フェンタニルとはどんな薬?

薬剤師
相田 彩さんのコメント
フェンタニルはモルヒネやヘロインなどの麻薬と比較しても強い鎮痛効果と即効性があり激痛などにも効果的ですが、その反面で増量や減量の匙加減が難しいこと、依存性や呼吸抑制が出やすいことなど、メリットとデメリットが隣り合わせの薬剤です。
フェンタニルの作用と特徴
フェンタニルは、脳のμオピオイド受容体という部分に作用して、痛みのシグナルを伝達する神経経路を抑制することで痛みを緩和します。主に癌の疼痛コントロールなどに使用されますが、その鎮痛効果はモルヒネの数十倍から100倍、ヘロインの約50倍とも言われており、即効性があり強い鎮痛効果が特徴です。
しかし、強い鎮痛効果だけではなく、脳幹の中枢神経も抑制することで呼吸抑制を引き起こしたり、強力なμオピオイド受容体刺激作用により身体的・精神的にも依存を生じることがあります。
医療現場では細心の注意を払って使用されているので、必ずしもこのような副作用に該当するというものではありません。疑問があればかかりつけ医や薬剤師にご相談ください。
なぜ市販では購入できない?
フェンタニルなど麻薬の鎮痛剤は効果が強い分、副作用も多い薬剤です。痛みが強いからといって急激に増量すると、呼吸抑制が起こり最悪の場合は呼吸が止まることも考えられます。
しかし、急激に減量すると悪心、嘔吐、下痢、振戦、不安感などの減薬症候が現れることがあるため、専門の医師による観察と慎重な投与量の計画が必要な薬剤です。
そのため、市販薬として購入することはできません。
誤解されやすいポイントと注意点
アメリカなどではフェンタニルが乱用されているため、日本でも購入できると誤解されがちですが、麻薬は医療用で処方される以外に手に入りません。また、使用すると気分がよくなり多幸感を得られると思われがちですが、そのような目的で気楽に使えるような薬剤ではなく、疼痛コントロールするために、患者を観察しながら慎重に投与される薬剤です。
また、一般的な多くの処方薬との違いとして、フェンタニルなどの麻薬は薬局で保管する場合も鍵のかかる金庫に厳重に保管されています。
市販薬で対応できる痛みとフェンタニルの代替手段の選び方

市販の痛み止めでおすすめなのがNSAIDsと呼ばれる非ステロイド性消炎鎮痛剤です。
NSAIDsは、プロスタグランジンという痛みを増幅させたり、発熱を引き起こす物質が体内で産生させるのを抑える役割をしてくれます。
フェンタニルは麻薬であり、強力なμオピオイド受容体の刺激作用によって痛みを緩和させるため、鎮痛効果には大きな差がありますが、市販薬ではNSAIDsの鎮痛効果が役立つでしょう。
また、NSAIDsとは異なる作用機序を持ちますが、アセトアミノフェンという成分も脳の中枢神経に働きかけて痛みを緩和します。
一般的には、鎮痛効果はNSAIDs>アセトアミノフェンとされていますが、痛み止めの効き方には個人差があり、一概にどちらが効くとはいえません。
内服で痛みを抑えたい方にはNSAIDsなどの成分含有内服薬
内服を使用すると、薬は口から飲み込まれ、消化管を通じて全身へ作用します。そのため、内側から全身へ効果が欲しい場合は内服を使用することをおすすめします。
しかし、内服の場合は一度服用してしまうと効果が切れるまでは取り消せない、血中濃度が上昇して薬の効果が得られる分、全身性の副作用のリスクもあります。
内服を使用して内側から痛みを取りたい場合、痛みが広範囲で内服にて全身作用を期待したい場合、外用よりも強い鎮痛効果を得たい場合に適しています。
貼付剤で痛みを抑えたい方にはNSAIDsなどの成分含有貼付剤
湿布のような貼付剤で痛みのケアをしたい場合は、NSAIDsなどの有効成分が含まれた貼り薬がおすすめです。湿布は内服と投与経路が異なり、経皮から吸収されるため、胃腸障害などのリスクが少ないとされています。
また、冷感タイプ、温感タイプなども選べるため症状に合わせて使い分けられて手軽にケアが可能です。
鎮痛剤を飲みたくない方、部分的に貼付剤でケアしたい方におすすめです。
塗り薬で痛みを抑えたい方にはNSAIDsなどの成分含有塗布剤
塗り薬は、自分で塗る量を調節できるため、局所的に使用したい場合に便利です。また、貼付剤を使用していることを見られたくない方、症状が出た時だけケアしたい方にも向いている剤型です。
内服とは異なり、全身への作用を抑えることができるため、副作用のリスクも軽減できます。
使用感によって、ローションやゲル、クリームなどを使い分けてもよいでしょう。
【厳選】市販で買える鎮痛薬 9選

