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- 第166回労働政策審議会安全衛生分科会議事録
第166回労働政策審議会安全衛生分科会議事録
労働基準局安全衛生部計画課
日時
令和6年9月6日(金)14:00~16:00
場所
対面及びオンラインにより開催
会場:厚生労働省共用第6会議室(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館3階)
出席者
会場
- 公益代表委員
- 髙田礼子(分科会長)
労働者代表委員- 佐々木弘臣
- 中村恭士
- 門﨑正樹
- 山脇義光
- 使用者代表委員
- 及川勝
- 小澤達也
- 鈴木重也
- 出口和則
- 七浦広志
- 事務局
- 井内努(安全衛生部長)
- 佐藤俊(計画課長)
- 安井省侍郎(安全課長)
- 佐々木孝治(労働衛生課長)
- 土井智史(化学物質対策課長)
- 船井雄一郎(主任中央労働衛生専門官)
オンライン
- 公益代表委員
- 砂金伸治
- 熊﨑美枝子
- 新屋敷恵美子
- 中嶋義文
- 原俊之
- 宮内博幸
- 労働者代表委員
- 山口裕之
- 使用者代表委員
- 大下英和
- 矢内美雪
(五十音順、敬称略)
議題
(1)個人事業者等に対する安全衛生対策について(その6)
(2)機械による労働災害防止及びそのための体制整備について
(3)第14次労働災害防止計画の指標に関する令和5年(2023年)実績(報告)
(4)その他
(2)機械による労働災害防止及びそのための体制整備について
(3)第14次労働災害防止計画の指標に関する令和5年(2023年)実績(報告)
(4)その他
議事
- 議事内容
- ○髙田分科会長 定刻となりましたので、ただいまから「第166回労働政策審議会安全衛生分科会」を開催いたします。本日の出欠状況は袈裟丸委員と奈良委員が御欠席と伺っております。また、宮内委員は所要のため遅れての御参加と承っております。
本日は、対面及びオンラインの併用により開催することとしておりますのでお含みおきください。カメラ撮影等につきましてはここまでとさせていただきますので御協力をお願いいたします。それでは、お願いします。
〇計画課長 計画課長の佐藤でございます。議題に入る前に、7月30日付けで事務局側に人事異動がございましたので、紹介させていただきます。佐々木労働衛生課長です。
○労働衛生課長 労働衛生課長の佐々木でございます。どうぞよろしくお願いします。
○髙田分科会長 それでは、事務局からオンラインによるZoomの操作方法等について御説明をお願いいたします。
〇計画課長 事務局より、Zoomの操作方法等の御説明をさせていただきます。本日は、ハウリング防止のため、御発言されないときはマイクをオフに設定をお願いいたします。また、オンライン参加の先生方につきましては、御発言される場合には、御発言がある旨をチャットに書き込んでいただき、分科会長から指名されましたら、マイクをオンに設定の上、氏名をおっしゃってから御発言をお願いします。このほか、進行中、通信トラブル等の不具合がありましたら、チャットに書き込んでいただくか、事務局へメールにて御連絡を頂ければと思います。以上です。
○髙田分科会長 それでは議事に入ります。議題(1)「個人事業者等に対する安全衛生対策について(その6)」です。4月26日の分科会から御議論いただいてきた「個人事業者等に対する安全衛生対策」につきましては、前回までで一通り御議論いただいたことになります。これまでの分科会での御議論において、委員の皆様から御指摘いただいた点を踏まえ、一部の論点につきましては事務局にて追加整理した内容がありますので、本日はそうした点を中心に御議論いただきたいと思います。
それでは、事務局から資料について御説明をお願いします。
○主任中央労働衛生専門官 それではよろしくお願いいたします。船井のほうから御説明させていただきます。
資料1、一枚めくっていただきますと、「検討会の検討結果を踏まえた状況」という紙がございますが、これは4月以降御議論いただいた分科会においても既にお配りした資料です。こういったものをおさらい的といいますか、総括的にまとめた資料がこちらの資料になります。3ページ以降もそういう形でございます。
4ページ目、こちらも既に出させていただいた資料ですが、それぞれの検討会報告書の目次について、どの回に何を議論をしたのか、若しくは既に対応済みなのかを整理した表でございまして、漏れなく御議論いただいたということが分かるようにしております。
5ページ目以降は、それぞれ論点、若しくはその論点に対応した対応案ということで御議論いただいたものを、対応案だけ抜き出して順番に並べたものです。これまでの議論を通じて、事務局から提示させていただいた対応案について、「これは不要である」とか「修正が必要である」というような御議論ではなかったというように承知しておりますが、中には、先ほど分科会長からも御指摘がありましたように、追加で整理した論点を本日御議論いただきたい点、若しくは今後の詳細検討に当たって考慮すべき御意見というものがあったと承知しております。今回は、それぞれの対応案に対応した箇所に、新たな論点として御議論いただきたい意見と、今後の詳細検討に当たって考慮すべき委員からの御意見ということで、赤い四角、黄色い四角というような形で分けて記載させていただいております。
対応案については既に御議論いただいているので、一つ一つ説明しませんけれども、まず5ページ目の赤い所にございますように、新たな論点として追加で御議論いただきたいものとして、中小事業の事業主及び役員、そういった中小の範囲について今後検討すべきということでございましたので、新たな論点として資料を付けておりますので、後ほど御議論いただければと思います。同じように、個人事業者等の範囲に関連して家族従事者の取扱いをどうするか、この部分についても後ほど資料を作成しております。
この黄色い四角の部分につきましては、いろいろな御意見がございましたけれども、今後の詳細検討に当たって考慮させていただきたいということで御紹介しております。次のページ以降、それぞれ対応案と委員からの御指摘のうち、詳細検討に当たって考慮すべきものという形で整理をさせていただいております。こちらについても説明を省略させていただきます。事前に委員の皆様には御確認を頂きまして、漏れ等がないか見ていただいているところでございますが、万が一、足りないものがあればまた後ほどお申し付けいただければと思います。
15ページ目に飛びまして、15ページ目の上に赤い四角がございます。法第31条の4に基づき、注文者による違法な指示の禁止が規定されているのですが、条文上、その指示に従って労働者を労働させた場合に限定しているように読めるのですが、今回の検討・議論を通じて、個人事業者等自身にいろいろな義務が課される事項もあり、その指示に従って作業をした個人事業者等が新たに課された義務に違反するような場合もございますので、そういったところも読めるような形に規定を見直すべきではないかという御指摘でございました。こちらについても追加の論点ということで後ほど御説明させていただきます。
以降は、追加論点の部分はございませんでした。それぞれ該当する箇所に今後考慮すべき事項ということで書かせていただいております。
41ページ目です。これは今ほど御説明させていただきました赤囲みの四角の中で出てきた「新たな論点」ということについて御議論をいただければと思います。
42ページ目、まず1点目ですが、中小事業の範囲、あとは家族従事者の扱いということで、個人事業者等の範囲に関して2つ追加の論点がございます。
43ページ目に1つ目の論点を掲げさせていただいております。中小の範囲、これをどう考えるかということでございます。対応案といたしまして、中小事業の定義は、労災保険制度において、特別加入を認める中小事業主の範囲との整合性を踏まえ、業種に応じて、労働者数、右の表に定める数以下の事業とすることとしてはどうかということです。業種によっては50人以下、300人以下というような形で一覧表を書かせていただいております。
というのも、下に参考で付けておりますけれども、労災保険の特別加入には中小の事業主や役員さんも入れるカテゴリーがあるのですが、なぜそのような形にしているかというと、特別加入というのは業務の実態や災害の発生状況からみて労働者に準じて労災保険によって保護するにふさわしい方々を特別に加入できるような仕組みを設けている、こういうように書かれております。これはこれまで御議論の中でも御紹介させていただいた、中小の事業主や役員さんも個人事業者や労働者と同じような作業をしていて同じように被災している実態もある、そういうことを踏まえると、これに合わせることが適当ではないかという考えでございます。
続きまして44ページ目です。「家族従事者」の取扱いということでございます。対応案について見ていただきますと、家族従事者につきまして、例えば個人事業者が同居の親族のみを使用して、かつ自らも就業する場合、これは現行の労働安全衛生法ですとか労働基準法にもその枠組みがありますのでその整合性を十分に考える必要があると。
考え方としては、大きく分けて2つに分ける必要があると考えております。1つ目ですが、個人事業者に使用される同居の親族(家族従事者)につきましては、個人事業者等自身には該当しない、その者を個人事業者とは捉えないということでございます。ただ、個人事業者が家族従事者を連れてくるときに、例えば個人事業者が新たに教育を受けなければいけないといったときに、ちゃんと個人事業者の責任で同じような作業に従事する方に対する教育というのも、事業者が労働者に対してやるのと同じような措置をしっかりやっていただくことが重要であるというように考えられますので、その旨はガイドライン等でお示しして明確化していこうということでございます。
2点目につきましては、これはちょっと切り口が違いまして、危険箇所への立入禁止ですとか、ある1つの場所における混在作業による労働災害の防止、雇用関係とかそういうことではなくて、ある場所の管理権限であるとか、ある場所において行われる作業の統括管理、こういったところに着目した規定については、これは個人事業者に使用されている家族従事者であるかどうかは問わないで、その場所で作業に従事するのだと、そういう位置付けに着目して規制・保護の対象にするということでございます。したがいまして、①と②で扱いが大きく違うということで御留意いただければと思います。
実は45ページ目に参考で付けさせていただきましたが、安全衛生分科会で御議論して既に施行されております最高裁判決を踏まえた省令改正においても、省令改正の中身が大きく2つに分かれておりまして、作業方法とか保護具等に関する周知に関する規定と、危険・有害箇所に対する立入禁止とか退避に関する規定というものがありました。前者については、周知された事項は、個人事業者、自分が連れてきた家族事業者に対してしっかり伝達していただく。言わば、先ほどの論点で言うところの①に該当する。
立入禁止・退避については、ステータスにかかわらず、一人親方が連れてきた家族従事者であっても、作業に従事する者という位置付けで立入禁止の直接の対象になる。こういう形で既に整理をして施行通達等をしてお示ししているところでございます。これとも整合性が取れているということでございます。
最後、46ページ目ですが、法第31条の4の「注文者による違法な指示の禁止」ということでございます。論点については先ほど説明させていただいたとおりですが、法第31条の4という条文が一番下にございます。これを見ていただくと、「その指示に従って当該請負人の労働者を労働させたならば」という条件が付いています。したがいまして、注文者がした指示に基づいて請負人その者である個人事業者が就業したら違反するようなことというのは、今回の一連の改正を通じていろいろ出てくるわけでございます。そういったものもちゃんと読めるようにする必要があるのではないか、規定上明確にするべきではないかという御指摘でございました。
