ポスティングシステムでメジャー移籍を目指す巨人岡本和真内野手(29)が、西武中村剛也内野手(42)と9年連続で合同自主トレを行った。17年オフに岡本が弟子入りを志願し、毎オフ恒例になった「おかわり塾」。球界を代表する大砲へと覚醒するきっかけをくれた師匠から、熱いエールを受け、今年で“卒業”かと思われたが、まさかの展開に…。【取材・構成=久保賢吾】
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真っさらな色紙を手にした中村剛は「和真へのメッセージねぇ…。う~ん…。何がいいかなぁ」と少し上を向き、思考を巡らせながら、マジックを走らせた。「頑張れよ! 毎朝、テレビで見てるからな!」と少し照れながら、岡本に色紙を手渡した。
「応援してます 中村剛也」
メジャー球団と交渉中の岡本は、大きな体を丸めながら「ありがとうございます」と頭を下げ、色紙を両手で受け取った。「大事にします。飾らせてもらいます」と感謝。師匠から「絶対、飾らんやろ」と強烈なツッコミを受けながら、丁寧にバッグに入れた。
岡本 今があるのは、中村さんのおかげなんで。こんなメッセージまでいただいて、うれしいです。
9回目の合同自主トレでは、中村剛から「言うことないよ」と技術的な助言などはなかった。岡本は、少し離れた場所から同学年の広島末包が助言を受ける姿を見つめた。「今日は末包が主役。貴重な話を聞ける機会ですから」。順番が来れば、黙々とロングティー打撃でバットを振った。
昨年は、左第五腰椎分離症のリハビリ中でバットを振れなかったが、開催を志願。「僕にとっての原点なので」と時間を共有した。今年はポスティングシステムを申請し、交渉などでタイトな日程の中、都合が合った唯一の日に実現。「この時間が大事なんです」と一緒に汗を流した。
練習後、ボールを集めながら、合同自主トレが始まった当初を回想した。0本塁打に終わった17年のオフから開始し、翌年に「3割、30本塁打、100打点」を達成。中村剛から「それはほんまにすごいよな」とたたえられ、岡本は「いや、それは…。中村さんのおかげです」と恐縮した。
18年から247本塁打を放ち、本塁打王を3回、打点王を2回獲得し、球界を代表する大砲へと進化した。岡本のメジャー移籍を機に、合同自主トレは今年で“卒業”の雰囲気が漂う中、岡本は「来年もよろしくお願いします」と頭を下げた。中村剛は「えっ、そんな時間あるん?」と言いながら「別にいいけど」と笑顔で快諾した。
◆おかわり塾VTR
▼17年 中村剛が岡本に体重を右足に残すコツを伝授。また、本塁打量産の心構えに「適当論」を説いた。「片仮名で『テキトー』は雑に感じるが、漢字なら適する当たり。考えすぎもよくない」
▼18年 中村剛が岡本に、左脇を開けるフォロースルーの意識を伝授。
▼19年 中村剛が岡本の左方向の打球がフックしていることに注目し助言。「インパクトの後、もう少し手首を返さないように意識してみたら」
▼20年 岡本に高めの打ち方を質問された中村剛は、小さなステップで距離を取り、コンパクトに振り抜く打ち方を伝授。
▼21年 中村剛と岡本が初参加した西武渡部健に惜しみなく助言。右膝が折れるタイミングやバットのグリップ位置を徹底指導。
▼22年 40発の壁に苦しむ岡本和へ、中村剛は「1カード1発」で48発ペースの意識を伝えた。
▼23年 初の40発をクリアした岡本に、中村剛も「もう技術的に言うことはない」と、さらなる飛躍に太鼓判を押した。
▼24年 左第五腰椎分離症のリハビリ中でバットが振れなくても、岡本は「僕にとっての原点」と参加。中村剛からは「もう、岡本さんの方がすごい」と褒められた。
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