薬剤師 相田 彩さん厳選
同じ鎮痛成分でも、内服や外用、貼付剤などさまざまなタイプで販売されています。
全身効果や強い作用を期待したい場合は内服を、局所的に使用したい場合は外用をおすすめします。

薬剤師 相田 彩さん 厳選
市販で買える鎮痛薬 9選を比較
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内服で痛みを抑えたい方におすすめNSAIDs成分含有3選
全身効果や強い鎮痛効果を求める方には内服の痛み止めがおすすめです。ロキソプロフェンナトリウムやイブプロフェン、アセトアミノフェンなどが代表的な痛み止めの成分です。
薬剤師おすすめ
痛みに速く、強く効く鎮痛剤

ロキソニンS 12錠
- 最安値
- 352円(税込)
- 内服で痛みを抑えたい方に
- 胃への負担が少ないプロドラッグ製剤
- 眠くなる成分(鎮静催眠成分)を含みません
- のみやすい小型錠
こんな方におすすめ

- 痛みを速く抑えたい方に
有効成分のロキソプロフェンナトリウムが痛みや熱のもとになるプロスタグランジンを抑え、強い鎮痛効果を発揮します。
体内に吸収されてから活性化するプロドラッグ製法を用いているため、胃への負担が少なく設計されていることも特徴です。
強い痛みに内服で対応したい方にはおすすめです。
| 分類 | 第1類医薬品 |
| 剤形・形状 | 錠剤 |
| 成分 | ロキソプロフェンナトリウム |
| 用法 | 1回1錠、1日2回まで。 症状があらわれた時、なるべく空腹時をさけて服用して下さい。ただし、再度症状があらわれた場合には3回目を服用できます。 服用間隔は4時間以上おいて下さい。 |
| 対象年代 | 成人(15歳以上) |
薬剤師おすすめ
さまざまな痛みによく効く小粒錠

イブA錠 90錠
- 最安値
- 926円(税込)
- 内服で痛みを抑えたい方に
- 小粒で飲みやすい
- 鎮痛成分イブプロフェンの効果を高める成分を同時配合
こんな方におすすめ

- 頭痛や生理痛でお悩みの方に
イブA錠は、プロスタグランジンを抑えるイブプロフェンと、イブプロフェンの作用を高めるアリルイソプロピルアセチル尿素と無水カフェインを配合
した製剤です。
頭痛や生理痛、肩こり痛などさまざまな痛みに効果があり、小粒で飲みやすい製剤です。
頭痛や生理痛などでお悩みの方におすすめです。
| 分類 | 指定第2類医薬品 |
| 剤形・形状 | 錠剤 |
| 成分 | イブプロフェン |
| 用法 | 1回2錠、1日3回まで。 症状があらわれた時、なるべく空腹時をさけて服用して下さい。 服用間隔は4時間以上おいて下さい。 |
| 対象年代 | 成人(15歳以上) |
薬剤師おすすめ
速く効いて、胃にやさしい

カロナールA
- 内服で痛みを抑えたい方に
- 胃への負担が少ない解熱鎮痛薬です
- 眠くなる成分(鎮静催眠成分)を含みません
- 1回1錠でよく効きます
こんな方におすすめ

- 胃への負担が少ない解熱鎮痛剤を使いたい方に
有効成分のアセトアミノフェンが中枢神経にすばやく作用して熱や痛みを緩和します。
胃への負担が少なく、眠くなる成分を含まないため、胃が弱い方、眠くなるのを避けたい方におすすめです。
プロスタグランジンはほとんど影響しないため、胃酸から胃壁を守る作用は変わりません。NSAIDsよりも胃に負担はかかりにくいでしょう。
| 分類 | 第2類医薬品 |
| 剤形・形状 | 錠剤 |
| 成分 | アセトアミノフェン |
| 用法 | 1回1錠、1日3回まで。 症状があらわれた時、なるべく空腹時をさけて服用して下さい。 服用間隔は4時間以上おいて下さい。 |
| 対象年代 | 成人(15歳以上) |
貼付剤で痛みを抑えたい方におすすめNSAIDs成分含有3選
湿布剤には、テープ剤、パップ剤、温感、冷感などさまざまな種類があります。自分の肌に合った使いやすいものを使用すればよいですが、急性期の痛みには冷感タイプ、慢性の痛みには温感タイプが向いています。
薬剤師おすすめ
冷感タイプの鎮痛プラスター

オムニードFBプラスターα 40枚
- 最安値
- 811円(税込)
- 貼付剤で痛みを抑えたい方に
- 心地よい冷感刺激
- 目立ちにくい肌色の基布を使用
こんな方におすすめ

