
福岡市早良区の「よかトピア通り」で、朝の通勤・通学の時間帯、『すれ違いざまに男に鞄をぶつけられた』という被害が相次いでいる。被害者の多くは最初、「わざとではなく、偶然ぶつかったのかな?」と思い、そのまま行き過ぎるが、中には自転車ごと倒れ、大ケガをするケースも。調べてみると、主に女性を狙った悪質な“犯行”だということが分かった。この“迷惑男”一体、何者なのか?
「よかトピア通り」の“カバン男”
福岡市早良区の「よかトピア通り」。かつて福岡市で開催されたアジア太平洋博覧会(1989年)の愛称、「よかトピア」に由来した通りだ。周辺には、大学やオフィスビル、公共施設などが立ち並び、「みずほPayPayドーム」へのアクセス道路であることから、終日、人や車の流れが絶えない。朝の通勤時間帯は、徒歩や自転車で職場や学校へ急ぐ人達でいつも混雑している。そんな中、すれ違いざまに鞄をぶつけ、何も言わずに立ち去って行く男がいる。

“よかトピア通りのカバン男”。その手口は、実に巧妙だ。自転車に乗っていると、“カバン男”が歩いてこちらに近寄って来る。すれ違う際に、男との距離は十分あるものの、手に持った鞄を突然、横に差し出し、無理やり当たってくるという。

“カバン男”が犯行を行いだしたのは、2024年の10月頃からとみられていて、警察にも被害の相談が寄せられているという。通りを行く男性に話を聞くと、「どういう不満があるか知らないですけど、怖いです」と不安を口にする。

女性狙い“偶然装い”鞄ぶつける
中には、“カバン男”を実際に目撃した人もいた。「肩に鞄を持って、特に女性に、ぶつかりに行っている人を見たことあります。私がよく見るのは、横断歩道を渡る時に、すれ違う様子でぶつかるって感じですね」。主に女性をターゲットに約半年にもわたって犯行を繰り返している「よかトピア通り」の“カバン男”。なぜ、犯行を続けるのか?

被害に遭った女性に話を聞くと、「最初は、わざとぶつかられたとは思わなかった」という。「1回目は、すれ違う時に、私が邪魔だったのかなと思って、対面なので。『すみません』って、こっちが逆に謝った」と話す。

しかし、しばらく経った後、同じ相手にまた、やられた時、女性は確信したという。「2回目は、ガンって強く当たられた瞬間、『あ、わざとだ!この前の人だ』って」。
自転車に乗っていた時に被害に遭ったという別の女性も、「最初は自分が悪かったと思い、謝罪した」と話すが、2度目にぶつかられた時に“当たり屋”だったことに気づいたという。

TNCの取材で、同じ時間帯に同じ場所で“カバン男”に鞄をぶつけられたという被害や、犯行を目撃した件数が、2024年10月以降、少なくとも15件以上あることが分かっている。

2024年11月に、“カバン男”の被害に遭ったという会社員の男性は、自転車で転倒して血まみれとなり、腕を痛めるなどの大ケガをした。この男性を含め被害に遭った人は、「たまたまぶつかっただけ」かと思い、ほとんどの場合、警察には通報していない。

5回以上も被害に遭い警察に届け出
しかし、遂にこの悪質な“カバン男”に怒りの声をあげた女性が現れた。3月10日、これまでに5回以上も被害に遭っていたという女性は、この日も男に強く鞄をぶつけられたため、咄嗟に「モノがぶつかりましたよ!」と男に声を掛けた。しかし、男は何も言わず、そのまま逃走したという。女性は、13日、警察に被害届を提出し受理された。

“カバン男”小柄で小太りな中年男
卑劣な犯行を繰り返す「よかトピア通り」の“カバン男”。目撃情報などから、身長160センチくらいで、小太りな中年男性。手にビジネスバッグを持っていて、帽子を被っていることもあるという。男は犯行後、徒歩で福岡地下鉄「西新駅」方面へ立ち去っているとみられている。

警察は、現場周辺のパトロールを強化しているが、「被害に遭った場合は、すぐに110番通報してほしい」と注意を呼びかけている。
(テレビ西日本)

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