こちらについては、対応案にございますように、御指摘のとおり、個人事業者等自身が就業することによって違反が生ずる場合も含まれるような形で条文を明確化してはどうかということで御提案をさせていただいております。
1つ目の議題についての説明は以上でございます。
○髙田分科会長 御説明ありがとうございます。オンライン参加の委員の皆様につきましては、冒頭、音声が聞こえていなかったということで、申し訳ございませんでした。資料1に基づきまして、これまでの議論の内容について御説明をしていただいております。資料5ページのように、委員からの御指摘のうち、新たな論点として御議論いただきたいものについては赤く塗られた四角の中に記されており、委員からの御指摘のうち、今後の詳細検討に当たって考慮すべきものについては黄色で塗られた四角の中にまとめられているということです。今後の詳細検討に当たって考慮すべきものにつきましては、既に委員の皆様に漏れはないかということで御確認いただいており、漏れはない形になっている資料ということの説明をされております。
恐らく新たな論点のところからは、オンライン参加の委員の皆様にも聞こえていたかと思いますが、本日は、これまで委員の皆様から御指摘いただいた点を踏まえて、一部の論点について、41ページ以降に新たな論点として整理をしていただいておりますので、そういった点を中心に御議論いただきたいということで御説明を差し上げております。
それでは本件につきまして、質問、意見等のある方は、会場の委員につきましては挙手を、オンライン参加の委員につきましては、御発言がある旨をチャットに書き込みをお願いいたします。会場の委員で御発言がある方は、いらっしゃいますでしょうか。それでは山脇委員、お願いいたします。
○山脇委員 ありがとうございます。労働側の山脇です。私からは、新たな論点として提示を頂いた家族従事者の取扱いについて発言したいと思います。これまでの分科会の中でも労働側委員から発言したとおり、家族従事者の中にも、個人事業者あるいは労働者が行うのと同等の作業を行っている方が、一定数存在するものと承知しています。こうした方々については、本来であれば、契約の有無ではなく、個人事業者や労働者が行うのと類似の作業を行っているかどうか、その行動に着目して、広く保護を行うことが望ましいと考えており、そうした観点から発言したいと思います。
まず、対応案②の場所に着目した規制については、その場で作業を行う全ての者を対象として規制を行うということですから、特段異論はありません。一方で対応案①について、労働災害の未然防止という観点から、個人事業者はもとより、家族従事者についても、作業に関する安全衛生の知識が必要十分に備わっていることが不可欠だと思います。家族従事者が従事する作業が、個人事業者に対して安全衛生に関する教育の受講修了が望ましいとされている作業の場合には、家族従事者も同様に教育の受講修了が必要と考えます。家族従事者も個人事業者も分け隔てなく教育の受講、修了が必要だという旨をガイドラインに盛り込んでいただきたいと思います。
なお、この対応案①に関しては、現行ではこの書き込みにとどまると承知しますが、今後、創設される災害報告で積み上がる分析の結果、あるいは労働基準法令の改正などの動向も踏まえて、必要に応じて見直しを検討すべき課題の1つと捉えていることについて申し添えたいと思います。私からは以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほか、会場からは御発言はございますでしょうか。門﨑委員、お願いいたします。
○門﨑委員 ありがとうございます。労働側の門﨑です。新たな論点のところで、46ページ以降の違法な指示について発言したいと思います。まずは前回の分科会で労働側委員が発言した違法な指示について整理していただいたことについて感謝したいと思います。改正の趣旨を踏まえれば、違法な指示の禁止対象に個人事業者等も含まれることが明確化されることは当然であり、事務局から示された対応案には賛成の立場です。その上で、本見直しについては、現行の労働安全衛生法の第31条の4を書き換える形で明確化すべきということを改めて申し上げたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほか、鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。山脇委員から家族従事者の取扱いについて御発言があり、対応策への異論ではないと受け止めました。家族従事者に対しても必要な教育の受講・修了が望ましいというご指摘も含め、私としても反対するものではございません。
ただし、今後の議論に関して申し上げますと、先ほど事務局から労働基準法等との整合性という視点が示されました。適用除外をめぐっては、家族従事者と別に家事使用人について、労基法上の取扱いが議論されていると聞いております。話は少し飛びますが、家事使用人の場合、昔は家庭で同居、衣食住を共にする方が多かったところ、現在は8割が通勤形態になっているなど、その特殊性が薄れてきた中で議論されていると思います。一方、家族従事者については、いまだ特殊性が残っていると認識しております。家事使用人とは分けて議論していくべきですし、先ほど事務局から御説明のございました労働基準法や労働安全衛生法とのバランス、整合性を十分に踏まえた議論が必要だと思いますので、その点を一言申し上げます。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほか、会場の委員は、よろしいでしょうか。それでは出口委員、お願いいたします。
○出口委員 出口です。御指名ありがとうございます。家族従事者につきまして建設業からもお願いします。現場就労の個人事業者でも、家族従事者でも、現場で作業をする以上は同様のリスク、危険を負うという形になります。教育等で知識を得ることも、労働者と同じ形で建設業は取扱いしております。今後の協議の中で慎重に考えていっていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○髙田分科会長 ありがとうございました。一旦ここまでで事務局から回答をお願いできればと思います。
〇主任中央労働衛生専門官 御質問ありがとうございました。船井のほうから順を追って御回答させていただきます。まず1点目、山脇委員からの御指摘の家族従事者に関してです。こちらについては、ほかの委員からも同様の御指摘があったと承知しております。まず、今回出させていただいた論点のとおりの整理で進めさせていただきますが、御指摘いただきましたように、家族従事者の方が、実際、労働者がいるような場面で働くときに、個人事業者の方と同じような知識を持って作業をしていただくということが、安全衛生上、重要だということは御指摘のとおりでございます。そういったことはガイドライン等で、しっかり家族関係に基づいて、連れてきた個人事業者の方がやっていただくことが重要だということも書かせていただきたいと思いますし、また、出口委員から御指摘ありましたように、建設現場のようにいろいろな方が出入りする際に、元方事業者さんが音頭を取って、いろいろな知識付与の場を提供されている場合については、家族従事者の方もそういった機会を是非、活用して、同じようなレベルのことをしっかり習得していただくことも重要だと思います。そういったところも、現場の実情も踏まえて、今後、御相談させていただきながら、丁寧にお示しをさせていただきたいというように思います。
あと、今後の災害の発生状況であるとか、他法令の整理を踏まえて、家族従事者の範囲についても、必要があれば見直すべきということでございまして、こちらについてもそのとおりだと思いますが、その際には、鈴木委員からも御指摘いただきましたように、既存の労働基準法の体系、安衛法の枠組み、そういったものとの整合性も十分踏まえながらやっていくということは当然でございますので、御理解いただければと思います。
続きまして、門﨑委員からの御指摘でございます。第31条の4の関係で、前回頂いた指摘を踏まえて、今回新たに論点出しさせていただきましたが、ちゃんと条文の規定上明確にすべきだという御指摘でございました。御指摘を踏まえて適切に対応していきたいというように思っております。
あと最後、出口委員の御指摘の中で、建設現場という特殊性も踏まえた御指摘だったと思いますけれども、建設現場においては、いろいろなステータスの方が同じ場所で混在して作業するということになると。その混在の部分については、作業に従事する者という位置付けに着目して、個人事業者が連れてきた家族従事者であろうがなかろうが、同じ作業者として統括管理の対象にすべきだということは、先ほどの資料でも御説明させていただいたとおりでございます。知識付与についても、先ほど山脇委員からのご質問への回答の中で触れさせていただいたとおりでございますので、御理解いただければと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。山脇委員、門﨑委員、鈴木委員、出口委員、追加で御発言は何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
そうしましたら、ずっとオンラインでお待たせしております山口委員、御発言があるということなので、よろしくお願いいたします。
○山口委員 ありがとうございます。労働側の山口です。2点、発言したいと思います。1点目ですが、資料1の5ページ以降の記載の対応案については、既に議論した内容の抜粋したものと受け止めています。今後の詳細な検討に当たっては、論点ごとに黄色い囲みで記載いただいた委員からの指摘が適切に反映されるよう、事務局として検討を進めていただきたいと思います。
2点目は43ページの、中小事業の事業主や役員の範囲を労災保険制度の特別加入を認める中小事業主の範囲と同様とすることについてです。下段の囲みの2の特別加入の対象範囲の①では、「業務の実態や災害の発生状況からみて労働者に準じて保護するにふさわしい者」とされています。これは第161回分科会で、労働側委員が発言しました個人事業者や労働者が行うのと類似の作業を自ら行うという行動面に着目し、対象を規定すべきとした趣旨に合致するものと考えますので、事務局の提案内容に特段異論はありません。以上です。ありがとうございます。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほか、オンラインでは特に御発言御希望の委員は、いらっしゃらないでしょうか。よろしいでしょうか。あと会場で御発言御希望の委員は、いらっしゃいますでしょうか。そうしましたら、山口委員からの御発言についてお願いいたします。
○主任中央労働衛生専門官 御質問ありがとうございました。船井のほうから回答させていただきます。まず1点目でございますが、5ページ目以降に書かせていただきました、委員からの御指摘のうち今後の詳細検討に当たって考慮すべき事項は、ちゃんとしっかり検討に反映させてくださいということでございました。御指摘も踏まえてしっかり対応してまいりたいと思います。
2点目、中小の範囲につきましては、御質問というよりも、御理解いただきまして、大変ありがとうございましたということで、今後もしっかりやっていきたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。山口委員、追加で御発言はございますでしょうか。
