)した値を全事業場の延床面積(千m²)で割った値です。(括弧内は2023年4月法改正前の換算係数による原単位)
本支社、支局、印刷工場などの新聞事業に関わる事業場について、2013年度を基準年としてエネルギー消費量の削減を集計しています。2024年度の前年度比は、原油換算ではマイナス2.5%と順調に削減していますが、原単位でプラス1.5%でした。これは工場閉鎖により延べ床面積が減少したためです。(日本新聞協会への提出データより)

古紙配合率が高く、世界で最も軽い新聞用紙を採用。環境にやさしいエコインキや、印刷版に紙面を直接描画して資源を節約するダイレクト製版機(CTP)を導入しているほか、すべての印刷工場が環境管理の国際規格「ISO14001」や環境省の「エコアクション21」を取得しています。
日経グループの事業に伴い排出するプラスチックは、2018年に年間200トンありましたが、23年には推計で56トンまで減りました。雑誌発送用のビニール封筒などを紙製に切り替えたほか、新聞の印刷や配送の際に使うプラスチック類もリサイクル率を高めたり代替品を導入したりして削減を進めています。グループの30年目標も従前(36トン)より引き上げ、18年比9割減の20トンと新たに設定しました。業態として使用量は多くはありませんが、少しでも多く廃プラスチック削減に貢献できるよう取り組みます。
ペーパーレスも推進しています。日経グループ全体のコピー枚数は2023年度(23年4月~24年3月)に2,210万枚となり、前年度比で5.6%減りました。23年9月に新会計システムが稼働し、請求書類や台紙の印刷が不要になったことなどが寄与しました。今後もカーボンゼロ推進や業務を効率化する社内の「仕事せんたくプロジェクト」を通じたペーパーレスの取り組みを一段と進める必要があります。日経グループ全体で24年度は「5%削減」を目標としました。社内申請手続きの電子化による「脱ハンコ」を目指して2021年3月までに押印書類を原則全廃しました。