
マンゴーの花が咲く季節、宮崎県では受粉を担うミツバチが減少していることが問題となっている。作物の約7割はミツバチなどの花粉媒介者に受粉を頼っているが、養蜂家の高齢化や猛暑による花の蜜不足、災害、ダニの寄生などでミツバチが減少。多くの農家が影響を受けている。
ミツバチが担う受粉の役割

2月から3月は宮崎で栽培される特産品「マンゴー」の花が咲く時期。この花を受粉させてくれるのがミツバチだが、ミツバチなどが受粉を担う作物はどれくらいあるかご存知だろうか?

国連食糧農業機関の報告によると、私たちが口にする作物の約7割が、持続的な生産や収穫、品質を維持するためにミツバチなどの花粉媒介者に頼っている。2025年はこのミツバチが減っていて、マンゴーの受粉にも影響が出ている。

テレビ宮崎の夕方ニュース「#Link」コメンテーターでもある服部学さんの養蜂場を訪ねた。
Q.今はハチにとってどんな時期?
服部学さん:
夏から秋に溜めたエサを食べながら冬を越して、3月になると女王バチが卵を産み始めるので、数が増えていく時期。
宮崎では、ミツバチは春になると数を増やし、梅雨前にかけて花の蜜を集め、ハチミツを作る。

そしてもう一つの大きな役割が、農作物の受粉だ。受粉は養蜂家が農家にミツバチの巣箱を貸し出して行う。しかし、2025年は異変が…
服部学さん:
2024年の秋ごろから、ミツバチが不足していると感じている。県内でも皆さん数が少ない、全国的に少ないと聞いている。
マンゴーに不可欠のミツバチ

マンゴーが花をつける時期。JAみやざきマンゴー部会の横山部会長のハウスへ向かい、貸し出しているミツバチの状態を確認した。

ミツバチとハチミツ。

少し大きいのが女王バチだ。

ハウスでは、ミツバチが花から花へ飛び回り、受粉を助けていた。

JAみやざきマンゴー部会 横山洋一会長:
マンゴーはハチがいないと実がつきませんので、ハチが一番大事。

JAみやざきマンゴー部会 横山洋一会長:
マンゴーは小さい花がたくさんつくので、人の手で受粉は現実的に無理かなと思う。
マンゴーの栽培にはミツバチが不可欠だが…

JAみやざきマンゴー部会 横山洋一会長:
周りの農家では、「今まで借りていた養蜂家から借りられない」という状況も数件あって、ハチを借りる工面に困っている場合もある。
ミツバチが減った要因は?

服部さんは、高齢化によって養蜂家が減っていることに加え、今年は環境的な要因があると見ている。

服部学さん:
2024年の夏の猛暑と災害が、ハチにとっても厳しい環境だったのではないか。
ミツバチは暑さには強いが、猛暑になると花が育たずエサになる蜜が不足、女王バチが卵を産まなくなるため数が増えない。さらに、こんな要因も…

服部学さん:
全国的に広がっている、ミツバチにつくダニ。ダニの寄生で幼虫や成虫になれないハチが増えている。ミツバチの飼育を趣味でやっている方も増えてきている。その方々がダニに対して対策をしてもらわないと、ダニを駆除できない。ミツバチにとって住みやすい環境を整えていくことが大事。レンゲ畑や菜の花畑がいっぱいあった風景を、もう一度取り戻していくことが大事かもしれない。

小さくても大きな役割を果たしているミツバチ。ミツバチが生きる環境を整えることが、私たちの豊かな食卓を守ることにもつながる。
(テレビ宮崎)

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