○山口委員 ございません。ありがとうございます。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほか、会場からは、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。個人事業者等の安全衛生対策につきましては、本日まで6回にわたり委員の皆様に御議論いただきました。本日の資料において追加で整理した部分も含めまして、議論はおおむね尽くしていただいたかと思いますので、個人事業者等の安全衛生対策の関係は、ここで一旦、区切りとさせていただきたいと思います。以降は個人事業者等以外の案件について、本日これからと次回以降の回で御議論いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは次に、議題(2)「機械による労働災害防止及びそのための体制整備について」について、事務局から説明をお願いいたします。
○安全課長 私のほうから資料2について御説明させていただきます。こちらは、「機械による労働災害防止及びそのための体制整備について」という資料です。2ページ目には特定機械等に係る規制の概略があります。特定機械というのは、労働安全衛生法上、ボイラーやクレーンなど特に危険な作業を必要とする機械等で、安衛法上、様々な機械がありますが、最も危険な機械ということで最も厳しい規制が課されている機械です。具体的には、左側のほうにある、ボイラー等として、ボイラー及び第一種圧力容器、クレーン等として、クレーン、デリック、エレベーター、建設用リフト、移動式クレーン等として、移動式クレーン及びゴンドラというところ、こちらについては、いっぺん事故が起きると死亡災害あるいは大規模な事故を招くおそれがあるということで、製造段階から一定の基準によることとして製造許可制度などを設けているところです。
順番に、まず左側から書面等審査、こちらは設計図などの審査を行った上で製造の許可を行います。その後、実際に製造されたものが構造規格を満たしているかどうかという製造時等検査を行います。その後、実際に設置をするわけですが、正しく適正に設置されているかどうかを落成検査で確認し、検査証の発行をします。この検査証には有効期限があり、その有効期限の範囲内で性能検査を受けていただき、それに合格している状態で使用していただくといったものです。この青い部分、製造時等検査の一部、それから性能検査については、既に登録製造時等検査機関、登録性能検査機関という民間によって行われているところです。
次のページです。こちらの特定機械等の規制に関して、製造許可の要件のうち技術的な基準への適合に関する書面審査、これは設計審査ですが、それから製造時等検査については、専門高度な知識・経験が求められるほか、新技術の誕生に伴って審査あるいは検査の高度化・専門化が求められているということです。
こういった背景から、EU諸国をはじめとした諸外国では、専門性を持つ民間の検査・検定機関の活用が進んでおり、機械等の技術的要件を確認する審査・検査主体を民間機関が担っています。こういった背景を踏まえて、この制度の在り方に関する検討を専門家の方にお集まりいただいて検討をした結果、特定機械等の安全性を確保した上で労働災害を効果的に防止していくために、更なる行政の効率化や民間活力の活用を目指して、以下の検討を行ったということで、その結論として大きく2点あります。
1点目です。特定機械等の製造時等検査の効率化の推進ということで、製造時等検査について、ボイラー及び第一種圧力容器については既に民間移管していますが、それ以降、構造上の欠陥を直接の原因とする事故は発生していないということで、適切に制度が運用されているということを踏まえ、ボイラー及び第一種圧力容器以外の機械についても製造時等検査を民間に移管するべきではないか、また、設計の審査についても民間移管を行うべきではないかという提言を頂いております。
それに伴い、民間の登録検査機関等制度を適切に運用する必要があるということで、公正な検査の実施を確保するために、検査種類に応じて検査方法の基準を明確に定めるなどによって、民間の登録機関の適正な業務の実施を担保する必要があるという御提言を頂いております。
これを踏まえ、4ページ目以降は行政のほうで検討をした結果です。まず、1点目が設計審査の民間移管の所、下の図に書面等検査というのが2つあると思いますが、右側のほうは製造設備等の基準で、例えばボイラーであれば、溶接施工法の検査あるいは溶接をする人間の資格、主任のエンジニアの資格といったものを審査するのがこの製造設備等の基準です。左側の技術的基準は、個別具体的な製品について、設計図が設計図上、構造規格を満たしているかどうかという審査を行うというところです。こちらの左側の部分については民間機関の活用を行いたいということです。
登録製造時等検査機関については、従来、ボイラー及び第一種圧力容器に限定していましたが、移動式クレーン及びゴンドラについても民間を活用したいということです。落成検査については、建物に設置する場合には機械そのものだけではなく、例えばボイラーであれば、二方向避難、クレーンであれば、クレーンと建物がぶつからないように離隔距離が取られているかといったところも検査をして合格させるということなので、こういったものについては引き続き行政が担うべきだということです。
検査証の発行については、移動式クレーン及びゴンドラについて落成検査はありませんので、こちらについては民間の登録機関が検査証の発行もできるようにするということを考えているところです。書面審査については、登録機関が設計審査を行って、その結果を製造許可申請の際に提出するということで、製造許可そのものは引き続き労働局が行うということです。
続いて5ページ目、詳細事項です。まず、製造時等検査については登録機関が実施しますが、設計審査と製造時等検査というのは一連の流れ、つまり同一の機械について設計図のレベルで確認し、それに基づいて製造された機械が設計図どおりに製造されているかどうかを確認するという一連の流れですので、こちらについては、設計審査と製造時等検査を同一の機関に担わせるべきであるというように考えています。それから、外国で製造された特定機械等の検査については、引き続き外国登録製造時等検査機関が行うということです。検査証の交付については、先ほど御説明しましたが、落成検査を行わない移動式クレーン等については、設計審査及び製造時等検査を行った機関が検査証を交付するということです。
続いて、登録要件については、現状、ボイラー及び第一種圧力容器については登録製造時等検査機関がありますので、そちらに登録要件が既に定められております。こちらに、新たに加わる設計審査の要件を付け加えるということを考えているところです。
まず、設計審査及び製造時等検査を行うときには、法令に定める機械器具その他の設備を用いて検査を行う。設計審査及び製造時等検査については、一定の知識・経験を有する者に行わせるということが必要ですので、そういった資格を持った者が一定数以上であるということを求めます。それから、審査及び検査員のうち一定程度の知識・経験を有する者に、それぞれ設計審査及び製造時等検査の指揮及び業務の管理を行わせるということです。それから、検査の公正を保つために、製造者に支配されている等の欠格事由に該当しないことも求めるということです。
続いて、登録機関の事業の範囲です。現在、登録製造時等検査機関については、機械の種類別に登録することになっており、ボイラーならボイラー、第一種圧力容器であれば第一種圧力容器の登録をして、営業地域については業務規程で定めるということになっております。その結果、都道府県別に営業地域を定めることが可能となっており、現状、ボイラーメーカーなどの製造数によって、登録機関が存在しない空白地域というのが発生しているということです。同様のことが民間に関する移動式クレーンについても予想されるということで、こういった空白地が発生しないように、従来は機械の区分だけで登録していたものを、機械の区分と地域の2つを登録するということで、例えば、移動式クレーンであれば関東ブロックといった形で登録を行っていただいて、地域ごとに設計審査を行わせるというところです。
これがそのまま義務付けの部分にも係るわけですが、この設計審査等の実施を求められたときには、正当な事由がある場合を除き設計等審査を行うという、いわゆる応諾義務を課すということなので、登録した地域内において検査の申請があった場合については、必ず検査を行わせるような制度にすることで、空白地域を発生させないということを考えております。
ほかに義務付ける事項としては、当然、一定程度の知識・経験を有する者に設計審査あるいは検査を行わせるということで、当然、法令で定める基準に従って設計審査等を行う、それから、検査を行うことによって危険が発生しないようにする措置を講ずることを義務づけるということです。こちらの法令で定める基準については、次のページで詳細に御説明させていただきます。
検査基準については、当然公正な事業担保のために定める必要があるわけですが、現在の法令上、「構造に係る基準に適合する方法」と規定されているところです。性能検査については、設置された後の検査になるので、当然、落成検査時に検査した設置等の条件も含めて検査をするということで、構造以外の部分も見ております。
ほかの検査・検定についても、例えば、クレーンであれば荷重検査の方法といった構造規格に直接書いていないような方法、あるいは合否判定基準値を定めて検査を行っているところです。こういったものを「適合する方法」というところで読んでいるわけですが、この法令上の規定について、より明確に法令上規定するということを考えているところです。こちらの背景については、この基準に適合する方法というところが余り明確でないという趣旨の審査請求あるいは行政訴訟が起こされた経緯があるので、明確にするということです。
それから、不正の防止ということで、行政処分というところを規定する予定です。こちらも、既にある登録制度と同様に、登録要件に適合しなくなった場合や義務規定に違反する場合は、登録機関に対して厚生労働大臣が適合命令や改善命令を行うことができるということを考えております。こういったものに従わない、あるいは欠格事由に該当するものについては、同じく厚生労働大臣が業務停止や登録取消しを実施できるということを考えているところです。これ以外に、新規の登録あるいは登録の更新、検査員等の選任あるいは監査といった機会を捉えて、登録要件に合致していない、あるいは適切に検査や検定を行っているかどうかをきちんと確認し、問題がある場合については取消しや業務の一時停止を命じるなど厳格に処分をするということで、公正、確実な検査の実施を確保するということです。
続いて、8、9ページの検討会の報告書の概要は省略させていただきます。
以降はほかの検査機関に係る部分です。まず、13ページを御覧ください。特定機械以外の機械に関する規制の概要が書いてあります。まず、個別検定対象機械等については、ロール機の急停止装置や第二種圧力容器のように、特定機械ほど危険ではないが危険であって、なおかつ生産が、いわゆる一品生産されるようなものについては、個別検定を受ける必要があります。こちらについては現在、登録個別検定機関が検定を行っております。
2つ目の型式検定対象機械等については、量産品で、防塵、防毒マスクのようなものについては、サンプルを検査あるいは製造工程を確認した上で、型式として検定するという型式検定を行っております。こちらも登録型式検定機関が現在行っているところです。
