本研究は,ある図形の問題を事例として,自身の主張の妥当性を図形の性質に結びつけて示すことについて,証明の学習前後の学年についてどのような特徴や傾向がみられるのかを明らかにし,今後の学習指導改善への示唆を得ることを目的とする.小中共通の調査問題を作成し,公立小・中学校の小5から中3 までの総計752名に対する質問紙調査を実施し,その結果を分析・考察した.その結果,「中3の学年末においても,調査問題とした小5で扱う程度の基本的な内容に対する『説明・証明』の記述につまずいている生徒が30%程度いること」,「小学校高学年では,自身の主張の妥当性を図形の性質に結びつけて示す割合が少ないが,中1の学習指導がその割合を増加させること」等を明らかにした.これに基づき,中1において,本稿の調査問題とした小学校で扱う程度の基本的な内容を対象として,「説明・証明」を自由に記述し,それについて議論する学習活動を取り入れることが,現状の改善に寄与すると考えられること等の学習指導改善への示唆を得た.
本研究では,中学校第1学年の図形指導の改善を意図し,一連の問題群の解決を通して基本の作図方法を見いだし,その方法でよいことを,既習事項を根拠として説明するような作図の学習指導を構想し,それを実践を踏まえて検討した.その結果,作成した問題群の解決に取り組むことにより進める作図の学習指導は,既習事項から作図方法を見いだすような活動を実現できる可能性があること,小・中の図形指導の関連付けや中学校第2学年から本格的に始まる図形の論証指導の橋渡しの役割を果たすことが期待できること,基本の作図をバラバラのものとしてみるのではなく,ひし形の対角線の作図や底辺が共通な二等辺三角形の作図と関連付けて統合的に捉えさせることができる可能性があることが示唆された.