
パトカーで巡回しながら不審人物や不審車両を調べたり、緊急通報を受けて現場に駆け付けたりする福岡県警自動車警ら隊、通称「自ら隊」。市民の安全を守るため毎日毎夜、福岡の街で目を光らせている。
深夜の会話中に抱いた“ある確信”
福岡市中央区。時刻は深夜3時過ぎ。自ら隊の警察官が、不審な動きを見せる自転車に遭遇した。早速、近寄る。

「こんばんは。ごめんなさい。パトロールで回っています。もう今、帰っている途中ですかね?」。自転車に乗った男に声をかける警察官。
「あっ、もうすぐそこが家なので」と応える男。「あぁ、そうですか」と相槌を打ちつつ警察官は、警戒を怠らない。「一応、夜なんで、あの時間もありますんで、危ない物とかないか、確認してもいいですか? 刃物とか薬物とか多いからですね。危ない物…」と尋ねる警察官に「あぁ、はい、危ない物…」と何気なく応じる男。
会話を続けた警察官は、この時、ある確信を抱いた。

「お酒飲んでる?」
「お酒…、ちょっとは…、飲みました…」と応える男。「飲んでるよね? ちょっと飲んでるよね?」と警察官は確認する。
「ちょっと飲みました」と男は飲酒を認めた。

2024年11月に罰則が強化された自転車の飲酒運転。20代の男の検挙に至った。
ひき逃げ事件発生 現場に急行
別の日の福岡市東区。深夜のパトロール中に「福岡本部から各局。福岡本部から各局」と慌ただしく無線が入る。「え? ひき逃げ…」。無線を確認した警察官にも思わず緊張が走る。悪質極まりない、ひき逃げ事案の発生だ。

早速、自ら隊の警察官は「福岡117から福岡本部、東。指令番号1511,直行、どうぞ」と現場に急行する旨、本部へ連絡した。
5分ほどで現場到着。「救急車、呼んでるんですかね? 被害者のケガは?」。すでに到着している警察官に状況を確認する。「痛がってるけん。救急車、呼んでる」状況だという。被害者は、自転車に乗った男子中学生だった。
「大丈夫? 足、どっか痛いところある? お尻が痛い? お尻痛いと?」と話しかける警察官。被害に遭った中学生は「腰と…。うん。腰らへんが痛いです」と警察官の到着に安心したのか、素直に応じた。

すぐに付近で聞き込みを始める警察官。そこへタクシーの運転手が声をかけて来た。ドライブレコーダーが、逃走した軽トラックの姿を激撮していたのだ。しかし映っていたのは後方部分の映像。それでも状況は把握可能だった。

結局、この時のドライブレコーダー映像が決めてとなって後日、70代の男の検挙に至った。
交際トラブルから傷害事件に発展
別の日。深夜0時過ぎの福岡市中央区。「通報者『助けて。男から顔面殴られたり蹴られたりした』」と本部からパトロール中に入電。「女性ですね、行きましょうか」と自ら隊の警察官は急ぎ、現場へと向かう。交際を巡るトラブルが、傷害事件へと発展した模様だ。

現場に到着。20代の被害女性は出血している。「痛いとこないね? ちょっと診てもらおう、救急車が来たけん」と警察官は声をかけた。

そして「今までいろいろな事件を見てきたけどね、通常、女性に手をあげるとかは、ないけんね、お灸は据えとかなんいかんと思います」と警察官は女性に語りかけた。近くには加害者である交際相手の男(20代)が呆然としている。

「0時50分、現行犯逮捕。はい、じゃ、手を出して下さい」と交際相手の男の手にかけられる手錠。加害者の男は現行犯逮捕された。
発足から50年を迎えた福岡県警の自動車警ら隊。きょうも福岡の街の安全を守る。
(テレビ西日本)

山口・福岡の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。