3つ目の特定自主検査対象機械等については、構造規格が定められておりますが、検査・検定がない機械で、そのうち、検査が技術的に難しい、困難であるようなものについては、特定自主検査ということで、資格を持った方あるいは検査業者に検査をしていただく必要があります。例えば、フォークリフトなどの車検のようなものをイメージしていただければと思います。こちらを実施しているのは検査業者ということで、こちらも登録機関です。
最後、技能講習についてです。こちらについては、木材加工用機械作業主任者のように、25種類の作業主任者、床上操作式クレーンなどの12種類の運転・取扱いについて技能講習が定められているわけですが、こちらの技能講習を実施しているのが登録教習機関という所で、こちらの講習を適切に修了した場合は技能講習修了証を交付するということです。
こちらを前提に10ページから説明させていただきます。まず、特定自主検査の検査業者に関する状況ですが、特定自主検査を実施する検査業者は、検査を、資格を有する者に実施させるという義務がありますが、検査内容については、特定自主検査指針という指針にとどまっており、それに従った自主検査の実施が法的に義務付けられていない状況になっています。こういった中で、問題事案としてフォークリフトの特自検において指針で定められたフォーク、フォークリフトにパレットを乗せる金属ですが、そちらの摩耗を調べないまま合格させたために、作業中にフォークが折れてしまった事案、あるいはフォークリフトのブレーキの検査で、ブレーキの摩耗を検査するためにはブレーキドラムを外して現認する必要がありますが、こういったことをせずに合格をさせていたような事案が発生しているところです。こういったものについては行政指導を行っているわけですが、検査業者が行う特定自主検査は、他者からフォークリフト等の特定自主検査を請け負って当該機械の安全を保証する趣旨であるため、その検査方法についても、法令上の基準を設けて、それに従って検査を行うべきではないかということで、その上で、上記に違反した場合は厚生労働大臣が改善命令等を実施できるといったような制度にすべきではないかということです。
続いて、11ページです。登録教習機関による技能講習の不正防止ですが、技能講習を実施する登録教習機関は、技能講習を適法に修了した者に対して技能講習修了証を交付することが義務付けられております。しかし、不正に交付された技能講習修了証の回収を命ずる規定はありません。また、意図的に違反を改善せずに取消処分となった場合の欠格期間についても2年間ということです。
こういった状況の中、複数の登録教習機関で、小型移動式クレーン等の複数の技能講習を全くあるいは一部しか行わなかったにもかかわらず、大量の技能講習修了証を不正に交付した事案があり、技能講習修了証というのは技能を証明するものであるので、それを有していると機械の運転ができるということになります。また、それを根拠に上位資格の受験をするおそれもあるので、修了証の回収というのは確実に行う必要があります。このため、回収を行政指導したにもかかわらず、その指導に誠実に応じず未回収となった修了証が平成24年の事案では500枚、平成29年の事案で1,000枚になりました。こういう場合については、そういった修了証を用いて作業を行うことを防ぐために、業界団体に当該機関名と修了証の種類番号等を通知して、そういう修了証を保持している方に業務を行わせないように幅広く周知をして指導をしたというところです。
この状況を踏まえ、改善のための論点としては、技能講習修了証が回収されないと、危険な業務に無資格者が従事するおそれがあり、幅広い事業場で労働災害が発生するおそれがあり、こういった場合に対応するため、不適正な技能講習修了証を交付した機関に対して、その修了証の回収を命ずることができるとしてはどうか。当然、この命令に違反した場合については、登録取消等の実施ができるようにしたらどうかということです。また、回収命令に誠実に応じずに、登録取消を受けても欠格期間が短ければまた同じ団体が登録を受ける可能性があるので、こういった回収命令等に誠実に応じないなどの悪質な事由における取消については、欠格期間を延長できる制度としてはどうかということです。
最後の12ページは、型式検定対象機械と技能講習対象業務の指定に関する現状の課題です。電子制御技術の進歩などにより、様々な安全装置などが考案されており、そういったものについては、迅速に型式検定を義務付ける必要があるような場合があります。また、技術の進歩によって車両系建設機械、こちらはたくさんの種類がありますが、全ての建設機械に技能講習は義務付けられてはおりませんが、そういった機械が開発される、あるいは車両系の農業機械といったものもあるので、そういった機械等の運転業務への迅速な技能講習の設定が必要となります。しかしながら、現行法令では、こういった型式検定対象機械あるいは技能講習の種類が法律上の別表で定められているところであり、法律の改正が迅速に、適宜適切な時期に行うことが難しいということがあり、技術の進歩に応じた迅速な改正が困難になっているという実態があります。型式検定及び技能講習の対象となる業務については、電子制御技術の進歩等に迅速に対応するため、政令などで規定するといった対応をすべきではないかということを提案させていただきたいというところです。説明は以上です。
○髙田分科会長 御説明ありがとうございました。資料2に基づき、4ページ目から8ページ目にかけまして、特定機械等の今後の製造許可及び検査制度等の在り方についての案、10ページ目から12ページ目にかけまして、その他、登録機関制度等に関する論点ということで事務局から提案いただいております。本件について質問、意見等のある方は、会場の委員につきましては挙手を、オンライン参加の委員につきましては御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いいたします。まず、会場の委員で御発言がある方。中村委員、お願いいたします。
○中村委員 労働側委員の中村です。御説明ありがとうございました。今回示された内容については、基本的に検討会報告書に基づき示されたものであり、特段異論はありませんが、民間移管した結果、事故や不適切な検査が横行するようなことがあってはならないと思います。とりわけ、特定機械は、特に危険な作業に従事する労働者の安全を確保するために、安全衛生法上特別な規制がされている機械であり、民間移管の拡大に当たっては、労働者保護の観点から、行政と同等以上の能力を有した民間機関によって適切な検査が行われることで、検査の質が担保されることが不可欠と考えています。
そうした中で、資料9ページの検討会報告の6に「民間の登録機関の適正な業務実施の担保」とありますが、「利害関係者による検査を制限し検査の公正性の確保」と、「民間登録機関について、登録要件適合の確認や、義務違反等に対する処分を厳格に行い、適正な業務実施の担保が必要」とされていますので、是非ともこれらを担保しうるよう詳細な検討を今後お願いしたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほか会場の委員で御発言ございますか。七浦委員、お願いいたします。
○七浦委員 御指名ありがとうございます。七浦でございます。日頃から労働局、それから労働基準監督局の皆様には、設置、申請時、あるいは御指導いただいている次第で、まずは御礼申し上げます。今回の体制の変更案を見ますと、今までは行政のほうで蓄積されてきた技術的なノウハウや確認方法、今後、確認会社に漏れなく均一に移行していけるかどうかがやはり大事なところだろうと思っています。この辺りを確実にできるように盛り込んでいただくことを、まず要望として申し上げたいと思います。
また、事業所所在の所轄の労働局、あるいは監督署に検査をお願いしていますけれども、是非、ここも継続をお願いしたい部分ではあるかと思います。そして、申請件数の多い、少ないによって許可等が少しばらけてしまう可能性、遅延してしまわないような対応も今後必要になってくるのだろうと。この辺りのことも御指導いただけると有り難いと思います。技術力の大切な、本当に災害が起こると死亡にもつながるような関所ですので、この辺りをしっかりと、今後の日本の発展というところも含めて、進んでいければと考えております。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。続きまして小澤委員、お願いいたします。
○小澤委員 ありがとうございます。小澤です。検査を頼む側としてよく苦労するのが、なかなか予約が取れないというのがありまして、民間の機関が参入していただいて、もしかしたら将来的に複数の選択肢ができるようになると非常にいいなと思っております。そこを非常に期待しているところです。ただ一方で、重なるところもあるのですけれども、3ページ目の下に書いてある「民間の登録機関の適正な業務の実施を担保する」というところ、それから7ページ目の中段に書いてある「検査・検定について、その基準をより明確に規定してはどうか」と、やはりここが非常に重要になってくると思います。ここがきっちりと決まってくると、我々、検査を依頼する側としても非常に安心してお願いできるので、是非明確化をお願いしたいと思っております。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。ほか、よろしいでしょうか。山脇委員、お願いします。
○山脇委員 ありがとうございます。山脇です。七浦委員と同様の観点で発言したいと思います。今回の見直しによって民間移管が拡大したとしても、特定機械の製造許可、あるいは製造時検査等における監督行政の果たすべき役割が変わるものではありません。例えば登録機関が存在しないような場合には、労働基準監督官が検査を請け負う可能性も否定はできないと思いますし、少なくとも落成時検査は引き続き労働基準監督官が担うことになります。今回の民間移管の拡大によって、行政の職員の知識・経験などの水準が下がるようなことがあってはなりませんので、民間移管後も適宜必要な研修教育を実施していただくなど、その水準の確保に努めていただきたいと思います。
その上で、現在の日本の労働基準監督官数を見ると、労働者1万人当たりに1人以上の労働基準監督官を配置するというILO基準に対して、日本は、労働者2万人弱に対して1人という状況です。10年前には労働者約1万5,000人に対して1人であったことから大幅に悪化しているという状況にあります。繰り返し分科会で申し上げていますが、早急に労働基準監督官の体制強化が必要であることを改めてこの場でお願いしたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。ここで一旦区切らせていただいて、ただいまの中村委員、七浦委員、小澤委員、山脇委員からの御発言につきまして、事務局からお願いいたします。
○安全課長 御意見ありがとうございました。まず中村委員からの御意見ですけれども、民間による不適切な検査とならないようにしてほしいという御意見です。こちらにつきましては、検討会報告書でもございますし、今日の資料の7ページにもありますけれども、新規登録の更新、検査員の選任、あるいは定期的な監査、そういった機会をとらえて、登録要件にきちんと合致して適正な検査を行っているかどうかというのは厳密に確認しまして、問題があれば行政処分を厳しく行っていくということで、適切な検査の実施につきまして担保していきたいと考えているところです。
それから、七浦委員からのまず1点目の御意見、体制の変更によって行政のノウハウをきちんと移行してほしいということです。こちらにつきましては、ボイラー及び第一種圧力容器を民間機関に移管した際に、従来、労働局職員が用いておりました検査の内容、判定基準を取りまとめまして、通達で示して、それに従って行っていただいております。今回につきましても、移動式クレーンなどの設計審査、製造時検査の方法、基準、そういったものを今回の法令で定める、法令基準にするということですので、そういったものにきちんとまとめて、それの解釈としての通達も含めて、きちんと民間にお示しして、統一的な検査、あるいは審査が行われるようにしたいと考えているところです。