- 剥がれにくい冷感テープを使いたい方に
消炎鎮痛成分のフェルビナクが外側から痛みにアタックします。
さらに、スーッと清涼感のあるメントールが冷感を刺激してさらに痛みをケアしてくれます。
目立ちにくい肌色タイプで、剥がれやすいテープ剤なのでしっかり貼りたい方におすすめです。
| 分類 | 第2類医薬品 |
| 剤形・形状 | 貼付剤 |
| 成分 | フェルビナク |
| 用法 | 表面のライナー(プラスチックフィルム)をはがし、1日2回を限度として患部に貼付してください。 |
| 対象年代 | 成人(15歳以上) |
薬剤師おすすめ
伸縮性・粘着性にすぐれたパップ剤

バンテリンコーワパップS 24枚
- 最安値
- 1,318円(税込)
- 貼付剤で痛みを抑えたい方に
- 筋肉・関節の痛みに直に効く
- 高伸縮・高粘着パッド採用
- 肌にやさしい使用感
こんな方におすすめ

- 痛みの範囲が広い方に
有効成分のインドメタシンが、貼った部分から患部に浸透して痛みと炎症を鎮めます。
水を多く含んでおり、ソフトでやさしい使用感なので、肌が弱い方にもおすすめの基剤です。
また、縦にも横にも自在に延びるすぐれた伸縮性・粘着性も特徴です。
| 分類 | 第2類医薬品 |
| 剤形・形状 | 貼付剤 |
| 成分 | インドメタシン |
| 用法 | ライナー(プラスチックフィルム)をはがし、1日2回を限度として患部に貼付してください。 |
| 対象年代 | 成人(15歳以上) |
薬剤師おすすめ
微香性で臭わない温感タイプの鎮痛テープ

フェイタスZαジクサス温感 14枚
- 最安値
- 1,147円(税込)
- 貼付剤で痛みを抑えたい方に
- 心地よい温感作用
- 微香性
- 全方向伸縮で肌にピッタリフィット
- 保存に便利なチャック付き
こんな方におすすめ

- 温感で性旅館のある消炎鎮痛剤を使いたい方に
フェイタスは、消炎鎮痛成分のジクロフェナクナトリウムをOTCとしては最高の2.0%配合しています。
また、伸縮性とフィット性に優れ、やさしい貼り心地で効き目が最大24時間持続します。
ノニル酸ワニリルアミドのはたらきで、心地よい温感作用も得られるため、剥がれにくくて使いやすい温感タイプの貼付剤を使いたい方におすすめです。
| 分類 | 第2類医薬品 |
| 剤形・形状 | 貼付剤 |
| 成分 | ジクロフェナクナトリウム |
| 用法 | プラスチックフィルムをはがし、1日1回1~2枚を患部に貼ってください。 ただし、1回あたり2枚を超えて使用しないでください。 |
| 対象年代 | 成人(15歳以上) |
塗り薬で痛みを抑えたい方におすすめNSAIDs成分含有3選
塗り薬タイプで使用する場合には、ローション、ゲル、クリームなど使用感の異なる剤型があります。また、清涼感を出すために、スーッとするメントールが含まれているかどうか、臭いが気になるかどうかなども考慮して選ぶとよいでしょう。
薬剤師おすすめ
塗るタイプのロキソプロフェンナトリウム

ロキソニンSゲル 25g
- 最安値
- 737円(税込)
- 塗り薬で痛みを抑えたい方に
- ベタつきが少なく、すばやく乾く
- 無香料・無色透明
こんな方におすすめ

- 無香料のゲル鎮痛剤を使いたい方に
強い鎮痛効果を持っているロキソプロフェンナトリウムのゲルタイプの薬剤です。
経皮から吸収されて活性化され、痛みの元まで浸透して優れた効果を発揮します。
無香料で透明なので臭いや使用していることが周囲にも気づかれにくいタイプです。
| 分類 | 第2類医薬品 |
| 剤形・形状 | ゲル |
| 成分 | ロキソプロフェンナトリウム |
| 用法 | 1日3~4回、適量を患部に塗擦して下さい。 |
| 対象年代 | 成人(15歳以上) |
薬剤師おすすめ
ゲルを固形にしたスティックタイプの鎮痛剤

フェイタスチックEX 53g
- 最安値
- 1,154円(税込)
- 塗り薬で痛みを抑えたい方に
- l-メントール
- 手を汚さす患部に太く塗れる
- べたつきを抑えた固形剤
こんな方におすすめ

