ハートの鼓動に寄り添う音楽──DEAN FUJIOKA新曲「Echo」インタビュー

主演と主題歌
DEAN FUJIOKAが音楽活動に力を入れている。俳優として2017年6月の映画『結婚』、そして同年10月クールの日本テレビのドラマ『今からあなたを脅迫します』で主演を務めつつ主題歌を担当し、2018年2月には全国6カ所8公演のライブツアーを行なった。現在出演中のドラマ、フジテレビ系 木曜劇場「モンテ・クリスト伯—華麗なる復讐—」でも主演にくわえて主題歌「Echo」を書き下ろしている。そのほか、出演CMや報道・教育番組でもテーマソングを制作するなど、音楽にかかわる仕事を絶やさない。
「音楽はぼくがパッションを持てる大切な表現活動です。香港や台湾にいた20代の頃から、役者をしていない時間はセッションに参加したりライブを観に行ったり、常に音楽に明け暮れていました。2008年からインドネシアのジャカルタを拠点に作り始めた音楽を2016年に日本で1stアルバム『Cycle』としてリリースさせてもらうことができた時は嬉しかったですね。以降は東京での役者業が増えていますが、主題歌やCM曲など音楽の発表は続けさせてもらっています」
2018年は映画でも3月に『坂道のアポロン』、5月に主演の『海を駆ける』、6月に『空飛ぶタイヤ』と、出演作が毎月封切られる“売れっ子”ぶりだ。
「やらせてもらえるのであれば主題歌やテーマソングを引き受けたいと思っていて、そうすることで相乗効果もあるんです。演じる作品を解釈しながら作詞・作曲をしていく作業は音楽家としての自分を成長させていますし、ドラマや映画のロケで訪れた海外で音楽が生まれることも多いんです。『Echo』はドラマ『モンテ・クリスト伯—華麗なる復讐—』の主題歌ですが、原曲は別の仕事で訪れたスイスで思いつきました」
スローなBPM
「Echo」は2ndシングルとして6月20日に発売される。復讐劇であるドラマの内容を受けて、ダークな旋律がスローなBPM(テンポ)で重く響くループ・ミュージックに仕上がっている。BPMがスローな曲調は、かれの音楽の特徴のひとつだ。
「BPMにはとてもこだわっています。ぼくの曲にゆったりとしたナンバーが多いのは、ハートの鼓動のリズムを意識しているからかな。人はビート(鼓動)があるから生きていますよね。鼓動が速いと興奮した状態で、スローになるとリラックス、もしくは死に近づくわけです。俳優の仕事をしていても、呼吸をコントロールして心拍数を変えれば自然と感情表現ができる。東京で作ってきた音楽は、演じる役どころの感情を意識したBPMになっていますね」
Wave
低音を強調しつつ浮遊感のあるサウンドは、近年ロンドンや東欧で盛り上がるベースミュージックの新ジャンル“Wave”の影響だという。海外のクラブミュージックのトレンドには敏感だ。
「BPMと同じ理由で、感情を表現するために使う音の属性は自分の中で厳しくジャッジしているつもりです。『Echo』はドラマの台本を読んで“絶望の嘆き”をイメージしたので、1音1音を重く不気味に響かせるためにアレンジしていった末に“Wave”に辿りつきました」
制作は2月のライブツアーの最中に行なっていたそうで、「ツアー中ならではの勢い」も曲のミックスに反映されたとか。
「曲作りのためだけにどこかに出かけるラグジュアリーな時間は今はないので、与えられた環境の中でマルチタスクで作業を進めています。俳優の仕事と音楽の仕事でフィールドは違いますが、やるからには両方成立させないとどちらからも評価していただけません。両方で結果を出すことの難しさを日々感じていますが、自分のパッションに素直にチャレンジを続けていきたいです」
目下の目標はアジアツアー。この日は取材後にミュージック・ビデオの編集を行なう音楽活動のみの1日だったが、前日は映画『海を駆ける』のイベント、翌日はドラマ撮影日だった。DEAN FUJIOKAのマルチタスクな挑戦は続く。
Profile:
DEAN FUJIOKA
1980年、福島県生まれの俳優、ミュージシャン。2004年に香港でモデル活動を開始、2005年の香港映画『八月の物語』で主演に抜擢され、俳優デビュー。台湾、インドネシアで活動したのち、2013年に日本デビュー。『I am ICHIHASHI 逮捕されるまで』の監督・主演・主題歌を担当した。ミュージシャンとして日本ではこれまでにシングル、デジタル配信、アルバムを各1作、EP2作を発表している。
2ndシングル『Echo』
2018年6月20日発売
01.Echo
02.Hope
03.Echo(Instrumental)
04.Hope(Instrumental)