それから、労働局の検査、あるいは遅延が懸念されるというところですが、登録機関が存在しないような場合につきましては、労働局が引き続き検査を行うという規定があります。また、遅延につきましては、行政につきましては、どうしても担当官の数に限界が、定員の関係がありますけれども、民間につきましては実情に応じて柔軟に検査員を増やすということも可能ですので、そういった点につきましては、遅延とかそういったものについては解消していくのではないかと想定しています。
それから、小澤委員からの御指摘ですが、こちらも中村委員と同様に、適正な業務、基準を明確に規定するということですけれども、先ほど御説明したとおり、監査等によってきちんと検査の実施を担保するとともに、検査の基準につきましては法令で明確に定めたいというところです。
それから、山脇委員からありましたけれども、監督署の職員、あるいは労働局職員の特定機械に関する知識の水準が下がらないようにしていただきたいということですが、落成検査につきましては引き続き監督署において担うということですし、労働局で、製造の設備の検査なども行うということですので、引き続き十分な知識が維持できるように職員の研修などには努めてまいりたいと考えています。それから、労働基準監督官の数の問題につきましては、御意見として受け止めさせていただきます。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。ただいまの回答につきまして中村委員、七浦委員、小澤委員、山脇委員、何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、お待たせいたしました。オンライン参加で宮内委員、御発言があるということなので、お願いいたします。
○宮内委員 今ありました特定機械等に係る規制の件ですけれど、検査の精度を上げる、それからスピードを上げていくという意味で非常に重要と思っております。一方、最後のほうのページの、特定機械等以外のところで、型式検定の対象機械等が出ております。この中に安全保護具や衛生保護具が幾つか出ているのですが、確かに機械構造に関わるような精度を要求するものがここに出ているのですけれども、保護具全体に関しても、その精度内容や精度の基準を明確にすることが、正に死亡事故に関わる非常に重要なところと思っています。例えばハーネスが挙げられますが、そのほか保護靴とか保護衣とか手袋等などが、現在、JISの規格等に基づいて民間が自主的に作っているような状況です。本題とは外れますけれど、国際的にはこういった労働安全保護具や衛生保護具について、登録機関により検定制度ができているところがあります。国がある程度、検定による精度を担保するということで、きちんとしたものを提供することが、非常に安心感につながっていますし、選定のときにも1つの指標にもなっていると思います。ちょっと今回の内容とは違いますけれど、機会がありましたら、是非、こういった型式検定の対象物についても、一度どこかで議論いただけないかと思いました。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほか、オンライン参加で御発言がある委員はいらっしゃらないということでよろしいでしょうか。会場で御発言御希望の委員は、そのほかはいらっしゃいますでしょうか。そうしましたら、今の宮内委員の御発言につきましてお願いできればと思います。
○安全課長 宮内委員からの御質問にお答えします。御意見としましては、ハーネス、手袋、JIS、そういった型式検定が現在義務付けられていない機械についても、そういったことを行っている国もあるので、我が国においてもそういったものを対象にできないか議論してほしいという御意見だと認識しています。最後のページ、12ページの提案に関連するところではありますが、現状のところ、特定機械の型式検定の機械の指定が法律で締められているところがありまして、なかなかこれを増やすのは難しい状況です。まず、今回の法令改正を行うことによって、そういったものが政令なりそういったもので規定できるようになれば、もう少し適確かつ迅速に、各種検定機械の対象機械につきましても、御議論ができる土俵が整うと考えています。そういったことを踏まえて、御意見につきましては対応してまいりたいと考えています。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。宮内委員、追加で御発言はございますでしょうか。
○宮内委員 了解しました。是非、よろしくお願いしたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほか、よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、「機械による労働災害防止及びそのための体制整備」につきましては、おおむね皆様の御了解が得られたかと思いますので、この形で進めていただくこととしたいと思います。
最後に、議題(3)「第14次労働災害防止計画の指標に関する令和5年(2023年)実績(報告)」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○主任中央労働衛生専門官 それでは、資料3に基づいて船井から御説明いたします。第14次労働災害防止計画1年目における計画指標についての資料です。
1枚めくっていただき、14次防の概要という資料がございます。御承知のとおり、14次防につきましては、この8つの重点対策を推進することにより、一番下にありますように死亡災害を5%以上減少、死傷災害の増加傾向に歯止めをかけ2027年までに減少ということを目指してやっているというところです。この計画の中で、それぞれの項目に応じたアウトプット指標、アウトカム指標を定めて、事業場において労働者の協力を得ながら取組を進めるべきアウトプット指標、これを実施することにより得られるアウトカム指標、これを重点項目ごとに全部足し上げると、1枚目の最後にある目標が最低限達成できるのではないかということで作っております。今回、それぞれの指標の実績数値について2023年の分が出ましたので、こちらを御報告させていただくという状況です。
では、この数値が出るに至ってどういう取組を行政としてやってきたのか、若しくは事業場にお願いしてきたのか。この数値を踏まえて、どう評価して、今後どうやっていくのかという部分についてまでは今回お示しするには至っておりませんが、また次回以降、回を設けて御報告させていただきたいと考えております。
2ページです。1つ目の柱ですが、労働者の作業行動に起因する労働災害防止対策の推進です。アウトプット指標を2で掲げております。1つ目は、転倒災害を防止するためのハード・ソフト両面の対策に取り組む事業場の割合を2027年までに50%以上とするという目標です。こちらについては、計画策定時に、非常に規模が小さいアンケートをやった結果、これは参考の初期値として書いておりますが、2022年の時点で5%でした。これを50%にするというのが目標になっております。労働全衛生調査の結果、2023年は15%でした。こちらについては、参考の初期値よりは伸びておりますが、目標達成にはまだ引き続き頑張る必要があります。右側に、今回の数値と目標数値が分かるようにビジュアル化しております。目標までは、点の矢印の形で、まだしっかりやっていく必要があるということです。
2つ目は、卸売業・小売業及び医療・福祉の事業場における正社員以外の労働者への安全衛生教育の実施率を80%以上にするということです。こちらについて初期値はありません。今回2023年が初めての数値ということになります。このように、アウトプット指標のほうは初期値がないものもあります。14次防で初めて取っていこうとしたものについては、初期値はありません。一方で、後ほど御説明するアウトカム指標については、基本的には初期値と目標値は両方立っておりますので御理解いただければと思います。2023年の実績については、卸売業・小売業は37.2%、医療・福祉については42.5%ですので、目標80%に比べると、引き続き努力が必要という状況になっております。
これに関連したアウトカム指標です。1つ目は、転倒災害の年齢層別の死傷年千人率を男女共にその増加に歯止めをかけることが目標になっております。こちらについては年齢別、男女別などを次のページに具体的な数値で書いております。これは、数を階層別に5歳ごとに切っているのでたくさんの数字がありますが、分かりやすいように一番右の2023年の数値を色分けしております。これは前年と比べて良くなったものが青い数字、悪くなってしまったものは赤い数字、同数値が1個ありますが、これは黒のままとしております。これを見ていただくと、ざっくりした傾向として、やはり高年齢のほうが余り良くなく悪化してしまっている状況が一つ言えるのと、女性が男性に比べて悪化している傾向があることが言える状況です。
2ページにお戻りください。もう1つの目標が、転倒による平均休業見込日数を2027年までに40日以下とすることです。これは初期値が47.5日だったのを、40日にするということです。これは2023年の数字が48.5日ということで増えてしまっており、てこ入れが必要という状況になっております。
続きまして、4ページです。1つ目のアウトプット指標が重複しておりますので省略いたします。2つ目です。介護・看護作業場においてノーリフトケアを導入している事業場の割合を、2023年と比較して2027年までに増加させるということです。したがって、2023年が初期値になります。こちらの数字は53.7%という状況でした。これを2027年までに増加させるということです。御参考までに、2022年にアンケート調査でやった結果の概略を載せております。一部の項目しか載せていませんが、このときと比較すると着実に伸びてはいるのかなということがうかがえました。しっかり導入を進めていこうということです。
関連のアウトカム指標ですが、増加が見込まれる社会福祉施設における腰痛の死傷年千人率を2020年比で2027年までに減少させるということです。これは初期値が0.35%で、これを減少させるのですが、2023年は0.37%ということで少し増えてしまっておりますので、引き続き取組が必要だという状況です。
5ページです。高年齢労働者の労働災害防止の関係です。アウトプット指標は、エイジフレンドリーガイドラインに基づく取組を行っている事業場の割合を50%以上にするということです。こちらについては、参考の初期値が11.2%で目標50%ですが、2023年は19.3%で、もう少し取組が必要という状況です。アウトカム指標については、60歳代以上の死傷年千人率を男女共に増加に歯止めをかけるということです。2023年の実績は、男性が3.91%、女性が4.16%です。これを数年前と比較すると、女性が少し上がってしまっており、男性はほぼ横ばいですが減少してはいない状況です。
3点目は、外国人労働者の関係です。母国語に翻訳された教材などの分かりやすい方法で社員に教育を行っている事業場の割合を50%以上にする部分です。こちらについては、2023年の実績は49.9%で、目標達成までは非常に近いところにあります。アウトカム指標については、2027年までに死傷年千人率を、外国人のものを労働者全体の平均以下とするのが目標になっております。2023年は外国人の平均は2.77%、労働者全体が2.36%で、少しまだ差が開いております。右のグラフを見ていただくと、下の点線が労働者全体、上が外国人です。この下の点線に近づく、若しくは下回ることが目標になっておりますが、少し差が開いている状況ですので、引き続きしっかりやっていく必要があるところかと思います。