- 固形剤をしっかり塗りたい方に
フェイタスチックEXは、有効成分のフェルビナクと、清涼感のあるメントールが爽やかに痛みを改善してくれます。
べたつきを抑えたゲルタイプなので、サッと乾いてすぐに服を切ることが可能です。
持ち運びにも便利なので、外出先や急な痛みの予備として持ち歩くのもおすすめです。
| 分類 | 第2類医薬品 |
| 剤形・形状 | ゲル固形剤 |
| 成分 | フェルビナク |
| 用法 | 1日2~4回、適量を患部に塗擦してください |
| 対象年代 | 成人(15歳以上) |
薬剤師おすすめ
スプレータイプの冷却鎮痛剤

エアーサロンパスジェットα 300mL
- 最安値
- 2,067円(税込)
- 塗り薬で痛みを抑えたい方に
- 微香性
こんな方におすすめ

- スプレータイプの冷却鎮痛剤を使いたい方に
エアーサロンパスジェットαは、有効成分のサリチル酸グリコールと、l‐メントールの爽快感が合わさった消炎鎮痛冷却スプレーです。
ジェット噴射で患部を瞬間冷却し、ピンポイントでも広範囲でもワンプッシュでケアできます。
微香性なので臭いも気にならず、持ち運びにも便利です。
| 分類 | 第3類医薬品 |
| 剤形・形状 | スプレー剤 |
| 成分 | サリチル酸グリコール |
| 用法 | 1日数回、適量を患部に噴霧してください。 |
| 対象年代 | 記載なし |
使用時の注意点やポイント

薬剤師
相田 彩さんのコメント
医師は、痛みの程度を把握しながら必要に応じて少しずつ増量するなどの調節が求められます。
副作用について
フェンタニルは、依存性、呼吸困難、無呼吸、筋強直による換気困難、血圧効果、ショック、不整脈、呼吸停止、チアノーゼなどの副作用が起こる可能性があります。いずれも頻度は不明ですが、これらの症状が現れたら直ちに使用を中止して適切な処置をすることが必要です。
また、悪心・嘔吐、蕁麻疹、発疹、徐脈、発汗、咽頭痛、めまい、不眠、血圧上昇、起立性低血圧、口渇、多幸感などさまざまな副作用が報告されています。
妊娠・授乳中の使用について
妊娠中にフェンタニルを使用する場合は、治療上の有益性が危険性を上回る場合のみ投与が可能です。動物実験では、胎児の平均体重の低下が報告されています。
また、フェンタニルは胎盤を通過するため、新生児に呼吸抑制や徐脈が生じる可能性があります。
子どもの使用について
子どもへのフェンタニルの使用は、非常に慎重に行われます。特に、低出生体重児、新生児及び乳児では呼吸抑制を生じやすいため、自発呼吸をしている場合は、低用量から開始するなど状態を観察しながら投与することが必要です。
子どもを対象をした臨床試験において、副作用で最も多かったのは嘔吐、次はそう痒症、次いで呼吸抑制と報告されています。
『フェンタニル』『市販』に関するQ&A

フェンタニルについて、市販薬での代替品や副作用リスクについてよくある質問や疑問をまとめました。
フェンタニルは麻薬なので医師から処方される以外で手に入れる方法はありません。
市販薬で購入できる痛み止めとは、鎮痛効果に大きな差があります。

痛みの緩和という視点からでは、NSAIDsやカロナールなどの解熱鎮痛剤が市販薬ではおすすめです。
これらの薬剤は内服や湿布や塗り薬などの外用など剤型も豊富なので、痛みの場所などに合わせて好みのタイプを選んで下さい。


脳のさまざまな部分に作用するため、鎮静だけでなく、錯乱、意識レベルの低下やオーバードーズの場合は昏睡状態に陥るケースもあります。
また、μオピオイド受容体刺激作用が強力なため、乱用により依存が生じると、使用しないと落ち着かなくなったり、強い離脱症状を引き起こしたりします。
普通に使用していても、便秘、痒み、吐き気、発汗などの副作用を生じやすため、使用する場合には慎重なモニタリングが必須です。


激しい疼痛(術後疼痛、癌性疼痛など)に対する鎮痛に慎重に使用されます。
長期的に使用される場合も、呼吸抑制などが起こらないように患者の状態に合わせて適宜増減しながら使います。
慢性的な痛みに安易に使用できる薬剤ではありません。

まとめ

フェンタニルは、癌の疼痛コントロールや、麻酔の鎮静に適切に使用されると高い効果を得られる医療用麻薬です。
しかし、現代社会では多幸感や開放感を求めた乱用が問題となっており、改めてフェンタニルの危険性と使用制限についての再認識が求められます。
気軽に使える痛み止めではなく、本当に痛みで苦しんでいる方の疼痛緩和に用いられるべき薬剤です。使い方を認識し、社会全体で乱用防止に取り組みたいものです。
※掲載内容は執筆時点での情報です。










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