続きまして4番目は、業種別の災害防止対策です。幾つかの業種があります。1つ目は、陸上貨物運送事業です。これは荷役作業の安全ガイドラインに基づく措置の実施割合を45%以上にすることですが、こちらについては参考の初期値は33.5%でしたが、2023年は59.8%で、現時点で目標を上回っている状況です。アウトカム指標については、2022年と比較して2027年までに5%以上死傷災害を減少させるという目標です。2023年は、こちらにある数字ですが、数字が消えていて分かりにくいので右のグラフを見ていただきますと、2022年の初期値から2027年の目標までの点線で、これは単純に線を引いただけですが、減少しているいい状況で、このまま推移すると目標達成が見えてくるという状況です。
続きまして、建設業の墜落・転落災害の防止に関するリスクアセスメントの実施割合を85%以上にするということです。こちらも荷役と同様に、2023年の実績では目標値を上回っている状況です。アウトカム指標についても、こちらの死亡災害を2022年と比較して2027年までに15%以上減少させるのが目標ですが、右のグラフを見ていただきますと分かりますように、こちらも達成できる見込みが高い状況で推移しているのが2023年の結果です。
次のページも業種別の続きです。製造業で、機械による「はさまれ・巻き込まれ」防止対策に取り組む割合を60%以上とすることです。こちらについての初期値はありませんが、2023年は43.6%で、目標の60%までにはもう少し必要でした。アウトカム指標については、2027年までに死傷災害5%減という目標で、右のグラフを見ていただくとありますように、初期値から目標値まで線を引いたものを少し上回ってしまい、増えてしまっている状況なので、少してこ入れが必要な状況になっております。
続きまして、林業の伐木のガイドラインの実施率です。こちらは50%以上にするということですが、目標50%のところ、2023年の実績は92.7%で、かなり上回っている状況です。こちらのアウトカム指標は、林業における死亡災害を5年間で15%以上減少させるのが目標です。こちらは初期値が28人で、23人以下とするということですが、これは1人増えてしまい、29人ということで、引き続き努力が必要という状況になっております。
次は労働者の健康確保対策の推進です。アウトプット指標は2つあります。1つが、年休の取得率です。2025年までに70%以上にするという部分です。こちらは、就労条件総合調査の直近のものがまだ出ておりませんのでブランクとしております。一方、勤務間インターバル制度導入企業の割合を2025年までに15%以上にするということですが、こちらは初期値5.8%のところ、2023年は6%で、増えてはいますが目標達成まではもう少し努力が必要だという状況です。アウトカム指標については、週労働時間40時間以上である雇用者のうち、週60時間以上の雇用者の割合を2025年までに5%以下にするという目標で、こちらも初期値は8.9%のところ、減ってはいますが8.4%で、5%にはもう少しという状況です。
引き続き、⑤の健康確保対策のメンタルの部分です。メンタルヘルス対策に取り組む事業場の割合を2027年までに80%以上にするという部分です。こちらの初期値は63.4%のところ、増えてはいますが63.8%で微増にとどまっておりますので、引き続きという状況です。
次に、小規模事業場のストレスチェック実施割合です。こちらは2027年までに50%以上にするというところです。こちらも初期値は32.3%のところ、34.6%で増えてはいますが、目標50%までは引き続き頑張る必要があるという状況です。アウトカム指標については、仕事や職業生活に関することで強い不安、悩みやストレスがある労働者の割合を2027年までに50%未満にするというところです。こちらは初期値82.2%のところ、増えてしまっており、目標までに大分差がありますので、しっかりやらなければいけないという状況になっております。
続きまして、各事業場において必要な産業保健サービスの提供をしている事業場の割合です。こちらを2027年までに80%以上にするという目標です。こちらは、参考の初期値が78.2%のところ、2023年は87.1%で目標を上回っております。こちらはアウトカム指標設定には馴染まないということで、アウトカムは立てていないものです。
続きまして、10ページの化学物質等による健康障害防止の関係です。ラベル表示・SDSの関係ですが、危険性又は有害性が把握されているが義務対象にはなっていない物質について、ラベル表示・SDS交付の事業場の割合をそれぞれ80%以上にするというのが目標です。ラベルについて初期値が80.9%、SDSについては54.9%だったところ、2023年の実績はラベルが73.6%、SDSが75.6%で、ラベルは下がってしまっておりますが、SDSは大分よくなっており、目標が80%なので、いずれもまだ達成には至っておりませんが、非常に近いところまではいっております。
一方、リスクアセスメントの関係ですが、同様に危険性、有害性が把握されているけれども義務対象になっていない物質についてのリスクアセスメントで、こちらを2025年までに80%以上の実施割合とするということです。こちらについては、初期値は63.8%でしたが、実施率は52%で少し下がってしまっており、目標は80%ですので、引き続きしっかりやらなければいけないという状況です。その結果のアウトカム指標ですが、こちらについては単年の数字の積み上げではなく、計画期間中の災害、化学物質の性状に関連が強い死傷災害の件数を、13次防計画期間中の数字と比較して14次防期間中に5%以上減少させることが目標です。この単年の数字は542人ということで出ておりますが、これを5年比較しないと何とも言えないのですが、単純に5を掛ければいいというわけではないですが、単純に5を掛けると上回ってしまいますので、しっかり減少させるための取組が必要という状況かと思います。
最後は、化学物質等の等の部分、熱中症関係です。暑さ指数を把握し活用している事業場の割合を、2023年と比較して2027年までに増加させるということです。こちらは初期値が2023年の実績である54.7%になり、これを高めるということです。今後、しっかり取り組むと。アウトカム指標は、化学物質と同じように計画期間中の累計値ですが、こちらについては13次防期間中のトータルの件数がその前の12次防の計画に比べて28.9%増えてしまっており、14次防については、13次防と比較したときの増加率をこの28.9%より下回ろうということです。こちらについても、まだ単年なので何とも言えませんが、2023年は31人ということで少し多い状況で、引き続きしっかり取り組む必要があるということです。
12ページです。今申し上げたものを全部積み上げると、冒頭御説明したように死亡災害を5%減少、死傷災害は歯止めをかけて減少に転じさせることが達成できるのではないかということです。死亡災害については、2023年は755人で、こちらについては目標までの道のりでいきますと、右のグラフにありますように順調に減っている状況と言えます。一方、死傷災害については、細かい数字は申し上げませんが、右のグラフを見ていただきますと分かりますように、減少に転じさせるという線よりは少し上回ってしまっているというのが現状です。
参考までに、今年の状況はどうなのかということで、7月末の速報値、7月末時点で切った状況を見たものが下のグラフになっております。これは細かい数字で、あくまで参考なので省略いたしますが、死亡者数、死傷者数ともに、右上にあるグラフと同じ状況で推移しているということが言えると思います。
以上、数値が出たものを今回御報告いたしました。冒頭申し上げたとおり、では、この数値を踏まえて、どう取り組んできて、今後どう取り組むべきなのかについては、また次回以降御報告させていただきたいと思いますし、紹介したアウトプット指標、アウトカム指標の関係性など、そういった検証の部分については、最後の13ページに付けておりますイメージ図のとおり、4月の分科会で御議論させていただいた方針で、今現在、その状況把握等に努めているところですので、また少し先になると思いますが、まとまり次第御報告させていただくことで考えております。以上です。
○髙田分科会長 御説明いただき、ありがとうございました。ただいま資料3に基づき、第14次労働災害防止計画のアウトプット指標、アウトカム指標、それから計画全体の目標について、令和5年(2023年)の実績について御説明いただきました。ただいまの御説明について、質問、意見等のある方は、会場の委員については挙手を、オンライン参加の委員については御発言がある旨チャットに書き込みをお願いいたします。まず会場の委員で、佐々木委員、お願いいたします。
○佐々木委員 労働側の佐々木です。御説明ありがとうございました。今、1年目の実績値について御報告いただいたところですが、初年度としては、まずまずよい出だしになった指標がある一方で、このままでは最終的な目標達成がなかなか難しい、今後相当な努力が必要だと思われる指標もあると受け止めたところです。その上で、数字の検証や、今後取り組むべき課題等については、次回以降の分科会の中でまた示されるという説明もありましたので、関連して、発言させていただきます。
まず14次防の指標については、国、事業者、労働者等の関係者が一体になって1人の被災者も出さないという基本理念の実現に向け、計画期間内に達成をすることを目指すとされていると思います。このことからも、2027年度の最終目標に向け、関係者の一層の取組を促すことはもちろんですが、あらゆる政策を動員することでその達成を目指さなければならないものです。そのためには、本分科会の所管する事項等について、必要となる法改正やその実施なども含めた検討、あるいは議論を進めていく必要があると思います。
次に、目標管理の在り方についてです。現状は、2027年の最終年度のみの目標設定となっているわけですが、それとは別に単年度ごとにある程度数値目標を定めて、その目標に対する計画の進捗状況、あるいは管理を行うことが最終的な目標達成に向けて有効ではないかと考えます。年度ごとの達成状況の把握や、問題点・課題等の検証をその年度ごとに行うことにより、次年度、あるいは2027年の最終目標に向けた必要な見直しや対策に取り組むことができるのではないかと考えます。是非、この点御検討いただければと思っております。
併せて、外国人労働者が非常に増えてきているという実態、あるいは外国人技能実習制度などが見直しをされるという中で、この計画の策定以降、情勢が大きく変化したような項目については、必要に合わせて目標の設定の見直しも検討いただければと思います。以上です。
○髙田分科会長 御発言ありがとうございました。そのほか、会場の委員から、いかがでしょうか。まず鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。ただいまの佐々木委員の御発言とも若干重なりますが、御容赦いただきたいと思います。14次防において、アウトプット指標とアウトカム指標を定め、労災の低減に取り組むということで、成果が出ることを期待しています。一方、両指針の設定は新しい試みですので、先ほど事務局からご説明のありました検証について、当分科会でも適宜適切に実施していくことが重要だと思う次第です。
例えば、昨年の実績を見ますと、7ページの林業については、アウトプット指標の目標値を既に達成していますが、アウトカム指標の目標値には届いておりません。両指標の関連性もさることながら、アウトプット指標単体の妥当性についても、今後の検討課題ではないかと思います。
次に、11ページの熱中症対策について一言申し上げます。職場の熱中症による死傷者数は、2023年は1,106人に上り、前年から3割を超える増加となりました。昨今の状況を踏まえると、熱中症対策は待ったなしであり、継続的に取り組んでいくべき課題の1つです。そのためにも、事業場における暑さ指数の把握・活用を推進する必要があります。周知が十分に届いていない事業場もあるのではないかという問題意識の中で、厚生労働省では、熱中症予防のポータルサイトにおいて、作業に対応した暑さ指数の把握・評価の方法や、主要業種における好事例を掲載されていると承知しております。暑さ指数を把握していない事業者に対する集中的な周知、広報、啓発活動を是非お願いたします。
最後に、1点質問です。2ページと4ページにおいて、卸売業・小売業及び医療・福祉の事業場における正社員以外の労働者への安全衛生教育の実施率を、2027年までに80%以上とするアウトプット指標が設定されています。安全衛生教育に関連では、一昨年の9月に取りまとめられました「転倒防止・腰痛予防対策の在り方に関する検討会 検討事項の中間整理」の中で、第三次産業の事業場における活用を念頭に、短時間で効率的、効果的に教育できる新たな教育ツール等を作成することが盛り込まれたと記憶をしております。こちらのツールの作成状況を事務局にお伺いをします。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。それでは及川委員、お願いいたします。
○及川委員 中央会の及川です。御説明を受けて、アウトプットの指標とアウトカムの指標の関連、この数値が狙う後の実現の姿など、大変イメージがしやすく、大変参考になる御説明を頂き、誠にありがとうございます。取組についてということですが、後日、可能でしたら現在進められている施策、展開されている事業が少し散りばめられたほうが、よりよろしいのかという感じを受けました。どこが効果的なのか、どういう取組がまだワークしていないのかということは、この第4次の防止計画については、各セクターが自分ごととしてしっかり取り組んでいくということだと思います。特に小規模事業者、中小企業は、広報が足らない、あるいは少し連携がシームレスではないのかなど、いろいろなことが考えられますので、是非、取組の内容、あるいは現在やっている事業についても、これがあると、アウトプットの指標とアウトカムの指標が大変参考になっただけに、今後御検討いただければと思っております。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ここで一旦切らせていただいて、ただいまの佐々木委員、鈴木委員、及川委員からの御発言について、事務局からお願いいたします。
○主任中央労働衛生専門官 船井から回答いたします。御質問ありがとうございました。まず、佐々木委員からの御指摘です。2027年の目標に向けて、いろいろ掲げられている事項についての取組を、事業場に対してしっかり促すべきであるという御指摘でした。そのとおりだと思っておりますので、また次回以降これまでの取組や今後の取組なども報告させていただく中でも、その辺りは分かりやすく説明させていただくようにと思います。
それから、アウトプット指標、アウトカム指標の効果検証もきちんとしっかりやることによって、こういう取組はきちんとアウトカムにつながるのだというのが見えてきますと、事業場に対して取組をお願いする際にも非常に説得力になると思いますので、そこも併せてしっかりやっていきたいと思っております。
それから、この数字だけで見て、まだ十分にいっていない所というのは、法令改正も含めて、この分科会でしっかり御議論をということでした。今日、個人事業者の関係を一巡して、一通り議論が終わったということで、特定機械の関係も議論いたしましたし、また次回以降も、その他の議題について、制度改正も視野に入れて議論なされるということですので、そちらで御議論を頂ければと思います。
あと、目標数値について単年目標をということでしたが、こちらについてはいろいろな指標があり、これを必ずしも単年目標を立ててやるのがいいのかという議論も計画策定当初にもあり、まずは5年の目標ということで立てさせていただいております。ただ、そこにたどり着く道のりもいろいろ違うわけですが、見やすいように矢印を引いて、それと比べて今はどうなっているのかを、単年目標というわけではないですが、今どのぐらいの何合目にいるのかというのが見えるようにはしたいということで、今回グラフを出させていただきました。単年目標というわけではないですが、この目標への道のりとの乖離も見ていただきながら、今どういう立ち位置にいるかを見て、てこ入れの強さなども考えていくのがいいのかと思います。
それから、外国人の関係も御指摘いただきましたが、確かに外国人労働者を取り巻く制度の改正もいろいろありました。ただ、これは14次防を作る時点から制度は改正されていませんでしたが、その制度改正のための有識者検討会なども開かれているのは、きちんとウォッチしながらやらせていただいておりましたので、ある程度の部分については折り込み済みでした。また今後、折り込んでいないような変化が起きた場合については、取組の評価や今後の取組を検討する際に、その辺りも加味してしっかり検討した上で、毎年こういった分科会で御報告差し上げたいと思っております。
次に、鈴木委員からの御指摘です。例えば林業ですが、アウトプット指標とアウトカム指標の乖離が見られるような部分があったということですが、そのとおりだと思います。こちらについても、実施率が高い、実施しているけれども災害を起こしていると。では、災害を起こしている所でやっているというのは、本当に労働者の協力を得ながら実践されていたのかというようなところも少し掘り下げることによって、分かってくることもあるのではないかと思います。これも、次回以降整理していく上で、また効果・検証を行っていく上で、課題としてしっかり認識しながらやらせていただきたいと思います。
熱中症について御指摘がありました。確かに暑くなる一方で、今年もかなり災害の件数はよくない状況ではあります。我々としても、毎年少しずつアップグレードしながら、作業者の方々に分かりやすい紙芝居形式の周知・広報資料なども作って、ホームページに掲載したり、取組をやっております。さらなる周知をということで、しっかりやらせていただきたいと思います。現状も、安全週間の周知期間や、6月など暑くなる直前を狙って、全国の都道府県労働局、監督署で指導を徹底しております。これは、来年急に涼しくなるということもないと思いますので、その辺りはしっかり引き続きやっていこうと思っておりますし、もっと熱中症減少につながるような対策がないかということは、不断に考えていきたいと事務局としては思っております。
それから、教育ツール開発の進捗状況については、後ほど安全課から回答させていただきます。
あとは及川委員から御指摘がありました。今回の数値を出す際に、今やられている施策なども散りばめて説明していただければよかったということですが、これはそのとおりだと思います。今回間に合えばよかったのですが、次回以降になってしまって申し訳ございませんが、計画期間中にやった取組や、それぞれ今後やっていくべき取組などが分かりやすいような形で、次回以降きちんと資料を提示させていただきたいと思います。各セクターの方々が自分ごととして捉えて取り組んでいただくことが重要だというのはおっしゃるとおりですので、そういう部分についても、効果・検証の中で、これをやるとしっかり災害防止につながるのだということも見せていくことで、そういう意識も変えていけるのかと思いますので、そこも併せてしっかりやっていきたいと思います。以上です。
○安全課長 続いて、鈴木委員から御指摘のありましたアプリ、動画を活用した効率的・効果的な安全衛生ツールの開発の現状です。まず動画については、典型的な災害事例とその予防の対策をまとめた動画を現在作成中で、秋頃に公開したいと考えております。またアプリについては、国としてアプリを作るということは行っておりませんが、先進的な現場で取り組まれているアプリなどを活用した教育ツールについて、SAFEアワードにおいて検証をしており、その水平展開などを図っているところです。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。ただいまの御説明について、佐々木委員、鈴木委員、及川委員、追加で御発言はありますか。よろしいでしょうか。お待たせいたしました。オンラインで御質問ということで、原委員、お願いいたします。
○原委員 原です。御説明ありがとうございました。資料の9ページに、労働者の健康確保対策の推進とありますが、アウトプット指標として、メンタルヘルス対策に取り組む事業場の割合を80%以上とするとあります。この場合、どういう状態、あるいはどういう事業者の措置をもって、メンタルヘルス対策に取り組んでいるとカウントするのでしょうか。
それから、下のほうに「必要な産業保健サービスを提供している」とありますが、何をもって必要な産業保健サービスを提供しているということにカウントするのか、御承知の範囲で御説明いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 御発言ありがとうございます。そのほか、オンラインで御発言御希望の委員は、いらっしゃいますか。そうしましたら、会場のほうで七浦委員から手が挙がっていましたので、お願いいたします。
七浦です。先ほどの議論の中で、アウトプット指標とアウトカム指標の点については、いろいろ御議論いただいたと思いますので、次回以降、事業者がどのような対策をすると、実際にこの目標を達することができるのかということを明確にお話いただけると、次のステップに進みやすいのかと思いました。
2点目です。先ほどからお話いただいた10ページの化学物質等による健康障害防止対策の推進についてですが、14次防ではラベル表示、SDSの交付、リスクアセスメントの実施というように、義務を課せられていない危険・有害な化学物質を対象に取り組むという事業が80%以上ということで、非常にアウトプット指標の設定の中で7割を超えてきたということを考えると、かなりいい状況にはなっていると思います。ただ一方で、この措置の割合が実際には5割強にとどまっているというのが少し懸念されるところです。これは、実際にはSDSの交付であったり、リスクアセスメントの実施になぜ乖離が起きているかとなると、SDSの中身であったり、不十分とまではいわないにしても、リスクアセスメントが実際には実施できていないケースがあるのではないかと考えています。保護具についても、その辺りはやはり難しい状況になっているところですので、この辺りは何らかの対応が必要になってくるのではないかと思っています。実際に、化学物質の自律的な管理の普及や定着には、規制の有無を問わず、やはりSDSの交付が必要不可欠であろうと思いますので、その辺りを厚生労働省には働きかけを一層お願いしたいと思う所存です。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。続いて、出口委員、お願いします。
○出口委員 出口です。御説明ありがとうございます。先ほどから評価・検証とありましたので、確認とお願いです。資料3の1ページにも記載がありますが、第14次防には8つの重点対策が掲げられております。①には、自発的に安全衛生対策に取り組むための意識啓発があり、その中で社会的に評価される環境整備、災害情報の分析強化、DXの推進等と続いて、アウトプット・アウトカム指標は設けられていませんが、事業者の取組としては、安全衛生の取組を見える化する仕組みを活用し、主体的に安全衛生対策に取り組むとしております。また、国が取り組むとしていた事業者の取組が、社会的に評価される環境整備、そして安全衛生経費の確保等に関して、2023年の取組の評価・検証等がありましたら、今後の課題、問題点等を含めて、次回でも結構ですので御説明いただけましたら有り難いです。
また七浦委員と重なる所もありますが、10ページの化学物質等による健康障害防止対策の推進について、お願いがあります。義務対象外の化学物質にもかかわらず、ラベル表示では7%減少、逆にSDSは20%の上昇となっており、ほかの検討会等で協議されている内容と、アウトプット指標の数値よりも、我々が建設現場で感じている実態が、非常に乖離していると感じています。リスクアセスメントに関しても、2022年の63.8%から2023年度の52%と減少しており、今後の取組を危惧しています。2025年を待たずに、80%に達成するよう我々も努力してまいりますので、厚労省様には御指導、御支援いただきますようお願いいたします
○髙田分科会長 ありがとうございました。ここで一旦切らせていただきます。それでは、原委員と七浦委員と出口委員からの御発言につきまして、事務局からお願いいたします。
○労働衛生課長 原委員からの御質問、メンタルヘルスの対策はどのようなものを投じていればカウントされるかという御質問に対して、労働衛生課より御回答申し上げます。こちらは労働安全衛生調査からの抜粋になりますけれども、取組といたしましては、例えば衛生委員会における調査・審議や、計画の策定といった体制というのが取られているかどうか、それから、実際にストレスチェックを行い、集団分析を行っているかだとか、そしてまた、不調の労働者に対する必要な配慮がなされているかどうか、そういった項目を掲げさせていただいておりまして、このいずれかが行われていればカウントされるものです。以上です。
〇主任中央労働衛生専門官 続きまして、七浦委員からの御質問について船井から回答させていただきます。まず1点目ですけれども、事業者としてどういう取組をやると目標が達成できるのかということです。まず、目標として、アウトプット指標については、こちらに書いてある例えばガイドラインに基づく取組とか、具体的なことが書いてありますので、こういった取組を労働者の協力の下、しっかりやっていただくということが積み上がって全体としての目標達成になると思います。では、それがアウトカム指標としての災害減少等につながっているかという部分については、現時点では、これをやっていただくことがつながると思っておりますけれども、何度か申し上げていますけれども、その辺は評価、検証の中でどれぐらい多く関連性があるのかとか、若しくは、このアウトプットの中でも、ここにこう力を入れるというよりこうつながるとか、どういうやり方をすると減少につながるのかというのは検証の中で明らかにしていきたいと思いますので、それが明らかになれば、そういったこととセットで周知していけたらと思っております。
化学物質の部分については、後ほど対策課のほうから御回答させていただきます。
あと、出口委員からの御指摘のうちの1点目です。今回、アウトプット指標、アウトカム指標を御紹介させていただいていない重点施策についても、重要事項の中にはあって、そういった部分について何かこの効果検証的なことを次回以降でいいので示してほしいということでした。
数値目標を立てていないので、なかなか効果検証ということまでいくかどうか、あれですけれども、労働災害防止に取り組むことが社会的に評価されるような取組を進めるということも、柱の1つとして、委託事業何かも使いながら我々としての取組を進めているところですので、そのような取組状況については、御紹介できるように、次回以降準備させていただきたいと思います。化学物質の関係については、後ほどまとめて化学物質対策課のほうから御回答させていただきます。以上です。
〇化学物質対策課長 化学物質対策課です。七浦委員と出口委員から、化学物質に関して御意見等がありました。内容的には、ラベルSDSにつきましては、かなり状況が改善してきているけれども、リスクアセスメントについてはまだ十分でない面があるのではないか。それから、出口委員からは、建設業の現場における実態と少し乖離しているような状況が見られるけれども、リスクアセスメントをしっかり取り組むように施策を更に推進すべきではないかという御意見だったと思います。
正にそのとおりで、化学物質管理が自律的管理に移行し、リスクアセスメントの重要性が非常に高まっているということで、事業所においてリスクアセスメントが適切に行われるように更に取組を進めていきたいと考えております。例えばですけれども、来年2月には化学物質管理強調月間というのを初めて行い、関係機関と協力してリスクアセスメントやラベルSDSの周知等を行っていきます。それから事業者の支援という意味では、モデルSDS・ラベルの作成や公開、相談窓口の設置等も通じて、現在、取組を進めているところですので、御指摘も踏まえまして、よりリスクアセスメントが定着するように対応していきたいと考えています。
○髙田分科会長 ありがとうございました。原委員からは、了解した旨、チャットに書き込みを頂いておりますが、七浦委員、出口委員はそのほか追加で御発言はございますでしょうか。よろしいでしょうか。そのほか、御発言御希望の委員はいらっしゃいますでしょうか。山脇委員お願いいたします。
○山脇委員 ありがとうございます。個別の論点については、今後、論議する場があるということですので、佐々木委員から発言があった目標管理の部分についてのみ発言したいと思います。
先ほど、主任から2022年から2027年の目標までを線でつないだグラフが目標に対する進捗の参考データであるという旨の御説明がありました。項目によっては最初は数字が上がらずに横ばいの状況が続きながらも数年間周知をした結果、急激に実績が上がるものもあれば、法改正などにより周知が進むことで、最初にある程度実績が上昇し、その後ほぼ平行に動くものなど、項目により推移は異なると考えます。そのため、グラフに示した実績と目標をつなぐ線が参考だというのは、やや乱暴ではないかと思います。それぞれ個別の施策を見ていく中で、今後をどのように対策を検討していくかは、単年度ごとに示さないとしても、具体的に示していただくことが必要と考えます。その乖離を埋めるために何が必要なのかということを含めて、厚生労働省にはしっかり示していただきたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。山脇委員の御発言について事務局からお願いいたします。
○主任中央労働衛生専門官 御指摘ありがとうございます。また次回以降、これまでの取組状況でありますとか、今回の数値を踏まえて今後どうするのかというのをお示しする中で、当然、今回出ている乖離とかも踏まえて、そのためにどうするのかというところも加味した上で、対策、今後の方向性をお示しさせていただきたいと思いますので、御理解いただければと思います。
○髙田分科会長 山脇委員、よろしいでしょうか。そのほかよろしいでしょうか。ありがとうございます。本議題につきましては、事務局からも説明がございましたとおり、本日はまずは労働安全衛生調査等の結果を踏まえた指標の数字・実績について御説明いただきました。次回以降の回で、さらに詳細な分析や今後の対応等について、委員からの御指摘いただきました内容も踏まえて御議論いただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。申し訳ありません、宮内委員から御発言があります。
○宮内委員 簡単に申し上げます。
○髙田分科会長 お願いいたします。
○宮内委員 協力の下にというお話があったと思いますが、労働者からの協力の下にということであれば、安衛則の第577条2の10項の所で、今回新しく関係労働者の意見を徴聴取することが義務づけられており、測定の結果の共有も含めて、関係労働者との意思疎通を十分に行う必要があるという文面があったと思います。また、14次防も労使の協力の元に推進することが挙げられていたと思いますので、そういうことは本当にどのぐらい浸透しているかというのも含めて、できれば調査をやっていただけると、非常に具体的な課題が出てくるかなと思いました。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。事務局はよろしいでしょうか。
○主任中央労働衛生専門官 御指摘も踏まえて、今後、検討させていただきたいと思います。
○宮内委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 ありがとうございました。チャットを見逃しておりまして申し訳ございませんでした。そうしましたら、時間が押しておりますけれども、最後に議題(4)「その他」について、まず、昨年度3月21日の第160回安全衛生分科会において御議論いただきました議題1「労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)(新規化学物質届出関係)」に係る説明資料につきまして、事務局から説明させていただきます。
〇化学物質対策課長 化学物質対策課です。資料4ですが、この資料は本年3月21日に開催しました第160回の安全衛生分科会で御審議いただきました新規化学物質届出関係につきまして御審議いただいた際の資料となります。この資料に一部誤りがありましたので、御報告させていただきます。
この改正ですけれども、労働安全衛生法第57条の4第1項に基づいて、新規化学物質の製造又は輸入する際に事業者に求めている届出・申請について、原則、電子申請とするもの、それから官報公示により行っていた新規化学物質の名称の公表をホームページ等により行うこととしたものです。
資料の5ページを御覧いただければと思います。5ページの記載の1.に、新規化学物質製造・輸入届出件数というのがありますが、この令和5年の数値に誤りがあることが分かりましたので、訂正の上、お詫び申し上げます。令和5年の正しい数値でございますが、資料に見え消しで記載させていただいているとおり、製造につきましては636件、輸入については142件、合計778件となります。
この件数の誤りの原因ですけれども、毎月の件数を集計して年間の件数を把握する際に、誤って一部異なる年の月の件数を集計してしまったということでした。今後につきましては、この月ごとの件数の合算を自動集計させていただきますとともに、チェックを徹底いたしまして、再発防止に努めていきたいと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○髙田分科会長 ありがとうございました。ただいま、資料に基づきまして、160回分科会提出資料の一部修正につきまして御説明いただきました。本件につきまして質問、意見等のある方は、会場の委員につきましては挙手を、オンライン参加の委員は御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いいたします。
いかがでしょうか。修正内容については御了解いただけたということでよろしいでしょうか。以後、チェックを徹底していただければと思いますのでよろしくお願いいたします。
ほかに、何か御発言はございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。本日の議題につきましては全て終了いたしました。本日の分科会はこれにて終了いたします。本日もお忙しい中、ありがとうございました。